修理完了したAF Nikkor 20mm f/2.8Dをテストした

先月、中玉のバルサム切れによる曇りが発覚し、Nikonで修理を行った、AI AF Nikkor 20mm f/2.8D、この所天気が悪くて試写できていなかったけど、昨日、やっと試写できたので、結果のご報告を。

レンズは全交換となり、RoHS対応の最新版となりました。つまり、AF Nikkor 20mm f/2.8Dの最終形態です。MF時代からバルサム切れによる曇りが発生しやすい中玉の改善がなされている…と信じていますが、さて10年20年後にどうなっているか?

このレンズ、1984年に発売されたMFレンズ、AI Nikkor 20mm f/2.8S時代から同じ光学系を採用しています。

その描写は、卒ない、といいますか、もちろんいまどきの最新広角レンズのように、絞り開放から周辺まで解像する、とは行かないものの、開放でも中心は十分解像力があり、周辺も収差はあるけど、それなりにピントの芯は出ている、ただコントラストが古いレンズなりかな、なんて思っていました。特に逆光では、コントラスト低下が大きいなと思っていました、修理前は。

まずは無限遠での各絞りの描写。うん、問題ありませんね。絞っても、中心の解像力は大きくは変化しません。カリカリに切れる解像力はないですが、f8~f11で安定して全域で解像します。ただし、もちろんですが、最新のレンズのようにカリカリには解像しません。

そんな方には、AF-S NIKKOR 20mm f/1.8G EDをおすすめします。

MTFで比較すると、中心部分については、解像力、コントラストとも両者に大きな違いはないですね、周辺は流石に差が出ますが。

絞り開放では、周辺減光が大きいレンズです。ただ、これは広角レンズ全般に言えるので、欠点ではないですし、むしろそうした特性を生かした作画も良いでしょう。デジタルなら、周辺減光はヴィネットコントロールでどうにでもなりますし。
光学設計が1980年代のレンズなので、特性的には解像力を得るなら、f8~11までしっかりと絞っての撮影をおすすめします。
一方、絞り開放時の周辺減光も魅力で、そんな撮影の場合、周辺のコントラストや解像力なんてのは二の次ですからね。

最近、画質優先でサイズが大きなレンズが増えている中、このレンズは広角にも関わらず、わずか270gと軽量コンパクト、バッグにもう1本として忍ばせておける位のサイズなので、24-70mmにプラスアルファで持っていける魅力があります。
最近、少し中古価格も上がってきていますね。中古の場合は、レンズ中玉の曇りはよく確認することをおすすめします。ほんの薄っすらだと、カメラ店でも見逃される場合もありますので。