「NIKKOR Z 40mm f/2」タグアーカイブ

品川駅上空を飛ぶ旅客機

夏休み中に行ったニコンミュージアム、品川にありますが、ちょうど午後3時以降南風のときの羽田空港への着陸航路となっているのですね。
真上を旅客機が飛んでいったので、撮影してみました。

おー、結構近いね。
品川、羽田空港に近いので、この時点でかなり高度は下がっています

国土交通省のHPより引用

国土交通省の新羽田航路の地図見ると、品川区の次はもう空港なんですもの、そりゃ近いです。

この写真は3枚ともNIKKOR Z 40mm f/2で撮影。画角で言うと標準レンズですから、それでこれだけの大きさで写るんですもの、結構近いですね。
ビルに吸い込まれていく様が印象的でした。

この日の撮影をもって、Nikon Z 8はリコール修理のため旅立ちました。前代未聞の、レンズ装着できないかもストラップ環外れちゃうかも問題への対応です。
ほんと近年のNikonの品質、どうかしていますよ…

Nikon 35Tiのデモ機を動かしてみた

先日行ったニコンミュージアム、コロナ禍で一時撤去されていた、触れる歴代カメラの展示が復活していました。
以前あったF2 Titanの触り心地には痺れましたが、今回はなく、高級コンパクトカメラの28Tiや35Tiがあったので、動かしてみました。

動画で撮ってみました。

アナログ表示のメーターがかっこいいですね。ただ、カメラのファインダーを覗いていると見ることができないのです。
このカメラの特徴的なギミックであるとともに、実用性皆無(笑)なのもまた高級機らしいですね。

残念ながら、Nikonはこの手の高級コンパクトがあまり上手ではなく、ライバルほどは売れなかったようです。
1993年に発売された35Tiは、その機種名通り35mm f/2.8の単焦点ニッコールレンズを搭載、チタン外装にリバーサルフィルムでも安定の露出を得られるマルチパターン測光を搭載、1年後に28mm f/2.8の単焦点ニッコールを搭載した28Tiも発売され、こちらはボディカラーがブラックでした。

この時代は京セラのCONTAX T2、MINOLTA TC-1を始めとする、高級コンパクトAFカメラが各社から発売されていました。
Nikonもその流れに乗って発売した35Tiと28Tiでしたが、結局その後に後継機種を発売することはありませんでした。Nikonは昔からコンパクトカメラが苦手でしたが、このカメラも中々のギミックを搭載しながらも、残念ながらブームに乗ることはできなかったようです。

現在では、この最大の特徴であるアナログ表示の不具合が出ている個体も多く、まともに動作する個体は減っています。特にこの時代のAFコンパクトは、機構的にもコンパクト機ゆえに耐久性で否一歩だったり、電子基板が駄目になるものも多く、機械式カメラと違って簡単に直せないため、中古でも手出ししづらいですね。
Nikonもすでに修理受付はしていませんが、こうした展示機は状態の良いものを整備して展示しているのでしょうね。中古市場でもめったに出てこないため、高値安定している印象です。
自分も一時期欲しかったけど、やっぱり当時から値段が高かったというのあって、手を出すことはありませんでした。
そもそも、これだけフィルム価格が高騰してしまうと、フィルムで撮ること自体のハードルが高いですね。

でもやっぱり欲しい気はします。まともに動くなら、CONTAX T2とかT3も良いですけどね。

ニコンミュージアム「企画展「AI NIKKORの魅力~ニコン社員による写真展~」を見に行ってきた

ニコンミュージアムが、2024年の本社移転に伴い。2024年3月1日から長期休館に入るということで、夏休み閉館から開けた16日、行ってきました。
今回はタイトルの通り、AI NIKKORという、NikonがFマウント一眼レフカメラ用のレンズとして最も長期間販売していたMF(マニュアルフォーカス)レンズによる写真を、社員自ら撮影したものを展示していました。

会期は2024年2月29日まで延長となりましたが、パネルの表示では9月2日までとなっていました。今後修正されるのかな?

各レンズで撮られた写真とレンズが展示されていました。
どれも中々の力作です。ニッコール千夜一夜物語でおなじみのあの社員の写真(佐藤氏のお子様の成長記録も)、中にはMr.ニコン、フェローだった”元”社員のあの方写真も!

基本、AI NIKKORはMFレンズですが、最初に撮ったパネルにもあるように、技術的重要性から、F3AF用レンズのみはAFレンズですが、この企画展に登場しています。

AI AF Nikkor 80mm f/2.8SとAI AF Nikkor ED 200mm f/3.5Sの2本は、F3AFという、マニュアルフォーカス一眼レフのF3をベースにAF化したカメラ専用のレンズで、F3AF以外には、一眼レフではF-501、F4、F-601Mにしか装着できません。しかし解説文にありましたが、マウントアダプタFTZを介したZマウントのミラーレス一眼で撮影可能ということです。となると、手に入れてみたくなりますね。

企画展以外の定常展示も、少しづつ入れ替えなどをして工夫しているようです。
コロナ禍で一時撤去されていた、触ることが可能な歴代カメラの展示が復活していました。これは嬉しい!

Zマウントシステムの展示もあり、2018年登場から5年、やっとレンズも充実し始めたな、という印象です。
水中カメラのNIKONOS-Vの展示もよかった。もう今水中カメラをNikonが売ることはないのだろうけど。せっかくNikon 1 AW1まで出していたのにね。

ということで、ニコンミュージアムも来年2月で一旦休館となりますので、ぜひ足を運んでは?

芋きんと電気ブランを買いに浅草に行ってきた

妻が仕事お休み、ということで、2人でお出かけ。いつもなら車を出して…だけど、今回は珍しく電車で都内。
都内と言っても、自分が住んでいる場所と都心はそれなりに離れていて、浅草なんかは1時間近くかかります。東京に住んで11年ですが、数えるほどしか行っていない。

さすが連休とあって、観光客でごった返している浅草寺までの通りは避けて、まずは演芸ホール等がある方面へ。

通称ホッピー通りへ、ここが浅草で好きなんですよね。酒場山加商店でお昼から飲みました。
古くからの魚屋さんがやっているお店、お通しやお刺し身、もつ煮、せせりの炭火焼き、全てが美味しかった。

お酒もついつい3合飲んでしまった、昼間から(笑)だって美味いんだもの。

後はぶらりと浅草寺方面へ。
妻のお目当て、満願堂の芋きん、本店は火曜日お休みでしたが、浅草寺へ続く商店街のお店は営業していたので、そこで購入できました。

電気ブランの神谷バーは、残念ながらこちらもちょうど火曜日が定休日、売店もしまっていました。結局、東京スカイツリーの中のお店で売っていたので、そこで購入。


今回は、Nikon Z 8NIKKOR Z 40mm f/2のみで撮影。こういうスナップにZ 40mmはちょうどよいな。写りも値段考えたら良いですね。適度に収差が残っているけど、ツボを抑えた設計です。どこかのインフルエンサーが、特徴のない値段なりのレンズなんて呟いていましたが、そう感じるのは人それぞれです。ただ言えるのは、インフルエンサーの発言って結構大きく捉えられてしまうのがSNSの良い点でもあり悪い点でもあります。
でも1つ言えるのは、どんなレンズだろうと、ちゃんと撮れる人は撮れるし、一眼レフの同クラスのレンズより、明らかに進化しているよということです。

電気ブラン、関東圏でも購入場所が限られてしまうけど、通販しているお店もあります。送料かかるので、まとめ買いがおすすめかな。


芋きんは、店舗で販売しているものは、出荷後24時間以内にお召し上がりください、というもので、なかなかお土産にしづらいのが難点ですが、通販用に日持ちのする芋きんもあるようです。東京のお土産に是非。


Nikon Z 9 C:Ver.4.00公開開始!

Nikon Z 8登場から半月、Z 8で新規追加された機能がNikon Z 9にも反映される? と思いや、Z 8で搭載されたHEIFや飛行機専用被写体認識モードの追加はありませんでした。
とはいえ、メジャーバージョンアップでVer3.10から4.00になり、さらなる機能追加と改善がありました。

とてもたくさんあって追いきれないくらいです。

オートキャプチャーがFW C:Ver4.00最大の目玉かな?

■ 静止画撮影関連

  • 静止画撮影メニューに[オートキャプチャー]を追加しました。
    キャプチャー条件としてモーション距離被写体検出を設定し、設定した条件でカメラが被写体を認識すると自動で連続撮影を行います。
    ※ キャプチャー条件[距離]は NIKKOR Z レンズ装着時に使用できる機能です。NIKKOR Z レンズ以外のレンズを装着している場合、動作しないことがあります。
  • ハイスピードフレームキャプチャー撮影時でプリキャプチャー機能を使用する場合に、プリキャプチャー機能がキャンセルされるまでの時間を 30 秒から 300 秒に延長しました。
  • 静止画撮影メニュー[スロット2 の機能]で[JPEG+JPEG 分割記録]選択時の画像サイズ設定に[サイズ L]を追加しました。
  • オートブラケティング撮影時に選択できる補正ステップ幅を追加しました。
    ※ [オートブラケティングのセット]を、[AE・フラッシュブラケティング]、[AE ブラケティング]、または[フラッシュブラケティング]に設定している場合です。この変更は、[インターバルタイマー撮影]>[オプション]>[AE ブラケティング]>[補正ステップ]にも適用されます。
    ■ 動画撮影関連
  • 動画撮影メニューに[オートキャプチャー]を追加しました。
    キャプチャー条件として、モーション距離被写体検出を設定し、設定した条件でカメラが被写体を認識すると自動で動画記録を行います。
    ※ キャプチャー条件[距離]はNIKKOR Zレンズ装着時に使用できる機能です。NIKKOR Zレンズ以外のレンズを装着している場合、動作しないことがあります。
  • N-Log 動画撮影時に[ISO 感度設定]>[M モード時の ISO 感度]に低感度を追加しました。
  • ハイレゾズーム速度の設定内容を変更しました。
  • スローモーション動画機能を追加しました。
    ■ 再生関連
  • 再生時の i メニュー項目[送信指定(PC)]、[送信指定(FTP)]の機能を変更しました。また、同メニュー項目に[優先送信指定(PC)]と[優先送信指定(FTP)]を追加しました。

    ■ 操作関連
  • レンズのパワーズームに対応しました。
  • [カスタムメニュー]に d6[露出ディレーモード]を追加しました。
  • 以下の[カスタムメニュー]に割り当て可能なボタン、割り当てられる機能を追加しました。また、設定のリセット機能を追加しました。
  • f2[カスタムボタンの機能(撮影)]
  • f3[カスタムボタンの機能(再生)]
  • g2[カスタムボタンの機能]
    ※ f2[カスタムボタンの機能(撮影)]と g2[カスタムボタンの機能]に割り当てられる機能に追加した[瞳の切り換え]を割り当てると、左右の瞳を切り換え可能になります。
    ※ f3[カスタムボタンの機能(再生)]に割り当てられる機能に追加した[画像送り時の拡大位置]>[ピント位置優先]に設定すると、拡大再生してコマ送りする際、各画像の撮影時のフォーカスポイント位置を中心に拡大表示できるようになります。
  • [セットアップメニュー]の[レンズ情報手動設定]の機能を変更しました。
  • IPTC プリセットの[Category]で登録できる最大文字数を変更しました。
  • [セットアップメニュー]の[電子音]のメニュー構成を変更して、電子シャッター音の音量や音の種類を選べるようになりました。
    ■ 表示関連
  • マニュアルフォーカス撮影時に表示されるフォーカス距離指標に距離表示機能を追加しました。
  • [セットアップメニュー]の[ファインダー表示サイズ(静止画Lv)]を[ファインダー表示サイズ]に名称を変更し、動画モードや再生モードにも適用される様にしました。
    ■ ネットワーク関連(NX Field にも関連)
  • [ネットワークメニュー]の[FTP サーバーと接続]に機能の変更と追加をしました。
  • 連動レリーズモードの設定方法を変更して、登録できるグループ数を 20 に増やし、グループ内でマスターカメラから制御できるリモートカメラの台数を 16 台に増やしました。
  • [ネットワークメニュー]の[カメラと接続]に[著作権情報の上書き]を追加しました。
    ■ アプリケーション関連
  • NX MobileAir との組み合わせで機能を追加しました。
  • カメラの静止画ライブビューに NX MobileAir の状況を表示する様にしました。
  • カメラの[メニュー設定の保存と読み込み]でメモリーカードに保存したカメラの設定データをスマートフォン(NX MobileAir)に保存したり、スマートフォンからカメラのメモリーカードに送信したりできる様にしました。
    ■ その他
  • [3D- トラッキング]において、[AF 時の被写体検出設定]で[オート]、[人物]、[動物]、[乗り物]を選択し、かつ被写体が検出できていない場合における小さく動きの速い被写体の捕捉精度を向上しました。
  • 低輝度・低コントラストの被写体のフォーカス精度を向上しました。
  • 低速連写でフリッカー検出時の AF ロックオンを改善しました。
  • これら以外のオートフォーカスの動作や安定性も改善しました。
  • 人物撮影時のオートホワイトバランス性能を向上しました。
  • [ファインダーの明るさ]が[オート]の時に再生モードのファインダー表示が暗くなる場合がある現象を改善しました。
  • インターバル撮影において、輝度差のあるシーンや、スターライトビューを使うような暗いシーンでも 1 枚目から適正露出で撮影されやすくなりました。
  • スターライトビューが ON の時は、ヒストグラムを表示しないようにしました。
  • 動画記録可能な残り時間が少なくなった場合の警告表示を、残り時間が 1 分未満のときに残り時間表示部が赤背景に白文字となるよう変更しました。また、動画記録中でない場合でも警告表示が出るようにしました。
  • 動画の再生画面で、タッチ操作によるプログレスバーの再生位置変更時により細かく送れるように改善しました。
  • メニュー項目などの「キャプチャ」を「キャプチャー」に変更(長音を追加)しました。
  • 以下の不具合を修正しました。
  • [モニターモード]を[ファインダー優先 1]または[ファインダー優先 2]に設定し、[レリーズモード]をハイスピードフレームキャプチャーに設定した状態で半押しタイマー OFF から復帰すると、カメラが操作を受け付けなくなる場合がある。
  • カメラで RAW 現像する時にピクチャーコントロールの調整を行うと、操作を受け付けなくなる場合がある。
  • 連続撮影中にファインダー内のフォーカスポイントの表示がまれに異常になる場合がある。
  • [画像サイズ設定]>[画像サイズ(DX)の適用]>[ON]に設定した状態で、DX フォーマット対応レンズ装着時に QUAL ボタン+サブコマンドダイヤルで[画像サイズ]の変更ができない。
  • スピードライト SB-800 を装着して発光禁止で撮影した後に、SB-800 が操作を受け付けなくなる。
  • [ヴィネットコントロール]を[しない]以外に設定した時、周辺光量低下に対する補正が適切でない場合がある。
  • 動画のフレームレートを 120p または 100p に設定して Camera Control Pro 2 で撮像範囲を DX に変更すると、FX に戻すことができない。
  • [カスタムメニュー]>[フォーカスリングの角度設定]を[ノンリニア]以外に設定している場合、[カスタムメニュー]>[AF 設定時のフォーカスリング操作]の設定が[無効]でも、フォーカスリングを操作するとピント位置が移動する。
  • [ネットワークメニュー]>[スマートフォンと接続]の[Bluetooth 通信機能]と[電源 OFF 中の通信]をいずれも[OFF]に設定して[Wi-Fi 接続]が[ON]の時、カメラの電源を OFF にしている間に通常よりも電池残量が早く減少してしまう。
  • ドイツ語、韓国語のメニュー項目やヘルプの一部に誤記がある。
https://downloadcenter.nikonimglib.com/ja/download/fw/494.html

とにかく機能追加と改善項目の多さに驚くとともに、ならZ 8の機能も入れてよ~と思わなくもないですが、これを見ると、ほぼ同じような性能と思われるZ 9とZ 8も、全く同一のFWではないことから、ロジック回路の違いもそれなりにあるのかなと思われます。

動画から切り出したFWアップデート中のZ 9、ピンボケやん…

実は昨日Z 9のFWアップデート前後のAF挙動や、アップデート中の動画をZ 8で撮ったのですが、見事にピンボケ…
いや正確に言うと、絞りを開きすぎて、背面モニタの「Nikon」ロゴにはちゃんちピントが合っているのですが、そこにしか合っていない…被写界深度が浅すぎた。大失敗でした…。動画撮影に使ったNIKKOR Z 40mm f/2自体、最短撮影距離付近だと、やや球面収差が多めになるのも影響していますね。
ただし、Z 9自体でFWアップ前後で、やや暗い場面でのAF挙動比較動画を撮ったので、それは後日アップしたいと思います。

何やってるんだオレ…

天覧山と能仁寺に行ってきた

主目的は、ここでお酒を買いたかったのですが、ついでに観光したり写真を撮ったり、ということで埼玉県飯能市へ行ってきました。

あんまりこういう奇特な組合わせで撮る人は居ないだろうな Nikon Z 9 + AI AF Nikkor 20mm f/2.8D

バルサム切れが発生して曇ってしまったレンズを、修理が効くうちにと全交換したAI AF Nikkor 20mm f/2.8Dを、FTZ IIを介してNikon Z 9に組合せました。
せっかくのコンパクトな20mmも、FTZ IIをつなげるとサイズが大きくなってしまいますね。
そして、こんな撮影ならZ 9でなくていいんですよね。もっと小型のボディで良いです。でも、どうせ2台めを買うなら…となってしまうのです。

それはともかく、ここではAI AF Nikkor 20mm f/2.8Dと、もう1本のお気に入り、NIKKOR Z 40mm f/2で撮影しました。
40mmは、この値段とは思えない写りをします。Sシリーズほど完璧な描写ではないけど、この2本に共通するのは、なんだか「ホッとする」描写なんですよね。完璧ではないからこそ、レンズの美味しい所を使って撮る楽しさがある気がします。

天覧山

この名前はなぜか酒の名前で知ってるんですよね。五十嵐酒造のお酒。五十嵐酒造はここ埼玉県飯能市の酒蔵なんです。当ブログでも、五十嵐酒造の「五十嵐」は何度か紹介していますが、ここの酒造の昔からのブランドは「天覧山」なんです。
ってのは登ってから気づきました(笑

十六羅漢像のある場所はかなりの急斜面。よく作ったものです。

能仁寺

なかなか立派なお寺ですね。
下の写真の1枚目だけ40mm、他は全て20mmで撮影です。

本命の?お酒も買いまして、それはまた後日紹介ですね。

カメラレンズのプラスチックマウントに対する反響が大きかったので考察してみた

プラマウントのレンズたち

先日、デジカメWatchに掲載された、NIKKOR Z 26mm f/2.8の開発担当者に聞いてみた、という記事内にて、プラスチックマウント(以下プラマウント)についての開発者の見解が書かれていました。

陳: 個人的な印象ですが、プラマウントのメリットがまだ浸透していないなと思います。見た目で“金属マウントがいい”という話になりますが、機能としてはプラマウントもクリアしていますから、安心してお使いいただけます。

石上: レンズ着脱の回数をしっかり考えて、プラマウントと金属マウントは同じ耐久試験を行っていますから、安心です。

https://dc.watch.impress.co.jp/docs/topic/special/1483668.html

プラスチックと一括りで言っても、そのプラ材料は無数にあり、そして常に進化しています。10,20年前の常識が通用しないこともあります。
実はYamaroは前職で、プラスチックなど材料系の強度試験、熱劣化試験、絶縁試験、耐候性試験などの仕事をしていたため、材料屋ではないですが、多少はその辺の知識はあります。
今は直接材料系の仕事はしていませんが、研究開発の過程で様々な材料に触れる機会があります。長くこの仕事をしていると、プラスチック材料の進化に驚かされることもしばしばです。

一般に、金属と比較してプラスチックは、強度や耐久性に劣る、摩耗しやすい、紫外線劣化しやすい、と言ったイメージを持たれていることが多いです。
しかし、そういったネガティブな部分は、材料の進化とともに解消されており、物によっては金属を上回る性能を有するものもあります。
ただ、世間一般には、まだまだ浸透していないのも事実です。
この記事を見て、こんなツイートをしてみたところ、わりと反響がありました。

プラマウントに肯定的な意見もあれば、ネガティブな意見もありました。そして、わりとプラマウントにネガティブな意見が多かったように感じます。
もちろん、古くは真鍮、そしてアルミやステンレス合金など金属のほうが安定した材質であり、光軸の僅かなズレが結果に影響を及ぼそレンズにとっては、金属マウントが安心であるのは理解できます。
一方で、金属マウントはレンズ全体の重量増を招くのも確かです。

プラマウントは割れやすい?

プラマウントのトラブルでよく聞くのは、マウントが割れてしまったという話です。ただ、通常のレンズ交換で割れてしまうということよりも、外部からの衝撃(落としたぶつけた)で破損させてしまう事例のほうが多いようです。
この場合、金属であれば衝撃で割れることは稀ですが、金属の場合はその衝撃がレンズ鏡胴に伝わるため、どちらかというとレンズ鏡胴自体を破壊してしまう可能性があります。
プラスチックは、きっかけがないとそう簡単に割れることはありません。
部品が分離してしまうほどではない衝撃を過去に受けて、ごく僅かなクラック(割れ)が発生し、そのまま使用することで疲労蓄積して、最終的にクラックが広がってしまうのは、レンズマウントに限らずプラスチック製品全般であることです。
また軽い衝撃であれば、適度にしなることで衝撃を吸収できるメリットもあります。
使っているうちに割れてしまったプラマウント、レンズ装着時にカメラマウントにガチャガチャぶつけたりしていませんか? 衝撃が蓄積され、疲労破壊することも考えられます。」

金属は、特にマウントに使われるステンレスなどは、ちょっとした衝撃で割れることが少ないため、この点では確かに金属マウントのほうが強いといえますが、衝撃自体はプラマウントも金属マウントも、落としたりぶつけたりすればレンズのどこかに伝わります。マウントは金属でも、それ以外にプラスチックを多用しているレンズが多い昨今、他にダメージが行く可能性は高いです。

ということで、割れる原因には外的要因といった理由でしょう。。
Nikonの開発者が言う、プラマウントと金属マウントは同じ耐久試験を行っている、という発言からも、実用上、プラマウントと金属マウントに大きな耐久性の差はないようです。

それでも、パンケーキレンズのNIKKOR Z 26mm f/2.8が金属マウントを採用したのは、

——金属マウントを求める声は常にありますが、それはどのような理由からですか?

石上: “プラマウントは安っぽい”という、デザインや見た目からの理由が多いです。レンズも決して安い買い物ではありませんから、金属の頑丈でしっかりしたイメージが安心感に繋がるのかなと思います。

https://ameblo.jp/ayumuhito12/entry-12531673915.html

とあるように、主に質感とデザインで選択したとのことです。
同じ値段を払うなら、プラマウントより金属マウントの方を選ぶでしょうし、私もそうします。ただ裏を返すと、このサイズ、この重量のレンズであれば、実用上プラマウントでも問題ない、ということなのでしょう。
特に重量面では、軽量コンパクトが売りのパンケーキレンズでは、金属マウントはプラマウントより重量がかさむので、プラマウントのほうがメリットは大きいと思いますが、ここでは金属マウントの質感を優先したということなのでしょう。

プラマウントは摩耗しやすい?

実際プラマウント使っていて気になるのは摩耗です。確かに、プラマウントを見てみると、摩耗粉のようなものは見られますし、削れているようなものがなくもない気はします。

写真は、左がPanasonicのLUMIX G VARIO 12-32mm / F3.5-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S.、右上がNikonのAF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR、右下がNIKKOR Z 40mm f/2です。
白っぽくなっているのは確かに摩耗粉かも知れませんが、一方でマウントに着いた汚れの可能性もあります。プラマウントは色が黒の場合が多いためか、このスリアとはどうしても目立ってしまいます。
金属マウントの場合、多くはシルバーで、汚れや擦り傷は目立ちにくいです。しかし金属マントもよく見ると、黒い汚れや摩耗粉のようなものは見受けられるのです。
金属マウントでも、頻繁に交換した場合は摩耗が発生します。カメラ側のマウントは金属ですが(近年はステンレスが多い)、レンズ交換頻度の多いカメラはカメラ側のマウントも摩耗し、オーバーホールなどで交換対象になることもあります。
金属も摺動を重ねると摩耗するわけですから、プラマウントが金属マウントと比較して一概に摩耗しやすいとは言い切れないです。プラマウントの場合、表面にコーティングすることで摺動抵抗を減らすことも出来ます。
やり方によっては、プラでも耐摩耗性を金属以上にすることは可能です。もちろん、それはコストにも関わってくるので、プラもあまりに耐久性や強度にこだわりすぎると、金属マウントより高価になってしまいます。
この辺り、プラマウントと金属マウントのいずれを選択するかは、特性やレンズの価格で変わってきます。要はバランスです。

最近はカーボンを含有させたプラスチックのように、金属を超える特性のものもありますが、仮にそういったものを採用すると、現時点では金属マウント以上に高価になります。マウントだけ耐久性を高めても、鏡胴を含めた耐久性や強度も考慮に入れる必要があるので、結局のところ、見た目とコストのバランスでプラか金属の選定をし、更にプラでもその種類とコストを天秤にかけて材質を選定しているのでしょうね。

見た目の質感、破壊強度と耐久性のバランスは金属マウントに分がある

NIKKOR Z 26mm f/2.8は、見た目と質感で金属マウントが選ばれましたが、それ以外にも各メーカーとも、多くのレンズは今も金属マウントが採用されています
ある程度重量やレンズの全長が長くなるほど、重心位置がカメラから離れるために、よりマウントに荷重がかかります。
また、耐久性の高いプラスチック材料はコストが金属マウントよりかかる場合もあります
こうした点から、まだカメラマウントは金属が主流です。

——金属マウントとプラマウントでは、想定するレンズ交換の頻度や、レンズ自体が使われる想定年数に違いがありますか? 使っているうちにマウント部の角にスレが出て悲しいという声もあります。

石上: 高級レンズでは、耐久性ではなく主に破壊強度の面で金属マウントが選ばれます。高級レンズは重くなる傾向があり、プラマウントでは耐えられないレベルの重さになる場合があるからです。

https://dc.watch.impress.co.jp/docs/topic/special/1483668.html

耐久性でプラマウントと金属マウントに差はないが、重量のあるレンズは破壊強度の点で金属マウントが選択される、ということです。
破壊強度とは、材料が破壊するときの応力で、引張強度・圧縮強度・せん断強度など複合要因が関わってきます。
例えば重量級の超望遠レンズは、そもそもの重量が大きく全長も長いため、重心位置からのモーメントによりマウントに掛かる荷重が大きくなります。

単純に破壊強度だけを見ると、例えば炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は一般的な金属並み、あるいはそれらを超える強度を持っていますが、仮にこの材質をレンズマウントに採用すると、ステンレスの金属マウントより高価になってしまいます。
また、耐久性の面で言うと、湿気や繰り返し応力負荷による破壊特性が読めないということもあり、総合的なバランスでは金属マウントに分があるということになります。

もちろん、見た目のや質感の良さでも金属マウントが選ばているわけです。質感という点では、まだまだプラスチックは金属に追いつけないですね。

プラスチックの進化は続く

プラスチックの進化は日進月歩で、20年前の常識が通用しなかったりします。
2001年に発売されたAF Zoom Nikkor 28-80mm F3.3-5.6Gは、NikonのNikkorレンズでは初めてプラマウントを採用したレンズ(1995年のおもしろレンズ工房でプラスチックマウントは採用されているが、Nikkor銘ではない)のしたが、当時も当然プラは弱いのではと懸念されたものです。
そして、この当時採用されたプラスチックよりも、現在のプラマウントに採用されているプラスチックのほうが、遥かに優秀になっていることは間違いないでしょう。

2001年にプラマウントを採用したAF Zoom Nikkor 28-80mm F3.3-5.6G

AF Zoom Nikkor 28-80mm F3.3-5.6Gは発売から20年以上経過し、廉価なズームレンズだったことからか、レンズマウントが割れているという記事もいくつか見かけましたが、少なくともこの時代からはプラスチックは進化していますし、廉価ズーム故にぞんざいな扱いを受けて衝撃により割れてしまったケースもあったでしょうね。

炭素繊維強化プラスチックも、弱点を克服し、コストも安くなれば、将来的にレンズのマウントに採用される可能性もなくないでしょうし、既に炭素繊維複合材はカメラのボディにも採用されたりしています。
将来的にはプラマウントの採用事例は増えるのではないかと思います。

紫外線劣化は気にする必要ないのでは…

おまけ。あえてツイートを晒すのはなんなので、画像だけにしておきますが…

紫外線に晒すとボロボロ…、まあずっと屋外に出しっぱなしにしていたらそうかも知れませんが、レンズマウントを直射日光に何日も晒すシチュエーションってありえないのでは?」
レンズマウントの耐候性はわかりませんが、一部のプラスチックは紫外線に弱いのは事実です。耐候性を考慮したプラスチックとそうでないものは差が出るのも確かです。
よくプラの洗濯バサミをずっと外の物干し竿につけっぱなしにしておくと、1,2年で表面が白っぽくなり、パキパキに割れてしまうことがありますが、それとて外に出しっぱなしで1,2年ですからね。カメラレンズを、ましてカメラに装着した状態ではマウント部が直接日光に当たることはないです。気にしすぎですね。
それを言ってしまうと、カメラやレンズの外装にも、多くのプラスチックは使われていますから。

ちなみに、自動車の外装部品、あるいは住宅の外配管など、屋外で長期間紫外線にさらされるようなものに使われるプラスチックは、耐候性試験を行い、紫外線劣化が発生しづらい材質を使っています。
もう20年以上前、私が試験屋だった頃は、紫外線劣化の促進試験のため、サンシャインウェザーメーターという試験機でプラスチック製品の試験をしていたことを思い出しました。

古くからある促進耐候性試験の1つで、カーボンに電気を流し、強烈なアーク光を試験サンプルに当てる試験です。内部では更に水を噴霧して、雨が降った直後に晴れる、と言った環境も再現しています。
今はカーボン交換は自動化されていますが、昔はカーボンを定期交換していました。カーボン交換の必要のない、キセノンランプを使用したウェザーメーターもありますが、カーボンアークは紫外線スペクトラムを多く含み、かつ半世紀以上の長きに渡る実績があることから、現在でも使われているようです。
プラスチックの一部は、こうした環境試験に耐えるものも存在します。

まあ、紫外線でプラマウントが劣化したなんてのは聞いたことがないですから、一般的な使い方、保管方法で紫外線劣化を気にすることはないです。

埼玉の大崎公園に行ってきた

東京都に住んで11年、都内の公園は電車移動前提が多く、特に動物のいる公園ってどこも車で行きづらい。電車やバス移動が当たり前な、根っからの東京人なら気にならないのでしょうけど、ずっと地方育ち、車移動当たり前な人間にはどうもね…。
ってことで、遊びに行くのはいつも埼玉になってしまいます。
今回は、調べて駐車場もあって動物もいる、埼玉の大崎公園に行ってみました。

じゃぶじゃぶ池もあるし、夏とかに遊びに行くのも良さそうですね。

こどもどうぶつえん

規模は小さいながら、動物園があります。残念ながら、鳥インフルエンザ流行のため、鳥のエリアは入れませんでした。

この手の動物園にカピバラがいるのは珍しいですね。

公園でZ 40mm f/2やDC-Nikkor 135mmで撮る

便利なZ 24-200mmに代えて、Z 40mm f/2やDC-Nikkor 135mm f/2Dでスナップしました。

この2本のレンズ、Z 40mmは新しいレンズですが、画質に拘ったS-Lineと違い、良い意味で少し肩の力を抜いたレンズです。
NikonのZマウントでも、S-Lineシリーズは解像力とボケ味共に、画面の隅々まで高レベルを保っていますが、非S-Lineなこのレンズは、少しコマ収差が残っていたりします。が、なんでも高解像度で撮れる必要はなく、かと言って解像力がないレンズではなく、昔のエントリークラスの単焦点レンズよりも遥かに解像力は高いです。でも、如何にも高解像力のレンズですよ、と言う撮れ方ではないのが、逆に良かったりもします。

一方、フィルム時代の設計のAI AF DC-Nikkor 135mm f/2Dは、今回Z 9にマウントアダプタFTZ IIを使用しているため、レンズにAFモータを持たない本レンズはAFが使えず、マニュアルフォーカスとなります。でも、Z 9のEVFはピントの山が見やすいので、案外苦労せずフォーカシング出来ます。
CPUレンズであれば、フォーカスエイドによりフォーカスが合うと、AF枠は赤から緑色に変化するので、とてもわかり易いです。そしてフォーカスエイドも、一眼レフよりピント精度が高かったりします。
相手が動きものでなければ、MFで何ら問題ないです。軸上色収差が多い、ガウスタイプのやや古典的な光学系ですが、それが良かったりします。
欲を言えば、マウントアダプタFTZでボディAFモータを搭載してくれたら…と思うのですが、あまりNikonはやる気が無いようです。

ということで、大崎公園、程よい広さ(広すぎず狭すぎず)で、また行こうかなと思った次第。

Nikon Z 9 Firmware C:Ver3.10にアップデートしてみた

発売から1年3ヶ月、2021年12月24日に発売されたNikon Z 9、2021年末に発売されたからか、どうも発売から2年経過しているイメージで語られがちですが、まだ1年ちょっとだったりします。
その間に順当にバージョンアップが行われているのは好感が持てますね。
口の悪い人たちは、そんなのは最初からやっておけ、なんて言いますが、今やミラーレス一眼はソフトウェアのウェイトが大きく、PCやスマホのOSやソフトだってバージョンアップで機能改善やデバッグが行われているので、こうした改善は評価したいです。
個人的には、8.3K60PのRAW動画を撮れるのだから、連写速度も秒20コマと言わず、30コマは行けるのではと思っているのですが、これは次のVer4.00で期待? AF精度や書き込み速度との絡みもあるでしょうけど。

C:Ver3.10への更新内容は以下のとおりです。

  • 以下の製品に対応しました。
  • – NIKKOR Z 85mm f/1.2 S
  • AF エリアモード]を[ワイドエリア AF(S) ]、[ワイドエリア AF(L) ]、[ワイドエリア AF(C1) ]、[ワイドエリア AF(C2) ]、[ 3D- トラッキング]、[オートエリア AF ]のいずれかに設定して連続撮影を行ったときのコントラストが低い被写体に対するピント精度を向上しました。
  • 別売のスピードライト装着時の連続撮影速度を改善しました。
  • 以下の不具合を修正しました。
    • – 再生時の i メニューにある[画像編集]>[トリミング]を行うと、まれに切り抜く範囲が正しく変更できなくなったり、表示画像が歪んだりしてしまう。
    • – 再生時の i メニューにある[画像編集]>[比較明合成]を行うと、多数の画像を合成した時に画像に緑の色付きが発生することがある。
    • – 再生画面で拡大表示した状態でレーティングを設定すると、表示画像が一時的に異常となることがある。
    • – ごくまれにカメラが操作を受け付けなくなる。
https://downloadcenter.nikonimglib.com/ja/download/fw/486.html

「…連続撮影を行ったときのコントラストが低い被写体に対するピント精度を向上しました。」と言うのは、元々暗所やコントラストに低いう被写体へのAFが苦手なNikonミラーレス機だけに、どの程度改善されたか気になるところです。

更新ファイルは約95MBもある

早速ダウンロード。Nikon Z 9のFirmwareアップデートはいつも時間がかかりますが、一眼レフと違って更新ファイルのサイズが大きいですからね。今回のファイルは約95MBありました。

パージョンアップのプログレスバー進行は、相変わらず遅いです。更新自体は数分で完了しました。

相変わらず低コントラストは苦手

夜明けの風景を撮ってみました。レンズはNIKKOR Z 40mm f/2です。

画面中央ではAFが合わず、やむなく下の建物にフォーカスエリアを移動

一眼レフのD850ならAFが合うこの風景ですが、残念ながら画面中央の雲のある空ではAFが合わず、やむなく下の建物にAFエリアを移動させて撮影。やっぱりこうした場面でのAFは苦手で、ここがまだ一眼レフのAFセンサに追いついていないです。コントラストAFなら、このくらい雲があればAF合うかなと思ったのですが…。
思うに、Z 9の像面位相差AF暗い場面への対応がそもそも無理で、コントラストAFもまだ洗練度が足りない気がしています全画素使ってのコントラスト検出はしていないのかも? まだまだ改善が必要です。少なくともEVF上で見えているのだから、出来ないはずはないと思っているのですが。

NIKKOR Z 40mm f/2のコマ収差

最近フォトヨドバシで、新宿光學総合研究所なる記事が、どこぞのカメラメーカーとのコラボで書かれていますが、この記事がとてもわかりやすいのです。
コマ収差、なんぞや、というのもとてもわかりやすく書かれています

そのコマ収差ですが、NIKKOR Z 40mm f/2は光学設計がZマウントのニッコールの中では、比較的ゆるいためか、絞り開放だと割りと発生します。上の写真と同じ風景の右下隅を切り出してみました。
絞り開放のf2と1段絞ったf2.8で、これだけコマ収差の出方が違うのです。

どうでしょう? 点の光が扇状になる度合いが、絞り開放では盛大に発生しているのに対して、1段絞りを絞るだけで、これだけ改善します。
もちろん1段では本当に隅の方は多少コマ収差が残っていますが、煙突のてっぺんの赤い光は1段絞ってコマ収差はかなり解消されているのがわかります。
このレンズは、レンズの特性が絞りで変わります。開放ではガチガチに収差をなくしておらず、良い意味で絞りの違いによるレンズの味わいや特性の変化が楽しめます。

NIKKOR Zはどれもものすごく写りがよく、スキのない描写ですが、写りすぎる、という側面も少なからずあります(人間贅沢ですね)。このレンズは、ちょっと肩の力を抜いた感じで好感が持てます。もちろん、もっと高価なZレンズはものすごく良いのですけどね。

AstrHori 18mm F8 フルフレーム?シフトレンズで撮ってみた

昨年購入して、届いたのが年明けになった、中華レンズ、AstrHori 18mm F8 広角レンズ フルフレーム シフトレンズを屋外で使ってみました。
シフトレンズとは、カメラを水平に向けたまま、レンズを平行に光軸中心からずらすことで、ずらした向きに撮影可能です。
わかり易い例は、ビルを真下から撮影すると、上階に行くほどすぼんで撮れますが、シフトレンズを使えばこれが最小限に抑えられます。

超広角レンズでシフト可能なレンズは、通常30万円以上します。例えば、NikonのPC NIKKOR 19mm f/4E EDは、こんなに前玉が出っ張っていて、価格も34万円前後します。

PC NIKKOR 19mm f/4E ED

これだけ前玉が出っ張っている理由は、シフト機構を使うことで、通常の19mmの広角レンズ以上のイメージサークルが必要だからです。より大きなフォーマットの中判レンズくらいのイメージサークルが必要です。例えて言うなら、カメラを水平の角度で、超広角で撮影して、その一部を切り取る感覚ですね。

超広角レンズでシフトレンズ、というのがもの高価かつ大型レンズになるのはこういった理由からですが、チャイナはその斜め上を行きました。
レンズサイズはパンケーキレンズ並みにコンパクト、かつシフトもできる18mmレンズを、2万円を切る価格で出してきました。

AstrHori 18mm F8 フルフレームシフトレンズ(Zマウント用)

これを見た時、本当に18mmの画角があるのか? そして本当にシフトできるのか、甚だ疑問でした。何せ、暗いレンズとは言え、こんなパンケーキサイズでシフトできる程のイメージサークルがあるのか?
そしてその疑問は、悪い意味で確信に変わりました(笑

ま、30万円以上する超広角シフトレンズが、以下にチャイナパワーと言えど、わずか2万円弱で実現は不可能と言うことです。

はい、フルサイズでは蹴られます。蹴られる(ケラレる)とは、ご覧のように映らない部分が出てくるということ。
つまりこのレンズ、フルサイズのフォーマットに対して、フルでシフトさせると蹴られてしまいます。イメージサークルが狭いのです。本来、フルサイズ対応のシフトレンズは、最大までシフトさせても蹴られないように、イメージサークルを広く取っているはずなのですが、このレンズは、2メモリくらいまでしかシフト時のイメージサークルがないのです。

フルサイズで蹴られないシフト量はメモリ2つ分がせいぜい

ちなみのこのレンズ、この記事を見て、Pergearで期間限定でさらに3千円割引になっていたので購入しました。が、このページにも購入先のPergearも、イメージサークルについては書かれていませんでした。

ところが、SNSで早くに届いた方のレビューにより、フルサイズでは到底イメージサークルが足りないということが判明、今ではPergearのページにも、「シフト機能を使用するには、最初にAPS-Cモードに切り替える必要が有ることに注意してください。」と追記されました。

まだ1万数千円で買えたので、笑って許せる範疇ですが、如何にチャイナと言えども、最初に販売した際にイメージサークルの狭さに言及していなかったのは問題ありでしょう。久しぶりに悪い意味での大陸クオリティを垣間見た気がします。

レンズの画質はどうか?

広角レンズの場合、どうしても太陽など光源は入りやすい写真となるため、現代のレンズとしてはフレア・ゴースト耐性も重要です。また、シフトレンズを謳うわけですから、十分な周辺画質も必要となります。

左がシフトなしの素の状態、右がフルでシフトした状態。画質は、光軸中心部分については解像力は問題なしです。ただ全体としてやや線が太い描写となります。
逆光耐性は、太陽光付近ではフレアっぽくなりますが、レンズ構成がシンプルだからか、内面反射はさほど多くはないようです。
そして周辺画質は、シフトしていなくても像が流れています。
APS-Cであれば、シフトしない状態では画面全域でほぼ解像力はそこそこ得られるはずですが、シフトすると周辺画質は物足りないでしょう。

上の3枚も、左上が素の状態、右上がフルサイズで蹴られないギリギリのシフト量(メモリ2つ分)、右下がフルでシフトさせた場合。
写真の鉄塔のパースペクティブを目立たなくさせる場合は、フルでシフトする必要がありましたが、フルサイズでは蹴られてしまいます。そしてシフトさせない場合も周辺の画質は、昔の広角レンズの域を出ていませんし、f8という暗いレンズであることも考慮すると、コンパクトとは言え物足りないです。

ちなみにこの値段でから、絞り機構は存在せず、開放のf8固定となります。絞って解像力を上げるという手段は使えません。

TS-E 17mm F4L

18mmという、CanonのTS-E17mm F4Lに続く超広角シフトレンズとして期待しましたが、やはり物理の法則に従い、開放f8と暗くしたところで、フルサイズのカメラでシフトした際のイメージサークルは得られないということです。

画質もフルサイズでは不満です。APS-C専用でしょう。そしてAPS-Cでも、シフトした際の周辺画質は期待しない方が良いでしょう。
以下はAPS-Cサイズ(DXフォーマット)にクロップしてシフトなし(左)とフルシフトで撮影した写真です。

さすがにAPS-Cサイズ(DXフォーマット)だと、シフトさせない左は画像の隅まで解像力はありますが、シフトさせると鉄塔の先端あたりは収差の影響で、解像力が出ていないのがわかります。

最短撮影距離付近0.34mでの撮影

最短撮影距離、広角故にそれほど背景はボケません。最短撮影距離付近は、線が太い描写ではない感じですが、解像力はもう一歩ですね。

スナップ向きのレンズではあります

シフトせずスナップするには、コンパクトなレンズ故に良い感じです。相変わらず周辺画質は良くないですが、フィルム時代の広角レンズはこんな感じだったのを考えると、まあこんなものかな、という気はします。NikonならZfcあたりと組み合わせるには良いかもしれません。

また、動画でも使ってみましたが、MFレンズで適度にフォーカスリングのトルクもあるのと、暗い広角レンズでフォーカスの距離指針を見ながらアバウトにフォーカシングしてもピントは合うので、4Kまでなら問題なく動画にも使えました。シフト機構をなくして、単なるAPS-C用単焦点広角レンズとして売っても良いかもしれませんね。


このレンズの後に、NikonのNIKKOR Z 40mm f/2を使うと、やっぱこれが安心、よく映るレンズです。値上がりしたとは言え3万円前後、これで開放f2で、コンパクトでAFも使える純正レンズ、これは買うべきレンズです。

Nikon Z 9 + NIKKOR Z 40mm f/2

最近大して安くもなくなってきたチャイナレンズより、よっぽど良いです。