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カメラレンズのプラスチックマウントに対する反響が大きかったので考察してみた

プラマウントのレンズたち

先日、デジカメWatchに掲載された、NIKKOR Z 26mm f/2.8の開発担当者に聞いてみた、という記事内にて、プラスチックマウント(以下プラマウント)についての開発者の見解が書かれていました。

陳: 個人的な印象ですが、プラマウントのメリットがまだ浸透していないなと思います。見た目で“金属マウントがいい”という話になりますが、機能としてはプラマウントもクリアしていますから、安心してお使いいただけます。

石上: レンズ着脱の回数をしっかり考えて、プラマウントと金属マウントは同じ耐久試験を行っていますから、安心です。

https://dc.watch.impress.co.jp/docs/topic/special/1483668.html

プラスチックと一括りで言っても、そのプラ材料は無数にあり、そして常に進化しています。10,20年前の常識が通用しないこともあります。
実はYamaroは前職で、プラスチックなど材料系の強度試験、熱劣化試験、絶縁試験、耐候性試験などの仕事をしていたため、材料屋ではないですが、多少はその辺の知識はあります。
今は直接材料系の仕事はしていませんが、研究開発の過程で様々な材料に触れる機会があります。長くこの仕事をしていると、プラスチック材料の進化に驚かされることもしばしばです。

一般に、金属と比較してプラスチックは、強度や耐久性に劣る、摩耗しやすい、紫外線劣化しやすい、と言ったイメージを持たれていることが多いです。
しかし、そういったネガティブな部分は、材料の進化とともに解消されており、物によっては金属を上回る性能を有するものもあります。
ただ、世間一般には、まだまだ浸透していないのも事実です。
この記事を見て、こんなツイートをしてみたところ、わりと反響がありました。

プラマウントに肯定的な意見もあれば、ネガティブな意見もありました。そして、わりとプラマウントにネガティブな意見が多かったように感じます。
もちろん、古くは真鍮、そしてアルミやステンレス合金など金属のほうが安定した材質であり、光軸の僅かなズレが結果に影響を及ぼそレンズにとっては、金属マウントが安心であるのは理解できます。
一方で、金属マウントはレンズ全体の重量増を招くのも確かです。

プラマウントは割れやすい?

プラマウントのトラブルでよく聞くのは、マウントが割れてしまったという話です。ただ、通常のレンズ交換で割れてしまうということよりも、外部からの衝撃(落としたぶつけた)で破損させてしまう事例のほうが多いようです。
この場合、金属であれば衝撃で割れることは稀ですが、金属の場合はその衝撃がレンズ鏡胴に伝わるため、どちらかというとレンズ鏡胴自体を破壊してしまう可能性があります。
プラスチックは、きっかけがないとそう簡単に割れることはありません。
部品が分離してしまうほどではない衝撃を過去に受けて、ごく僅かなクラック(割れ)が発生し、そのまま使用することで疲労蓄積して、最終的にクラックが広がってしまうのは、レンズマウントに限らずプラスチック製品全般であることです。
また軽い衝撃であれば、適度にしなることで衝撃を吸収できるメリットもあります。
使っているうちに割れてしまったプラマウント、レンズ装着時にカメラマウントにガチャガチャぶつけたりしていませんか? 衝撃が蓄積され、疲労破壊することも考えられます。」

金属は、特にマウントに使われるステンレスなどは、ちょっとした衝撃で割れることが少ないため、この点では確かに金属マウントのほうが強いといえますが、衝撃自体はプラマウントも金属マウントも、落としたりぶつけたりすればレンズのどこかに伝わります。マウントは金属でも、それ以外にプラスチックを多用しているレンズが多い昨今、他にダメージが行く可能性は高いです。

ということで、割れる原因には外的要因といった理由でしょう。。
Nikonの開発者が言う、プラマウントと金属マウントは同じ耐久試験を行っている、という発言からも、実用上、プラマウントと金属マウントに大きな耐久性の差はないようです。

それでも、パンケーキレンズのNIKKOR Z 26mm f/2.8が金属マウントを採用したのは、

——金属マウントを求める声は常にありますが、それはどのような理由からですか?

石上: “プラマウントは安っぽい”という、デザインや見た目からの理由が多いです。レンズも決して安い買い物ではありませんから、金属の頑丈でしっかりしたイメージが安心感に繋がるのかなと思います。

https://ameblo.jp/ayumuhito12/entry-12531673915.html

とあるように、主に質感とデザインで選択したとのことです。
同じ値段を払うなら、プラマウントより金属マウントの方を選ぶでしょうし、私もそうします。ただ裏を返すと、このサイズ、この重量のレンズであれば、実用上プラマウントでも問題ない、ということなのでしょう。
特に重量面では、軽量コンパクトが売りのパンケーキレンズでは、金属マウントはプラマウントより重量がかさむので、プラマウントのほうがメリットは大きいと思いますが、ここでは金属マウントの質感を優先したということなのでしょう。

プラマウントは摩耗しやすい?

実際プラマウント使っていて気になるのは摩耗です。確かに、プラマウントを見てみると、摩耗粉のようなものは見られますし、削れているようなものがなくもない気はします。

写真は、左がPanasonicのLUMIX G VARIO 12-32mm / F3.5-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S.、右上がNikonのAF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR、右下がNIKKOR Z 40mm f/2です。
白っぽくなっているのは確かに摩耗粉かも知れませんが、一方でマウントに着いた汚れの可能性もあります。プラマウントは色が黒の場合が多いためか、このスリアとはどうしても目立ってしまいます。
金属マウントの場合、多くはシルバーで、汚れや擦り傷は目立ちにくいです。しかし金属マントもよく見ると、黒い汚れや摩耗粉のようなものは見受けられるのです。
金属マウントでも、頻繁に交換した場合は摩耗が発生します。カメラ側のマウントは金属ですが(近年はステンレスが多い)、レンズ交換頻度の多いカメラはカメラ側のマウントも摩耗し、オーバーホールなどで交換対象になることもあります。
金属も摺動を重ねると摩耗するわけですから、プラマウントが金属マウントと比較して一概に摩耗しやすいとは言い切れないです。プラマウントの場合、表面にコーティングすることで摺動抵抗を減らすことも出来ます。
やり方によっては、プラでも耐摩耗性を金属以上にすることは可能です。もちろん、それはコストにも関わってくるので、プラもあまりに耐久性や強度にこだわりすぎると、金属マウントより高価になってしまいます。
この辺り、プラマウントと金属マウントのいずれを選択するかは、特性やレンズの価格で変わってきます。要はバランスです。

最近はカーボンを含有させたプラスチックのように、金属を超える特性のものもありますが、仮にそういったものを採用すると、現時点では金属マウント以上に高価になります。マウントだけ耐久性を高めても、鏡胴を含めた耐久性や強度も考慮に入れる必要があるので、結局のところ、見た目とコストのバランスでプラか金属の選定をし、更にプラでもその種類とコストを天秤にかけて材質を選定しているのでしょうね。

見た目の質感、破壊強度と耐久性のバランスは金属マウントに分がある

NIKKOR Z 26mm f/2.8は、見た目と質感で金属マウントが選ばれましたが、それ以外にも各メーカーとも、多くのレンズは今も金属マウントが採用されています
ある程度重量やレンズの全長が長くなるほど、重心位置がカメラから離れるために、よりマウントに荷重がかかります。
また、耐久性の高いプラスチック材料はコストが金属マウントよりかかる場合もあります
こうした点から、まだカメラマウントは金属が主流です。

——金属マウントとプラマウントでは、想定するレンズ交換の頻度や、レンズ自体が使われる想定年数に違いがありますか? 使っているうちにマウント部の角にスレが出て悲しいという声もあります。

石上: 高級レンズでは、耐久性ではなく主に破壊強度の面で金属マウントが選ばれます。高級レンズは重くなる傾向があり、プラマウントでは耐えられないレベルの重さになる場合があるからです。

https://dc.watch.impress.co.jp/docs/topic/special/1483668.html

耐久性でプラマウントと金属マウントに差はないが、重量のあるレンズは破壊強度の点で金属マウントが選択される、ということです。
破壊強度とは、材料が破壊するときの応力で、引張強度・圧縮強度・せん断強度など複合要因が関わってきます。
例えば重量級の超望遠レンズは、そもそもの重量が大きく全長も長いため、重心位置からのモーメントによりマウントに掛かる荷重が大きくなります。

単純に破壊強度だけを見ると、例えば炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は一般的な金属並み、あるいはそれらを超える強度を持っていますが、仮にこの材質をレンズマウントに採用すると、ステンレスの金属マウントより高価になってしまいます。
また、耐久性の面で言うと、湿気や繰り返し応力負荷による破壊特性が読めないということもあり、総合的なバランスでは金属マウントに分があるということになります。

もちろん、見た目のや質感の良さでも金属マウントが選ばているわけです。質感という点では、まだまだプラスチックは金属に追いつけないですね。

プラスチックの進化は続く

プラスチックの進化は日進月歩で、20年前の常識が通用しなかったりします。
2001年に発売されたAF Zoom Nikkor 28-80mm F3.3-5.6Gは、NikonのNikkorレンズでは初めてプラマウントを採用したレンズ(1995年のおもしろレンズ工房でプラスチックマウントは採用されているが、Nikkor銘ではない)のしたが、当時も当然プラは弱いのではと懸念されたものです。
そして、この当時採用されたプラスチックよりも、現在のプラマウントに採用されているプラスチックのほうが、遥かに優秀になっていることは間違いないでしょう。

2001年にプラマウントを採用したAF Zoom Nikkor 28-80mm F3.3-5.6G

AF Zoom Nikkor 28-80mm F3.3-5.6Gは発売から20年以上経過し、廉価なズームレンズだったことからか、レンズマウントが割れているという記事もいくつか見かけましたが、少なくともこの時代からはプラスチックは進化していますし、廉価ズーム故にぞんざいな扱いを受けて衝撃により割れてしまったケースもあったでしょうね。

炭素繊維強化プラスチックも、弱点を克服し、コストも安くなれば、将来的にレンズのマウントに採用される可能性もなくないでしょうし、既に炭素繊維複合材はカメラのボディにも採用されたりしています。
将来的にはプラマウントの採用事例は増えるのではないかと思います。

紫外線劣化は気にする必要ないのでは…

おまけ。あえてツイートを晒すのはなんなので、画像だけにしておきますが…

紫外線に晒すとボロボロ…、まあずっと屋外に出しっぱなしにしていたらそうかも知れませんが、レンズマウントを直射日光に何日も晒すシチュエーションってありえないのでは?」
レンズマウントの耐候性はわかりませんが、一部のプラスチックは紫外線に弱いのは事実です。耐候性を考慮したプラスチックとそうでないものは差が出るのも確かです。
よくプラの洗濯バサミをずっと外の物干し竿につけっぱなしにしておくと、1,2年で表面が白っぽくなり、パキパキに割れてしまうことがありますが、それとて外に出しっぱなしで1,2年ですからね。カメラレンズを、ましてカメラに装着した状態ではマウント部が直接日光に当たることはないです。気にしすぎですね。
それを言ってしまうと、カメラやレンズの外装にも、多くのプラスチックは使われていますから。

ちなみに、自動車の外装部品、あるいは住宅の外配管など、屋外で長期間紫外線にさらされるようなものに使われるプラスチックは、耐候性試験を行い、紫外線劣化が発生しづらい材質を使っています。
もう20年以上前、私が試験屋だった頃は、紫外線劣化の促進試験のため、サンシャインウェザーメーターという試験機でプラスチック製品の試験をしていたことを思い出しました。

古くからある促進耐候性試験の1つで、カーボンに電気を流し、強烈なアーク光を試験サンプルに当てる試験です。内部では更に水を噴霧して、雨が降った直後に晴れる、と言った環境も再現しています。
今はカーボン交換は自動化されていますが、昔はカーボンを定期交換していました。カーボン交換の必要のない、キセノンランプを使用したウェザーメーターもありますが、カーボンアークは紫外線スペクトラムを多く含み、かつ半世紀以上の長きに渡る実績があることから、現在でも使われているようです。
プラスチックの一部は、こうした環境試験に耐えるものも存在します。

まあ、紫外線でプラマウントが劣化したなんてのは聞いたことがないですから、一般的な使い方、保管方法で紫外線劣化を気にすることはないです。

動態には厳しかったNikon D3400

この所、戦闘機撮影のサブ機には、妻のNikon D3400を持ち出しています。なんと言っても軽量コンパクトだから。ちょっとしたスナップ写真なら、AF-P DX 18-55mmでも十分な画質です。

百里基地の鉄塔、こんな時間でも人は多かった

これ、絞り開放ですが、十分な画質でしょう。ISO2500なら、ノイズも全く問題なし。この辺りは、エントリー機と上級機の差は少ないです。

先日の百里撮影、引きの絵も欲しいなと、D3400にAF-S 70-200mm f/2.8 VRIIで撮ってみましたが…

AF、合わないね(汗
空に小さな戦闘機、ちょっとAFエリアから外れると、AFが抜けちゃう。AFが抜けるとレリーズすら出来ず。
バッファが少ないとか以前に、AFが合わないとね…。f/2.8通しのレンズでこれですか…。特に編隊飛行の場合は、中央の測距点の左右に機体、というケースで、合わないことが多い。
もちろん周辺の測距点もあるのですが、やはりエントリー機のAF、中央以外の信頼性は低いです。
AFが合ったのが上の写真、その他編隊飛行はほぼ全滅…

こういう結果を目の当たりにすると、やはり戦闘機のような動態撮影は、少なくとも中級機以上は必要かな、と感じました。
エントリー機でも、機材の特性を知っていれば、撮れなくはないけど、歩留まりは圧倒的に下がります。
画質とかは、全然問題ないですけどね。もっともD3400、割とレンズを選ぶというか、旧世代の解像力の低いレンズだと、あまり結果が乏しくないです。これはセンサの光学フィルタの性能にも左右されるようです。古いデジタル一眼で、古いレンズの組み合わせで解像力に乏しいく、その古いレンズを最新世代のカメラに付けると結果が良かったりするのも、光学フィルタの性能に起因することもあるようです。それで言うと、D3400はエントリークラスなので、光学フィルタの性能も、それなりということになります。

でも引きの絵、欲しいし、ズームはズームなりに便利なので、考えるところではありますね。どういう組み合わせが最適かなと。ロクヨン単焦点に、ズーム望遠、前者はもう固定なので、後者をどうするか、少し悩んでみたいと思います。

AF-P DX NIKKOR 18-55mm 早すぎた引退

2016年の販売開始から、わずか数年で生産完了となってしまったAF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VRD3400のキットレンズとして、Fマウントレンズでは初めてステッピングモータを採用したレンズです。

AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR ブラック
AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR

Fマウント初のステッピングモータ搭載レンズ

ステッピングモータ(STM)は、1パルス毎の回転角が決まっているため、パルス数に応じた正確な回転角度出しが可能、パルスの周波数(パルスを発生させる間隔)を変えることで、回転速度も自由に変更可能なので、特に動画撮影のように、ゆっくりフォーカシングさせる場合にも適しています。
AF-Sのような超音波モータは、高トルクで素早く動かすのに向いている反面、速度の連続的な加減速や正転反転の繰り返し動作は苦手です(これを克服したCanonのナノUSMも存在します)。
特にコントラストAFのような動作に、ステッピングモータは適しているとされています。2011年から発売されたミラーレスのNikon 1は、全てのレンズがSTMでした。
NikonのZマウントレンズも、今のところ全てSTMを採用していますが、これは構造がシンプルで耐久性が高く、比較的大きな望遠レンズもマルチフォーカスを採用することで、フォーカシングユニットを分散させて、小型化しているのも大きいのでしょうね。

STMはパルス毎の回転角が決まっているため、エンコーダ(回転角の位置を検出する)が不要ですが、二次側から外力を加えてモータを回すと、現在位置がわからなくなるため、従来のAF-Sレンズのように、フォーカスリングを回すことでMFに移行できる、機械式でのフルタイムマニュアルフォーカス機構の組み込みは難しいです。
このため、AF-Pレンズは全て、フルタイムマニュアルフォーカスはフォーカスバイワイヤ、つまりフォーカスリングは機械的にはレンズユニットにつながっておらず、フォーカスリングはエンコーダを内蔵したバイワイヤ駆動となっています。

こうした特性のため、従来のAF-Sレンズのように、レンズ単体ではフォーカシングできず、通電させなければなりません。また、電源ON時に、本レンズは必ずフォーカスが無限遠に移動しますが、これはエンコーダを持たないモータの現在位置検出のための動作と思われます。電源を切ってしまうと、レンズが現在のフォーカス位置が分からなくなってしまうためです。

茨城空港、百里基地の風景 Nikon D3400 + AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR

従来のAF-S DX NIKKOR 18-55mm系は、安価な筒型超音波モータでギア駆動のため、フルタイムマニュアルフォーカスは、機構が複雑になるために使用できませんでしたが、AF-Pレンズは、構造上フォーカシングユニットもフォーカスリングと機械結合できないためにバイワイヤとなるため、安価なレンズでもフルタイムマニュアルフォーカスが可能となりました。フォーカスも速くなりました。

2021年5月旧製品に

しかし、ミラーレス一眼の急速な普及、そしてNikonの一眼カメラは中上級機の販売にシフトしていく過程で、従来のエントリークラスの一眼レフ、D5x00とD3x00系は、それぞれD5600,D3500を最後に、2021年早々にに旧製品化し、そのキットレンズであった AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VRも2021年5月に旧製品となってしまいました。
ことのことは、もうD5x00/D3x00系の一眼レフは出さないことを意味します。他にも、次々とFマウントのDXレンズは旧製品化、またFX用も少しずつ旧製品化されており、一眼レフの新製品が今後出る可能性は極めて低いと思われます。

Fマウント最後の廉価ズームとしては中々の描写

さて、本レンズが、事実上DXフォーマットの廉価ズーム最後となってしまいましたが、描写は中々良いですよ。もちろん、値段に対して、という断り入れなければなりませんが。
AF-Pレンズということで、やっと普及価格帯でCanonに並ぶことが出来た爆速AFの話に傾きがちですが、描写もこのクラスとして優れています。

Nikon D3400 + AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR

絞り開放では、中心部は解像力が高く、周辺はやや流れますが、少し絞れば周辺までしっかり解像します。手ブレ補正も4段で十分よく効きます。軽量コンパクトで使い勝手も良いですね。
色乗りもよく、センサのカバーガラスの性能差からなのか、ややレンズを選びがちなD3400との相性もバッチリです。さすがキットレンズです。
このレンズは、D3400とともに、妻のカメラですが、時々サブカメラとして借りて使っています。システム全体で軽量なのが魅力です。
以前は、このクラスのレンズの描写は、悪くはないけど良いと思わなかっただけに、本レンズは安価ながら、中々優れている1本です。
タラレバになってしまいますが、後3,4年早く出ていたらなぁと思います。出るのが遅かっただけに、引退も早すぎましたね。

HMS Queen Elizabethを撮りに横須賀に行ってきた

仕事が立て込んでいて、休みは難しいし、残業もしています。先週土曜日に横須賀港に入港した、イギリス海軍空母「クイーン・エリザベス」(HMS Queen Elizabeth R08)、見に行くのは諦めていたのですが、これを逃すと次に見る機会がないのではないかと思い、仕事が終わって一旦返って夕食をとった後、横須賀に向かいました。

ヴェルニー公園から

クイーンエリザベスは、米空母が停泊するバースに入港しているので、ヴェルニー公園からは全景は見えないものの、部分的には見ることが出来ます。
23時、暗い! 近視のYamaro、最近は老眼も入ってきて、肉眼では全然見えません。ですが、三脚に600mmレンズを据えて、イチかバチかで撮ってみると…撮れました。艦載機のF-35Bも写っています。

英空母クイーンエリザベスは、通常動力(統合電気推進)のSTOVL空母で、艦橋を前後に分けた設計です。
このアングルからは、前部のみと後部のみの艦橋と艦載機を撮ることが出来ました。
よく見ると、こんな時間ですが、F-35Bの点検をしている様子も見ることが出来ました。

Nikon D850 + AF-S NIKKOR 600mm f/4G ED VR

こんな感じで三脚で撮影。SIGMAの150-600mmと迷いましたが、このくらい状況では、できるだけ明るいレンズで、絞り開放で撮るのが正解のようです。重いけど持ってきてよかったな。

ヴェルニー公園では他にもスナップ撮影してみました。

某公園にて

横須賀港全体を見渡せる某公園へ。まあ有名ドコロです。別にふせなくても、ちょっとGoogleマップで見ればわかります。クイーンエリザベス他入港時は、脚立がものすごく並んでいたようですね。密は避けたいところ。
真夜中ですが、3人ほど撮影していました。さすがですね。

日米艦艇の向こうに、クイーン・エリザベスが見えますね。STOVL空母の特徴的な艦首のスキージャンプも見えました。
護衛艦「いずも」型は、空母化改造後、スキージャンプは搭載せずにF-35Bを離発着させるようですが、やはり最大離陸重量の面からは、スキージャンプがあったほうが有利でしょう。この辺りは、強襲揚陸艦にスキージャンプを搭載せず運用している米海軍もあるので、使い勝手や考え方の違いなんでしょうね。


急遽思いつきで行ったので、今日も仕事ですが、2時間半しか寝ていない…。でもこれを見れたので満足です。
そして夜のスナップは楽しいですね。また撮りに行こうかな。夜中なら人も殆どいないし、密にならずじっくり撮影できますし。

【茨城】廃割烹

昔からよく通る場所なので、存在は知っていたのですが、現役の頃は見たことがない、ということは廃墟歴はそれなりに長そうです。

主要道路沿いなので、知っている人は見たことある風景

パッと見は廃墟に見えません。いや、逆にこの通りには、他にも古びたお店や空き店舗が多いです。なので、今回スポットするお店は逆に目立たないかもしれません。

障子が破れていて、廃墟歴が長いのが伺えます。建物はそれほどくたびれた様子はないのですが、一部蔦が絡まっているのがわかります。
正面の入り口には「割烹」とだけあり、店名そのものはどこにもありません。

Googleストリートビューで調べたところ、2012年には廃墟にような感じです。そして今より外壁がボロいのです! 今はない街頭が建物の左にあり、「(有)○○会館」という名称が書かれていました。
検索すると、この住所で2015年に法人登記された記録がありました

Googleストリートビュー(2012年11月)

どうやら、お店の看板は入り口右側にあったようです。2012年時点で崩壊していますが。

しかし、同じストリートビューで2018年になると様子が一変します。

Googleストリートビュー(2018年7月)

なんと、外壁はきれいに塗り直されています。さらに3階部分の窓は開いていて、明らかに人がいる様子です。入り口のカーテンも開いています。
更に面白いのは、三角屋根が上階に設置されているのです。ただ、その屋根は薄っぺらで、台風が来たら吹っ飛びそうな感じですが。

そして現状は、こんな感じです。

再び人気のない廃墟状態に

入り口のカーテンは閉ざされ、雑草も生い茂って、しばらく人が入った様子はないです。
そして、2018年にはあった屋根がすっかり消えています。不思議です。

お店の横にLPガスボンベとメーターが設置されていました。
まだどれも新しく、ガスボンベもそれほど古さは感じません。メーターは何れも2029~2030年まで有効のものです。
電気メーターは、デジタルメーターの場合、有効期限は10年のようなので、このメーターは2019年に設置されたと思われます。
同様に、ガスメーターも10年の有効期限なので、2020年に設置されたと思われます。
外壁がリフォームされた際に、再契約したのか? しかし電気メーターは、新品が設置されてから進んでいる様子は全くありません。しかも左側のメーターは、戸内への配線も接続されていない状態です。
リフォームしたけど、使われずそのままの状態なのでしょうか。

この物件で好きなのはこの風景。螺旋階段と壁に蔦が絡み、サビも良い感じです。上りたくはないですけどね(笑
この状態から察するに、この最近使われた形跡はなさそうです。
ボイラー用と思われる灯油タンクも空の状態です。

障子が破れていたりするものの、電気やガスのメーターは期限が来た際に更新されていますし、壁も塗られたりと、定期的に管理はされているのかな? 有限会社としてこの場所は登録されていますが、有限会社であることから、古くからの存続会社として、登記だけはしているっぽいですね。
一体いつからあるのか、気になるところです。

個人的には、蔦の絡んだ階段がツボな物件でした。

百里基地で撮影したら、百里神社も寄りたい

最近は、百里基地撮影…と言ってもなかなか行けないのですが、できる限り百里神社も寄るようになりました。

本当に小さな神社です。1938年(昭和13年)海軍航空隊の百里原海軍航空隊基地の守護神として奉斎、戦後に荒廃したものの、素鵞神社の整備事業により、今後令和五年を目処に、境内を整備するそうです。

百里神社の社殿

時間がある時は素鵞神社にもまた行こう。

茨城空港のファントム今昔

2011年7月、茨城空港に併設される公園に、航空自衛隊のF-4EJ/RF-4EJファントムIIが展示されました。
早いもので、展示開始からもう10年近く経過します。

やはり10年経つと、塗装も色あせてきますね。台風でキャノピーが外れてしまったこともありました。
それでも、戦闘機部隊としての、ファントムの部隊創設の地でもあり、同じく戦闘機部隊としてファントムが終焉を迎えた地でもあるここにこうして展示されているのは意義があることです。

飛行開発実験団のファントムが2021年3月に退役し、保存展示の声はあちこちで聞きますが、こうした以前からあるファントムの展示機にも目を向けて欲しいと思っています。

静態展示しても、それを維持するのは並大抵のことではないからです。特に日本は温暖湿潤な気候で、錆びやすいので、アメリカの乾燥した地域のように、長いこと方っておいてもそれなりの状態が維持できる環境ではないですからね。

さて、最初に茨城空港の展示機を撮った写真、手持ちでどれが一番古いかは定かではないですが、2012年9月に撮った写真がこちらです。

2012年9月の茨城空港公園のファントム展示機

この頃はまだまだ現役で飛べそうなくらいきれいな状態でしたね。
再塗装してまたきれいな姿を見たいですね。

【百里基地】21/6/25の記録

気がつけば、COVID-19の緊急事態宣言やら仕事が忙しくて休みが撮りづらいとか、天気が不安定とか、いろいろな理由で、百里基地撮影は前回から3ヶ月以上経過していました。

梅雨入りし、既に夏っぽい蒸し暑さもありましが、仕事の谷間で休みが取れたので行ってきました。
ただ、行く前の天気予報も、道中も曇り時々雨な状況、ほとんど撮影自体は期待していませんでしたが、着いてみれば、雲も薄くなり、ところどころ晴れ間も見え始めてラッキーでした。

ひばり?

着いてみると、誰もいない…。ファントムラストイヤーの盛況ぶりがが嘘のように。機体は並んでいるから、飛ばないってことはないだろう。
誰もいないので、鳥さんを撮ってみたり。ひばりなのかな?
撮りはさっぱりわかりません。これ、10mも離れていない所に留まっていたのだけど、850mmの超望遠でこれですから、野鳥撮影っていくら望遠があっても足りないのがよく分かります。こうした小さな被写体は、マイクロフォーサーズの分野ですね。

そんなこんなでお昼を食べて待っていたら、やっと動きがありました。

前半2機は何も搭載せず、後半2機は左のみAAM-3を搭載して上がりました。
こちらはAF-S 600mm f/4Gにテレコンつけて850mmです。被災sぶりにテレコンつけて撮ったら、最初はブレブレ?
3ヶ月以上撮っていないと腕が鈍ってます。

雲は多いけど晴れた!

晴れました! 雲は多いけど。雨予報だったので、良い意味で天気予報が外れてよかったですね。

上がったので、降りを撮るのに移動します。そちら側はギャラリーはいましたが、いつもより全然少ないですね。

しかし、久しぶりに望遠で流し撮りしようとしたら、やっぱり腕が明らかに落ちている…。

しかし、百里も戦闘機部隊がF-2の第3飛行隊のみになってから、あまり飛ばないですね。この日も早い時間早々に終わっていました。
民間機も、今はスカイマークが朝と夜しか来ないそうです。春秋航空もしばらく来ないですしね。
それでも、幸運にもこの撮影時間は天気が良かったのが幸いですね。
さて来月は撮りに行けるかな? ちょっと厳しいかな。

百里神社でお参り

先日の百里基地撮影の後、時間があったので百里神社でお参りしてきました。

百里神社

旧帝国海軍の百里原海軍航空隊の守護神として鎮座されたのが始まり、とのことです。

むかしは、鬱蒼とした森の中に忘れられたように存在していましたが、ここ数年、周辺の整備が行われて、その姿が見えるようになりました。

百里基地、茨城空港を飛ぶ航空機の無事故を祈願してきました。

ちょっと周辺が寂しい感じの百里神社ですが、振り返れば花も咲き、春の足音が近づいている感じですね。

城南島海浜公園に行ってきた

緊急事態宣言、東京都は予想通り2月7日までの予定をさらに延期しそうな感じです。なので、お出かけもショッピングモールのような人混みの屋内は控えていて、基本大きな公園に行くことにしています。

ということで、今回は城南島海浜公園へ。飛行機と船が撮れるので、望遠レンズの技量維持兼、子どもたちを遊ばせるのにはぴったりな場所です。

ここは、今は緊急事態宣言でやっていませんが、キャンプ場も併設されていますし、公園と人工の砂浜もあります。この砂浜は、潮干狩りも出来るようで、シーズンになったら潮干狩りしに来たいと思っています。

今回は、600mmの望遠をD850で、標準ズームのスナップを妻のD3400を借りて撮影しました。

メイン機D850+ AF-S 600mmと、妻のD3400

妻のD3400とAF-P 18-55mmの組み合わせはとても軽快です。D850と比べてかなり軽いのは言うまでもなく、AF-P 18-55mmもこれまでのNikonの安価なキットレンズの中ではAFも最速で、VRも4段分補正出来ます。何より、解像力は1万円のレンズと考えると十分ですし、ボケ味も暗いレンズながら悪くないですね。
D3400の画質は、もちろんD850と比べるとややダイナミックレンジが狭い感じですが、ちゃんとRAWで撮って現像すれば、割とよくなりますね。ただ、RAWの現像耐性は、やっぱりフルサイズのD850に軍配ですかね。

一方、重量級のD850とAF-S 600mm f/4G ED VRとの組み合わせですが、やっぱり画質は良いですね。冬の澄んだ空気では、解像力の良さが引き立ちます。最新のEタイプには画質は一歩及ばないと思うけど、あくまで比較した場合。単焦点の望遠は古くても画質は一級品ですね。
SIGMAの150-600mm Sportsもあの値段のズームとしては十分以上に良いのですが、遠景になればなるほど、やっぱり単焦点の良さが出てきます。何より絞り開放から使えて、背景も大きくぼかせるので、より立体感が出ます。この辺りが単焦点望遠レンズとズームレンズとの差でしょうか。

羽田空港、普段はひっきりなしに飛行機が飛ぶはずなのですが、緊急事態宣言中の東京とあって、今は便数も減っているのでしょう。飛んでいる数は少なめです。
そんな中、フライトしていたJALのB777-200のJA8979は、旧日本エアシステムから引き継いだ機体で、現在JALはB777型機の退役を早めていて、1997年製の古いこの機体も、そろそろ引退なのかなと思います。これより若い機体も、COVID-19による輸送減も相まって、引退が早まっているようです。

鳥は…相変わらず撮るの下手。逆光だしね。

AIR DOのB767-300 (JA602A)も1998年製の機体で、ANAからの購入機、そろそろこの機体も引退が迫っているのかな? 90年代の機体は、今機齢20年を超えて、国内線の発着回数の多さから、足周りを中心に痛みが激しくなるため、もうそろそろなのかな…という気がします。

一方Lufthansa のA350-900 (A-DIXO)は2019年製の新しい機体。JALもB777を中心に引退させて、中型最新鋭のA350の導入を行っていて、ボーイング一辺倒だった国内路線の中型機も、エアバス機が増えてくるんでしょうね。

何故そこで遊ぶ…

こどもって不思議な場所で遊びますね。看板の下って…

この後はほとんど船を中心に撮影でした。船もかっこいいんですよ!

望遠レンズ、飛行機だけでなく船撮りにもいいですね。圧縮効果や、前ボケ後ボケも楽しんでみました。
夕方が一番映える時間なのですが、ここらで撮影終了、帰宅となりました。

戦闘機と違ってどれも動きが遅い分、フレーミングをじっくり考えながら撮ったつもり…ですが、まだまだですねぇ。