実はフルサイズ用大口径最安値? AI Nikkor 50mm f/1.2Sの魅力

AI Nikkor 50mm f/1.2S

HPにも既に記事を書いているAI Nikkor 50mm f/1.2Sですが、昨日遊びに行った光が丘公園で撮影して、改めて使っていて楽しいレンズということを再認識させられたレンズです。

大口径ニッコール、実は手に入れやすい価格だった

私が持っているのは、この10年内に生産されたと思われる”最新版”ですが、AI Nikkor 50mm f/1.2Sは、1981年の発売以降、40年にも渡って販売され続けている、今や希少なMFニッコールの1本となります。


中古なら、40年間販売しているため程度もピンきり、それこそジャンクで数千円というのもありますし、程度中で3万円台ですし、新品でも6万円前後で購入可能です。

今でこそ、大口径レンズはミラーレス時代となり、レフ機より比較的設計しやすくなったようですが、同時にレンズの高性能化に伴い高価格化も進んでいます。
そんな中、Nikonの純正レンズが、MFレンズとはいえFマウントでもっとも明るいレンズが6万円台で買えるのですから、今となってはコスパ抜群です。

Carl Zeissブランドなど、MFでも純正より高価なサードレンズもある時代ですから、選択肢はより広がっていると言えますが、MFニッコールなら手が出しやすい値段です。そして今時のレンズと違い、絞り値による描写の変化が大きいので、絞り値による表現の違いを出す事が可能です。最新設計のレンズは、絞り開放からシャープネスと美しいボケを両立していますが、40年以上前の設計の本レンズは、当然それと比較すると、古典的な描写となります。が、それが返って楽し買ったりもします。

開放でのMFは難しい、でもうまく行ったときは楽しい

これに尽きるかなと思います。ミラーレス機の場合は、簡単に拡大してピントを追えます。一眼レフだと、ファインダのマット面、AF機ならフォーカスエイドでピント合わせは出来ますが、ピントの薄い大口径レンズ、なかなか難しいです。

とは言え、AI 50mm f/1.2Sは、開放でも収差の中にピントの芯はしっかり出ていて解像力は高いため、比較的MFはしやすいレンズです。

久しぶりの光が丘公園、天気もよく気温は高い。でもマスクは欠かせない、ちょっと動くだけで汗が出ます。子供たちにかき氷を与えました。
中心部の解像力は高く、その周辺に収差がまとわりつきます。よく開放は柔らかい描写、と言われる本レンズですが、それは収差のせいであって、きちんと解像力は出ます。ポートレイトでは、ある程度残存収差があったほうが、好ましい描写になる場合も多いでしょう。

開放では軸上色収差は多め

絞り開放では、特に線の細い被写体で軸上色収差による赤や緑色の色ズレが目立ちます。これは絞ることで解消され、f1.4に絞るだけでも半減、f2になるとほとんど目立たなくなります。

f4で高解像力レンズに

f4では解像力は極めて高くなる

設計の古い標準レンズの良いところで、f4まで絞れば、解像力は極めて高く、カリッとした、いわゆるニッコールらしい描写となります。風景なんかは、f4~f8で撮ると、ほぼ全域で解像力の高い、収差のない描写が得られます。f1.2~f1.4までと違い、f2に絞るだけでぐっと収差が目立たなくなり、f4でほぼ収差がなくなります。
この描写の変化が、このレンズの真骨頂でしょう。

でもやっぱり開放が楽しい

とは言え、やっぱり開放で楽しむのが正解かな? 絞って描写がいいレンズは、今時のレンズなら、安物でも十分解像します(安いズームだとまれにウーンとなるものもあるけど…)。せっかくあえて古い設計のレンズを使うのだから、そのレンズの個性を出して撮るのが楽しいですよ。

今はソフトで周辺減光させるのも一般的ですが、このレンズなら撮って出しで良い感じに減光します。

私のはコーティングが90年代に改良されたスーパーインテグレーテッドコーティングのレンズとなりますが、それ以前はコーティングが異なります。この辺りは好みもあるかと思いますが、コーティングについては最新に越したことはないかなと思います。
中古を狙うなら、後期型を狙うのが良いでしょうね。