Nikon Z 9の動画形式、どれを使えばいい?

Nikon Z 9(FW Ver.3.00)は、動画形式が多岐に渡り設定できます。発売初期のFWから進化し、8.3K 60p RAWでの撮影も可能となりました。
が、まだ8Kディスプレイや再生環境が一般的ではなく、またスチルではRAWで撮ることはあっても、素人にとってはRAW動画って何?となったりもします。
Z 9のFW3.00で使用できる動画は以下のとおりです。

●RAW
・N-RAW 12bit(SDR/N-Log) ※8.3K60p対応 / 24bit LPCM
・ProRes RAW HQ 12bi(SDR/N-Log) / 24bit LPCM

●YUV
・ProRes 422 HQ 10bit(SDR/N-Log) 4:2:2 / 24bit LPCM
・H.265 10bit(SDR/N-Log/HLG) 4:2:0 ※8K60p対応 / 24bit LPCM
・H.265 8bit(SDR) 4:2:0 ※8K60p対応 /24bit LPCM
・H.264 8bit(SDR) 4:2:0 /16bit AAC

意外にも、音声はH.264以外、全て非圧縮のLPCM 24bitなんですね。

H.265 HEVCでは音声はLPCM 24bit 48kHzサンプリングで収録される

Nikon Z 9の凄いところは、これら各種動画が、オプションのFWや外部レコーダーなしに、本体のみで対応できるところです。
特にRAW動画やProRes 422 HQにボディのみで対応できるのが良いですね。
執筆時点(2022年12月)でフルサイズミラーレス一眼で最強の動画機と言われる所以です。
ただ、スチル目的で買った人にとっては、私も含め、こういった高画質動画撮影機能は宝の持ち腐れだったりもしますが、動画も実際やってみると結構楽しいので、ぜひ動画もチャレンジしてほしい所です。

動画データをダブルスロットの両方に同時記録ができない、といった不満はあるものの、Z 9の動画機としての能力は非常に高いと言ってよいでしょう。

どの動画形式で撮ればよい?

これだけ動画形式があると、何を使えばよいか迷うところです。
まずRAW動画ですが、写真のRAWデータと違い、この形式で撮っても、簡単に見ることはできません。
写真のRAWは、基本カメラメーカーの純正RAW現像ソフトやサードのRAW現像ソフトで、比較的簡単に見ることができますが、動画の場合はそうはいきません。
Nikonの閲覧&RAW現像ソフトのNX Studioでも、RAW動画とProRes 422 HQは再生できません。
なので、基本何もせず撮って出しには不向きというのは、前回のブログにも書いたとおりです。

基本的には、RAW動画はカラーグレーディングなどを前提としたもので、編集後の最終書き出しで最高の結果を得るためのものと捉えたほうが良いでしょう。
私のようなド素人には、よほど特殊な撮影をしない限りはまず不要だったりします。そもそもデータ量も相当なものになります。

N-RAWは今のところ、対応できる編集ソフトはDaVinci ResolveとEDIUS X Proのみ、ProRes RAWは現時点で8Kには非対応です。
いずれにしろ、撮って出しに使うにはあまりにデータが重いです。カードも少なくとも512GBが欲しくなります。

ということで、あくまでもYamaro的にコレを使う!という設定です。

撮って出し、カット編集程度ならH.265

まだ再生互換性ではH.264 MPEG-4 AVCよりは落ちるかもしれないH.265 HEVCですが、圧縮率の高さと効率の良さはH.264を上回り、細部の圧縮ノイズの少なさは目を見張る者があります。

上の写真は先日も掲載したH.265動画からの切り出しですが(HD解像度に落と「しています)、カラーグレーディングしていないので、若干色味はスチルに劣るものの、圧縮ノイズの少なさ、とくに後方の森の木々の描写がスチルと遜色ないのがさすがです。これがH.264だと、こうした高周波の細かい描写が苦手だったりします。
ヘリのテイルローターが、ローリングシャッター歪が少し出ているのがわかりますが、これは静止画に切り出したからで、動画で見る分には違和感がないです。

ちなみに、H.265 10bitでは、階調モードをSDR、N-Log、HLGが選べますが、再生環境など考えると、一般的なSDRで良いのかなと思います。
HLGは対応ディスプレイがあるなら良いですが、まだ非対応環境も多いですね。

色味やガンマカーブ、カラーグレーディング編集するならProRes 422 HQ

非可逆圧縮ですが、低圧縮率のProRes 422 HQなら、編集耐性が高いです。色味やガンマカーブ、映画っぽいトーンなどカラーグレーディングを当てるといった作業ならこれでしょう。

圧縮率が低いので画質もとても良いProRes 422 HQ

細部の表現は、H.265をさらに上回っている印象です。ホワイトバランスが多少ずれていても、調整して最終的にH.265に書き出しても、画質の劣化をほぼ感じないですね。

まだまだ動画はわからないことだらけですが、色々試してみたいと思います。

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