よく8K動画は無駄とか言われますが、編集段階でズームしたり、スタビライズさせたり、傾きを修正しても、最終出力が4Kであれば解像度を落とすことなく、オーバーサンプリングで出力できます。 また、今回撮影に使用したNikon Z 9はRAW動画撮影時に、FHDのプロキシ動画(2K H.264)を生成できるため、編集時のプレビューはプロキシ動画を使えば、サクサク編集可能です。
Nikon Z 9は2種類のRAW動画を選択でき、Nikon独自のN-RAWと、AppleのProRes RAW HQが選択可能ですが、8.3K撮影はN-RAWのみ対応しています。 恐らくビットレートの関係で、ProRes RAWは8.3Kは厳しいのかなと思います。 そして、N-RAWの編集か可能なソフトは、現時点ではEDIUS X Pro,EDIUS X Workgroup, DaVinci Resolve, DaVinci Resolve Studioのみとなっています。Premiere Proは執筆時点では非対応です。
プロキシ動画は、直訳すると代替動画ということになりますが、RAW動画ファイルを直接再生するのではなく、解像度を落としたビットレートの低い動画を使って編集を行い、最終的には適用する編集内容をRAW動画を用いて出力する方法です。 プロキシ動画は撮影済みの動画ファイルから生成することも可能ですが、Nikon Z 9やZ 8の場合は、N-RAW撮影時に、同時にフルHDのプロキシ動画も生成して書き込みができるため、後からプロキシ動画生成の必要がないのが便利です。今回は、円滑に編集したく、このプロキシ動画を使用しました。
設定を以下のように行います。
これで、編集時のプレビュー動画として、プロキシ動画を優先して再生します。編集が軽快になります。 またN-Logで撮影したため、N-Log用のLUT(ルックアップテーブル)を適用しています。Nikon Z 9は2種類のLUTがあり、基本的には最新版のV2.00が最適化されているため、これを割り当てます。
ノイズリダクション、カセットテープを現役で使っていた40代以上の世代であれば、DOLBY NR(ドルビーノイズリダクション)は聞いたことがある方は多いでしょう。私もDOLBY NRの最終版とも言える、DOLBY S NRを使っていました。もう30年近く前の話です。 カセットテープのノイズリダクションは、録音時に高音域を中心に、音声のダイナミックレンジを圧縮し録音、再生時に伸張することで、磁気テープの宿命であった「サー」というヒスノイズを低減させる機能でした。 今日、ノイズがほぼ無いデジタルオーディオが主流となって廃れてしまった機能ですが、デジタル音声であっても、シンセサイザーなどデジタルで合成する音声以外、生の音はアナログ、マイクから収録する場合はアナログ回路のノイズはゼロにはならないため、ノイズと無縁というわけには行きません。
今回、娘の音楽会は、観客席のやや遠方から、Nikon Z 9にオーディオテクニカのマイク、AT9941を使用しましたが、子どもたちのスピーチもマイク無しの生声だったので、後ろの方からは声自体が聞き取りづらい状況でした。 このため、録画データでも音声が小さく聞き取りづらい。Davinci Resolveの編集で、その部分の音声のボリュームを上げてみました。これが簡単に後から出来るのは、デジタル編集の良いところですが、単純に音量を上げたので、マイクアンプのノイズ自体もかなり目立つ結果に。
Nikon Z 9(FW Ver.3.00)は、動画形式が多岐に渡り設定できます。発売初期のFWから進化し、8.3K 60p RAWでの撮影も可能となりました。 が、まだ8Kディスプレイや再生環境が一般的ではなく、またスチルではRAWで撮ることはあっても、素人にとってはRAW動画って何?となったりもします。 Z 9のFW3.00で使用できる動画は以下のとおりです。
動画は、先日行った、トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園で行われたクリスマスコンサートの模様となります。 Z 9にAI AF DC-Nikkor 135mm f/2Dで手持ち撮影しました。ボディ内手ブレ補正はしっかり聞いていますね。 135mmではやや遠かったため、1.2倍にクロップ。8Kを最終的には4Kに落としましたが、8Kと余裕のある解像度のため、クロップしても4K出力では解像度を保てます。