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Nikon F Photomic FTNとF2 Photomicの露出計の精度を検証してみた

先日フォトミックファインダーの電池切れで代用電池を利用して交換した話の続きです。

フォトミックファインダーは電池の電圧によって露出計の針の振れ方が変わってくるようで、本来の水銀電池BR-9の公称電圧1.35Vに対し、これまで使っていた代用電池であるV625Uは1.5Vとなっているため、この電池のまま過去にニコンにメンテナンスに出して露出計を調整してもらっていたこともあり、もしや今回入れた公称電圧が水銀電池と同じ1.35Vの電池MRB625では、露出計がズレてしまう懸念があります。

ということで、手持ちのカメラでは最新のフィルムカメラであるNikon F100の露出計をベースに比較してみることにしました。

Nikon F100 + AI Nikkor 24mm f/2(中央部重点測光)をリファレンスとする

まずはNikon F100にAI Nikkor 24mm f/2を装着します。Nikon F100は、非CPUレンズの場合はマルチパターン測光は使えず、中央部重点測光とスポット測光のみとなります。手持ちのフォトミックファインダーはどちらも中央部重点測光なので、それに合わせる形です。
ただ、測光特性は厳密には各機種で違うと思われ、あくまで目安です。

壁にLEDライトを当てて、フィルム面と壁の距離は30cm、床面からの高さも一定となるようにしています。

絞り開放f2、中央部重点測光、ISO100で1/500を示しました

この条件で、F100では1/500秒を表示。これをリファレンスとします。

Nikon F Photomic FTN

ではFをミニ三脚にセットして同じ条件で測光してみます。

同じ絞りf2、シャッタースピード1/500秒にしてみると、メーターは中央の適正露出から少し左側(オーバー側)に振れました
この状態でシャッタースピードを1/1000秒にすると中央より少しアンダー側にメーターが動くので、F100と同じ条件では0.5EVほどオーバー側にメーターが振れる、つまりメーターが中央になるように絞りを調整すると(シャッターは1EV毎にしか設定できないので) 、F100と比べて0.5EVアンダーな露出になるということです。
この程度の差であれば、この古いカメラの露出系精度からしたら、ほぼ誤差範疇と見てよいでしょう。
どのみちラチチュードが広いネガフィルムしか使わないので、十分な精度があると思ってよいですね。

Nikon F2 Photomic

ついでということで、過去に絞り連動レバーとの機械連結不具合を自己修理したF2 Photomicの露出計の精度も見てきます。個人的にはややアンダー目に出る印象があったのですが、果たして…

なんと、F Photomic FTNと同じになりました! ちょっとアンダーかなと思っていましたが、逆に0.5EVオーバー(F100比)でした。
構造的に、Nikon Fのフォトミックファインダの最終形であるPhotomic FTNと、モデルチェンジしてF2は登場したときの最初のフォトミックファインダがF2 Photomicであるため、ほぼ同じ機構を踏襲しているためか、使い勝手もほぼ同じなんですよね。そして今でも比較的修理しやすいのがこの2つのファインダです。

F2は、このあとのフォトミックファインダよりも、デザイン的にはこの初代のフォトミックファインダが好きですし、LED表示などではなく針式というのも見やすくてよいのですしね。

フォトミックファインダーではこの2台の使い勝手が良いですね

ということでこの2機種、ネガフィルムなら内蔵露出計にほぼお任せで問題なさそうです。

SEKONIC L-188

ついでと言ってはなんですが、手持ちの超シンプル反射光式露出計のSEKONIC L-188でも計測してみました。

こちらは逆に0.5EVアンダーかな?

反射光色のSEKONIC L-188はシンプルの極みの単体露出計ですが、これが一番使いやすいですね。
さて、全く同じ条件は難しいにしろ、壁の反射光を測ってみると、フォトミック2台とは逆に、0.5EVアンダー側に出ていますね。
見方としては、1/500秒の場合は絞りがf1.4とf2の間が適正露出と判断しています。

この露出計は主にTTL露出計を搭載しないBRONICA S2で使っていますが、概ねこれの示す値から周辺状況を考慮して露出決定しています。
まあ、この程度のズレなら許容範囲かな。

ということで、大きくズレている露出計はなく、ネガフィルムであれば概ね問題なさそうですし、リバーサルでもこれらの特性を理解すれば、概ね適正に持っていけそうです。
最近フィルムが高くてペースは落ちていますが、今度撮影に行こうと思います。

フォトミックファインダーを修理したNikon F2フォトミックで撮った写真をスキャンしてみた

GWに、レンズの絞りと露出計が連動しない不具合のフォトミックファインダーDP-1を修理し、F2で撮影を行ってきました。
フィルムが現像から上がってきたので、早速スキャンしてみました。

フィルムはFujifilmのNEOPAN ACROS 100IIです。

入射光式の単体露出計と比較しつつ、撮影しました。概ね、フォトミックファインダーの露出計と、単体露出計は合っているように思いました。

もちろん、被写体の色などに左右されない入射光式の露出計のほうが、正確です。フォトミックDP-1は中央部重点測光ですが、かなり被写体の色に左右されるので、それに応じた露出設定が必要です。まだ、フォトミックDP-1の露出計の癖がつかめていませんが、ネガフィルムであれば、問題なく使えそうな印象でした。

ところで、4年ほど前にNikonでオーバーホールしたNikkor-S Auto 35mm F2.8、なかなかの描写です。最近はデジタルでオールドレンズを使うことも流行りですが、このレンズの場合は、フィルムとの組み合わせのほうがしっくり来ます。安定した描写で、神経質なことは何もありません。

広角レンズはAI Nikkor 24mm F2を使用。当時としては大口径ながらコンパクトな24mmレンズ、解像力は現代のレンズに劣るものの、広角なのに開放ではしっかりとボケますし、そのボケ味もなかなか良いです。このレンズも、デジタルよりフィルムでの描写のほうが上に感じました。

Nikon F2 Photomic + AI Nikkor 50mm f/1.2S Fujifilm NEOPAN ACROS 100II

最後は、AI Nikkor 50mm f/1.2S、NikonのFマウントで最も明るいレンズです。初代Fから、最新のデジタル一眼まで、制約なく撮影できるレンズです。この撮影時点では曇っていたのが一気に晴れて、シャッタースピード1/2000秒ではf2.8くらいまで絞らなければならない状況。
このレンズはf2.8まで絞れは、カリッとニッコールらしい解像力のある描写です。デジタルでも、少し絞るだけで素晴らしい解像力を得られます。フィルムでの開放撮影も楽しみたいですが、やはり古いMF機では、シャッタースピードが1/1000や1/2000秒までなのが多いので、純粋にフィルムで開放で撮るなら、手持ちのカメラだとF90XsかF100の出番となりますね。

なにはともあれ、露出計も復活してちゃんと使えそうなので、F2の出番も増えそうです。Fより撮り心地、シャッターやミラーの感触が良いですから。さすが、機械式一眼レフの最高峰だけあるカメラです。こうなると、F2 Titanも欲しい…


NEOPAN ACROS 100IIも、なかなかの描写のモノクロフィルムですね。2019年デビューの最新モノクロフィルムです。コントラスト、特に黒の締りが良くなったように思います。
シャープさも増し、フィルムスキャナでもその解像力の高さがわかります。粒状感もそれなりに感じるけど、好きな描写です。モノクロフィルムはもう黙ってNEOPAN買っておきます。