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Nikon Z 9で夕方の被写体撮影で思うところ

【お知らせ】本ブログのサーバーの調子が悪く、同じドメインのHPの方は問題ないのに、WordPressのブログはアクセスできない、と言う症状が断続的に続いています。
昨日サーバーメンテナンスが入ったようですが、その後も時々ダメなこともあるようなので、見れなくなった場合は少し時間を置いてお試しください。

写真は週末の夕方に何気に撮った、いつもの光が丘清掃工場の煙突。

Nikon Z 9 + FTZ II + AF-S NIKKOR 200-500mmf/5.6E ED VR (380mm 1/400s f5.6 ISO7200)

夕方ですが、まだ肉眼でもはっきりと見える状況。写真ではRAW現像時にすこし明るさを落としていますが、実際肉眼で見た感覚はこれより明るいです。
ここで問題なのは、この明るさでZ 9のAFは合焦が微妙なのです。

この状況では、オートエリアAFにしているのですが、コントラストが低い白い煙突とは言え、一眼レフであれば、D850やD810でも合焦可能でした。
ところが、Z 9だとどうしても煙突で合焦せず、下に写っているマンションで合焦させてから、フォーカスロックで撮影しています。はっきり言って、これはフラッグシップ機ではかなり問題ですね。カタログスペック上だけでは

-6.5~19EV(スターライトビュー有効時:-8.5~19EV)

※静止画モード、シングルAFサーボ(AF-S)、ISO 100、f/1.2レンズ使用時、温度20°C

https://www.nikon-image.com/products/mirrorless/lineup/z_9/spec.html

となっていますが、これを開放f値f/5.6のレンズに当てはめると、-1.5~EVとなるわけです。
D850では

-4~+20EV(ISO 100、常温(20℃))

https://www.nikon-image.com/products/slr/lineup/d850/spec.html

となっていて、レンズは何を使っているか書かれていません。が、いずれにしろ、スペック上ではZ 9は勝っていますが、実際のところ…D850のほうがずっと暗所AFは強いです。困ったものですね。
個人的に思うのは、Z 9の像面位相差AFは、ちょっと暗いとあまり有効ではなく、ほとんどコントラストAFに近い挙動を示していますが、そのコントラストAFも少し暗いとイマイチなのかな、と思っています。

後はノイズでしょうか。上の写真を等倍にしたものがこちらです。

等倍ではノイズが目立つ

ISO7200、高画素機であればこんなものかなとも思いますが、あまりD850から進化を感じないというか、これでもノイズリダクション「弱め」なんですが、もう少しディテールは残ってほしいなと思います。

あと、Z 9のRAW画像、ノイズリダクションが大雑把にしか設定できないのも不満です。

Z 9のRAW画像はノイズリダクションの細かい設定が出来ない

何でこんな仕様なんでしょうね? 高効率圧縮RAWの採用などあって、これまでのNikon機とRAWの仕様が異なるからでしょうか?

次のファームウェアアップデートの噂も出ています。AFの修正と改善が入るようなので、暗所AFはもうひと踏ん張りして欲しいところです。

アダプターリングBR-2AとBR-5+ AF Nikkor 20mm f/2.8Dで撮影倍率3.4倍のマクロ撮影をしてみた

NikonはDタイプレンズやMFレンズを販売終了にした際に、多くのレンズアクセサリ類も販売終了になってしまいました。
その中で数少ない現行品(2022年6月執筆時点)がアダプターリングBR-2Aです。これは通称リバースアダプタとも呼ばれ、レンズをカメラに逆付けするためのアダプタです。

そして、販売終了してしまったBR-5リングは、BR-2Aリングにフィルタ径62mmのレンズを取り付けるアダプタになります。

リバースリング? ナニソレ? ナンノコッチャ?となる前に、写真でご紹介しましょう。

アダプターリングBR-2AとBR-5 AF Nikkor 20mm f/2.8D

AI AF Nikkor 20mm f/2.8Dも、多くのアクセサリと一緒に販売終了となっているレンズです。この3つを使って遊んでみます。特にBR-5リングは、手持ちのレンズではこのレンズのためだけに持っているようなもので、こういう遊びのために、未だにAI AF Nikkor 20mm f/2.8Dを修理してまで使っています

まずはBR-5リングを、AF Nikkor 20mmのフィルタ枠に取り付けます。と言うのも、BR-2Aリングは、フィルタ径52mmのレンズを直接取り付けできますが、AF Nikkor 20mmのフィルタ径は62mmなので、直接取り付けできません。そこで、BR-5リングを使うことで、フィルタ径を52mmに変換しします。
52mmに変換したら、BR-2Aをねじ込みます。すると、レンズの前玉にFマウントができるわけです。
このBR-2Aは、精巧で美しい墨入れ刻印が入っているにも関わらず、定価はたったの2,200円です。多くの接写用アクセサリが廃番になる中、このアクセサリだけ作り続ける理由もないので、恐らくは在庫限りなのだと思っています。ですから、買うなら今のうちです

BR-2Aリングは、先にレンズに付けるよりも、ボディ側に装着したほうが取り付けしやすいです。
実際にリバースしてレンズを取り付けた写真が右上です。本来マウント側になる後玉が前を向いているのがわかります。
さてこんなことをするメリットって何なのでしょう?

広角レンズをリバースして取り付けるとマクロ撮影が可能となる

そういうことなのです。レンズをリバースして取り付けると、等倍を超えるようなマクロ撮影が可能となります。特に広角レンズになればなるほど、撮影倍率は上がります。
AI AF Nikkor 20mm f/2.8Dの場合、リバースすることで、一般的なマクロレンズの等倍(1倍)を超える、3.4倍もの倍率で撮影可能となるのです。

リバースして蕾を撮影。ワーキングディスタンスもそれなりに稼げる。

まずAI AF Nikkor 20mm f/2.8Dをそのまま装着して、最短撮影距離25cmで撮影してみました。この時の撮影倍率は0.12倍です。

AI AF Nikkor 20mm f/2.8Dの通常撮影の最短撮影距離ではこんな感じ

広角レンズゆえ、寄ったところで限界がありますね。主体が何だかよくわからない写真です。

次に、AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G EDで撮影してみました。

AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G EDで等倍撮影

等倍だと、いきなりここまで接写できるようになりました。一般にはこれでも十分接写できていますが、人間欲張りなもので、更に寄って撮影してみたくなるものです。
ここで広角レンズをリバースして撮影した写真をお見せしましょう。

AI AF Nikkor 20mm f/2.8D + BR-2A +BR-5で3.4倍撮影 絞りf11

どうでしょう? ここまで接写が可能となります。撮影倍率3.4倍は伊達じゃないですね。
なお、ここまで接写すると、絞り開放では被写界深度が浅くなりすぎるため、上の写真はf11に絞っています。一眼レフでは、光学ファインダ上ではかなり真っ暗になりますが、ライブビューではピント合わせできるくらいには明るく表示できます。もちろんミラーレスなら、何ら問題なく見えるでしょう。
この撮影では、スピードライトも用いていますが、かなり離した場所の横からワイヤレス発光させています。
ここではそうしていませんが、背景を暗くして被写体だけを明るくするには、シャッタースピードを上げて絞り込むのが良いでしょう。

こういった撮影は、絞りリングで絞り設定ができるからこそで、Gタイプ以降の絞りリングレスのレンズでは、絞り設定ができなくなりました。
もっとも、Gタイプレンズであれば、絞り連動レバーがマウント側に残されているので、市販のGタイプ用レンズアダプタを噛ませて、絞りを設定する、あるいはレバーを手で動かして絞りを設定することもできなくはないです。
完全電子マウント化したEタイプレンズやミラーレス用の多くのレンズでは、機械的な絞り設定ができなくなったため、こうしたリバース遊びは事実上できません(絞りを制御できないだけで、撮影自体はできなくはないけど)。

どんなに電子化されても、1,2本はこうしたマニュアル、あるいはAFでも古いレンズがあれば、色々遊べるので、興味があればぜひ。

AI AF Nikkor 20mm f/2.8D + BR-2A +BR-5で3.4倍撮影 絞りf22

上は更に絞り込んだf22で、それでもこれだけ被写界深度は浅いのです。これは自然光のみで撮ってみました。

中間リングを使ったマクロ撮影も気軽にできますが、広角レンズをリバースさせる、と言うのも一つの手法です。

BR-2Aリングの豆知識

中古で型番末尾にAがつかないBR-2があります。現行のBR-2Aの違いは、前者が電子接点のないMF一眼レフ用(というよりBR-2発売当時はそれが当たり前でした)となっているのに対し、BR-2Aは電子接点を持つ一眼レフ用(電子接点のない一眼レフでも使用可能)となっています。
古いBR-2を電子接点を持つ一眼レフ(AF一眼レフ全般及びF-601M)に装着すると、電子接点と干渉し破損につながる可能性があるため、必ずBR-2Aを使用してください。

また、FTZ/FTZ IIとBR-2Aの装着は可能なので、一眼レフだけでなく、Zマウントミラーレス、あるいは他社製ミラーレスにFマウントアダプタ経由でも使用可能です。

以下は、BR-2Aリングを使用してリバース取付した場合の、Fマウントニッコールレンズの撮影倍率となります。
なお、BR-2A単体の場合、フィルタ径は52mmのレンズ、BR-5リング併用の場合はフィルタ径62mmのレンズが対応します。
18mm以下の広角レンズ、およびGタイプ、Eタイプレンズは非対応となります。
実際には、取付さえ何とかすればできなくはないですが、あまり実用的ではないでしょう。

下記の表を見ると、リバース取付で最も撮影倍率が高いのは、AI AF Nikkor 20mm f/2.8D/SとAI Nikkor 20mm f/2.8Sの3.4倍となります。いずれもAFかMFかの違いはありますが、基本的に同じ光学系のレンズです。
また、ズームレンズの広角の方が、同じ焦点距離の単焦点レンズより高倍率になることが多いようです。
こういったリバース取付のマクロ遊びをするなら、高倍率撮影を楽しめる、Nikkor 20mm f/2.8が最適と言えますね。

レンズ名BR-5リング
併用
撮影倍率
AI AF Nikkor 20mm f/2.8D/S3.4X
AI AF Nikkor 24mm f/2.8D/S 2.5X
AI AF Nikkor 28mm f/2.8D/S 2.0X
AI AF Nikkor 35mm f/2D/S 1.4X
AI AF Nikkor 50mm f/1.4D/S 1/1.1X
AI AF Nikkor 50mm f/1.8S(New) 1/1.4X
AI AF Micro-Nikkor 55mm f/2.8S1.2X
AI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8D/S1/1.2X
AI AF Zoom-Nikkor 24-50mm f/3.3-4.5D/S3.0-1.0X
AI AF Zoom-Nikkor 28-70mm f/3.5-4.5D/S 2.2-1/5.6X
AI AF Zoom-Nikkor 28-85mm f/3.5-4.5S(New)3.0-1/27.5X
AI AF Zoom-Nikkor 28-105mm f/3.5-4.5D(IF)2.8-1/1.8X
AI AF Zoom-Nikkor 35-70mm f/3.3-4.5S(New) 2.1-1/6.1X
AI AF Zoom-Nikkor 35-80mm f/4-5.6D 1.5-1/1.4X
AI AF Zoom-Nikkor 35-70mm f/2.8D/S2.3-1/1.9X
AI AF Zoom-Nikkor 35-105mm f/3.5-4.5D(IF) 1.8-1/33.62X
AI AF Zoom-Nikkor 35-105mm f/3.5-4.5S 1.8-1/6.1X
AI AF Zoom-Nikkor 35-135mm f/3.5-4.5S(New)2.2-31.7X
AI Nikkor 20mm f/2.8S3.4X
AI Nikkor 24mm f/2S 2.6X
AI Nikkor 24mm f/2.8S 2.5X
AI Nikkor 28mm f/2S 2.2X
AI Nikkor 28mm f/2.8S 2.1X
AI Nikkor 35mm f/1.4S 1.8X
AI Nikkor 35mm f/2S 1.6X
AI Nikkor 35mm f/2.8S 1.5X
PC-Nikkor 35mm f/2.8 1.6X
AI Nikkor 50mm f/1.2S 1.1X
AI Nikkor 50mm f/1.4S 1/1.1X
AI Nikkor 50mm f/1.8S 1/2X
AI Micro-Nikkor 55mm f/2.8S 1/1.1X
AI Noct Nikkor 58mm f/1.2S 1/1.2X
AI Zoom-Nikkor 25-70mm f/3.3-4.5S 2.1-1/6.1X
AI Zoom-Nikkor 28-85mm f/3.5-4.5S2.9-1/35.8X
AI Zooom-Nikkor 35-105mm f/3.5-4.5S 1.8-1/6X
AI Zoom-Nikkor 35-135mm f/3.5-4.5S2.2-1/14.9X
AI Zoom-Nikkor 35-200mm f/3.5-4.5S2.2-1/∞X
BR-2A取付時の各レンズの撮影倍率表

さて、この撮影倍率は、BR-2Aリング単体使用の場合ですが、中間リングやベローズを介すことで、さらなる高倍率撮影も可能です。
それについてはまた機会を見て試してみたいと思います。

【サイボクに行ってきた】AI AF DC-Nikkor 135mm f/2D編

このシリーズ?最後に登場するのは、Fマウントの名レンズの1つ、AI AF DC-Nikkor 135mm f/2Dです。

何度か紹介していますが、DC(Defocus-image Control)機構を採用し、球面収差の補正量をコントロールすることで、前ボケや後ボケの特性を調整できます。
DCリングをR側(リア側)に回せば、球面収差の補正が補正不足側となり、後ボケが柔らかくなる反面、前ボケは固く二線ボケ傾向になります。
どちらのボケを重視するか調整できますし、中立にすれば普通のレンズとして使えるほか、過剰にDCリングを回せば、ややコントラストが低下するけどふわっとしたソフトフォーカス気味な描写も得られます。
遊び心満載のレンズです。

Nikon Z 9 + FTZ II + AI AF DC-Nikkor 135mm f/2D

このレンズは、ついつい絞り開放で撮りたくなります。と言うか絞りいらない(笑)

やはり前回のCOMURAと比べると、写りは現代的です。ただ、このレンズ、光線状態によっては、軸上色収差の影響か、パープルフリンジが出やすいレンズでもあります。このあたりはデジタルなので画像補正可能ですが、それ以外に特に不満はありません。
レンズ内AFモータは内蔵していないレンズゆえ、Nikon ZシリーズのFTZ II経由ではマニュアルフォーカスとなってしまうのが残念。
一眼レフと違って、ボディ内手ぶれ補正が使えるフルサイズのZボディ、ピントもコントラスト式と像面位相差の併用で、より精度も良くなっているので、ぜひ価格が上がってもFTZのモータ内蔵版は出て欲しいところです。

もちろん、ZマウントのDCレンズも大歓迎ですけどね。

【サイボクに行ってきた】SUPER-KOMURA ZOOM 90-250mm F4.5 TL925編

かつて存在した、レンズメーカーの三協光機。KOMURA(コムラー)ブランドでレンズを展開し、35mm判から大判までのレンズを手掛けていたメーカーでした。
1980年に倒産したため、それから40年以上経過した現在では、中古流通も少なくなってきているものの、時々見かけるのは、現役当時それなりに売れたからなのでしょうか?

このレンズも親父がNikon Phtomic FTNで使っていたレンズです。

実はこのレンズ、親父のPhtomic FTNと共に奪ってきたレンズですが、古いレンズメーカー製だし、MFで望遠と言うので使う気にはなれなくて、持っているだけの状態でした。なにせ、純正のAI Zoom-Nikkor 100-300mm f/5.6Sも持っていますし。
こちらはマウント交換式で、当然ながらFマウントが搭載されていますが、Nikon純正レンズで言う非AIタイプとなるため、これまでAIガイドのある一眼レフではガイドが干渉するため装着できませんでした。
が、FTZ IIなら、非AIレンズも非公式ながら装着可能。今回晴れてZ 9で撮ってみました。おそらく世界広しといえど、Z 9と組み合わせたSUPER-KOMURA ZOOM 90-250mm F4.5 TL925の作例はそうないでしょう。

外装は全金属なのは、1970年代のMFレンズらしいですね。ズームは90-250mmと何とも中途半端です。が、f4.5通しで比較的明るいのが良いですね。
ズームリングの回転角は、90年代以降に出回るようになった70-300mmクラスと比べると異様に大きく、かなり回転させないとズーミング出来ないので、素早いズーミングには不向き。あくまで単焦点望遠を何本も持っている、と言う使い方がベストです。回転角が大きいためか、ズームリング自体はかなり軽いです。
絞りリングが2箇所あるのは、マウント交換式でプリセット絞りのカメラにも対応するためでしょうね。
Fマウントの場合、マウント側にある絞りを使用し、レンズ中央付近にある絞りリングはf22にセットします。古いNikonの機械式露出計連動爪、通称”カニ爪”も搭載しています。
フードは組み込み式で、手前に引っ張れば伸ばせますが、組み込み式故にやや短めですね。

では撮ってみましょう。絞り開放です。

正直、レンズメーカー製の、しかも70年代のズーム望遠レンズ、全く期待していませんでしたが、予想に反してなかなか良いです。まずズームらしからぬボケ味の良さ。開放では少しコマ収差があれど、あまり気にはなりません。
この日は天気が良かったので、あまり気になりませんが、条件によってはややコントラストが低下する感じもあるものの、解像力も意外なほどよく、4500万画素のZ 9でも、条件によってはなかなかの解像力が得られます。
なお、Z 9側の焦点距離設定に250mmがないため、200mmに設定しています。ボディ内手ぶれ補正も効くので、歩留まりの良い写真になりました。
フィルム現役当時より、よく撮れているんじゃないでしょうか。

Nikon Z 9 + FTZ II + SUPER-KOMURA ZOOM 90-250mm F4.5 TL925

びっくりするほど立体感もよく出ます。これ、90年代の70-300mmクラスズームよりずっとよく写ります。もちろん球面収差や軸上色収差はありますが、それが気にならないです。よく写ります。本当にビックリしています。好きな写りです。

左上の写真は、意図せず絞ったものです。と言うのも、絞りリングにクリックがないため、簡単に動いてしまいます。f8くらいに絞られていると、本当にもうカリッと解像してしまいます。これだけ見ても、やはり90年代の70-300mmクラスよりよく写っている気がします。
順光であれば、非常によく写るレンズ。ちょっとコムラー、見直しました。こりゃ、中古で出物があったら、遊んでみた気ですね、同ブランドのレンズ。

【サイボクに行ってきた】NIKKOR-S Auto 35mm F2.8編

サイボクの森で子どもたちを遊ばせつつ、Z 9にFTZ IIを使って、レンズをとっかえひっかえしていろいろ試してみるシリーズ。

こちらはデジタルでは初めて使った、NIKKOR-S Auto 35mm F2.8です。

Nikon Z 9 + FTZ II + NIKKOR-S Auto 35mm F2.8(後期型)

このレンズは、うちの親父がNikon Photomic FTNとともに購入したレンズです。それを奪ってきたので(笑)自分がツーオーナということになります。それほど明るくないレンズ故に、軽量ですね。
なお、NIKKOR-S Auto 35mm F2.8は前期型と後期型があり、このレンズは”Nippon Kougaku”銘ではなく”Nikon”となっている後期型です。
色々な資料によると、”Nikon”銘のものは1971年から、とありますが、このレンズを親父が買ったのは、確か保証書によれば昭和45年(1970年)となっています。この辺りよくわかりませんが、とにかく後期型には違いないですね。

数年前に、Photomic FTNとともにNikonでオーバーホールを実施しましたので、ヘリコイドも滑らかに動きます。光学系もきれいな状態です。
この日はレンズフードを忘れてきてしまいました…

AI化以前のオートニッコール世代のレンズで、これまでのNikonデジタル一眼レフでは、絞りリングの機械連動であるAIガイド(人工知能のAIではなく、開放f値自動補正方式 Automatic Maximum Aperture Indexing 方式のAI)が干渉するため(一部AI非対応ボディを除く)、これまで手持ちのボディで取付は出来ませんでした。
かといって、オートニッコールのためにAIガイド可倒式のNikon Dfを買うのも…ねぇ…と言う感じでしたが、Zマウント用のマウントアダプタが全てを解決しました(笑
FTZFTZ IIも、AIガイドがないため、非公式ながら、オートニッコール世代のレンズの取り付けが可能です

つまり、オートニッコール世代のレンズは、物によっては干渉などがあり、破損の可能性もあるため、メーカーとしては一律「使用できません」としているが、自己責任で取付確認して使用は可能、ということです。オートニッコール世代は、マウント径など一部ごく僅かに寸法が違うようなので、注意が必要です。

ということで、Z 9で晴れてデジタルデビューです。

おお、同じ35mmでも、Fマウント最新のAF-S NIKKOR 35mm f/1.8G EDと半世紀以上設計年次が異なるので、これだけ写りが違うんですね。
中心は、開放から解像力が高いですね。ただ、コマ収差と球面収差の影響で、周辺になるほど像が流れ気味になりますが、それでもWeb掲載程度の解像度なら、ほとんど問題ないですね。L判や2L判プリントであれば、何ら問題ないレベルです。絞るほど改善していき、f11で周辺までスッキリと解像します。
周辺減光も、f2.8では多めですが、f8まで絞れば気にならないレベルです。
まあ写真のような遠景は、この時代は絞って撮るのがセオリー。絞り開放で全域高解像のレンズなんてのは、ここ10年の話ですから。

コマ収差の影響で、少しグルグルボケっぽい感じもありますが、それほど目立つ感じはないですね。近接では球面収差の影響もあり、開放だとわずかにふんわりとしたベールがかかるけど、中心は解像力はあれど柔らかい描写で、ポートレートにも良い感じですね。
Z 9のEVFでもピントの山は見やすく、MFでも何ら問題ありませんね。流石に動き回っている子供はしんどいですけど。

この時代の明るくない単焦点は、流石に無理のない設計で、描写も安定していますね。それでも最新のレンズと比べると、どこかレトロな写りになるのは、様々な残存収差の影響なんでしょうね。
特に色味は最新レンズと異なります。まだモノクロフィルム主体だった時代を感じさせます。

意図せず写ってしまった太陽、フレアとゴーストが派手に出ています

逆光耐性は時代を感じさせますね。今どきのレンズのように、逆光だろうがヌケの良い描写、とはなりません。フィルムとデジタルの違いももちろんありますが、たまたまシャッターボタンに触れて写ってしまったこの空の写真、フレアとゴーストが多く出ています。でもこのモノコーティングの時代は、これが当たり前でした。
現在では動画を中心に、逆に太陽の眩しさの表現として、フレアやゴーストをあえて発生させる、というのもあるようなので、このくらいのフレアやゴーストがちょうどよい感じに思えますね。

ということで、デジタルでもわりと良い感じに使えるNIKKOR-S Auto 35mm F2.8、このレンズの描写もなかなか捨てがたいものがありますね。

久しぶりにSIGMA 30mm F2.8 DN | Artで撮ってみた

SIGMAのアウトレットで格安購入したレンズ。

2013年に販売開始されたレンズで、APS-CのEマウント用とマイクロフォーサーズ用がラインナップされていました。
去年買ったけど、フルサイズ換算60mmだと、画角的にスナップにはちょっとだけ長いので、使用頻度は少なめ。
というより、SUMMILUX 15mm F1.7が良いので、これさえあればいいかな、と言う感じです。
とは言えたまには使ってみましょうということで。

うーん、悪くないんだけど、ボケ味が好みではないんだよね。カリッとした描写をさせるには悪くないのですけど。
あえて単焦点レンズとしては明るさを求めずコンパクトにしたレンズだけど、マイクロフォーサーズだとこの大きさで明るいレンズ、ありますからね。
元々Eマウント用に設計しているから、マイクロフォーサーズには大きめなんですよね。
外装がツルッツルで質感がカメラと合わないし、その辺りも、あまりこのレンズの人気が出なかった理由かな?

航空祭の望遠レンズは30cm以内!? どのレンズならOKなのか?

コロナウイルス感染も、新たな株が出現するなど変異しつつも、だんだんと弱毒化していく流れになるのでしょうか?
日本国内では、重症感染者の増加も見られないことから、だんだんと自粛緩和の動きが出てきていますね。

その1つが、自衛隊関連のイベントで、本日(5月28日)開催の陸上自衛隊富士総合火力は一般客を入れずに開催される一方で、航空自衛隊の航空祭については、今年より再開されています。
既に静浜基地で先日航空祭が行われましたが、こちらは事前予約なしでの入場可能で、カメラについても特に制限はなかったようです。

6月5日に実施予定の防府航空祭2022については、事前応募による人数制限を設けた他、有料観客席22席を設けているようです。
この有料観客席以外の一般応募による入場者については、カメラのサイズの規制が初めて設けられ、航空ファンの間で話題となりました。

この中に書かれているように、持ち込み可能なカメラとレンズの合計長さが30cm以内(レンズフードを除く)、とされているようです。(有料観客席は70cm以内なので、ほぼ問題ないでしょう)
過去に大型カメラ・レンズ持ち込みによるトラブルがあったようですが、これについては、主催者側が決めたことなので、ここではあえて意見や議論することはしません。
この件については色々な意見を目にしますが、事を荒立てるほど注目され、より撮影条件が厳しくなってしまいます。我々は撮らせてもらっている、撮らせてもらっているという立場を忘れてはなりません。

実際のところ、どのレンズなら制限内なの?

ではカメラとレンズ、合わせて30cm以内とは、どういった組み合わせになるのか? ここでは航空祭で想定できる組合せで30cm以内に収まるか否か考察してみました。

上の写真は、Nikon D850+ AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VRですが、これで概ね34cmでしたので、アウトとなります。
マウント面からボディ背面までの厚みを測ってみました。

実際には、どこで測るかは、大雑把になると思いますので、あくまで参考程度にみて、1,2cmの誤差は見ておいてよいでしょう。
また、ボディの種類で全体の厚みも変わってきます。
このD850とAF-S 200-500mmを基準として、アウトかセーフか確認してみました。

なお、私がNikonユーザーのため、フルサイズ機のボディやレンズはNikonまたはサードのFマウントレンズでの考察となりますが、ボディの厚みなどは他のメーカーも大差はないと考えます。

●完全アウト(レンズ単体で30cm越え)
400mm f/2.8
500mm f/4
600mm f/4
800mm f/5.6
NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S
AF-S NIKKOR 120-300mm f/2.8E FL ED SR VR

●ギリギリアウト(レンズ単体で30cm未満だがボディを加算するとアウト)
AF-S NIKKOR 200-500mm f5.6/E ED VR ※参考全長:267.5mm(レンズマウント基準面からレンズ先端まで)
300mm f/2.8
SIGMA 150-600mm DG OS HSM | Sports
SIGMA 150-600mm DG OS HMS | Contemporary
Tamron SP 150-600mm F/5-6.3 Di VC USD G2

RF600mm F11 IS STM

●ギリギリセーフ?アウト?(ボディの厚みに依存しそう)
AF-S NIKKOR 500mm f/5.6E PF ED VR 参考全長:237mm(レンズマウント基準面からレンズ先端まで)
NIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR S

●セーフ
AF-P NIKKOR 70-300mm f/4.5-5.6E ED VR
AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR
SIGMA 100-400mm F5-6.3 DG OS HSM | Contemporary
Tamron 100-400mm F/4.5-6.3 Di VC USD

RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM

おまけでCanonのRFレンズも一部抜粋してみました。
これを見ると、400mmまでのズームレンズであれば、カメラ込みで30cm以内に収まります。
D850の場合は、実測したAF-S 200-500mm装着時から逆算すると、レンズ全長が227mm以下であれば、30cm以内に収まる計算になります。

例外として、CanonのRF-100-500mmは、開放f値を抑えた結果、この手の望遠ズームレンズでは、長さもコンパクトになっています。
AF-S NIKKOR 500mm f/5.6Eについては、D850では多分アウト、ボディによってはギリギリ収まりそうな気もしますが、判断が分かれそうです。

600mmを越えるレンズはどのレンズもアウト(ミラーレンズなら大丈夫?)、そのほか300mm~500mmでも明るいレンズはNGです。
航空祭では、600mmまでは少なくとも欲しいと思っていますが、フルサイズではテレコンバーターと組み合わせないと難しいですね。
テレコンを装着すれば、レンズ全長は長くなりますから、この辺りはグレーゾーンでしょうか。
ズームレンズは最短の場合での計測ということなので、実際の撮影ではズーミングで全長が伸びるレンズが多いですからね。

APS-C機であれば、400mmレンズは、フルサイズ機の600mm相当の画角となるため、概ね400mmまでのズームレンズで問題なさそうです。
マイクロフォーサーズであれば、100-400mmの望遠ズームでも余裕ですね。ただ、マイクロフォーサーズは、望遠レンズのラインナップは限られるのがネックです。

マナーを守って楽しく撮影を

そもそも、こうしたレンズの制限が設けられたきっかけが、過去にあったトラブルということですから、レンズと人との接触によるトラブルが多かったのでしょう。
全ての観客がカメラを使うわけではないですし、本来航空祭は、地域住民への感謝や将来の自衛官候補を増やすための広報活動の一環ですから、アマチュアカメラマンもそれを踏まえた上での撮影を心がけるべきですね。

ということで、私もわりと真剣に、航空祭のためにNIKKOR Z 100-400mm f/4.5-5.6 VR Sは考えなくてはならないかも、と思うようになりましたが、実際のところ、この規制がほかの航空祭に及ぶかは未知数です。そもそも抽選入場制が広がると、行けるかどうかも怪しいですしね。

まあ、その時はその時で、考えて行動したいですね。

年内に販売される? NIKKOR Z 600mm f/4 Sの噂

先日、Nikon Rumersに投稿された、NIKKOR Z 600mm f/4発売に関するの噂。

Nikon Rumersによれば、

The upcoming Nikon NIKKOR Z 600mm f/4 lens is rumored to have a built-in teleconverter similar to the NIKKOR Z 400mm f/2.8 TC VR S lens ($13,997) – most likely 1.4x, which will make the lens be equivalent to 840mm f/5.6. The new 600 will be extremely sharp and expensive. I was told that the new Nikkor Z 600mm lens with the teleconverter will be sharper than the current NIKKOR AF-S 800mm f/5.6E FL ED VR lens ($16,297) and even charper than the recent NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S lens ($6497). The official announcement is rumored for late 2022 but that can easily slide to early 2023.

https://nikonrumors.com/2022/05/16/nikon-nikkor-z-600mm-f-4-lens-rumors.aspx/

これによれば、NIKKOR Z 600mmには、既に発売されているNIKKOR Z 400mm f/2.8 TC VR Sと同様に1.4倍のテレコンバーターを内蔵し、FマウントのAF-S NIKKOR 800mm f/5.6E FL ED VRよりもシャープであるとのこと。また先ごろ発売されたNIKKOR Z 800mm f/6.3 VR Sよりもさらに”charper”になるとのこと。

“charper”って何よ?

恐らく誤植と思いますが、スペル的には“cheaper”(安価)と書きたかったのか、それとも“sharper”(よりシャープ)と書きたかったのか。

前の文章からすると、”new Nikkor Z 600mm lens with the teleconverter will be sharper than the current NIKKOR AF-S 800mm f/5.6E FL ED VR lens”と書いているので、個人的にはZ 800mmよりシャープだよ、と言いたいのかなと思っています。

f/4でテレコン内蔵なら、恐らく200万円近い価格になるはず

個人的に、Z 800mmよりも”cheap”なら嬉しいですが、Z 800mm f/6.3はPFレンズ(位相フレネルレンズ)を採用し、小型軽量化しつつ、Fマウントよりは若干暗くなった結果、100万円を切る戦略的価格が話題となって、このような高価なレンズにも関わらず、相対的にFマウントの800mmより安価になっていることから、かなり人気のレンズとなっています。

ただ、600mm f/4クラスのレンズは、主にスポーツやネイチャー撮影のフォトグラファーも使うレンズゆえ、安価であるよりも妥協のない性能が求められるため、恐らくZ 800mm f/6.3よりも効果になることが予想されます。

仮にPFレンズを採用したレンズであれば、Z 800mm f/6.3より安価になるでしょう(そして開放f値もf/4よりは暗くなるはず)。
ですが、恐らくこのレンズはZ 400mm f/2.8と同じラインの、ハイスペックなレンズとなることが予想されます。
AFモータも、STM(ステッピングモータ)ではなくVCM(ボイスコイルモータ)を採用すると思われます。

これらを総合的に判断すると、”NIKKOR Z 600mm f/4 TC VR S”(あくまで名称は予想ですが)は、Z 400mm f/2.8に近い200万円程度の価格となることが予想されます。
現行のFマウントのAF-S NIKKOR 600mm f/4E FL ED VRが162万円強の価格であること(ちなみにAF-S 400mm f/2.8Eは165万円強で更に高価)を考慮すると、そのくらいに価格になるのは必至でしょう。

400mmは安価なPFレンズも販売予定?


NikonのHPのロードマップを見ると、2023年までに発売予定のレンズの中には、400mm f/2.8とは別に、もう1つ400mmの単焦点レンズが設定されています。

https://www.nikon-image.com/products/nikkor/common2/pdf/nikkor_z_lineup.pdf より一部抜粋

個人的には、PFレンズで発売するなら、Fマウントと同様に500mmが良いな、と思っていますし、欲を言うなら600mmのPF版も欲しいですね。
恐らく、PF化したとしても、今手持ちの1世代前のAF-S 600mm f/4G ED VRよりは画質も良くなっているはずです。
望遠ズームでは、200-600mmも予定されているので、やっとZマウントも望遠系が充実しだしてきた感じですかね。

いずれにしろ、発表が楽しみです。

Nikon Z 9に旧型のNissin Air 1が使えるか試した

Nikon Z 9用のアクセサリは、概ねNikon Fマウント時代のものが使用可能です。
そのうちスピードライトについては、ちょっと古い純正のSB-900、サード製ではNissin Di866 MarkIISIGMA EF-610 DG SUPERが問題なくTTL調光できることを確認しています。

では旧製品のワイヤレスコマンダーのNissin Air 1は使えるかな?というのが今回のお題です。
せっかくなので、ワイヤレスコマンダーを使う状況でもある、マクロ撮影を行ってみました。

ベローズのPB-4にEL-NIKKOR 80mm F5.6を引っ張り出してきました。
まずベローズの方ですが、Z-F変換のマウントアダプタのFTZ IIを装着し、中間リングのPK-12を挟めば、問題なく使えました。
ただし、Z 9は縦側の寸法が大きいため、バッテリ室の部分が当たらないよう、ベローズのマウント側はレールの後ろ側にセットしておきます。

そして、旧型のワイヤレスコマンダーNissin Air 1、問題なく使えましたね。この手の撮影ではマニュアル発行し調整が基本です。マニュアル発光での光量調整も問題ないようです。
受信側は、Nissin Air R、フラッシュはNissin Di866 MarkIIの組み合わせです。受信機が1個しかないので、そのうちもう1個は増やそうと思っています。
せっかくなので、お花を撮ってみました。

難しい…。色々角度や距離を変えてみましたが、難しいですね。
一方、ミラーレスとベローズの組み合わせはなかなか勝手がよく、特にZ 9はスターライトビューがあるので、f16に絞っても、プレビュー画面上で明るく見えるのが有り難いですね。

たまにはこういう撮影も楽しいものですね。

Amazonで買ったPeak Design アンカーリンクスAL-4の本物と偽物を比較してみた

先月、Amazonで買ったPeak DesignのアンカーリンクスAL-4が、流通経路や届いた商品が偽物の疑いを持っていたものの、それをそのままNikon D850に取り付けて撮影を行っていたところ、撮影中にアンカーの紐が抜けてしまうというハプニングが発生しました。

これ、取り付けて初日だったのですよね。レンズは少し重めのAF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR(2,300g)だったのですが、カメラと合わせて4kg程度。ちょうど撮影の為カメラを構えた際に、ストラップが引っ張られて抜けてしまいました。
ツイートでは切れた!と書きましたが、よく見ると抜けているんですよ。
これをもって、やっぱり偽物だった、と確信するとともに、こんな怪しいものを、怪しいとわかっていながら使ってしまった反省を踏まえ、記事にまとめてみることにしました。
そして、今度こそ本物を、ということで、Amazonで「発売元:Amazon」となっているものを改めて購入しました。

注意!AmazonではマーケットプレイスとAmazon販売の商品が混在している

AmazonでPeak DesignアンカーリンクスAL-4を検索すると、2022年5月6日朝の時点では、このような表示となります。

Amazonでは販売元Amazonとマーケットプレイスの中で一番価格の安いショップが表示される

45%引き、というなかなかな値引きですが、Amazonの場合、Amazon自体が品を仕入れて販売する場合と、マーケットプレイスとして販売する場を提供し、実際にはAmazonではなくマーケットプレイスに出品した業者が販売する場合があります。
その中でも、マーケットプレイスの業者がAmazon倉庫に在庫を持っていて、そこから発送する場合と、マーケットプレイス業者が独自ルートで発送する場合があります。チャイナの業者で小物類なんかの販売は、直接中国から発送されるので、後者のケースとなりますね。
さて、上の赤枠に注目。この日は、「PD shop11」という業者表示されました。ちなみに私が買った業者は「ピークスペシャル」となっていて、購入時は”ピーク”だけ見て公式と誤認してポチってしまいましたが、発送に時間がかかるとか、よくよく考えると怪しいよね~と思いつつ、興味本位もあってそのままキャンセルせずにいました。

ちなみにAmazonや他のマーケットプレイスの業者も出品していました。

Amazonや他の業者の販売

販売元AmazonもPeak Designの正規販売店の1つですから、ここで購入すれば、正規品が届くはずですし、保証も受けられます。実際、銀一のHPっを見ると、Peak Designの日本国内正規取扱店としてAmazonも書かれています

ということで、今回はAmazon primeと表示のある発売元:Amazonとなっているものを再購入しました。

発売元:AmazonのPDアンカーリンクスが届いた

Amazonが販売するものなので、倉庫在庫があればすぐに発送されます。実際、4日に注文して5日には届きました。

箱の質感は、正直なところ大きく変わらないです。違いとしては、偽物は一番下が「TM and ® 2018 Peak Design」となっているのに対し、本物は「TM and ® 2020 Peak Design」となっているところでしょうか。
アンカーリンククスは、2018年6月にバージョンアップし、現在も販売している最新バージョンのV4となりましたが、このときのパッケージのままなのかな?
ご丁寧にシールも貼っていますが、これも貼っている位置が違うだけで、本物との見分けがつかないですね。

写真で比較する、本物と偽物のPDアンカーリンクス

アンカーの比較

まず偽物は、品者と比較して細くてコシがなくふにゃふにゃです。本物の方は、ワイヤーにダイニーマという超強力超高分子量ポリエチレン(UHMwPE) 繊維を使用しています。これは、細くとも束になることで、金属ワイヤーよりもずっと強度の高い材質です。引張強度も相当強く、本物のアンカーリンクスAL-4は、90kgもの耐荷重があります。これは、標準的な日本人成人男性がぶら下がったとしても切れないというものです。
写真左では、撮影中に抜けてしまったものと、帰ってきてから手で引っ張って抜けた偽物ですが、これはワイヤーの耐荷重以前に、構造的にワイヤーが刺さっているだけの粗悪品ということになります。

手で引っ張ったら簡単に抜けてしまった、移動中に抜けなくて本当に良かったね…

また、下の写真を見ると、本物はアンカーの表面に艶が多いですが、偽物は艶が少なめです。

本物は艶が多めでアンカーのワイヤーも太め

偽物のワイヤーをカットして断面を見てみました。

カラフルなワイヤーが中に入っているけど…

本物は、摩耗度合いがわかるように3層構造となっていて、それぞれに色がついていますが、この偽物はカラフルなワイヤーが中にはいっていて、ダイニーマというより、ただのナイロンワイヤに見えますね。もちろん、ナイロンも耐荷重性は高いものもありますが、いずれにしろ本物ではなさそうです。

ストラップ側(アンカーハウジング)も、よく見ると品物と偽物では違う

ストラップを取り付ける側、アンカーハウジングも比較してみました。

ぱっと見では違いが分かりづらいです。
しかしこちらは逆に写真で見るとよくわかりますね。
アンカーハウジングの中にある金属プレートの形状がまず違います。本物は、緩やかなアール(カーブ)がついていて、アンカーの付け外しがスムーズですが、本物は付け外しが固めです。偽物はプレートのアールが小さく滑らかではありません。光の反射具合で違いがわかりますね。

そして偽物はプラスチック部分のバリも出ています。
よくよく観察していくと、このアンカーハウジングの方が本物と偽物の違いがわかりやすいですね。

ただ、初めて買ったものが偽物だと、こんなものだなと思ってしまいますね。
自分の場合は、初めて買ったものがニコンダイレクトのオリジナルモデルのアンカーリンクスでしたので、これは正規品ですし、今回それを持っていたからこそ比較できたのが良かったですね。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ND オリジナル peak design アンカーリンクス AL-4
価格:3300円(税込、送料別) (2022/5/6時点)


正規品アンカーリンクスも古いバージョンはアンカーが細い

Peak Designの公式HPには、アンカーリンクスの各バージョンの比較が掲載されています。

これを見る限り、今回偽物、と思われるアンカーは、V3の回収品の横流しでは、という推測もできましたが、手で引っ張って簡単に抜けてしまう時点で、V3ですらないと判断しました。V3はワイヤー部分が細く、内部にダイニーマを使っているものの、摩耗により切れてしまうトラブルが発生したとのことです。それでも、実際にトラブルが発生したのは、17,000人に1人に割合だったそうなので、横流し品のV3だとしても、そんなに簡単に抜けてしまうことは考えられないです。

ということで、今回、Amazonのマーケットプレイスの中華業者「ピークスペシャル」で購入したものは偽物、と個人的に判断させていただきました。

機会があれば、引張試験機で本物と偽物のアンカーの引張強さ試験をしてみたいですね。

Amazon自体は正規代理店、問題は審査がゆるいマーケットプレイスにある

今回の問題は、【国内正規品】と書いているにも関わらず、価格が安いと言うだけで、検索をかけると一番はじめにマーケットプレイスのお店が発売元になってしまうことです。

元々Amazonは以前からマーケットプレイスの販売店での偽物商品が多く、トラブルになっています。
マーケットプレイス業者は数が多く、Amazonはあくまで販売する場を提供しているだけなのですが、発売元が違うだけで、正規品か偽物かが分かれて販売されているのは問題でしょう。
ただ、クレームを入れたところで、Amazonはどうせ対処しないでしょうし、マーケットプレイス業者も名前を変えてどんどん売っているので、いたちごっこです。

もう消費者としては、信用のあるお店で買うしかないかと思います。国内では、銀一がPeak Designの正規代理店となっていて、銀一から直接、または正規取扱店から買うしかありません。が、正規取扱店としては、Amazonも含まれています。Amazonには、ぜひ正規品は自社流通のみ取り扱かって欲しいところです。