Z 9との機能共通化は、今後も順当にFWアップデートを重ねることで、両機種とも成熟していくはずですです。 新機種ならではのサプライズは正直少ないでしょう(Z 9はフラッグシップ機に初めてのメカシャッターレスというサプライズがあった)けど、Z 9のサブ機としても、Fマウントからの乗り換えにも最適な機種と言えるのではないかと。
ただ1点だけ、暗所AFがどれだけ改善されているかがZ 8の懸念されるところです。 Z 9はスペックこそ立派でも、実際はスターライトビューを使っても、D850ならスパっとAFが合う暗い場面で、AFが遅くなる挙句にピントが合わない(合焦しない)事象が多発します。 これが改善されていないと、D850からすべての面で良くなっている、とはいいがたいのも確かです。
Z 9のバッテリEN-EL18dは10.8V 3,300mAhで、元々EL18シリーズは一眼レフのフラッグシップ用でした。一眼レフの場合、連写でメカシャッターとミラーを高速で駆動させるためには、バッテリ電圧も高いほうが、消費電力が大きい際の電圧低下に対する余裕があります。 Z 8はミドルクラスの一眼レフやミラーレスに採用されるEN-EL15cで、7.2V 2,280mAhと、電圧や容量はEN-EL18系より低くなっています。 よくぞこのバッテリで、Z 9と同等のスペックを引き出せたと思います。基板の改良で、消費電力をより抑えていると思われます。メカ可動部がほぼなくなった(センサ保護用シャッターはあるけれど)大きく効いてきているのでしょう。 ただし、バッテリが小さい分、バッテリの持ちもZ 9と比較して半分程度になっています。 別売りのパワーバッテリーパックMB-N12(通称縦グリ)にはバッテリが2個入りますが、この縦グリを装着すると、ボディサイズはより大きくなり重くなります。 そうなると、Z 9と値段も重さも、あまり変わらなくなってしまいます。
個人的に、パワーバッテリーパックを使うくらいなら、Z 9を導入したほうが良いと思います。 Z 8は、パワーバッテリーパックがなくても、実用上のバッテリの持ちはそれほど悪くはないと思われ、予備のバッテリもEN-EN18系よりはるかに安価なので、2,3個の予備を持っていれば、まず心配ないですし、PD給電も出来るので、容量の大きなPD給電対応のモバイルバッテリを併用するという手もあります。 パワーバッテリパックも、だんだん必要とされなくなる時代になってきているかもしれません。
CFexpress Type BのダブルスロットであるZ 9に対して、CFeとSD UHS-IIのダブルスロットのZ 8。高速連写可能なZ 8では、SDカード側が圧倒的に書き込み速度が遅いため、RAW同時記録どころか、SDカード側をJPGに設定しても足を引っ張る可能性が高いです。 また、動画でも4Kや8KのRAWは、SDカードでは足を引っ張るため、使い方次第では、Z 8はシングルスロット+αとなり、ここが明確にZ 9との違いでしょう。
Z 9であれば両スロットにバックアップで同時書き込み、あるいはRAWとJPGで分けて書き込み、片側の容量を使い切ったらもう片側に書き込む順次書き込みも出来、同じ種類のカードであればバッファが詰まることはそうそうありません。 CFexpressカードは、モノによりますが、ProGradeのCOBALT 325GBの最低継続書き込み速度は1,300MB/秒と非常に高速です。同社のGOLD 512GBでも最低継続書き込み速度は旧タイプが400MB/秒、新タイプでは850MB/秒です。
Z 8の片側のSD UHS-IIスロットは、UHS-IIの理論上の最大読み書き速度は312MB/秒です。しかし、あくまで理論値であり、実際はもう少し遅いです。 書き込みは早いものでも299MB/s程度で、しかもそれは最高値です。実際はそれより遅くなります。
バルサム切れが発生して曇ってしまったレンズを、修理が効くうちにと全交換したAI AF Nikkor 20mm f/2.8Dを、FTZ IIを介してNikon Z 9に組合せました。 せっかくのコンパクトな20mmも、FTZ IIをつなげるとサイズが大きくなってしまいますね。 そして、こんな撮影ならZ 9でなくていいんですよね。もっと小型のボディで良いです。でも、どうせ2台めを買うなら…となってしまうのです。
それはともかく、ここではAI AF Nikkor 20mm f/2.8Dと、もう1本のお気に入り、NIKKOR Z 40mm f/2で撮影しました。 40mmは、この値段とは思えない写りをします。Sシリーズほど完璧な描写ではないけど、この2本に共通するのは、なんだか「ホッとする」描写なんですよね。完璧ではないからこそ、レンズの美味しい所を使って撮る楽しさがある気がします。