先月、Amazonで買ったPeak DesignのアンカーリンクスAL-4 が、流通経路や届いた商品が偽物の疑い を持っていたものの、それをそのままNikon D850に取り付けて撮影を行っていたところ、撮影中にアンカーの紐が抜けてしまうというハプニングが発生しました。
これ、取り付けて初日だったのですよね。レンズは少し重めのAF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR (2,300g)だったのですが、カメラと合わせて4kg程度。ちょうど撮影の為カメラを構えた際に、ストラップが引っ張られて抜けてしまいました。 ツイートでは切れた!と書きましたが、よく見ると抜けているんですよ。 これをもって、やっぱり偽物だった、と確信するとともに、こんな怪しいものを、怪しいとわかっていながら使ってしまった反省を踏まえ、記事にまとめてみることにしました。 そして、今度こそ本物を、ということで、Amazonで「発売元:Amazon」 となっているものを改めて購入しました。
注意!AmazonではマーケットプレイスとAmazon販売の商品が混在している
AmazonでPeak DesignアンカーリンクスAL-4を検索すると、2022年5月6日朝の時点では、このような表示となります。
Amazonでは販売元Amazonとマーケットプレイスの中で一番価格の安いショップが表示される
45%引き、というなかなかな値引きですが、Amazonの場合、Amazon自体が品を仕入れて販売する場合と、マーケットプレイスとして販売する場を提供し、実際にはAmazonではなくマーケットプレイスに出品した業者が販売する場合があります。 その中でも、マーケットプレイスの業者がAmazon倉庫に在庫を持っていて、そこから発送する場合と、マーケットプレイス業者が独自ルートで発送する場合があります。チャイナの業者で小物類なんかの販売は、直接中国から発送されるので、後者のケースとなりますね。 さて、上の赤枠に注目。この日は、「PD shop11」 という業者表示されました。ちなみに私が買った業者は「ピークスペシャル」 となっていて、購入時は”ピーク”だけ見て公式と誤認してポチってしまいましたが、発送に時間がかかるとか、よくよく考えると怪しいよね~と思いつつ、興味本位もあってそのままキャンセルせずにいました。
ちなみにAmazonや他のマーケットプレイスの業者も出品していました。
Amazonや他の業者の販売
販売元AmazonもPeak Designの正規販売店の1つですから、ここで購入すれば、正規品が届くはずですし、保証も受けられます。実際、銀一のHPっを見ると、Peak Designの日本国内正規取扱店としてAmazonも書かれています 。
ということで、今回はAmazon primeと表示のある発売元:Amazonとなっているものを再購入しました。
発売元:AmazonのPDアンカーリンクスが届いた
Amazonから届いたPeak Design アンカーリンクスAL-4
Amazonが販売するものなので、倉庫在庫があればすぐに発送されます。実際、4日に注文して5日には届きました。
偽物と思われるパッケージ
発売元Amazonの本物のパッケージ
本物と偽物のパッケージ底面比較
箱の質感は、正直なところ大きく変わらないです。違いとしては、偽物は一番下が「TM and ® 2018 Peak Design」となっているのに対し、本物は「TM and ® 20 20 Peak Design」となっているところでしょうか。 アンカーリンククスは、2018年6月にバージョンアップし、現在も販売している最新バージョンのV4 となりましたが、このときのパッケージのままなのかな? ご丁寧にシールも貼っていますが、これも貼っている位置が違うだけで、本物との見分けがつかないですね。
写真で比較する、本物と偽物のPDアンカーリンクス
アンカーの比較
まず偽物は、品者と比較して細くてコシがなくふにゃふにゃです。本物の方は、ワイヤーにダイニーマ という超強力超高分子量ポリエチレン(UHMwPE) 繊維を使用しています。これは、細くとも束になることで、金属ワイヤーよりもずっと強度の高い材質です。引張強度も相当強く、本物のアンカーリンクスAL-4は、90kgもの耐荷重があります。これは、標準的な日本人成人男性がぶら下がったとしても切れないというものです。 写真左では、撮影中に抜けてしまったものと、帰ってきてから手で引っ張って抜けた偽物ですが、これはワイヤーの耐荷重以前に、構造的にワイヤーが刺さっているだけの粗悪品ということになります。
手で引っ張ったら簡単に抜けてしまった、移動中に抜けなくて本当に良かったね…
また、下の写真を見ると、本物はアンカーの表面に艶が多いですが、偽物は艶が少なめです。
本物は艶が多めでアンカーのワイヤーも太め
偽物のワイヤーをカットして断面を見てみました。
カラフルなワイヤーが中に入っているけど…
本物は、摩耗度合いがわかるように3層構造となっていて、それぞれに色がついていますが、この偽物はカラフルなワイヤーが中にはいっていて、ダイニーマというより、ただのナイロンワイヤに見えますね。もちろん、ナイロンも耐荷重性は高いものもありますが、いずれにしろ本物ではなさそうです。
ストラップ側(アンカーハウジング)も、よく見ると品物と偽物では違う
ストラップを取り付ける側、アンカーハウジングも比較してみました。
Peak DesignアンカーリンクスAL-4のアンカーハウジングの本物と偽物の比較
ぱっと見では違いが分かりづらいです。 しかしこちらは逆に写真で見るとよくわかりますね。 アンカーハウジングの中にある金属プレートの形状がまず違います。本物は、緩やかなアール(カーブ)がついていて、アンカーの付け外しがスムーズですが、本物は付け外しが固めです。偽物はプレートのアールが小さく滑らかではありません。光の反射具合で違いがわかりますね。
そして偽物はプラスチック部分のバリも出ています。 よくよく観察していくと、このアンカーハウジングの方が本物と偽物の違いがわかりやすいですね。
ただ、初めて買ったものが偽物だと、こんなものだなと思ってしまいますね。 自分の場合は、初めて買ったものがニコンダイレクトのオリジナルモデルのアンカーリンクスでしたので、これは正規品ですし、今回それを持っていたからこそ比較できたのが良かったですね。
正規品アンカーリンクスも古いバージョンはアンカーが細い
Peak Designの公式HPには、アンカーリンクスの各バージョンの比較 が掲載されています。
これを見る限り、今回偽物、と思われるアンカーは、V3の回収品の横流しでは、という推測もできましたが、手で引っ張って簡単に抜けてしまう時点で、V3ですらないと判断しました。V3はワイヤー部分が細く、内部にダイニーマ を使っているものの、摩耗により切れてしまうトラブルが発生したとのことです。それでも、実際にトラブルが発生したのは、17,000人に1人に割合だったそうなので、横流し品のV3だとしても、そんなに簡単に抜けてしまうことは考えられないです。
ということで、今回、Amazonのマーケットプレイスの中華業者「ピークスペシャル」で購入したものは偽物、と個人的に判断させていただきました。
機会があれば、引張試験機で本物と偽物のアンカーの引張強さ試験をしてみたいですね。
Amazon自体は正規代理店、問題は審査がゆるいマーケットプレイスにある
今回の問題は、【国内正規品】と書いているにも関わらず、価格が安いと言うだけで、検索をかけると一番はじめにマーケットプレイスのお店が発売元になってしまうことです。
元々Amazonは以前からマーケットプレイスの販売店での偽物商品が多く、トラブルになっています。 マーケットプレイス業者は数が多く、Amazonはあくまで販売する場を提供しているだけなのですが、発売元が違うだけで、正規品か偽物かが分かれて販売されているのは問題でしょう。 ただ、クレームを入れたところで、Amazonはどうせ対処しないでしょうし、マーケットプレイス業者も名前を変えてどんどん売っているので、いたちごっこです。
もう消費者としては、信用のあるお店で買うしかないかと思います。国内では、銀一がPeak Designの正規代理店 となっていて、銀一から直接、または正規取扱店 から買うしかありません。が、正規取扱店としては、Amazonも含まれています。Amazonには、ぜひ正規品は自社流通のみ取り扱かって欲しいところです。