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Windows環境のDavinci Resolveを使ってHDR動画をYoutubeにアップする方法

Nikon Z9がNikon独自のRAW動画形式のN-RAW動画に対応してから、何度かN-RAWで撮影し、ここ最近は基本Z9もZ8も、動画撮影はN-RAWで動画画質は「標準」で、4.1KのSDRで撮影しています。
色々なやり方があると思いますが、自分なりに試行錯誤して、やっと4K HDR動画をYoutubeにアップできるに至りました。
やり方のWebや動画はたくさん出ていますが、どれも肝心なところが端折られたり(出来る人にとって当たり前のことは説明がなかったりします)、部分的な説明はあっても、撮ってから編集、出力しアップするまでの体系的なワークフローが載っているページはなかなかなく、Chat GTPやCopilotといったAIで質問したりしながら、やっと正解を見つけました。

ということで、ここでは備忘録として、N-RAW動画に対応したNikon Zシリーズのカメラで撮影したN-RAWをHDR形式でYoutubeにアップロードするまでの工程を書いておきます。
なお、当方の所有するカメラはNikon Z9とZ8ですが、N-RAWに対応する機種(Z6IIIやZ5IIなど)であれば、同じフローで出来ると思いますので、参考になれば幸いです。
動画編集はN-RAWに対応できるソフトが現時点(2025年8月執筆時点)Davinci Resolveのみなので(2025年内にAdobe Premiere Proが対応予定)、これをを使用します。
フリー版と有償版STUDIOがあり、私は最近有償版にアップグレードしましたが、無償版でも基本的には可能なはずです。
ただ、N-RAW動画を撮っていくと、ノイズリダクションなどは有償版STUDIOでないと使用できないため、感度が上がるような場面では有償版をおすすめします。

N-RAWで撮影する

ますカメラをN-RAWに設定します。私は以下の通りに設定しています。

  • 動画記録ファイル形式:N-RAW 12-bit(NEV)形式 SDR
  • 画像サイズ/フレームレート:4.1K [FX] (41288X2322) 60p
  • 動画の画質(N-RAW):標準(NORM)
  • オーバーサンプリングの拡張:ON

ここは最終的な出力のさせ方で変わってくると思います。

まずN-RAWはN-LogではなくSDRで撮影しています。
なぜかと言うと、最初からN-Logにしてしまうと、ISO感度はLo 0.3~Lo 2.0、およびISO 800~25600の間での設定となります。Loではハイライト情報が減少、ISO 800~25600では感度が高いため、日中晴れの環境だとシャッタースピードが上がりすぎてしまいます。また、感度があるのでノイズの面で不利です。画面も眠い表示になります(ビューアシストで通常の表示のようにすることは可能)。
N-RAWで撮ってしまえば、後でDavinci Resolve内でN-Logに変換することが容易なので、あえてN-RAW撮影時にN-Logは私は使いません。
もちろんこれは動画素人の個人的見解に過ぎませんので…

撮影サイズは、最終が4K出力であれば4.1Kが良いかと。4Kフォーマットより少し解像度があるため、編集時の電子的なぶれ補正やスームアップに多少余裕がありますね。
Z6IIIとかであれば6Kで撮るのもよいでしょう。

動画の画質は、私の使い方では標準(NORM)で十分でした。高画質にすると、倍近いビットレートとファイル容量となります。
4K60p 10bit H.265で約340Mbps、N-RAWの4.1K60p 標準で約880Mbpsなので、H.265比でおおよそ2.5倍のデータ量ではあるもの、グレーディング前提ならN-RAWは有効な手段と言えます。

オーバーサンプリングの拡張は、より高解像度のセンサから4.1Kへダウンコンバートするので、解像感の点で有利です。基本ONで問題ないでしょう。

Davinci Resolveのプロジェクト設定

ではDavinci Resolveで編集しますが、まずは設定から。

カラーマネージメントの設定

ここではカラーサイエンスをあえて「DaVinci YRGB Color Managed」ではなく、デフォルトの「DaVinci YRGB」を使用します。
あれれ、「DaVinci YRGB Color Managed」でないとHDR動画を作れないのでは? と思うかもしれません。
でもタイムラインカラースペースを「Rec.2020 (Scene)」、出力カラースペースをRec.2100 HLGとすれば問題ないことがわかりました。

カラーサイエンスはあえてデフォルトの「DaVinci YRGB」のまま、カラースペ^スのみ設定する

なぜ「DaVinci YRGB Color Managed」でHDR設定を使わないかと言うと、どうもバグなのか設定の仕方が悪いのか、字幕テキストが白に設定しているのにグレーがかってしまうからです。

「DaVinci YRGB Color Managed」でHDRに設定すると下の字幕がグレーに

「DaVinci YRGB」であれば、字幕などのテキストの白が白として表示されます。
恐らく10bit表示だと、白のRGB:255が、10bit階調の255/1024となってしまっているのではないかと思います。

「DaVinci YRGB」だと白い字幕は白として表示される

なので気持ち悪いですが、プロジェクト設定は上の画像のとおりです。
なお、HDR動画は大きく分けて2つの方式があり、PQ方式とHLG方式があります。前者のほうがよりHDRの効果がわかりやすいのですが、HDR非対応ディスプレイの場合、後者のほうがガンマカーブが変動するため互換性を高めることが出来るため、私はHLGを選択しています。
もっともYoutubeにアップする場合は、SDR環境ではYoutube側が自動的にRec.709に変換するため、どちらの方式でも問題ないようです。

なお、同じカラーマネージメントの設定内にあるHDR 10+などは使用しません。
また、その他の項目も、HDRで出力するという目的においては特に設定は必要ありません。カメラRAWもカラータブから行うため、プロジェクト設定では特に行いません。

【カラータブ】カメラRAW設定

さてまずはN-RAW動画データをメディアタブから取り込んでおきます。
次にエディットタブで動画データをタイムラインにコピーします。1つ取り込んだら、カラータブに移動します。

左下にあるカメラのマークをクリックすると、「カメラRAW」が表示されます。
ここではデコード品質は「フル解像度」、デコードに使用は「クリップ」ホワイトバランスは後で調整できるのでとりあえず「撮影時の設定」カラースペースを「Rec.2020」ガンマを「Nikon N-Log」に設定します。
こうすることで、撮影時にN-RAWのSDRで撮っていても、N-Logで撮ったかのような眠い画像が出てくるはずです。

カメラRAWを上記のように設定
こんな感じでコントラストの薄い眠い画像が出ればとりあえずOK

ではここから同じカラータブ内にあるノードの設定に移ります。

【カラータブ】ノードの設定

右上のノードとfxエフェクトをクリックすると、以下のようなのノード(左)とエフェクトのライブラリが現れます。ライブラリから、ResolveFXカラーのカラースペース変換をドラッグし、左のノードにドロップします。

右のResolveFXカラーから「カラースペース変換」をドラッグし、左のノードにドロップする

するとカラースペース変換の設定項目が表示されるので、下の画像のように設定します。

  • 入力カラースペース:Rec.2020
  • 入力ガンマ:Nikon N-Log
  • 出力カラースペース:DaVinci Wide Gamut
  • 出力ガンマ:DaVinci Intermediate

このやり方はNikonのN-RAWカラーグレーディング術から、映像クリエイター正垣琢磨さんの設定を参考にしました。こうすることで、より広いカラースペースで作業できるようです。

なお、ノードは任意の名前をつけることが可能です。ノードを右クリックすると、ノードラベルが出てくるのでクリックすることで、任意のラベル名を付けられます。ここではCST IN(カラースペース変換入力)としました。

ノードはノードラベル名前を表示できる

次にシリアルノードを追加します

シリアルノードは好きなだけ追加可能

次のノードはLUTを割り当てたり、各種カラーグレーディングを行います。なおノードはいくつか作って、項目ごとに個別に調整することもできます。
とりあえず私はまず1個シリアルノードを作ってさらにもう1個シリアルノードを追加します。この末尾のシリアルノード(名前はCST OUTとしておきました)にも、ResolveFXカラーのカラースペース変換をドロップします。

  • 入力カラースペース:DaVinci Wide Gamut
  • 入力ガンマ:DaVinci Intermediate
  • 出力カラースペース:Rec.2020
  • 出力ガンマ:Rec.2100 HLG

これがミソで、一番最初のシリアルノードで拡張したカラースペースを、最終的な出力としてRec.2020に、出力ガンマをRec.2100 HLGとすることで、この画像はRec.2020のカラースペースを持つHDR HLGとして出力できます。
このやり方は、先のNikonのN-RAWカラーグレーディングのページを参考にしています。主力カラースペースとガンマをRec.709にしておけば、HDRではなくSDRの動画として出力もできますし、出力ガンマをRec.2100 ST2084にすれば、PQ方式のHDR動画として出力もできます。

あれ、カラースペースはRec.2020なのに、なんで出力ガンマはRec.2100なのかと思うかもしれませんが、Rec.2100はHDR動画の規格名で、カラースペースはRec.2020を使用しています。このあたりが、元々プロの映像制作者向けなので、一般には分かりづらいですね。

このカラースペース変換のCST INはノードの一番最初に、間のノードは各々が自由に設定を割り当て、一番最後のノードにCST OUTを置くというのがポイントとなります。

カメラRAWやLUTを使って画像を整えていく

これだけだと、まだ画像は眠い表示のままです。

ノードはひとまず整えたが、このままでは眠いままの画像

ここからN-Logに変換した画像を整えていきます。
ただ、Nikonから提供されているLUTは、RED監修のものも含めカラースペースがRec.709用のみなので、カラースペースがRec.2020のHDR動画用には使用できません。
このため私はカメラRAWの調整項目で調整してみました。なお、調整する際は、CST OUTのノードを選択したうえで調整すると、最終出力される画像のヒストグラムやスコープを見ることが出来るので、必ず先に選択しておきましょう。

N-Logは白飛び、黒つぶれしないようなガンマカーブとなっているため、基本的には露出やコントラストを上げつつ、シャドウやハイライトを調整、ホワイトバランスを調整します。リフトは少しだけ下げておいくとメリハリが出てきます。

スチル写真を現像する後違い、動画は動くので状況がコロコロ変わります。プログレスバーを動かして、動画の変化でシャドウやハイライトが潰れすぎないかも確認します。
基本的にはヒストグラム上でハイライトとシャドウいっぱいまで画像を追い込まないことですね。ヒストグラムの左右がスカスカになっているくらいがちょうどよく、細かく見るのはスコープですね。

複数のカットに同じ設定をコピーする

さて、ここまでの作業を複数のカットに適用するのは面倒ですね。カット1つ1つ追い込むにしろ、この作業を何十ものカットがあったとしたら、日が暮れてしまいます(というかこれを書いていて日が暮れましたw)。
上の画像では5つのN-RAWのカットがありますが、1つ目のカットで適用したノードやカメラRAWの設定を他の残りの4つに適用します。

画像を右クリックするとメニューが現れるので「スチルを保存」をクリックします。

プレビュー画像を右クリックし、「スチルの保存」をクリックする

すると、右上のギャラリーに画像が表示されます。なお、画像が表示されない場合は「ギャラリー」をクリックすると表示されるはずです。

次に、まだ何も設定していないカットを選択します。ここでは、カット01のノードやカメラRAWの設定を、カット02~05に反映させてみましょう。

ここでは01で設定したノードやカメラRAWの設定を02~05のカットにコピーする

まずはカット02~05を選択します。

次に先程のギャラリーの画像を右クリックすると、「グレードを適用」が表示されるので、クリックします。

すると、選択したカット全てにノードやカメラRAWの設定が反映されます。暗かったカットのサムネイルが明るくなったのがわかりますね

ちゃんと別のカットにも反映されています

後はそれぞれのカットを細かく整えていけばOKですね。

デリバーでHDR動画を出力する

さて、動画編集そのもののやり方はここでは割愛します。タイトルや字幕を入れたり、エフェクトを加えたりなどの編集を終え、最終的に出力します。
この設定が肝心です。
YoutubeではHDRの動画は幅広い形式が扱えますが、推奨されている動画形式は

  • VP9 プロファイル 2
  • AV1
  • HEVC/H.265

とのことです。もちろん他の形式でもアップできます。一般的にはH.265が良いと思いますが、うちの環境ではグラフィックボードがAMD RADEON RX 7800Xで、AV1コーデックのほうが書き出しが早いため、そちらを使用します。

デリバータブをクリックし、カスタム書き出しをクリック、まずはフォーマットをMP4、コーデックをAV1とします。種類はうちの環境ではAMDしか選べませんが、GeForce系だと自動とかNVIDIAとかになっているかなと思います。ネットワークの最適化は「ネットワークでダウンロードが完了する前に再生できるようにするようエンコードのやり方を変えている」だそうで、一般的にはチェック入れる必要はないようです。

MP4のAV1コーデックがAMD RADEONの最近のGPUだと書き出しが高速です

なお、H.265の場合は以下のような設定になります。

解像度やフレームレートはプロジェクト設定のマスター設定で設定されたもので問題ありません。ここでは4K60pで出力するため、以下ようにタイムラインの設定のままで問題ありません。ちなみに…60pですが実際には59.64フレーム/秒となっているのは、テレビの歴史に由来するものです。
また、最初にDavinci ResolveにN-RAW動画を読み込ませた時点で、4.1k60pで撮ったN-RAWは59.94フレーム/秒に設定するか聞かれるかと思いますが、そのままで問題ありません。

そしてここが肝心なところですが、プロファイルのところを「メイン10」に設定しましょう

プロファイルは「メイン10」に

メイン10とすることで、10bitで動画出力できます。これが重要で、書いていないページの多いこと! 必ず設定してください。

詳細設定は、カラースペースタグやガンマタグは、予めプロジェクト設定で定義してあるので、ここでは「プロジェクトと同じ」で問題ありませんが、改めてカラースペースを「Rec.2020」、ガンマタグ「Rec.2100 HLG」「Rec.2100 ST2084」に設定しても問題ありません。
最高品質に…の2つは、とりあえずチェックしておきます。しなくてもあまり差は感じないですが。

あとはレンダーキューに入れてレンダリングします。

書き出したデータをMediaInfoでチェックする

Youtubeは動画データのビット深度が10bit以上、カラースペースがRec.2020で、HLGかPQのタグが付いていることがHDR動画の条件としています。
ただ実際に書き出したデータ、Windowsのエクスプローラーのプロパティではわからないので、ここではMediaInfoというソフトを使用します。

これをインストールし、このソフトに出来上がった動画ファイルをドラックアンドドロップします。表示は好みに応じてですが、個人的にはツリー表示が見やすかったです。
書き出したデータはこのように表示されました。

以下の項目を確認します。

  • ビット深度:10ビット(bit)であること(基本AV1やH.265コーデックでは最大10bitですが、ここが8bitになっていたら、レンダリング時にプロファイル10を指定したか確認しましょう)
  • 原色:BT.2020であること(カラースペースがRec.2020と同義で、HDRの条件の1つです)
  • 転送特性:HLGであること(これがHDRのタグで、HLG形式であることを示します。PQ形式ならPQと表示されます)
  • マトリックス係数:BT.2020 non-constantになっていること(non-constantとは luminance、つまり輝度を定義していませんということで、これは一般的な環境ではモニタ輝度がそれぞれ異なるため)

ここが1つでも違う場合は、Davinci Resolveのデリバーから設定を再確認してみてください。プロジェクト設定のカラーマネジメント設定も再度確認してみてください。

YoutubeにHDR動画をアップしてもすぐには反映されない

さてMediaInfoで問題ないことを確認したら、後はYoutubeにアップロードするだけです。
が、ここからが盲点で、あまり言及しているページがなかったのですが、YoutubeにHDR動画をアップしても、すぐにはHDRになりません。
今回作った動画も、Youtubeにアップロードし、4Kまでの動画処理が完了してから、半日以上経過し、やっとHDR表示になりました。
なので、HDRにならないなと思っても、半日から1日程度待ってみましょう。

HDRと表示されるまで半1以上かかった

もちろん、表示するにはPCならHDR対応ディスプレイが必要で、かつシステムの設定のディスプレイでHDRをONにしておく必要があります。

HDRをONにしないとYoutube動画もHDR表示にならない

HDR(HLG形式)のYoutube動画を右クリック→詳細統計情報を出すと、このようにColorの項目にarbis-std-b67 (HLG) / bt2020と表示されます。HDR環境ではないと、自動的にRec.709カラースペースとなり、bt709の表示になります。

HDRに非対応のディスプレイ、あるいは対応していてもWindows側でHDR表示にしていない場合は4K再生はできてもHDRと表示されません。

HDR対応でない場合はHDRにはならない

また最近のスマホであれば、ミドルクラス以上のモデルならHDR表示に対応している物が多いので、自動でHDR表示になるかと思います。

いかがでしたでしょうか? Nikon Z9/Z8やZ6III、Z5IIではN-RAW動画が撮れるので、ぜひこれを活用して、HDR動画をYoutubeにアップしてみては?
もちろん、H.265の10bit HLGでも撮れるので、これを編集するのが手っ取り早いのですが、せっかくのN-RAW、是非活用してみてください。
スチルでRAW現像をやってきた方なら、割とすっと入れるかと思います。


DaVinci Resolve Studio、単品で買うと5万円近い高価なソフトですが、DaVinci Resolve Speed Editorを買うとDaVinci Resolve Studioアクティベーションキーが付属します。
6万円強ですが、時々安売りすることもあるので要チェックです。
なおあまりに安いものはライセンスキーが付属しないものもあるのでご注意を。

ヴェルニー公園で米駆逐艦マイケル・モンスーアや体験航海の護衛艦あさぎりの出入港を動画撮影した

先月2025年7月20日、横須賀のヴェルニー公園で米ミサイル駆逐艦「マイケル・モンスーア」や体験航海を行う護衛艦「あさぎり」と特務艇「はしだて」を撮影してきましたが、動画でも撮っています。

だら~っと長回ししたのをかいつまんでいますが、それでも27分もあるので、ながら観でどうぞ。

色域情報、何かバグっているかなぁ。環境によって色が濃く見える場合は、色域がズレているかもしれません。本当はHDRでアップしようと思ってBT.2020に設定したけど、どうもうまく行かなくって。動画関係は本当に難しいと言うか、あまりに色々な方式が乱立しすぎていますからね。
書き出した動画はうちの環境では正常に見えるのですが、Youtubeにアップしたものは全画面にすると色域が変わってしまいますね。

無償版Davinci Resolveで動画のゴミを目立たなくする

先週の入間基地一般公開ですが、カメラは2台、Nikon Z9Z8を持って行ったのですが、NIKKOR Z 24-200mmを着けたZ8で動画とスチル撮影を行いました。
最近Z9ばかり使っていたので、久しぶりにZ8も持ち出したのですが、大失敗だったのが、ゴミがセンサに多く付着していたこと。
事前にテスト撮影を怠った自分が悪いのですが…

大失敗!動画にゴミがたくさん入ってしまった…

スチルはLightroom ClassicでもNikon純正のNX Studioでもゴミ取り機能があるので何とかなりますが、問題は動画です。
動画のゴミ取りって簡単じゃないよねぇ、実はDavinci ResolveにはResolveFXにダストバスターなどの埃除去機能もありますが、これらは有償版でのみ使用可能となっています。

では無償版ではどうすればいいか、1つは周辺の画像をコピーする方法で、Photoshopなどの画像編集ソフトで言うところのスタンプツールのようなものです。
以下のブログに詳しく書かれています。

https://ue4player1.blog.fc2.com/blog-entry-123.html
https://vook.vc/n/644

ただ、この方法は動画に動きが少ない場合や、周辺の色の変化が少ないシチュエーションに限られます。
私が使ったのはぼかしツールであるブラー(ガウス)です。

カラータブからFXエフェクトを選択すると表示される

まずはシリアルノードを追加します。次に9. ResolveFX ブラーからブラー(ガウス) をドロップします。

シリアルノード03にブラー(ガウス)をドロップして割当る
割り当てただけでは画面全体にブラー(ガウス)が適用されてしまう

このままだと画面全体がガウスぼかしになってしまうので、ウインドウから「円形」のボタンを押します。


すると、円形で囲われた部分のみにブラー(ガウス)が適用されます。
あとはこのサークルをゴミの場所に移動させ、サイズを調整します。

サークルをゴミの写っているところへ移動させ、サイズを調整する

この円形は1箇所だけでなく、何個でも追加できるので、今回は特に目立つ4箇所にこのブラー(ガウス)を割り当てました。

4箇所にブラー(ガウス)を割り当ててみました

今回は複数個所ゴミが写り込んでしまいましたが、幸いどこも背景がちょうど雲り空になっている部分がほとんどだったので、ぼかしがあまり気にならない範疇でした。
一瞬被写体(ここではC-1輸送機)がかぶってしまう場面では、その部分がぼやけてしまいますが、一瞬なのであまり気にならないですかね。
ぼかしも強すぎると弊害があるので、今回はわずかに映り込みがわかるかな、程度のぼかしにとどめておきました。
ゴミは基本イメージセンサの手振れ補正で多少動く程度で、同じ場所にずっと存在するため、編集としては場所をしてあげるだけで、モザイク処理のように人が動くとそれに追従、ということをさせる必要がないです。
これである程度ごまかせたようです。また、今回はすべてのカットで同じ場所にゴミが映り込んでいるので、ここで作成したブラー(ガウス)を割り当てたシリアルノードは他のカットにも採用しました

各カット1つ1つに同じブラー(ガウス)を割り当てるには、最初に作成したブラー(ガウス)のりシリアルノードを「共有ノードとして保存」することで、他のカットにも簡単に割り当てられます。

作ったシリアルノードを他のカットに割り当てるには共有ノードとして保存を選択する

共有ノードを作成したら、適当に名前を割り当てられるので、あとは他のカットにもこのノードを追加するだけです。これはカラーグレーディングなどにも応用できます。

作ったノードは「ブラーガウス埃除去」と命名して他のカットにもコピー

これを出力させた結果が、先日アップした動画になります。

やり方はいろいろあると思いますが、動画の状況によっては、こうした無料でもできる機能で何とかなる、というお話でした。
ああ、でもやっぱりいつかは有償版にしたいなぁ。

次回撮影時には、事前にセンサの状態を確認するようにし、本当に気を付けなければ…


話は変わりますが、Nikonがついに公式HPでNikon Zシリーズの半角スペースを無くし、全てZの後の数字との間のスペースを全機種で削除しました。
例えばNikon Z 9→Nikon Z9になっています。

Nikon Z6IIIではデビュー当初からスペースが入っていなかったので、ここから変更するようにしたのでしょうけど、従来機種も表記変更したようですね。
思えばなぜ半角スペースを入れていたのかが不明ですが、今回見直したのはネット検索でも検索しづらいなどのあったのでしょうね。

Nikonは過去にもFマウントレンズのカタログ表記を何度か変えたりしていて、あまりポリシーがないのか、分かりづらいから変えようと思ったのかわかりませんが、ちょっといい加減な気がしないでもないですね。

90年代のレンズが2000年代になって表記が変わったなんてのもありましたね。F値もF2.8がf/2.8になったり。こっちが気をつけて書いていると公式のほうがブレブレだった。
名前はきちんとポリシーと命名規則を設けたほうが良いと思いますが、FマウントではMicro-NikkorだったのがNIKKOR MCと余計分かりづらくなったりもしていて、何がなんだか。

なお、ブログのタグのNikon Z 9やZ 8は、ここで半角スペースなしに変えてしまうと、別のものとしてカテゴライズされるので、あえてそのままにしておきます。
数十年後、半角があるかないか論争にならないかしら(笑

やっとNikonからN-RAWの使いこなしガイドが出た

Nikon Z 9が2022年4月のFW:Ver2.00で動画のN-RAWに対応して3年近くたちます。その後Nikon Z 8Z6IIIも対応しましたが、私含め、一般の素人にはまだまだ使いこなせていない、というのが実情ではないでしょうか?

今から四半世紀以上前にデジタル一眼レフが登場し、静止画のRAWファイルも一般に扱えるようになってはいたものの、2000年代前半はまだメモリーカードの容量が小さく、RAWで撮影するとすぐいっぱいになってしまう、というのもありましたが、当時はRAW現像できるソフトも有料のものしかなく、PCもまだスペックが低く、Nikonでは純正ビューアーで簡易的に補正できる程度でした。
それが今や、各社無料の純正RAW現像ソフトがあり、サードのソフトも充実するようになりました。おかげで、静止画におけるRAW現像は、ハイアマチュア以上にとっては当たり前のものとなりました。

動画に関しては、まだそこまでではないですが、少しずつ環境が整ってきてはいると思います。
Nikon独自の動画RAWであるN-RAWは、例えば4.1K60pで記録した場合、最高画質AppleのProRes RAWの半分、標準画質で1/4以下とデータを食わないのも魅力です。
※Nikon Z 9/Z 8は8.3K RAWはProRes RAWは非対応で、N-RAWのみ対応します。

とはいえ、カラーグレーディング、Logガンマ、LUT(ルックアップテーブル)など、何となく聞いたことはあるけど何だかよくわからないし、具体的に何をどうすれば…というのが1つにまとまっているページがなかなかないのが実情でした。
そんな中、やっとNikonが公式に使いこなしガイドのページを公開しました。

映像クリエイターのためのN-RAW使いこなしガイド

ただし、現時点でN-RAWに対応する動画編集ソフトはDaVinci ResolveEDIUS X Proに限られるのと、Nikon公式や多くのクリエイターさんが使い方を披露しているのがDavinci Resolveとなるため、実質的にN-RAWを扱うならDavinci Resolveとなります。

Davinci Resolveは無償版と有償版のSTUDIOがあり、無償版でもN-RAWでの編集が可能です。
無償版と優勝版の違いは大まかに以下の通りです。

  • 有償版が8K以上(32Kまで)、120pの書き出しに対応するのに対し、無料版は4K60pまで(無料版も8K動画の読み込みや編集は可能で最終書き出しが4Kまでとなる)
  • 無料版はノイズリダクションツールなど一部のエフェクトや編集機能が使えない(特にノイズ除去はRAW動画はカメラ側でノイズリダクション処理しないため、ソフト側でできないと高感度ノイズが残ってしまう)
  • 有償版はAIを使ったDaVinci Neural Engineを使用可能
  • 編集や書き出しにGPU性能をフルに活用可能(無償版は制限あり)

もちろん上に書いたこと以外にもいろいろと差はありますが、基本的に無償版でもN-RAWが扱え、4K60pまでの出力であっても、まだまだ8K表示環境がほとんどない現状では、無償版でもカラーグレーディング含め大抵のことは出来るため、十分高機能と言って差し支えないでしょう。
趣味程度なら無償版でほぼ賄えるはずです。

ただ、Davinci Resolveの無償版を3年ほど使ってみて、N-RAWを扱った際に有償版が欲しいなと思ったのは、ノイズリダクションですね
特に感度が上がる暗い場所でのN-RAW動画には、かなりのノイズがのってしまいますが、無償版ではノイズリダクションが使えません。これが結構痛いです。
有償版のDaVinci Resolve STUDIOを使っていない現状で、感度を上げざるを得ない状況では、カメラ内でノイズリダクションをかけてエンコードできるH.265やH.264といった圧縮動画、あるいは低圧縮でビットレートが高いProRes 422を使わざるを得ないです。
また、過去に74式戦車引退前に発砲炎を4K120pで撮りましたが、この動画は取り込めても60p扱いになってしまうようです。せっかくなので120pから60pのスローモーション動画にしたかったのですが…

有償版は一度買ってしまえばその後のメジャーアップデートは無料でできるほか、Blackmagicの製品に同梱されているものや、代理店割引もあるため、確認してみてください。
ガンガン編集する人なら買って損はないと思います。私みたいな素人がライトに編集するにはちょっと高価なソフトで二の足を踏んでしまいますけどね。価値は十分あると思います。


せっかくNikon公式の使いこなしガイドが出たので、それを参考にしつつ年始にとって未編集の動画を編集してみました。
Nikon Z 8 + NIKKOR Z 35mm f/1.8Sを使用、N-RAWで撮影。SDRで撮ったものをDaVinci Resolveで一旦N-Logに戻してからカラーグレーディングしました。
LUTにフリーのCrispAutumnを使用し、フィルムライクに仕上げました。が、60pで撮ってしまったので、出力も60pのままです。被写体に動きがないので、24pにしても良かったですね。

暗いドットが発生したEIZO ColorEdge CS2740が修理から戻ってきた

11月に入ってまもなく導入4年目を迎えるPCのハードウェアキャリブレーション対応モニタ、EIZO ColorEdge CS2740に暗いドットが発生してしまい、5年保証が使えるため修理に出すことにしました。

黒点ではないんだよねぇ、暗くなっているけど


修理品の引き取りの前に、先に貸出機が来るのは、前回ブログに書いた通りです。

18日(月)の夜に宅配業者引き取りで修理、EIZOの拠点は石川県なので、モニタが修理拠点に届いいたのは水曜日と思われます。
10日くらいはかかるかなと思っていたら、その週の週末の金曜日に「処置が完了した」メールが入っていました。早いなぁ。まさか確認だけで免責となる液晶ドット欠けで修理しなかった?
メールには修理の詳細は返却するモニタに同梱の明細書を確認して、とのこと。あえて結果はメールに書かないようですね。
でも、返却するということは、修理は行われたかも?というのも、保証対象外事象だったとしたら、有償で修理するか否かの確認はあるはずです。
とりあえず、返却希望日時を聞かれたので、日曜夜着を希望、戻ってきました。

箱は、貸出機のCS2731のもので、これはCS2740も共通。
修理する製品の元箱はこういう時のために持っていましたが、結果的今回は元箱は使わず、代替機のCS2431が到着、その箱に修理するCS2740を入れて発送、修理上がりのCS2740は同じ貸出機の箱で返却されました。最後に、貸出機を同じ箱に入れて宅配業者引き取りとなりました。
CS2740もCS2731も、外装は全く同じで液晶パネルのみ違うので、こうしたことが出来るようです。

不具合の原因は…

戻ってきたモニタに添付されていた修理明細書を確認。やはり水曜日(20日)に石川県のEIZO修理センターに届き、翌日(21日)に修理完了したようです。早いですね。

原因「液晶パネル内部の異物によるものでした。」
処置「液晶パネルを交換後、当社試験において問題のないことを確認いたしました。」

やっぱりそうだったか~! いわゆる液晶のドット欠けだと、このように複数のピクセルでいきなり発生したりすることはほぼないですし、通常ドット欠けは特定のドットが点灯しっぱなしか真っ黒のままだったりするので、この症状のように暗くなる、というのはあり得ないのです。
やはり液晶とバックライトの間に何らかの理由で埃やゴミが入った可能性が高いですね。しかしなぜ突如発生したかは謎です。通常パネル内に簡単にホコリが入る構造にはなっていないため、内部に元々あった何かがたまたま落ちてきたのかな?

ともかく、液晶パネルが新品になりました。やった~!

新品パネルになったので、これで10年戦える!?


使用時間表示は特にリセットされるわけではないようです。

液晶パネル交換されても使用時間がリセットされるわけではない

液晶パネル以外の回路の使用時間もあるので、あえてリセットすることはないようですね。
キャリブレーションして、これでいつもの通りに使えます。やっぱりCS2731とCS2740、比較すると解像度がWQHDのCS2731より4KのCS2740のほうが個人的に使い勝手が良いですね。27型に4Kは過剰と思っていましたが、両者比較すると、CS2731のほうはドットが少し荒く見えてしまいます。あと、少しギラツキも感じるんですよねCS2731。
そういう意味でも、やはりCS2740のほうが見やすくてよいですね。PhotoshopやLightroomのメニュー表示が細かくなるので、特に写真自体が大きく表示できるのがよいです。


EIZOにしてよかった! 5年保証は本当に助かりました。他メーカーは3年が多いんですよね。HDR非対応ですが、個人的にHDRはPCモニタには不要と思っているので(HDR表示は輝度高すぎます)、写真メインならCS2740、それでも映像編集主体でHDRが欲しいならCS2740-Xですね。

【展示品】★【アウトレット 展示品・メーカー保証なし】EIZO ColorEdge CS2740-XBK [26.9インチ]

令和6年度自衛隊音楽まつりの動画

遅ればせながら、令和6年度自衛隊音楽まつりの動画をアップしました。
全部はもちろん撮っていないので一部をピックアップしています。今回は初めてヨルダン軍軍楽隊が参加しましたので、その演奏からいくつかピックアップしました。

去年と同様、カメラはNikon Z 8、レンズはNIKKOR Z 24-200mmです。N-RAW 4.1K 60pで撮影しています。
N-RAW動画、Davinci Resolveで編集できるのは良いのですが、唯一、映像ノイズリダクションはRAWでは編集ソフト側でかけることになり、Davinci Resolveのノイズリダクションは高度な「時間的ノイズ除去」「空間的ノイズ除去」は有償版でしか使用できません。無料版でも使用できる映像ノイズリダクションはありますが、効果が薄く強めにかけると解像感もかなり失われるため、今回もノイズリダクションなしの素の状態で編集しています。このため、ややノイズが多めの動画となっています。

RAWではない通常の圧縮動画であれば、カメラ側のノイズリダクションが使えるので、もう少しノイズは抑えられますが、照明の白飛びを抑えたく、N-RAWを使用しました。
N-RAWの標準画質ならProRes RAWの1/6程度のデータ量、ProRes422と同程度で済むので、N-Logで撮るならこれ一択かなと思っています。

動画は素人には難しいことだらけですが、できる範囲で楽しんでやっています。
そろそろマイクも新調したいですね。こうした音楽主体なのでステレオワンポイントマイクが良いですが、今は何が良いかな?


ZOOM M3が気になりますが、こういうのどうなんでしょうね。32bit floatでも収録可能です。

RED監修のN-Log用LUTを試してみた & H.265とAV1コーデックの比較も

先日Nikonより、Nikonの一部の一眼カメラで採用されている動画用のN-Log収録用に、RED社監修のLUTが公開されました。

対応機種は Z6III、Zf、 Z9、Z8、Z7II、Z6II、D780、Z7、Z6 です。

  • Technical LUT(1 種類)
    従来、機種ごとに提供していた N-Log に対応した LUT を 1 ファイルに纏め、RED 社のカラーサイエンスに則った動画に最適な色味に変更しました。Technical LUT は、N-Log のカラースペースから一般的な視聴に適した Rec.709 規格に変換することができます。
  • Creative LUT(4種類)
    RED 社が提供する LUT の色味を N-Log で再現できるようにした 33 点の LUT です。
    ▹ FILM BIAS
    伝統的な「フィルムらしさ」を追求した LUT。自然なスキントーンと黄金に輝くハイライトが特徴で、どのようなシーンもシネマティックに演出します。
    ▹ FILM BIAS BLEACH BYPASS
    フィルム処理技術の一つであるブリーチバイパス(銀残し)を再現。コントラストが高く彩度が低いのが特徴です。映像をよりドラマチックにし、リアリティを強調します。
    ▹ FILM BIAS OFFSET
    暖かみのある色調とスプリットトーンで、ヴィンテージフィルムのようなルックを再現。芸術的なシーンや風景撮影に最適で、映像をよりスタイリッシュかつエレガントなものにします。
    ▹ ACHROMIC
    低コントラストのモノクロで、被写体のテクスチャや形状を強調します。ディテールに焦点を当てつつ、柔らかくクラシックなルックで芸術的な表現が可能です。

https://downloadcenter.nikonimglib.com/ja/download/sw/258.html

Davinci Resolve 19にLUTを適用する

フリー版でも高度な編集作業が可能なDavinci Resolve 19に、RED社監修のLUTをインストールします。Windowsは以下の通りです。
Davinci Resolveを起動し、カラーからLUTsを開き、LUTsを右クリックすると「ファイルロケーションを開く」が表示されるので、クリックします。

ファイルロケーションを開くで、LUTのファイルフォルダが開きます

フォルダが開くので、Nikonフォルダを開き、そこにダウンロードしたLUTファイルをコピーします

Nikonフォルダ内に5つのRED監修LUTファイル(.cube)をコピー

従来の機種別ファイルとは別に、機種共通のRED監修LUT5種類が使えるようになります。
あとは、N-Logで撮影した動画ファイルのノードに、適用したいLUTを選択します。

シリアルノードを追加して、そこにLUTを適用

さほど難しくないので、簡単にLUTによる画作りが楽しめますね。

4種類のCreative LUTの比較

早速N-Logで収録した動画に適用してみました。

この映像がCreative LUTに適しているかどうかは別として、雰囲気は感じていただけるかと思います。

今回はYoutube用にAV1コーデックを使ってみた

いつもはH.265で書き出ししているのですが、今回はグラボをAV1のハードウェアエンコーディングに対応できるAMD Radeon RX 7800XTに改装したので、AV1で書き出しを行いました。

フォーマットをMP4に設定いするとAV1コーデックが選択可能になる

H.265は最近のここ数年の動画対応機の多くが採用しているコーデックですが、高額なライセンス料が必要とされるH.265に対し、ロイヤリティフリーライセンスのAV1は、今後普及が期待されているコーデックです。H.265に対し、3割程度ファイル量を減らせるともされています。

実際に、今回Davinci Resolve 19でAV1とH.265でそれぞれ書き出し、処理速度とファイルサイズの比較をしてみました。

これはAV1の圧勝ですね。今回、N-RAWの動画を使用し、更にデータがHDDだったため、読み出し速度がやや遅い状況でしたが、それでも6分弱だったAV1に対し、H.265は7分超で確かにAV1のハードウェアエンコーディングの効果が出ています。Radeon RX 7800 XTはAV1対応ハードウェアエンコーダーを2基搭載しているので、これが効いているのでしょうね。
ゲームはしないけど動画編集をたまにやる自分にとっては、今回Radeon RX 7800 XTの選択は正しかったかもしれませんね。

ファイルサイズも比較しました。

上がH.264、下がAV1で、大差はないが、9%程度AV1のほうがファイルが小さい

H.265(上のファイル)に対し、AV1では約9%ファイルが小さくなりました。1割に満たないので大きな差はないものの、AV1の優位性はあるようです。
ただ、H.265はビットレートの設定など細かく詰められるのに対して、AV1はDavinci Resolveでは細かい設定はないので、これについては今後検証する必要はありそうです。


せっかくLUTも充実してきているので、N-Logも積極的に使っていこうかな、と思います。
Studio版のDavinci Resolveも…いつか欲しいな

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トラブルは続く…メインPCのグラボが死亡したので久しぶりにRADEONに帰ってきた

帰省時にタイヤを縁石に擦ってパンクさせてしまって10万円ぶっ飛んだ直後なのに…今度はメインPCのグラボが死んでしまいました…。

帰省から戻ってきて、PCを立ち上げて、その後スリープにさせて(普段はシャットダウンせずスリープさせてます)、再度立ち上げようとしたら、いつまでもディスプレイが点かないんです。
でもSSDのアクセスランプはチカチカ点滅しているし、PCが動いていないわけではなく、リモートデスクトップで繋いでみると、ちゃんと内部では立ち上がっているんですよね。

仕方ないのでリモートデスクトップ上で再起動をかけてみると、やっぱりディスプレイは点かず、本体からビープ音が。
ピー、ピッピッピ

マザボの説明書を見ると、グラフィックスカード検出エラーだそうです。

グラボを検出していないっぽい

何と! 一度マザボから取り外して清掃してみたりはしましたが…結果は変わらず。万事休す! グラボは2年半前に買ったGeForce RTX 3060でしたが、中古ですし、まあ仕方ないですね。

秋葉原に出向く

残念ながら壊れてしまったものは仕方がないので、新しいグラボを調達します。何せ急なので、あまり知識もなく、短時間であちこち調べまくりましたが、X(Twitter)のフォロワーさんよりこんなコメントを頂きました。

前世紀から長い事RADEONユーザー(それこそAMDに吸収される前のATi時代のAIW128からのユーザーでした)だったYamaroでしたが、2016年にRADEON HD 7750からnVIDIA Quadro K620に乗り換えて以来、8年ほどRADEONから遠ざかっていたんですよね。画像処理主体、そして動画編集となると、どうしても主流となっているGeForce系に重きを置かれるソフトが多いのが事実でして。
またRADEONユーザーならご存知、ドライバの不出来に泣かされた身からすると、何となく安牌なGeForceに慣れてしまって敬遠してしまっていました。

動画編集もするので、個人的にはVRAMの多さを重視。RTX 3060はミドルローエンドながら、当時としては上位機よりVRAMが12GBと多く、これはゲーマーではない自分としては理想的なバランスのグラボだったんですよね。今となっては3万円台で買える、ゲーマーでなければコスパの良いグラボでもあります。買った当時は7万円したんですけどね。
候補としては、予算的に8万円前後で以下の通りでした。

  • GeForce RTX 4060Ti 16GB:GeForceでVRAMが多く比較的安価、安いものは6万円代後半から
  • GeForce RTX 4070:VRAMは12GB、もっとあってもいいのに。安牌といえば安牌ですが、中途半端な気もする
  • RADEON RX 7700XT:VRAMは12GB。6万円台からあってコスパは良さそう
  • RADEON RX 7800XT:VRAMは16GB。RTX 4070の対抗馬ながら、価格は8万円台からとこちらもコスパは良さそう

という感じである程度調べて、秋葉原のPCショップ巡りをしました。ああ、本当は撮影に出かける予定でしたが、秋葉原巡りも楽しいものです。これだけネットで情報があふれる時代でも、やはり実店舗の良さってありますね、何事も。

パソコン工房ではこんな値札を発見!

買えたら良かったけど、多分今のケースに入らない

何と、7万円台前半! が、残念ながら店員さんに聞いたところ、売り切れてしまっているとのこと。値札下げるのを忘れていたようですが、この価格で買えた人はラッキーでしたね。
ただ、実際買えたとしても、うちの古いPCケースには入らなかったです。ちょうどHDDラックの部分に当たってしまっただろうね。

そして次に行ったドスパラ。店員さんに相談したところ、なるほど古くから知っていそうな中年の店員さん、自分と同じくらいの世代かな? ゲームはやらない、AdobeのLightroomやDavinci Resolveを使う事を話し、最初はRTX 4060Ti 16GBをおすすめしていましたが、RADEONってどうですかと話を振ったところ…

  • ドライバは昔の暗黒のサードパーティドライバが出回っていた時代の純正からしたら今のはまともです
  • Adobeのソフトとの親和性は、RADEONも歴史があるので昔ほど悪くはないと思う
  • 自作PC初心者ならRADEONは勧めないけど、暗黒時代のドライバで百戦錬磨なら多分トラブっても対処できるでしょう
  • RTX 4070は性能と価格が中途半端、もう1万円出せばRTX 4070 Superが買えて性能は雲泥の差、VRAM重視ならRTX 4060 Ti 16GBのほうがコスパは良い
  • RTX 4060 TiとRX 7800XTの価格差は1万円程度、物によっては大差ない、だったらRX 7700XTより少し予算を出せばRX 7800XTが買えます

とのことでした。実際、価格コムで最低8万円台からだったRX 7800XTですが、店頭では7万円台からありまして、今回はRADEONに軍配を上げたいな、となりました。

ASRock Radeon RX 7800 XT Challenger 16GB OC

今回は8万円を切る価格だったASRock Radeon RX 7800 XT Challenger 16GB OCに決めました。だって、RX 7700XTより1万円高いだけですから。それでVRAM16GB、これが決め手でした。
実に8年ぶりのRADEONですね。

いきなり洗礼を受けるw

早速RTX 3060を取り外して、ケース内を清掃したあと、ASRock Radeon RX 7800 XT Challenger 16GB OCを取り付けます。
写真の通り、今となってはASUSのRTX 3060、シングルファンで短いんですよね。実測で178mm程度しかないのです。現行モデルはデュアルファンになって長くなりましたが。
対してASRock Radeon RX 7800 XT Challenger 16GB OCは267mm、現代のグラボではこれでもだいぶ短い方です。
というのも近年のミドルクラス以上は、トリプルファンになっているモデルが多いんですよね。ASRockのこのモデルは、デュアルファンで比較的短いのも今回選んだポイントです。

実際取り付けてみると、デュアルファンでもギリギリの長さでした。いや~これトリプルファンの300mmを超える長さのモデルモデルだと、確実にケース内のHDDのラックに干渉していたなぁ。この選択で良かったです。
最近のグラボ、どんどん大型化していて、もはやCPUよりもスペースを取る存在に。それだけGPUが重視されている時代なわけですが、ちょっと最近やり過ぎな気がしないでもない。自作PCもニッチになってきているので、ゲーミング向けの極端なモデルが流行るのは無理もないですが。

今使っているケースは、10年以上使いまわしていて現在のトレンドではないし、部品も痛みが出てきているので、次にマザボ改装する際にはケースごと交換かな。
そしていつかはMicroATXの小さいケースにしたいと思っていたけど、この感じでは拡張性を考えると難しいですね。

さて電源を入れて、GeForceのドライバを削除(しようとしたけど一部消されず残っちゃったけどいいか)、そしてAMDからRADEONのドライバをインストールするも…

インストーラーがここから先全く進まず

インストーラー、止まってる! さすがRADEON、いきなり洗礼を受けました(笑) いや~、GeForceのドライバで躓くことはなかったから、さすがとしか言いようがない。
結局この後プログレスバーは進むことがなかったので、再起動した上で再インストール、今度は無事終了しました。
この辺りがRADEON、いやまだ序の口ですね。

確かにAV1コーデックの書き出しは速い

夏休みに花火をした時の動画、AV1コーデックで書き出してみました。今までH.265メインだったのですが、AV1コーデックの書き出しが速いと聞いて。
確かにDaviinci Resolveの無償版で元データがH.265の動画はかなり速い書き出しです。

ただ、NikonのRAW動画となると、やはり速度はそれなりになりますね。この辺り、もう少し使い込んでみたいと思います。ああ有償版も使いたいな…。

VRAMはフルに使っているので、やはり16GBあって正解でした

しかし、これを見ると、動画編集やる人にとってはGPUの性能は無視できないし、何よりVRAMをこれだけ使っているのを考えると、16GBでも余裕があるとは言えない感じですね。12GBのRTX 4070やRX 7700XTにしなくてよかったです。

RAW現像のAIノイズリダクションなど、その他使い勝手も試してみたいと思います。いずれにしろ、さすが新しい世代のミドルクラスGPUだけありますね。


比較的コンパクトなミドルクラスグラボ、2x8pin電源コネクタ仕様で少し前の電源でも問題なく使用可能です

何でしょう? 急反転する飛行機雲

これは入間基地か横田基地にアプローチする輸送機とわかるけど…

ずーっとインターバルで撮っていると、たまに何でしょう?というものが写ったりします。

まずは動画でどうぞ。

この日は雲がなく、時々飛行機雲が通過するのですが、一部飛行機雲は富士山上空で急反転したんですよ。視程がよく、遠方の航空機がたまたま反転しただけと思うのですが…これが90年代なら矢追純一さん案件ですね。

画像をトリミングしてみましたが、最後の写真は2つの飛行機雲があり、どちらもなにかしらの物体の後に尾を引くように飛行機雲が出ているので、何かしらが飛んでいるのは間違いないのですが、最初に出てきた反転する飛行機雲は、反転後の雲の尾の引き方がちょっと不自然だったり…。これぞUFO?

こういうのも含めて、案外インターバル撮影って面白いんですよね。


ところで、今回はNikon D810のインターバル撮影を、いつものJPEGではなくTIFF形式で撮ってみたんですよ。1枚100MBを超えますが(汗) 流石に画質は良いですね。スチルのRAW(NEF形式)をDavinci Resolveが扱えれば最高なんですが。
というのも、インターバル撮影したスチルのJPEGをDavinci Resolveで動画変換する際、上の動画もそうなんですけど、空の部分でバンディングノイズ(階調の変わる部分の境目が見える)に悩まされています。
画質設定は最高ですし、最高画質にディベイヤーしているのですが…。
TIFFなら非圧縮画像なのでマシになるかなと思ったけど、変わらず。これって何かしらの設定がまずいと思うのですが、よくわからないので、詳しい方がいらっしゃいましたら、コメントでご指摘いただければと思います。

富士山をインターバル撮影していると、割と飛行機が写っています

この時期空気が澄んでいるので、風景も映えるんですよね。
富士山をインターバル撮影していると、ちょうど米軍の横田基地や航空自衛隊入間基地にアプローチする航空機も映り込んだりします。
こういう偶然をピックアップするのも、インターバル撮影の醍醐味だったりします。

今回レンズは古いAI Zoom-Nikkor 100-300mm f/5.6Sを使用。もう少し新しいジャンクで買ったAF Zoom-Nikkor 70-300mm f/4-5.6Gもあるのですが、残念ながらこのレンズ、逆光耐性があまりなく、こうして直射日光が入る撮影では盛大にフレア、ゴーストが発生してしまいます。逆に古いMFレンズのほうが、この手の撮影に適していることもあります。

そしてミラーレスだと、直射日光が入るこうした撮影はちょっと心配ですね。なので、未だD810のような一眼レフを使っています。
ただ、JPGだと動画にした際にバンディングノイズが出やすい気もします。Davinci Resolveの設定がダメなのかな?