PC-Nikkor 28mm F3.5をZ 9で使ってみた、快適!

Zマウント用のシフトレンズ、以前AstrHori 18mm F8 FULL-FLAME Ultra wide angle TS Lens (Shift)を購入したもの…

上の記事の通り、実質APS-Cフォーマット(DXフォーマット)のカメラでないと、シフトレンズとして機能せず、持っていても仕方ないので早々に売却してしまいました。
薄いレンズと言う特徴は大きいものの、それ以上のものではなく…
それに考えてみたら、自分にはPC-Nikkor 28mm F3.5があるではないか!

Nikon Z 9 + FTZ II + PC-Nikkor 28mm F3.5

そう、このレンズであれば、蹴られる心配なし! 絞りもある! ダイヤルによるシフト量微調整可能。そりゃ値段が違いますもの。安物中華レンズと一緒にしてはいけません。
堂々とした佇まいは、Z 9との組合せでも違和感なし。というか、フルサイズまでカバーするシフトレンズって、そりゃぁこのサイズになりますよ。
いつかネイティブなZマウントのシフトレンズも出してくださいね、ニコンさん。

実は一眼レフよりミラーレスのほうが使いやすい、古いPC-Nikkorレンズ

シフトレンズはちょっと特殊です。古いシフトレンズであるPC-Nikkor 28mm F3.5は、絞り機構はマニュアルです。
一眼レフにおいて、自動絞りのないレンズは、ファインダで構図確認しピントを合わせる、という過程は絞りが開放でないと、絞り込んだ場合はファインダが暗くなってしまいます。
このため、最新のPC NIKKOR(PC-E NIKKOR)は電磁絞りを搭載しており、カメラボディからの機械伝達によらず、撮影前は絞り開放、撮影時に自動絞り込みとなります。
これまでのプリセット絞りより大幅に撮影が楽になりました。

が、これは一眼レフの話。ミラーレスのNikon Zシリーズであれば、電磁絞り以前のプリセット絞りのPC-Nikkorも快適に撮影可能です。
というのも、ミラーレスの場合は、EVFならファインダの明るさは感度を上げることで調整可能、絞ったから暗くなることもないのです。
ですから、こうしたプリセット絞りでも、最初から設定したい絞りに絞り込んでも、被写体が明るいままなので、構図確認が容易です。

しかもピント合わせも、画面を簡単に拡大出来るので、ピント合わせも容易です。ピーキングでも出来ますが、細かいピント合わせはピーキングより拡大表示のほうが正確です。
個人的には、Z 9ではMFレンズ用のカスタム設定で、AF ONボタンで100%拡大を割り当てています。これを押すだけで一発で拡大、もう一度押すと元に戻ります。これでMFも快適なのです。

最大シフトの場合はf16まで絞り込んだほうが良い

上の写真は最大限シフトして撮影。鉄塔の上の方はやや解像力が落ちていますが、f16まで絞れば許容範囲。絞り込んだ際の回折による全体の解像力低下は、Zシリーズのカメラは回折補正を備えているのと、このレンズ自体の特性か、f16まで絞り込んでも回折による影響はほぼ感じません。なので、絞り込むのが正解かもしれません。
これだけの描写力なので、レンズ自体の実力はかなり高いと言えます。

ハレ切りは必要

残念ながら、純正のレンズフードHN-9は持っていなくて、しかももう販売終了。そして中古ではプレミア価格となっています。このフードに8千円以上払えないわ…。
なので現状フードなし。ただフードがあってとしても、逆光ではそれなりにフレアが発生します。

さすがに古いレンズ、最新のナノクリスタルコートのPC NIKKORのように、逆光でも高コントラスト、とはならず。
ただ上の写真だと、フレアも味になっている気はします。手でハレ切りすると、これだけコントラストが向上します。
それにしても、接写性能も良いですねこのレンズ。

28mmマニュアルレンズとしても逸品

ということで、このPC Nikkor 28mm F3.5、シフトすることが前提なのでイメージサークルが大きく、シフトしなければレンズの中心部の美味しい所を使えます。
その解像力は、Nikon Z 9のような(あるいはZ 7シリーズ、D850)4500万画素クラスのカメラでも余裕があります。

欠点を挙げると、やや色調が寒色系で、色温度設定が少々デジタルでは難しいことかな? 
面白いのは、上の写真の太陽が入っている写真は、フレアもゴーストもあまり出ていないのですよね。

ということで、普通の28mmレンズとして使ってもよし、もちろんシフトしてよし(水準器が出る機種ならなお使いやすい!)、こうしたレンズはぜひZマウントでも継続してほしいですね。特に広角は、Zマウントの恩恵が大きいはずです。もっとコンパクトなPCレンズが作れることでしょう。