かつて存在した、レンズメーカーの三協光機。KOMURA(コムラー)ブランドでレンズを展開し、35mm判から大判までのレンズを手掛けていたメーカーでした。
1980年に倒産したため、それから40年以上経過した現在では、中古流通も少なくなってきているものの、時々見かけるのは、現役当時それなりに売れたからなのでしょうか?
このレンズも親父がNikon Phtomic FTNで使っていたレンズです。
実はこのレンズ、親父のPhtomic FTNと共に奪ってきたレンズですが、古いレンズメーカー製だし、MFで望遠と言うので使う気にはなれなくて、持っているだけの状態でした。なにせ、純正のAI Zoom-Nikkor 100-300mm f/5.6Sも持っていますし。
こちらはマウント交換式で、当然ながらFマウントが搭載されていますが、Nikon純正レンズで言う非AIタイプとなるため、これまでAIガイドのある一眼レフではガイドが干渉するため装着できませんでした。
が、FTZ IIなら、非AIレンズも非公式ながら装着可能。今回晴れてZ 9で撮ってみました。おそらく世界広しといえど、Z 9と組み合わせたSUPER-KOMURA ZOOM 90-250mm F4.5 TL925の作例はそうないでしょう。
外装は全金属なのは、1970年代のMFレンズらしいですね。ズームは90-250mmと何とも中途半端です。が、f4.5通しで比較的明るいのが良いですね。
ズームリングの回転角は、90年代以降に出回るようになった70-300mmクラスと比べると異様に大きく、かなり回転させないとズーミング出来ないので、素早いズーミングには不向き。あくまで単焦点望遠を何本も持っている、と言う使い方がベストです。回転角が大きいためか、ズームリング自体はかなり軽いです。
絞りリングが2箇所あるのは、マウント交換式でプリセット絞りのカメラにも対応するためでしょうね。
Fマウントの場合、マウント側にある絞りを使用し、レンズ中央付近にある絞りリングはf22にセットします。古いNikonの機械式露出計連動爪、通称”カニ爪”も搭載しています。
フードは組み込み式で、手前に引っ張れば伸ばせますが、組み込み式故にやや短めですね。
では撮ってみましょう。絞り開放です。
正直、レンズメーカー製の、しかも70年代のズーム望遠レンズ、全く期待していませんでしたが、予想に反してなかなか良いです。まずズームらしからぬボケ味の良さ。開放では少しコマ収差があれど、あまり気にはなりません。
この日は天気が良かったので、あまり気になりませんが、条件によってはややコントラストが低下する感じもあるものの、解像力も意外なほどよく、4500万画素のZ 9でも、条件によってはなかなかの解像力が得られます。
なお、Z 9側の焦点距離設定に250mmがないため、200mmに設定しています。ボディ内手ぶれ補正も効くので、歩留まりの良い写真になりました。
フィルム現役当時より、よく撮れているんじゃないでしょうか。
びっくりするほど立体感もよく出ます。これ、90年代の70-300mmクラスズームよりずっとよく写ります。もちろん球面収差や軸上色収差はありますが、それが気にならないです。よく写ります。本当にビックリしています。好きな写りです。
左上の写真は、意図せず絞ったものです。と言うのも、絞りリングにクリックがないため、簡単に動いてしまいます。f8くらいに絞られていると、本当にもうカリッと解像してしまいます。これだけ見ても、やはり90年代の70-300mmクラスよりよく写っている気がします。
順光であれば、非常によく写るレンズ。ちょっとコムラー、見直しました。こりゃ、中古で出物があったら、遊んでみた気ですね、同ブランドのレンズ。