Nikon Z 9のディザー広告、4つ発表されるうちの2つ目までが、執筆時点(21/10/16)で発表されています。
あまり大きな情報はないですね。
1つ目の動画は、Nikon初めての3軸チルト液晶を搭載していること、2つ目は8K30pの動画を1時間以上継続して撮れることしかわかりません。
Nikonは2021年3月10日に、Nikon Z 9を開発中であることを広報発表していますが、あれから半年経過してのティザー広告です。ソニーがα1を2021年1月27日に発表し、3月19日に発売したことを考えると、あまりに遅いですね。
恐らく、SONYがα1を発表したことで、Nikonはフルサイズミラーレスのプロ機までもSONYに先を越され、待ったなしの状況になったからでしょう。α1が仮にまだ発売されていなかったとしたら、NikonもあのタイミングでZ 9の開発を広報発表することはなかったのではないかと思います。
東京五輪では、まだ報道カメラマンのメーカーシェアはCanonとNikonが優勢だったものの、SONYの報道利用は確実に増えつつあるのは確かです。
こちらの記事では、Canonが6割近くと圧倒的優勢、Nikonは3割ですが、SONYは1割弱とのことで、将来的にもCanonが優勢であること、SONYは今のコンセプトのままでは逆にシェアを落とすのではと予想しています。
個人的にはNikonが追い上げをかけない限り、そしてプロ向けサービスの質を落とさないようにしなければ、機材リプレースのタイミングで、ごっそりCanonに持っていかれる気がしてなりません。ここが踏ん張りどころと思います。そして、プロの間でもEOS R5が支持されている通り、ミドルクラスの充実も必要です。
Nikonは、Z 9に続くZ 8で3000万画素クラスの高速連写機を、そしてZ 7IIIでは画素数据え置きで秒20コマ達成(EOS R5の対抗機種)を目指すべきと思います。
ところで、8K動画を1時間以上連続撮影できるストレージって?
Nikon Z 9で疑問に思ったこと、8K動画を、気温の高い屋外で1時間以上撮影できることは、ただでさえ熱が厳しい8K動画撮影では画期的なことです。
SONYのα1では、4:2:0 10bitで約30分の8K 30p動画記録としていましたが、Nikon Z 9ではこの倍以上を撮れるということです。
放熱にかなり気を配った設計となっているようです。
疑問に思ったのは、8K30pで1時間以上動画を撮る場合、ストレージはどの程度消費されるか?ですね。
SONYのα1の場合、動画のビットレート(最大)は、
- XAVS HS 8K30p 10bit 4:2:0・・・400Mbps = 50MB/s
- XAVS S-I 4K60p 10bit 4:2:2・・・600Mbps = 75MB/s
となっています。なお4Kのモードは複数あり、上記は最高画質のモードの場合です。
意外にも8Kより4Kのほうがビットレートが多い、と思われる方もいますが、8Kでは30フレームで、クロマサブサンプリングが4:2:0なので、4K動画は8K動画の画素数1/4しかないとは言え、クロマサブサンプリングで4:2:2で倍のフレームレート、更に圧縮方法の違いなどから来ています。
純粋に解像度は8Kが有利ですが、色情報法の多さを加味すると、実はα1の場合はXAVS S-I 4Kのほうが編集時の耐性が高く画”質”は上といえます。
このビットレートは動画と考えれば案外高くありません。
単純計算すると、8Kなら30分で約90GBとなります。今どき128GBのメモリーカードは普通ですね。
ただここで気になるのは、SONY α1はCFexpress Type A/SD UHS-IIのデュアルスロットで、書き込みの速いCFexpress Type Aカードは、現時点で最大容量が160GBまでしかラインナップされていないのです。
SDカードならより大容量のカードもありますし、600MbpsならSD UHS-IIカードでも速度的に問題なく書き込めます。
逆に言うと、フラッグシップ機たるα1が、書き込み容量や速度で不利なCFexpress Type Aを採用したことは疑問です。この辺りが、ボディサイズと合わせて、α1がフラッグシップ機、というよりはプロ機として足かせになるのではないかと危惧する部分ではあります。
Canon EOS R5の場合、
- 8K DCI RAW HDR PQ 4:2:2・・・2600Mbps = 325MB/s
- 8K DCI ALL-I HDR PQ 4:2:2・・・1300Mbps = 162.5MB/s
となり、EOS R5のほうが書き込みビットレートが速いモードが多いです。8K動画撮影時の熱問題で販売当初叩かれたR5でしたが、基本的なスペックは、α1を上回っている部分も多いですね。
なによりボディ単体でRAW動画が撮れるのは魅力でしょう。
ちなみにCanonのサイトによれば、 最大ビットレートを使用する8K DCI RAW HDR PQの場合、 1TBのカードで51分撮れるようです。※ただし連続撮影は温度上昇に伴い約20分です。
現時点でCFexpress Type Bカードは2TBまで発売されていますから、EOS R5で8K動画を撮る場合は、1TBのカードは欲しいところですね。お高いです。
NikonがZ 9の8K動画ではどのような方式を採用するかによるけど…
結論から言うと、1時間以上の8K動画を撮る場合、SONYの50MB/s程度のビットレートなら256GB以上のカードが、Canonの8K RAWのようなビットレートの場合は2TBが必要になります。
恐らく、複数のモードが用意されるのではないかと思いますが、8K動画前提なら、最低512GB、1TBは必要でしょう。そうなるとカメラを買い替えたら、CFexpressカードにかかる予算も考慮しなければなりませんね。
スチルだけなら、128GBか256MBあれば十分でしょうけど。
個人的に、今の所8K動画を長々と撮る予定はないし、それより4Kを高画質で撮りたいと思っていますが、タイムラプスで8K動画は作ってみたいと思っています。編集ソフトも含めると…やっぱり動画ってカネがかかりますね。
8K動画を1時間撮れるくらいの熱耐性があるなら、4K動画なら余裕があると見てよく、この辺りは流石にNikonのフラッグシップなんだな、と思わせますね。