「Nikon Z 9」タグアーカイブ

AIは万能でもないし正しいとも限らない

技術的な流行で、近年もてはやされるAI(Artificial Intelligence)、人工知能。

実はAIブームは80年代後半から90年代にもあったわけで、それこそ当時の家電にも取り入れられていたりするのですが、あの頃言っていたAIとは、ある程度集約化されたデータベースを元に答えを導くもので、現在のようなディープラーニングによる機械学習、深層学習に基づいた導きとは大きく異なります。
現在のAIは、平たく言うと、散々学習させた結果を元に答えを導く、というもので、20世紀では来なかった大量のデータの蓄積と解析ができるようになり、より導き出せる精度が上がったために、実用に達するものが増えてきた、と言って良いのかなと思います。

ではAIが万能で正しいか、と言われると、そうではないでしょうね。大量に学習しても、そもそも学習するデータの精度、そのデータから答えを導くためのアリゴリズムなど、様々な要因があり、偏向的な学習しかさせないと、答えも偏向した結果にしかならないのです。
ディープラーニングが進化して、大量の学習ができるようになっても、まだまだその学習させるべきデータに達していないことも多いし、学習のさせ方次第という面も大きいです。
マスコミが無闇やたらにAI[による危機を煽ったりもしていますし、ここ十数年の映画のトレンド(AIが暴走するみたいな)にもなっていますが、言う程万能ではないのですよ、現時点では。

で、何が言いたいかというと、AdobeのLightroom Classicに搭載されているAIノイズ軽減も万能ではないって話です。
例えばこの写真。

ANA B767-300ER (JA608A)

鬼滅の刃 じぇっと -弐-が羽田空港にアプローチするのをベランダから撮りました。17時近くで、この時期だともうかなり暗い時間です。写真ではそこそこ明るく見えますが、ISO感度22800、AF-S NIKKOR 600mm f/4G ED VRテレコンバーターTC-20EIIIを取り付け、1200mm f/8相当で撮影しました。
この時点で、開放f値がf8なので、AF的に厳しい条件で、使用したボディのNikon Z 9、以前のファームウェアではAFがなかなか合わない条件でした。
しかしだいぶAF(オートフォーカス)も進化しましたね。Z 9は「ディープラーニング技術を用いて開発した優れた被写体検出」を搭載しているため、このディープラーニングによる機械学習の精度アップにより、より被写体検出力は上がっています。
ただ厳しい言い方をすると、それでも暗所のAFの食いつきそのものは、Nikonの現行一眼レフに追いついていないと思いますが。

さて、ISO22800という、常用感度の限界に近い数値、Nikon Z 9は積層型裏面照射型CMOSセンサを搭載していますが、高速読み出しが可能な分、発熱等によるノイズはやや多めです。
この写真を、Adobe Photoshop Lightroom ClassicでAIノイズ軽減させてみました。

Lightroom ClassicによるAIノイズ軽減適用後

いや相変わらず凄いですね。細かいノイズは残りますが、ディテールがさほど潰れずに再現されるのはさすが。
ただ「さほど潰れず…」という表現をしたのは、そうでもない側面を確認したからです。Web掲載用画像は解像度を落としているので、等倍で切り出した写真です。

機体のレジ番号は潰れています

これ、元画像の時点でディテールが潰れてしまった結果、文字として成り立たなかったため、AIによるノイズ除去後も文字の形が崩れてしまっています
この機体のレジ番号は「JA608A」なのですが、AIノイズ除去でノイズを取った結果がこれなので、そもそもが文字としての解像力が不足していたわけです。
仮にAIがこの機体は鬼滅の刃じぇっと弐というのがわかっていれば、ここに入る数字もわかるので、無いディテールを再生できる可能性はありますが、結果としてはこうなりました。
現時点では、恐らくこうであろうという推測からノイズを消していると思われますが、やはり元の画像のノイズが多すぎると、精度が悪くなりますね。
こういう場面では、暗所に強いカメラに限りますね。

上の写真はテレコンを外して、レンズ素の状態で撮影。いくらミラーレス機では開放f値関係なくAFが使えるとは言え、明るいレンズのほうが歩留まりが上がるのは言うまでもありません。初期のFWでは夜は合わなかったNikon Z 9のAF、だいぶ改善されています。ちゃんと合います。ここは素直にディープラーニングによる学習が進んだ成果がAFのアルゴリズムに反映されているのでしょうね。

Japan Mobility Show2023に行ってきた その5

10時すぎから楽しんだJMS2023も、そろそろ終了の19時が近づいてきました。

SUZUKI

変にオシャレな感じも気取った感じも意識高い系でもなく、実にSUZUKIらしい展示でした。

シニアカーに謎モビリティ、そして次期スイフトのコンセプト(ほぼこのまま出るのでしょう)、そして今後20年は売るであろうジムニー(写真は普通車のシエラ)、特段目を引くものはないけど、これがいつものSUZUKIです。

BMW

今回数少ない欧州勢の1つ、BMW。昔は好きだったメーカーで、いつかはM3に乗りたいと思っていましたが…もうデザイン的についていけないです。
まあ悪くないモデルもあるけど、中国で売ることを念頭にしているデザインは…
冒頭のコンセプトカーも何だかパッとしませんねぇ。

特段見るべきものがない…やっぱりスポーツモデルがないのが寂しいな。

MITSUBISHI MOTORS

一時期リコール隠しなどで低迷して、会社存続すら危うい感じだったMITSUBISHI MOTORSですが、もう方向性はSUV一色、これに尽きます。SUVブームに乗って、得意分野を猛アピールです。

Dynamic Sound Conceptが、DIATONEではなくYAMAHAと組んでいるのは、三菱グループ(特に三菱電機)から総スカンされた結果ですかね。逆にDIATONEもかつてカーオーディオのCMに登場させた車は外国車でした。

全てがSUVでした。ランエボみたいな車はもう出ないんだろうな。コンセプトカーのD:Xは次期デリカのイメージでしょうね。個人的に結構好きです。

NISSAN

話題の”チバラギ仕様”チャンプロードに出てきそうなGT-Rっぽい車両とか、次期型を開発しているのかエルグランドっぽいミニバンコンセプト、ん~って感じです。

なんだろうな、このモヤモヤ感。CGではかっこよく見えたのに、実車にしてみたらン?となってしまった感じです。
近年は、CADによるデザイン設計がふえて、クレイモデルはなるべく作らない方向になってきているようですが、やはり実際の感覚って大事です。


ということで、19時めいっぱいまで楽しみました。

Japan Mobility Show2023は、今週末まで開催です。3連休中も、まだの方はぜひ楽しんできてください。

Japan Mobility Show2023に行ってきた その4

さてこの時点で17時半、一般公開初日だった土曜日は19時までの公開なので、まだ余裕はあるとは言え、残り1時間半。案外あっという間です。
それでも海外メーカーの展示が減った今回は、展示数は少ないようですけど。

LEXUS

奇をてらった展示はなく、落ち着いたシックな展示でした。派手な演出をしたTOYOTAブランドとは対照的、王者の余裕ですね。

ただ、個人的にはあまり見どころはなく、写真は少なめ。

BYD

今話題の日本進出した中華メーカーです。中国最大のEVメーカーですが、まだBEVが定着していない日本ですが、恐らく日本人が買わなくても、在日中国人が買うんでしょうね。

デンザD9(騰勢)は、PHEVとBEVという2種類のパワートレインで展開中。日本では導入されていないため、展示車も左ハンドルでしたが、見た目は正面アルファード、リアのCピラーあたりはオデッセイっぽい印象。
中国でもアルファードのような高級?ミニバンが人気のようです。DYNAUDIOのスピーカーが搭載されていました。あのDYNAUDIOがねぇ…(かつては日本や中国人の悪口を言っていたメーカーだったり…)
内装はLEXUSっぽい革シートで、まあいろんな寄せ集めっぽい印象ですが、それがうまくまとまっているのが今の中華メーカーの大手のすごいところ。

日本では販売していないけど、SUVもあり、もうフルラインナップで展開していて、この辺りは日本や欧米メーカーともはや遜色ないですね。

男の子が触っている大型のタブレットタイプの操作系も、ここ最近トレンドですね。こういうのを見ると、クルマも長く使うものというより、デジタルガジェットのように次々と買い替えていかないと…となりそうで、何だかな~。
近年おねぇさんをあまり配置しなくなったモーターショーに於いて、一番多くおねぇさんがいたような。

YAMAHA

バイク乗りではないので、バイク自体にあまり興味はなかったのですが、YAMAHAの展示が面白かった。バイクだけのメーカーじゃないぞとばかりに楽器も展示していましたし、パフォーマンスも面白かった。

最初に出てきた未来型のバイク、これスタンドしていないときでも倒れないんですよ。どうなってるの!?
オフロードバイクのパフォーマンスは圧巻でした。ブレブレですけど(笑

続く…(次回で最後です)

Japan Mobility Show2023に行ってきた その3

モータースポーツブース、グランツーリスモの競技も開催される中、Honda F1が近くで見れたのが嬉しかったな。

なにげにすごいマシンが展示されているのに、やはり奥で行っているグランツーリスモに人が集まっています(笑)
おかげでゆっくり見れましたけど。

では東ホールの4,5,6へ。

KAWASAKI Ninjaは40周年なんですって

SONY & Honda

鳴り物入りで登場したSONYとHondaの共同制作車、AFEELAですが…

かっこよく展示していましたが、個人的にこのデザインは、一昔前に考えた未来のクルマ感が強いです。何だか逆に古臭いんですよね。
本当に売るんだろうか?

Honda

Hondaって自動車会社ではないんですよね。何でも屋さんです。そのせいか、今回モビリティーショーになって様々なジャンルのものが展示されている一方、ちょっと展示自体に一体感がない印象でした。

クルマにバイクに、移動する椅子のUNI ONE、搬送車やロボット、色々あるけど目玉があまりないような。展示もやや寂しく、TOYOTAとの差が出た感じですね。
そんな中、見たかったモトコンパクトがあったのが良かった! 予想以上に薄い! いいなこれ~。

eVTOLにHondaJet ELETEIIに自動運転タクシーのCRUISEに電動自転車に、もう何でもあり。でもなにか寂しいのは、F1が別ブースに展示されていたり、スポーツカーがなかったことですね。

そんな中、これが良かった! 久々に復活したプレリュード!

カッコいいじゃない! ホイールベースはシビックと同じみたいです。サイズ感は大きすぎずちょうどよいですね。
細部もショーカーというより、ほぼ販売する車に近いですね。ホイールが20インチなのは、多分販売時には18インチあたりに落とすと思いますが、これは欲しいなと思いました。
でも500万円近くするのかな…

続く…

Japan Mobility Show2023に行ってきた その2

TOYOTAと関連企業

TOYOTA系のブース、なにせJMS開催を牽引する企業だけに、本体とトヨタ車体など関連会社合わせて最大のブースを形成していました。
センチュリーのSUVのような高級車が、誰でもお触りできる状態で置かれているのには驚きです。
さすが、世界一の販売量を誇るメーカーだけあります。

そして展示がとにかくすごい。背景や車体に映像を出していましたが、高解像度で圧巻でした。

TOYOTAのステージが、これまた映像とダンス、そして音楽と、もう車のイベントか?ってくらいに力が入っていて、観客を引き付けていました。あれをやられると、周りの展示が可哀想になるくらい、TOYOTAに人が集まっていましたね。
70ランクル、昔のデザインのまま灯火類はブラッシュアップ、ランクルもメルセデスのGクラスに負けない伝統ブランドですからね。
とにかく圧巻でした。

Mercedes

Mercedesは奇をてらった展示はなくオーソドックス。個人的に最近のモデルは若旦那感が強くて趣味ではないけど、さすがドイツ御三家のトップだけあって、安定感があります。

SUBARU

ごめんなさい、今回あまりパッとしなかったです。

写真も殆ど撮らなかった。SUBARUはどちらかというと好きなメーカーだし、乗るといつもいいな~ってなるのですが、今回あまり目玉になるような展示形なったですね。

MAZDA

ここ最近の見せ方通り、派手な演出はないけどシックな展示が多い印象でした。特に今回はロードスターブランドを大切にしているんだな、というのが伝わってきましたね。

面白いと思ったのは、写真にある白いロードスター。これ、実車ではなく、赤ちゃんを乗せて写真が撮れる小型モデルなんですよ。これがよく出来ていて、一生の思い出になるなと思いました。こういう体験は大切ですね。
そしてICONIC SP、これは純粋にカッコいい。さすが、デザイン力は国産で運を抜いていますね。
最近のMAZDAはSUVばかり乱立して、正直ちょっと飽きていたので、こういう低いシルエットの車にグッと来ます。

その他部品メーカー系など

その他でくくってしまいましたが、数が多いので。でも見どころは結構ありました。
まずトップの4枚の写真、THKのLSR-05、これが今回のJMSで自動車メーカー以外のコンセプトカーとしては群を抜いてかっこよかった!
この時代にあえてセダンですが、前後に踏ん張ったタイヤ、薄すぎずバランスの良い車高など、未来を感じさせます。
あとで聞くとデザインは元日産のデザイン本部長で、現在はSN DESIGN PLATFORMのCEOの中村史郎氏によるものだそうです。

海外勢はEV主体、もうエンジン、ハイブリッドでは戦えないからでしょうね。そらとぶクルマ系もそこそこ展示があり、電動キックボード、電動バイク、自動運転トラックなど、このあたりは現在のトレンドですね。

続く…

Japan Mobility Show2023に行ってきた その1

4年ぶりに開催されたモーターショーは、名前をJapan Mobility Showに名称を変更して、クルマだけでなくバイクや自転車、航空機など総合的なモビリティショーに生まれ変わったとの触れ込み。さてどんな感じかしら?

Concorso di Replica 2023

まずは会場に入る手前、国際展示場駅から東京ビッグサイトの本会場の間にあるイーストプロムナード石と光の広場に、日替わりでの展示が行われます。
私が行った先日28日(土)は、Concorso di Replica 2023と題した歴代レースカーとラリーカーの展示でした。

往年のラリーカーがズラリ。OZ Racingの白のホイールが懐かしい。昔これアコードに履いてたっけなぁ。ランチア・デルタとか、胸熱です。

会場、まずは南ホールから

一般公開初日でしたが、10時の開場から少し時間を空けていったので、入場はスムーズでした。

トミカにスーパーカーに、コーティングのKAMIKAZE COLLECTIONに(今年のオートサロンでもお見かけしましたね)、そして今話題の電動キックボードなど。たしかに車がメインですが、それ以外の展示も多かったですね。とはいえやっぱり車がメインですけどね。

Out of KidZania

前回もあったそうですが、見たのは初めて。

各社特色が出てますね。Hondaは除雪機のテスト、とちょっと地味でしたが。Nissanのクレイモデルは楽しそうですね。

ささっとお昼を頂いて…

早い時間だったのでそれほど並ばず買えました

西ホールの部品・機械器具展示

いつも時間がなくてあまりしっかり見れていなかったけど、今回はじっくり見てきました。ここはモーターショーというよりは技術展ですね。

燃料電池を自転車に積むとか、従来の8倍充填可能な水素タンク、往年のOHLINSのサスペンションに、NSKではeVTOL用のベアリングなど、久々に技術展を見ました。
やっぱり電動化はもうトレンドであることは言うまでもないですが、そのアプローチが様々だな~と思いました。
どう考えたって、現在の充電方式だけでは不便極まりないですからね。燃料電池や交換式バッテリが、近々では現実的な選択になるのかもしれません。

東ホールの次世代モビリティ・モータースポーツ関連

ここが一番大きな会場なので、何回かに分けてご紹介します。
最初に行ったのはトラック・バスの大型車ゾーン。

や~っと国産メーカーからもEVトラック・バスが出てくるようです。
ISUZU ERGA EVは技術者の方に色々話を聞きましたが、バッテリを床下ではなく天井に搭載しているそうです。これは低床化と冷却のためだそうですが、重心が高く揺れなど大変なのでは?と聞いたところ、サスペンションで抑え込んでいるようです。アクティブサスペンションを搭載来ているのかと聞いたら、そうではないそうです。
バッテリを座席の下など空間に押し込んでは、との質問には、バッテリを分散させると管理と冷却が難しくなるとのことでした。EVもなかなか難しいですね。

ISUZUはHondaと燃料電池トラックの展示。HondaはCLARITY FUEL CELLなど、かつては燃料電池車も販売していましたが、現在は終了しています。やはり水素タンクがスペースを取るといった課題が大きく、TOYOTAほどの販売規模がないHondaには難しかったのかな? どちらというとスペースに余裕がある大型車に適していると思っていましたが、実用化はどうなんでしょうね?

DAIHATSU

DAIHATSUのブース、もちろん小型車中心です。懐かしいモデルの展示もありました。一方次世代のCOPENのコンセプトカーや、軽のEVワゴンも。個人的に思うのは、日本は軽自動車からEVが普及するのでは、と感じています。そこまで航続距離を求められないチョイ乗りがメインであれば、ある程度充電方法の解決があれば、普及するのではと思います。
特に過疎地域ではガソリンスタンドがどんどん減っていて、給油のために長い時間と距離で街に出てまで…となると、自宅で充電できるメリットは大きいですから。

次世代のコンセプトであるVISION COPENは、2002年の初代の印象そのままですね。こうして軽オープンを出し続ける姿勢は評価したいですね。

続く…

Adobe Lightroom Classicの新機能「AIぼかし」を試す

Adobe Lightroom ClassicのVer13.0.1で追加された新機能「AIぼかし」ですが、早速試してみました。
スマホには昔からありますが、不自然な画像になることも多かったです。最近は良くなっていますが、同じことがLightroomでできるとはね…

ぼかし(レンズ)の適用にチェックを入れるだけ

やり方はとても簡単です。右のパネルに追加されている「ぼかし(レンズ)」の適用にチェックを入れるだけです。

新たに追加されたぼかし(レンス)の適用にチェックを入れるだけ

チェックを入れると、LightroomのAIが画像を解析します。フォーカスの合っている被写体はぼかさず、背景と前景をAIが解析してぼかしていくという仕組みのようです。

解析はNikon Z 9の画像でおおよそ7,8秒程度

解析が完了すると、写真の遠近がグラフ化され、どの部分にフォーカスが合い、どの部分をぼかすかがが表示されます。
ぼかし量はぼかす範囲の調整も可能です。

ぼかし量やピントの合う範囲の調整が可能

それでは写真を比較してみましょう。普段家族以外のポートレートは撮らないので、2023年のオートサロンの写真を使ってみました。

左が通常、右がぼかし(レンズ)を適用 Nikon Z 9 + FTZ II + AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR (f2.8 1/80s)

スライダーで効果を比較してみてください。この画像の場合、フォーカスの合っている被写体が手前にあり、背景がなだらかにぼけていっているのと、元が一眼のf2.8開放で撮っているため被写界深度はやや浅く、解析がしやすい画像と言えます。どのように被写体距離を解析しているのが、「奥行きを可視化」にチェックを入れることで表示できます。

「奥行きに可視化」にチェックを入れる
わりと精度良く被写体距離が解析できているのがわかります

このように色で被写体距離をこう解析しましたよ、というのが可視化されます。結構精度は高いように思いますが、この画像が比較的わかりやすい、というのもあるでしょう。

次の画像も、元々の画像が背景ぼけしているため、そのぼけ量をより強化した感じに仕上がっています。ぼけ量を増やした上で、一昔前の大口径レンズらしく、少し周辺減光させてみました。

左が通常、右がぼかし(レンズ)+周辺減光を適用 Nikon Z 9 + FTZ II + AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR (f2.8 1/60s)

元の画像はちょっと中途半端でうるさいぼけになっていましたが、まるで大口径レンズで撮ったかのようなぼけになりました。
ただよく見ると、モデルさんの髪の毛の一部が背景と一緒にぼけてしまっているのがわかります。とはいえ、比較しなければわからないですけど。

ちょっと意地悪して、ボケ量の少ない画像を選んで効果を比較してみましょう。

よく見ると右奥の背景はぼけているけど…

これも絞り開放ですが、ある程度離れた距離の被写体で、背景との距離もさほどないため、元の画像のぼけ量も少なめです。
このため、デフォルトの設定では、あまり大きな効果は感じられないですね。

ここでは、手前の「電気じどう車(実験用)のハチロク」に、手動でフォーカスポイントを合わせてみました。ポイントをヘッドライト付近に設定しました。

一番右のボタンで焦点領域を手動設定してみる
一見うまくボぼけているけど、ちょっと不自然な部分も…

先程より効果的にぼけているのがわかります。ただよく見ると不自然で、後ろの「水素エンジン(実験用)のハチロク」、ボケていますが、手前のハチロクのボンネット支えのバーを境に、ボケていないのもわかります。
このバーを境に、左側はボケていないので、手前のハチロクと同じ距離と認識してしまったようです。
このように、まだ不完全な部分もありますね。

この画像を、被写体をぼかして奥はぼかさない(元の画像のまま)、ということも出来ます。

フォーカスの合う範囲の枠を背景側に移動させると…
手前のハチロクをわざとぼかす設定に

ミニチュアっぽく見える画像にようになりました。奥のハチロクにフォーカスが合って、手前はぼけています。元々奥の壁や映り込む人はぼけているので、余計にミニチュア効果のようになっていますね。

最後に、会場の上から撮った写真をぼかしてみました。

若干不自然だけど、奥のボケ方はけっこう精度よく生成できています

こういう写真は効果が出づらいかなと思っていましたが、少々無理やりぼかした感じはあるものの、ちゃんと奥に行くほどぼけています。
このような撮り方では、いくら明るいレンズを使ったとしてもここまではぼけませんからね。ティルトレンズを使ったかのような効果です。
ただ、ぼけの境界線がやや不自然なのは、TEINさんの看板がついている部分のパイプの枠組みあたりから急速にボケているからですね。距離をAIで画像から認識させているため、どうしても不自然な部分は出てきてしまいます。

まだ出たばかりの機能なので、より多くの画像を学習することで、もっと自然な仕上がりになる日もそう遠くない気がします。
AI画像生成然り、だんだんと写真ってなんだろう?という時代になってきていますが、こうした効果もやりすぎない範囲で使うのは当たり前になっていくのでしょうね。

運動会のN-RAW動画編集中

忙しくて着手できていなかった運動会の動画を編集中。
今回は全てN-RAW(Nikon RAW)の標準画質、N-Logで撮影。1つだけ試しに8.3Kで撮影しました。

Davinci Resolveなら無料版でも8K N-RAW動画を編集可能

よく8K動画は無駄とか言われますが、編集段階でズームしたり、スタビライズさせたり、傾きを修正しても、最終出力が4Kであれば解像度を落とすことなく、オーバーサンプリングで出力できます。
また、今回撮影に使用したNikon Z 9はRAW動画撮影時に、FHDのプロキシ動画(2K H.264)を生成できるため、編集時のプレビューはプロキシ動画を使えば、サクサク編集可能です。

最終出力時のデリバータブで、動画品質のオプションで「最高品質にサイズ調整」「最高品質にディベイヤー」にチェックを入れます。

最高品質にサイズ変更と最高品質にディベイヤーにチェック

あとはレンダーするだけです。ここはある程度GPUパワーを使いますが、おおよそ4分程度の動画のレンダー時間は、Ryzen 9 5900X GeForce RTX3060という標準的なスペックのマシンで、おおよそ20分程度でした。今回、元データも書き出し先もHDDを使っているので、SSDならもう少し速いかもしれません。

そんなこんなで編集に時間がかかっていて、ブログ更新もままなりません…。ということで簡単に報告でした!

Nikon Z 9のFW:Ver4.10に鳥と飛行機認識モードが追加された!

元々Nikon Z 9は当初から動物認識モードと乗り物認識モードがあったので、その中に撮りや飛行機も含まれていましたが、今回のファームウェアアプデートで、独立した認識モードとして追加されました。

早速アップデートしてみました。

一眼レフよりファームウェアの容量も増えているZ 9、相変わらず更新は時間がかかります。

動物認識の中の大括りの1つだった「鳥」と、乗り物の中の大括りの1つだった「飛行機」が、それぞれ専用モードとなったことで、被写体認識の精度アップするものと思われます。同じ画面の中に複数の別々の被写体が入った際に、それに引っ張られづらくなると良いですね。

ただ、個人的に、恩恵がありそうなのは飛行機よりも鳥かなと思います。鳥撮りの人からは、Nikonの被写体認識は背景の岩や木の枝にピントを持っていかれる、という話もよく聞くので、そういったシーンで認識率が良くなるとよいですね。

正直飛行機は、初期のファームウェアからよく出来ているのと、鳥と違って背景がゴチャつくことは少ないですし、被写体も鳥に比べたら遥かに大きいですからね。

Nikon Z 9購入直後の撮影。Ver1.0のFWでもちゃんと飛行機のコックピットを認識している

例えば購入直後のFW:Ver1.0であっても、旅客機のコックピット付近をちゃんと認識できています。
なので、自分の撮影のメインである航空機の撮影では、従来以上に他の被写体に引っ張られなければ御の字かなと思っています。

一方で、X(Twitter)のフォロワーさんの検証では、旅客機のような大きな被写体よりむしろ、戦闘機くらいの大きさの被写体での追従制度が上がっている印象でした。

早く戦闘機で試してみたいです。

それにしても、発売からまもなく2年近くなるNikon Z 9ですが、順当にFWアップデートで機能追加と改善が図られていますね。

Z 8のHEIF対応は、Nikonの中の人からは、FWアップによる追加は難しいと言われていましたが、これについてはあまり重要ではないと考えます。まだWindowsやAndroid環境では、HEIFの閲覧が難しいからです。
また、Nikon Z fで初めてNikonとしてセンサシフトによるハイレゾモード、モアレ低減モードが追加されていますが、これもハードウェアに依存すると思われ、FWアップによる機能追加は難しいと思われます。
が、ちょっとだけ期待している自分もいたりして(笑

【陸上自衛隊木更津駐屯地】木更津航空祭2023 その2

午後は駐屯地内を散策。

横浜消防のヘリは先にお帰りでした。
オスプレイはローターを前に向けた固定翼モード、更にその状態からローターと内側に畳んだモード、ローターを上に向けた回転翼モードの3形態で展示されていました。
こうしてみると、固定翼モードはローター直径は機体規模に対して大きく見えますね。逆に回転翼モードでは小さく見えるのが不思議です。ティルトローター機にとって、ちょうど良い塩梅の直径ということなんでしょうね。

木更津駐屯地と言えば、古い建物が結構多いのも魅力。

結構古い建物が残っていますね。海沿いだけあって、いい感じの錆びっぷりも観られます。
羽田空港も近いので、上空をひっきりなしに羽田へ向かう旅客機が飛んでいました。ここの雰囲気、個人的に好きです。

さて展示機エリアに戻ります。オスプレイを近くでじっくり見てきました。まだスペマはないですが、デカールを貼られていたりと、今度少しづつ独自のマーキングを入れたりするかもしれませんね

海上保安庁のボンバルディアDHC-8-300は、2010年前後にYS-11の代替として導入した機体で、長距離捜索救難を任務としています。

後部ドアから救難物資を透過するため、風よけが付いているんですね。
こういう風よけは、軍用の輸送機では空挺部隊が降下する際におなじみなのですが、海保の機体にもあるとは知らなかったです。
YS-11より少し小さめの機体で、全高が低いため、YS-11より小型に見えますが、実質的にほぼ同規模の機体とのことでした。

そして珍しいゲスト機としては、海上自衛隊の多用途機U-36Aがわざわざ山口県の岩国基地から来たことです。
普段は岩国基地にいるため、関東圏のミリタリファンにとっては珍しい機体です。


今回は隊員さんが熱心に解説してくれました。
何でも、木更津飛行所に来たのは二十数年ぶりだったので、前回フライトしてきたときの隊員は引退していて、本当に着陸できるのか?(木更津飛行場の滑走路は短いため)、また離陸できるのか検討した所、着陸は出来るが、燃料満載で離陸できないため、この後の帰投は最小限の燃料で、同じ千葉県内の海上自衛隊下総航空基地を経由して帰るとのことでした。


自らが対艦ミサイルをシミュレートする機体ですが、搭載機器の多くが老朽化し、アンテナや通信機器類は他の機体からの転用も多いとのこと。
そして2022年にはU-36Aは防衛力整備計画にて削減対象となることが閣議決定したため、今後用途廃止となるようです。
既に初号機が7月に退役し、残り3機のうちの1機である本機も、遠からず退役になるようです。
機体自体は頑丈で、特に主翼は胴体を突っ切った一体品で頑丈であることから、まだ何十年も飛ぼうと思えば飛べるそうですが、残念ですね。
個人的に、この機体は民間ビジネスジェットのゲイツ・リアジェット35ベースで、昔遊んだMSフライトシミュレーターで馴染みがある機体なのと、翼端に取り付けたミサイルシーカーシミュレータなど特徴のある機体だっただけに、ちょっと思い入れがあります。何しろ近くで見たのは、二十年以上前の千歳基地の航空祭以来ですし。

チーバくんに君津市のきみぴょん、固定翼モードで疾走するオスプレイもw

チヌークの気象レーダー、レドーム開けてるの初めて見ました。小さいなぁ…。

さて、いよいよ終盤。ゲスト機が帰投します。

ラストの百里救難のUH-60Jは、いつも通り(笑)派手に上がっていきました。

晴れてよかった!

初めての木更津航空祭でしたが、登場機体が多く楽しめました。
オスプレイも、今後の飛行展示に期待したいですね。