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錆びついた煙突がジブリ感を引き立たせる、某廃工場の煙突

埼玉県某所。東北道沿いに古い煙突が存在します。
東北道を通るたびに気にはなっていましたが、行ってみることにしました。

埼玉県東北自動車道沿いの廃工場の煙突

天気はどんよりしていますが、幸い雨は降らず。関東も梅雨入りしたので、この時期は撮影が難しいですね。

監視カメラの電源配線は切断されていた

川と廃煙突、東北自動車道はこの向こう側にあります。廃工場は不法投棄も多いせいか、監視カメラが設置されていたようですが、電気メーターボックスのメーターは外され、現状は通電されていない模様。
実は東北自動車道をまたいでここへアプローチする橋は、廃止が決定されたようです。この廃工場と煙突も、いずれ撤去されるのでしょうか?

いいサビ具合です。ジブリアニメにに出てきそうな錆びっぷりです。
レンズをお気に入りのAF DC-Nikkor 135mm f/2Dに切り替えました。Nikon Z 8ではMFでしか使えませんが、サビの質感がよく出ています。

流石に中に入ってまで見ようとは思わなかった、というかこの煙突で十分楽しめます、わたし的に。

東北自動車道と川に挟まれた場所に佇む廃工場と廃煙突、一体何の工場だったのでしょうか。ぱっと周辺を見た限り、名前も工場のジャンルも不明でした。鉄くず処理工場だったとの話もありますが、詳細不明です。
さていつ頃出来て、何時廃墟になってしまったか? 国土交通省の国土地理院の航空写真で大まかに調べてみました。

70年代に作られ90年に煙突が出来た?

こうやって掘り下げていくのが楽しいですね。まず1969年。この時点では、まだ東北自動車道はなく、川に掛かる橋は既に存在しています。

1975年には、既に現在と同じ東北自動車道が出来ています。ほんの数年でこんなに道路ができてしまうとは! 用地買収とか、ほんと早かったのでしょうね。東北自動車道が出来たため、高速道路をまたぐ橋も建造されたようです。この橋は前述の通り、今年の5月に廃橋となり、通行止めとなっています。

1979年には、廃工場のある土地が開拓されていて、この時点で何かしらに使用されている形跡がありますね。

そして1990年、ついに煙突と工場が出来ているのが確認できました。ということで、この煙突と工場は80年代半ばから1990年までに建造されたようです。業務拡張したのか、会社が変わったのかは定かではありません。

しかし21世紀に入った2003年には、1990年のように敷地がフルで利用されている感じがなく、緑が増えていますね。この時点で既に使用されていない可能性がありそうです。
バブル末期に工場を設置したけど、バブル崩壊で今来立ち行かなくなった? そんなストーリーを想像させます。

2007年以降は、産廃置き場(不法投棄?)のような感じになっていて、2019年にはついに緑に覆われて、廃棄置き場としてすら機能していない感じがありますね。

この周辺はあまり開発がされていないのも面白いです。この航空写真の外側はかなり開発されている場所もありますが、現在も田んぼが多い地域です。
こうやって、あまり注目されていない建造物を掘り下げるのも、なかなか面白いですね。


よこすかYYのりものフェスタ2023に行ってきた【スチル編】

よこすかYYのりものフェスタは初めてだったりしますが、着いたのが13時半過ぎ。そこから昼ごはんを食べての会場入りだったので、見学は海上自衛隊横須賀基地の護衛艦ひゅうがに的を絞りました。

会場の奥の艦艇のほうが空いているらしいというのと、一緒の息子は物心がついてから初めて乗るヘリコプター護衛艦、エレベーターに乗せとけば楽しめるしね。

お隣の護衛艦やまぎりも見たかったけど、時間の関係で断念。こちらも艦齢がかなり古いので、見られるうちに見ておきたいという気持ちです。
ということで、護衛艦ひゅうがに乗艦しました。

案の定(笑)息子はエレベーターが気に入ったみたいです。
ということで、エレベーターで甲板へ。

「ひゅうが」型護衛艦は、サイズの成約でF-35B搭載はしないので、ファランクスCIWSも甲板に設置されています。光学照準器のコーティング、結構剥げていますね。
機関砲部分は住友重工がライセンス生産しているようです。

ひゅうが甲板は高い場所にあるので、周りがよく見えてよかったです。
一番のトピックは、昨日の記事にある、潜水艦入港と哨戒ヘリの飛行がセットで見られたことですね。
激混みということもなく、前世紀のこの手のイベントってこのくらいの込み具合だったよなぁ…という感じでした。見学時間ギリギリだったのが返って良かったです。

ひゅうがの甲板から見えたこの潜水艦、一見「そうりゅう」型と区別がつきにくいですが、船体の切り欠きの形状から、最新の「たいげい」型のようです。
そして、たいげい型はまだ2番艦までしか就役していないのと、2番艦は呉に配置されていることから、この写真の潜水艦は、ネームシップの「たいげい」(SS-513)であると推察されます。

たいげい型潜水艦「たいげい」(SS-513)

下艦して、その他の艦艇も外から観察。

特に潜水艦をこんなに間近で見られる機会はあまりないので、じっくり見てきました。
吸音タイルがかなり多くの面に貼られています。アメリカやイギリスの潜水艦の吸音タイルは、水圧による船体伸縮の影響なのか、結構剥がれている写真を見たことがありますが、海上自衛隊の潜水艦の吸音タイルは、剥がれているのを見たことがないです。剥がれないような付け方をしているのでしょうね。
そして、海上自衛隊の潜水艦は、就役直後や練習艦となったもの以外の現役艦艇は、艦番号や艦名を表記せず、どの艦艇がどこで作戦行動を行っているかがわからないようになっていますが、展示の潜水艦は艦名「せいりゅう」と銘板が掲げられていました。
そうりゅう型潜水艦の9番艦で、まだ新しい潜水艦ですね。

横須賀基地を出て、ベルニー公園で息子とベンチでおやつを食べつつ、艦艇を眺めて帰路につきました。

このくらいのんびり見られるなら、また来年も行こうかな?

よこすかYYのりものフェスタ2023に行ってきた【動画編】

子どもたちの週末が、テストで忙しくなってきて、なかなか家族で遊びに行ける機械が少なくなってきましたが、なんとか時間を作って、今回も息子と2人で横須賀に行ってきました。
予想通り渋滞はしていたけど、なんとか護衛艦の見学のラストに間に合いました。というか、ラストに護衛艦ひゅうがに乗れたのは運が良かったです。
今回は、スチルより先に、動画を編集してみました。
動画は護衛艦ひゅうがの甲板上から撮影。

Nikon Z 8の動画も、Z 9譲りで非常にきれいです。動画からのスチル切り出しでこのクオリティです。もちろん動画ならではの欠点は無きにしもあらず(露出など)ですが。
4Kなので800万画素ですが、むしろスチル化してブログに掲載する際にはフルHDに落としているという矛盾(笑
今や動画のほうがクオリティが高いというのもおかしな話ですが、Webで未だ主流のJPGが前世紀からのものなので、仕方ない部分はありますね。

実は展示されていた哨戒ヘリSH-60Kが15時半に離陸するのは事前に公表されていたので、ちょうどその時間前に護衛艦ひゅうがに乗れたら、甲板上から見ることが出来るだろうとは踏んでいたけど、まさかそのタイミングに合わせて、そうりゅう型潜水艦が入港してくるとは思いもよらず、ラッキーでした。
なかなか航行中の潜水艦を、高い視点から、しかも艦尾のX舵の動きも見ることは出来ないので、貴重な体験でした。

動画、手ぶれ補正の設定が課題だな…

Nikon Z 8の1週間使った所感

導入翌日にいきなり北宇都宮駐屯地開設記念行事の撮影で実践投入してみたNikon Z 8
レビューするほどNikon Z 9との相違が少なく、性能的にほぼZ 9と同じ。“Z 9ジュニア”と呼ばれていますが、実際はジュニアと呼ぶのはおこがましい位、Z 9とほぼ同一の性能、部分的には越えていたりもします。

かつて90年代後半、フィルム一眼レフのフラッグシップ機のNikon F5が登場し、その2年後にはミドルクラスでF5ジュニアと呼ばれたF100が登場しました。
F5とF100は、その操作系やAF性能は似ていますが、明確に違ったのはファインダの性能(視野率と倍率の違い)や、連写速度(F5が8コマ/秒、F100+バッテリパックMB-15で5コマ/秒)でした。
ファインダ交換式のF5に対し、交換不可能なF100、といったように明確に差がありました。

予約していたSmallRigのL字プレートも届いたので装着したNikon Z 8

ところが、Z 8は連写速度も8.3KのRAW動画対応も、ファインダの性能もZ 9と同一です。限りなくZ 9に近いのがZ 8です。
Z 9とほぼ同じカスタム設定をして実際に3千枚ほど撮影した限り、全く迷うこともなくZ 9と併用して使えることがわかりました。これぞ究極のサブ機です。もちろんこれをメイン機にしても、殆のケースに於いて、Z 9と遜色なく使えると思います。
とは言え、もちろん違いがあります。
いきなり実践投入したので、実際の良く撮るシチュエーション、自分の使い方で、Z 9と比較することが出来ました。その一部を紹介します。
似た性能の2機種ゆえに、どちらを買ったらよいか迷う人も多いと思います。あるいはZ 9ユーザーでも、Z 8に置き換えたい人も少なからずいるはずです。Z 9デビュー当時、これに匹敵あるいは近い機種はなく、縦グリ一体型の大型ボディを渋々買った人も多いからです。Z 9も中古でそれなりの数が出回り始めそうですね。
私のようにZ 9にプラスしてZ 8を運用するユーザーも多そうです。

●Z 9とZ 8、ボディサイズの違い・バッテリの違い

もっとも明確な差がこのボディサイズの違いです。
Nikon Z 9は、一眼レフのフラッグシップ機D一桁シリーズと同形状で容量をアップしたバッテリのEN-EL18d(10.8V 3,300mAh)を使用するため、バッテリはボディ下部への収納となり、そのでっぱりが大きくなっています。
この部分はグリップとなり、縦位置シャッターボタンやコマンドダイヤル、AF ONボタンなどが配置され、ボディと一体であることから剛性も高くなっていますし、バッテリ電圧が高く容量の大きいバッテリを搭載できることで、長時間の撮影が可能となっています。

一方Z 8は、これまでのZ 6/7シリーズやミドルクラスの一眼レフで使用されているEN-EL15シリーズの大容量版、EN-EL15c(7.0V 2,280mAh)を採用しています。
バッテリはボディのサイドグリップ内に搭載しています。サイズ的には、Z 6/7シリーズより一回り大きく、一眼レフのD850よりわずかに小さめとなっています。

また、バッテリの差については、電圧と容量から、Z 9とバッテリEN-EL18dの組合せに対し、Z 8とEN-EL15cは計算上概ね半分程度でしたが、これは実際に使用した感じでもほぼ同じでした。
連写多様の撮影をした場合、おおよそ2500コマの撮影でバッテリ残量は20%以下となりました。

また、この後バッテリ交換し、連写せずの撮影では、350枚程度で残量30%以下となりました。これもZ 9の半分程度、という感触です。
個人的な感触としては、予備バッテリは1本は必ず携帯したい感じです。幸い、EN-EL15cは純正バッテリとしては比較的安価で、EN-EL18dと比較しても1/3の価格ですから、2,3本揃えておくと安心です。
もちろん、PD給電可能な外部バッテリや電源でも動作するので、雨天荒天時の撮影でなければ、それを使うのもアリでしょう。

大きさの点、自分にとって明確に違ったのは、超望遠レンズのハンドリングでしょうか。やはりここはグリップの大きいZ 9のほうが、重いけどトータルバランスが良かったです。
AF-S NIKKOR 600mm f/4G ED VRが5kg超えという、NikonのAF望遠レンズ屈指の最重量クラスであることを加味しても、望遠レンズは重心がカメラ側にあるほど扱いやすいのです。手持ちの場合は。
D810でもD850でも、望遠レンズ撮影は常にバッテリグリップを付けて撮影していたので、Z 8ボディ単体のグリップは握りやすいとは言え、3kgを超えるレンズの場合はZ 9、あるいはZ 8でもバッテリグリップがあったほうが使いやすいです。
特に望遠レンズを縦位置撮影したときのZ 8は…腕がつりそうになりました…

この撮影はAF-S 200-500mm f/5.6E(2,300g)でしたが、望遠の縦位置撮影継続は結構きつかった…

●熱耐性

現時点でまだ6月故に、また発売から時間も経過していないことから、熱耐性についてはまだ語れるほどではないですが、簡単に。

ミラーレス一眼としては、他メーカーの同クラスと比較しても大き目のボディですが、特にもっとも発熱しやすい動画の連続撮影時間がZ 8では圧倒的に長いのは、ボディが大きい分、ボディのフレームに熱を逃がしやすいというのは大きいでしょう。
ただし、さらに大きなZ 9と比較すると、またZ 8はボディの一部を炭素繊維強化熱可塑性樹脂Sereebo® Pを使用して軽量化をしており、マグネシウム合金の使用量はZ 9より少ないため、放熱の面ではZ 9と比較して不利になっているのは確かです。
数時間の撮影では、ほんのりボディが熱くなりました。
5月の気温でもボディが熱くなったことから、真夏だとどうなるかは気になるところです。

この表示自体は、メモリーカードが熱くなっているので取り出し時に注意、ということで、撮影ができなくなるというわけではないですが、暑いということはメモリカード自体に負担をかけることに違いはないため、真夏の撮影では、連写など使い方次第では影響があるかもしれません。
Z 9は真夏に1時間道が長回しして何ら問題なかったのですが、Z 8は夏に向けてどうなるか、何かあれば報告したいと思います。何もなければ良いですけど。

●操作性

フロントのFnボタンが1つ少ないとか、ボイスメモボタンがないとか細かい違いはあります。が、少なくとも背面のボタンレイアウトは、Z 9のバッテリグリップ付近のボタンの有無はあれど、ほぼ同じです。

Nikon Z 9とZ 8の主要なボタンレイアウトは同じ

その中で細かな違いがここ。

スチルと動画の切り替えレバーの向きが変更されて、Z 8ではグリップを握ったまま親指で素早く変更可能となりました。
Z 9ではレバーが上向きのため、切り替えようとすると、親指を移動させなければならず、使いづらかったので、地味ながら良い改良。
もっとも、他メーカーのように、切り替えレバーがなくても、動画撮影ボタンを押せば動画が、スチルはシャッターボタンを押せば使える、といった具合に、切り替え不要で使えてほしいと思っています。

連写切り替えのダイヤル、これも長年Nikonの中級機以上の定番でした。Z 9はダイヤルでも設定でき、また同軸上の四葉ボタンでも切替可能で、両方使えるのは便利だけど迷いやすいというのもあります。
Z 8はダイヤルをなくしてペタンとなり、四葉ボタンのみとなりました。元々この操作系は、古くはF-801シリーズやF90シリーズなどでも採用されていて、自分はむしろこの方が使いやすいので、ダイヤルはなくなってOKです。視覚的にどのモードになっているかわかりやすいという利点がダイヤルにはありますが、そう頻繁に切り替えるものではないので、Z 8のダイヤルなしで個人的にはOK。この感じは、手持ちのF90Xに通じるものがあるので、個人的に入りやすかったです。

Z 9ではフラッシュモード切り替えボタンだった位置に、Z 8はWB(ホワイトバランス)切り替えボタンとなっています。
Nikonは四葉ボタンのレイアウトを機種ごとに地味に変えてくるので、そろそろ統一して欲しいところ。

●連写バッファ やはりSDカードはネックになる

連写を多用する方は気になると思います。ここからは、CFexpressカード(以下CFe)、SD UHS-IIカードともに最速クラスのものを使用しているという前提での話です。
私は元々普段の戦闘機撮影など航空機撮影では、秒10コマに制限して撮影しています。フィルム一眼レフ時代から連写切り替えモードでCL(低速連写)とCH(高速連写)の2段階の切り替えがあり、CLモードの存在意義がさっぱり分からなかったのですが、Z 9で秒20コマ撮れるようになり、実際そこまで必要ないなと思って、普段はCLモードで秒10コマ設定にしています。
そんなわけで、先日の北宇都宮駐屯地開設記念行事の撮影でも、Z 8はCLモード、秒10コマ制限とし、CFeカードに高効率RAW、SDカードにJPGを割り当てて撮影していましたが、バッファが詰まることはありませんでした

これでは実力は変わらないので、テストで秒20コマ連写してみたところ、40コマ程度から連写速度低下が始まりました。ちなみに、CFeだけにRAWのみ書き込む設定で連写したところ、140コマ程度でわずかに連写速度が低下することもあるものの、概ね継続して連写可能でした
Z 9ではダブルスロットのどちらもCFeカードとなり、どのモードでも基本的に7,8秒連写してもバッファは詰まらないので、ここは明確にZ 9とZ 8での差が出るところです。

Z 8でCFeのみの使用で連写しても、140コマあたりからやや速度低下することもあるのは、Nikonの中の人が言っていた、Z 9よりZ 8のほうがバッファは小さい、という説明を裏付けていると言えます。
とはいえ、バッファの差はCFeの、しかも高速書込みが継続できるカードであれば、書き込みによりバッファが開放されるスピードも速いので、実際にはCFeにのみ書き込む設定での連写であれば、Z 9とのバッファの差は大きくは感じないかと思います。

SDカードはUHS-II規格は、既に6年近く前に搭載されたD850で限界に達していて、D850でもSDカードが連写性能をスポイルする場面が多々ありました。
もし連写を多用するなら、SDカードへの書込みは控えたほうが良いかもしれません。
一方で、私のように普段は秒10コマ連写までしか使わない何秒もシャッターボタンを押し続けるような連写はしない、というのであれば、SDカード同時書込みでも問題なかったです。


ということで、簡単なレポートでしたが、ほんとZ 9とほぼ同じ感覚で使えるZ 8ってすごいですわ。メイン機もZ 8で十分という人も多いでしょう。
ただ、バッテリの差やカードスロットの差など、明確に差もあるため、撮影継続性

【北宇都宮駐屯地】開設50周年記念行事を見てきた その3

北宇都宮駐屯地記念行事のラスト、ゲスト機の帰投です。 この時間にもなると、好きな場所からどこでも最前列で見れるくらいの人しかいないので、ゆっくり楽しむことができました。

栃木県消防防災航空隊、今回はかなり見せ場を作ってくれました。
これは良い広報活動になったのでは? このヘリコプターは、普段は栃木県の芳賀町芳賀台の栃木ヘリポートに常駐しています。

栃木県警察と米陸軍はちょっとおとなしめでしたね。

案外見る機会が少ないのがLR-2、そして最近やたら見るのがU-680A、といった感じですね。どちらも元は民間機で所要の改造をした機体です。

民間機も次々と帰投します。共通しているのは、皆さん楽しそうで、航空機好きなのが伝わる感じですね~。最後に上がったホンダジェットは民間ビジネスジェットながら、とても機動性が良いですね。上昇性能もかなり高い! 一度乗ってみたいですね。

個人的にはアパッチも飛んでくれたら…と思いましたが、今回はたまたま点検でスバルに入っていた機体を展示したそうなので、来年こそはぜひ飛んで欲しいですね。 アパッチも削減対象となって早期退役が決定したことで、今後あと何年見られるかわからないですからね。

この帰投の撮影は、望遠レンズをNikon Z 9、高倍率ズームのZ 24-200mmをZ 8に付け替えて撮影。これが本来の形態ですね。やはり重量級の望遠レンズとの組み合わせは、Z 9のほうがしっくり来ます。
航空機専用認識モードはないZ 9ですが(自動認識で乗り物は認識できる)、被写体が航空機だけなら問題ないですね。ただ被写体自動詞認識モードで、人と航空機両方が写るようなシーンでは、人が優先して認識される傾向にあります。
またZ 8で航空機認識モードにしていても、航空機が画面内にないと、普通の被写体自動認識モードとしての挙動でした。個人的に、この手のモードは適宜使い分けかなと。なのでカスタム設定で、中央1点にすぐ切り替えられるようにもしています。

ということで、Z 8のデビュー戦は、Z 9とほぼ同等の使い勝手により、何ら迷うことなく撮影できて快適でした。これぞ究極のサブ機(もちろんメイン機としても素晴らしい)です。
今度は戦闘機で試したいと思いますが、やっぱり超望遠はグリップなしじゃきついな。

【北宇都宮駐屯地】開設50周年記念行事を見てきた その2

北宇都宮駐屯地の記念行事、終始のんびりした雰囲気で、展示機もゆっくり眺めることが出来ました。

SECOMのS-76D(JA756D)は、警備会社大手の所有するヘリコプターで、主に従業員の輸送に使用しているそうです。例えば、離島のなど遠隔地にあるサーバーの保守のために移動、ビルの警備のための視察飛行などに使用しているそうで、事業用ではなく、あくまで社内使用専用機というのがすごいですね。
ただ、年間飛行時間は百数十時間と少ないそうです。飛ばすだけでも金がかかりますからね。
また、警備のために使用することはないそうです。

陸自の固定翼機と言えば、連絡機のLR-2。前任のLR-1と比べて圧倒的に大きな機体となりました。空自のチェッカーのU-680Aもすっかり航空機イベントの顔となりましたね。

TH-480B練習ヘリ。前任OH-6Dもシンプルな卵型のヘリでしたが、こちらも元々米陸軍の練習ヘリとして開発された機体(採用はされなかった)だけに、非常にシンプルな感じですね。特にローターヘッド、機体から生えているのは1本の棒です(笑)。通常、メカニカルリンクが露出しているのですが、この機体はシャフトの中に入っているのでしょうね。竹とんぼのように外観はシンプルです。
エンジン出力が前任のOH-6Dより低いので、逆に小回りは効くのだとか。
来年こそブルーホーネットの演目を見たいですね。

希少なAH-64Dアパッチ・ロングボウ、ただしこの機体はロングボウレーダーは搭載していないですね。
旧式化したAH-1Sコブラとともに、まだ新しいアパッチも陸上自衛隊の装備の削減対象となっていて、将来的には戦闘ヘリが陸上自衛隊からなくなる方向だそうです。
陸自のアパッチはD型のBlockIIで、既に同型を導入した各国は、BlockIII、AH-64Eに改修を進めていますが、陸自のアパッチはこの改修をせぬまま引退するのでしょうね。
機体はまだ新しいので、アメリカなどに売却するのでしょうか?

民間機の展示も充実していました。一番上のかっこいい機体は、Diamond DA42 NG TwinStar(JA51WC)、塗装も良いですね。ホンダジェットも、先日の横田基地で展示されていた機体と同じで、積極的に航空イベントに参加しているようです。
栃木県のドクターヘリ、これもホンダロゴが入っていますが、ホンダがヘリ自体を作っているのではなく(機体はエアバス・ヘリコプターズのEC135P2)、本田航空という本田技研工業の子会社が運用している機体です。ローターヘッドの形状がなめらかで先進的な感じですね。

車両の展示も。個人的に気に入ったのが、日産サファリ・ピックアップの航空電源車。サファリ・ピックアップ自体は1994年までの生産のようですが、名盤には1996年とあるため、車両はそれ以前に取得されて改造後の登録が1996年なのかはよくわかりませんが、27年も使用されているようです。こうした駐屯地内の使用だと、走行距離も伸びないし、長く使われるのでしょうね。
もちろんマニュアル車でした。

背景のCH-47JAは体験搭乗でお昼に来た機体

地上展示機もゆっくり見れて、後はゲスト機の帰投を残すのみ。続きはまた。

【北宇都宮駐屯地】開設50周年記念行事を見てきた その1

更新が滞ってしまいましたが、色々忙しくって…

ということで、週末は栃木県は宇都宮に出向いてきました。4年ぶりに一般公開された、陸上自衛隊の北宇都宮駐屯地、開設50周年記念行事を見てきました。
最後に見に行ったのは7,8年前、その時はすでに栃木から東京に転勤で引っ越していたので、なかなか見に行くタイミングが無く、そしてコロナ禍により一般公開中止、今年久々の一般公開となりました。

4年ぶりですし、混むかな…と思ったけど、案外すんなり入れましたね。航空祭だと開催地によっては激混みで、ちょっとギスギスした雰囲気もありますが、なんとものんびりした雰囲気です。
展示機も、民間機も混じっているのが良いですね。北宇都宮駐屯地はスバルの航空機部門が併設されていて、ここからスバル製の航空機が飛び立ちます。
SUBARUロゴの入ったモデル205B(JA6181)が牽引されている様子も。この機体はSUBARUの子会社が所有している機体です。陸上自衛隊の主力汎用ヘリUH-1Jのベースになった機体でもあります。
入場待ちの間に、SECOMのS-76Dなどゲスト機も降りてきました。

一方、今回陸自のUH-60JAは展示はなく、期待していた最新のUH-2もまだなく、UH-1Jがメインでした。一方入間基地のチェッカーのU-680Aがいたり、AH-64Dアパッチも展示されていました。アパッチはたまたま整備で入っていた機体を展示したようですね。

電源車の日産サファリ・ピックアップ。軽く30年近く使っている?

2代目に日産サファリのピックアップがまだ現役! 航空電源車です。この型にピックアップは、3代目にモデルチェンジ後も90年代まで継続生産されていたようで、この車両も30年近く現役のようです。

今回飛行展示する機体は、練習ヘリの青い機体TH-480Bが5機と、UH-1Jヘリが3機、後はゲストの消防・警察のヘリとやや寂しい感じでした。途中、米陸軍のUH-60L(M?)もゲストとして登場。UH-60系、しかも米陸軍機ともなると、自衛隊機とはまた違った迫力がありますね。

久々の一般公開、しかも節目の開設50周年記念行事とあってか、来賓挨拶も何とも気合が入っていまして…、まさか出席者一人ひとり名前まで読み上げられるとは…偉い人たちは大変ですね。
そのせいか、航空展示までの時間調整が入っていました。
編隊での上空通過は、ちょっと寂しい感じだったな。やっぱりCH-47JAやUH-60JA、アパッチやコブラも飛んでほしかったな。

ヘリの撮影は戦闘機よりずっと難しく、シャッタースピード上げられない(ローターが止まって写ってしまう)、動きが戦闘機より複雑、速度が戦闘機より遅いからと舐めてかかると、まともに撮れない相手です。そしてUH-1Jヘリから2台の偵察バイクが展開、バイクもまた動きが速いので難しい被写体です。

続いて災害救助展示。
ここでは、陸上自衛隊機だけでなく、ゲストの栃木県警のベル429(JA15TP)と栃木消防防災航空隊のAW139(JA09TR)も参加、トラックの荷台に要救助者が居て、着陸せずスリングして救助していました。

そして最後にUH-1JとTH-480Bによる機動飛行、残念ながら、TH-480Bでの曲芸飛行「ブルーホーネット」としての演目はありませんでした。出せる機体が少なかった、あるいは練習する時間がなかったのかもしれません。来年は復活することの願います。

湿度が上がってきて、空の色がくすんで難しいですね。
ちなみに今回は、RAW現像はNX Studioです。Lightroom Classicであれば、空を選択肢て色を変えることも可能でしたが、今回はNikon Z 8本来の色味を確かめたく、あまり大きくいじらないため、純正ソフトのNX Studioを使用しています。
また、Nikon Z 8のバッテリの持ちた使い勝手を試すため、ここまでの撮影は望遠をZ 8、Z 24-200mmをZ 9と、本来ならその逆のほうが良いんじゃない?という組み合わせで撮っています。
結果的に、AF-S 600mm f/4Gとの組み合わせでは、やはりZ 9のほうが快適です。
これはAF-S 600mmが2世代前の旧型で、AF世代で最大級に重い、5kg超えのレンズというのもあり、Z 8の重量が比較的軽くグリップの縦の長さが短いのもあり、カメラのグリップを握るための把持力は、Z 9より逆に大きくなってしまうからです

Z 8にグリップ無しで使うなら、望遠はZ 100-400mmやZ 400mm f/4.5 S辺りまでかなと個人的な感想です。
いきなり実践でZ 8デビューさせましたが、Z 9のカスタム設定とほぼ同じにして持っていったこともあり、Z 9ユーザーでも何ら迷いがなく撮影できたことは付け加えておきたいと思います。
その他、ヘリでも有効な被写体認識の飛行機モードの使い心地などは、別途レポートしたいと思います。

午前中にて航空行事は終了。お昼は屋台で買いましたが、さほど並ばず快適でした。このくらいのんびりした駐屯地行事がたまには良いですね。
午後はゆっくり地上展示を見れたので、続きはまた。

バッテリ電圧で見る、Z 9からZ 8への内部電源の進化

Nikon Z 8では、バッテリはこれまでの多くのNikon Zフルサイズミラーレスや、ミドル級一眼レフで使用されているものと同じ、EN-EL15系のEN-EL15cが採用されています。

Nikon Z 9EN-EL18dバッテリと比較して、電圧、容量とも小さいのですが、最も多くの機種で使われているだけあって、汎用性が高く、価格もEN-EL18dの1/3以下と購入しやすくなっています。

EN-EL15cEN-EL18d
価格(2023年5月中旬Amazon)¥5,700¥21,600
電圧7.0V10.8V
容量2,280mAh 16Wh3,300mAh 36Wh

EN-EL15cは18dに対して容量は半分以下となっています。
これは撮影枚数のスペックに現れていて、静止画の連続撮影枚数がZ 9では5310コマに対し、Z 8は2280コマとなっています。これは、バッテリ容量的に見ても、EL18dの36Whに対して、EL15cの16Whですから、比率的にもそのくらいだろうな、という計算ができますね。

Z 8の電装は省電力化されている?

上のバッテリ容量の話だけで見ると、電装品の電力消費はトータルでは大きくは変わっていないのかな、と言えなくもない。
ただ、Nikonの中の人が言うには、電装系は改良されて省電力化されているとのことです。カタログスペックの撮影枚数と実際の撮影は違うので、実用として、どの程度撮影可能化は気になるところです。
Z 9は、私の使い方では航空祭レベルの5千枚ほど撮影、ほぼ1日、バッテリ1本で撮ることが出来、残量も1/3ほどありました。果たしてZ 8はその半分は使えるのか、それとも実際はもっと使えるのか。

使用するバッテリの電圧が変わりますから、Z 9と全く同じ回路を使い回すことは出来ません。一般に、電装品に使われている駆動電圧は、12V, 5V, 3.3Vといったように決まっている事が多いので、内部で電圧を変換するDC/DCコンバーター(いわゆるデコデコ)が入っています。
特に電装品は回路の引き回しの距離が長くなるほど、電圧低下やノイズの影響が無視できなくなるのと、電源電圧が低いということは、流す電流は多くなるため、回路はそれなりに改良が入っているはずです。
電源的には電圧が高いほうが有利です。最終的には、基盤回路内で、それぞれの半導体など電装品に対して適切な電圧に減圧(場合により昇圧)しますが、いずれにしろバッテリの電圧が高いほうが効率が良くなります。
特に、ドッと一気に大電流が流れた際の電圧変動は、バッテリ電圧が高いほうが変動耐性は高いです。
つまり、搭載バッテリの電圧が低いということは、それだけ電装品にとっては不利になる要素が増えるのですが、Z 9と同等の性能をZ 8で実現しているのですから、安定して動作できる回路設計が出来た、と言うのは意味のあることだと思います。

後は実用上どうなのかが気になるところです。

電源の観点で見ると、EOS R5やSONY α1ってすごいなと思う

とは言え、同価格ではライバルとなるCanon EOS R5も、Z 8より小型の筐体で、バッテリもLP-E6NH(7.2V 2,130mAh)を採用しているので、Z 8が特段優れているわけでもないですね。ただ、動画の撮影時間は、筐体が大きい分Z 8に余裕があるようで、ここは放熱にはある程度サイズが必要、というのも分かります。R5ももう3年前の機種で、MarkIIの話もチラホラ出ているので、このサイズのまま、より高性能化していくはずです。

そして、価格は違いますが、SONYのフラッグシップ機、α1もまた、Z 8より小型の筐体ながら、8K30p動画(この点は8.3K60p RAW内部記録できるZ 8に部があるけど)、30コマ/秒の高速撮影、LAN端子も搭載し、バッテリは小型のNP-FZ100(7.2V 2,280mAh)を使用しています。小型化に関してはさすが、ウォークマンやハンディカムで培った小型化省電力技術が優れていますね。


さてNikon Z 8の実際のバッテリの持ち、発熱は気になるところですね。熱の話は、先行ユーザーの話を聞く限り、特に動画ではZ 9より厳しいような話もチラホラ見かけますが、それでもZ 9に対しての話で、実用上は結構長回しはできそうな感触。
去年9月の運動会では、Z 9で4K60p動画を1時間長回しして、熱など何ら問題なかったので、Z 8でどこまでそこに迫れるかですね。

ニコンプラザ新宿のNikon Z 8の先行体験会に行ってきた

5月26日(金)発売のNikon Z 8の先行体験会があるということで、予約してニコンプラザ新宿に行ってきました。
こういうのに気軽に行けるのは、東京住みの特権ですが、住んでしまうと案外都心方面っていかないんですよね私の場合。

2年ぶりの新宿エルタワーへ

先行体験会は予約制。なおZ 8発売日の5月26日以降は、予約無しで触ることが出来るようです。

日曜日はサービスセンターやその他の展示は定休日となるため元々やっていなくて、先行体験会のためだけに開いているようです。
本当はNIKKOR Z 600mm f/4 Sも試したかったんだけどね。

待ち時間の間に試したZ 30が良かった

NikonのZシリーズで最もコンパクトなZ 30。EVFを省いたカメラで、発売当初に電気屋で見た時はあまりピンとこなかったけど、こうしてLUMIX GX7MK3を並べると、ほとんど同じサイズ! もちろん、マイクロフォーサーズのGX7MK3のほうがレンズはコンパクトになりますが、以外にもボディサイズはZ 30とGX7MK3、グリップの厚みの違いはあれど、センササイズほどの大きな差はないんですね。

PanasonicはGX7シリーズを辞めてしまったので、今後このシリーズが復活しなければ、Z 30はその後継としても良いのかなと思いました。
SmallRigのグリップも使いやすいですね
実はこの後触ったZ 8より、Z 30のほうが楽しかったのはナイショです(笑

Nikon Z 8を試す

順番が来たので、試しました。

Nikon Z 8
最初に装着されていたのはZ 24-200mm

一見してわかるのは、1996年のフィルムのF5以来伝統だった、左肩にあるドライブモードダイヤルがなくなり、ボタン+コマンドダイヤルに変更されたこと、左肩の出っ張りがなくなりました。Z 9ではダイヤルとボタンと両方使えたので、今後はこのタイプになるのでしょうね。
また左肩の四葉のボタンは、Z 9でフラッシュモードボタンだった部分がWB(ホワイトバランス)になっています。

レンズマウント横のファンクションボタンは、Z 9の3つから、他のミドルクラスと同様2つになっています。
シンクロターミナルがなくなりました。
それ以外は、基本的にZ 9を踏襲しています。したがって、Z 9ユーザーなら特に迷わず操作撮影できます。
グリップは握りやすく、縦グリがなくてもしっくりきます。望遠レンズとの組み合わせは、Z 100-400とZ 400/4.5が用意されていましたが、重量感のあるZ 100-400でも違和感なく構えられました。ただ、やっぱり望遠主体なら、Z 9のほうがバランスは良さそうです。

飛行機モードは、なにせ背景が黒い幕の部分にブルーインパルスのT-4の模型がぶら下がっているだけだったので、これで試せと言われても(笑
羽田空港辺りで撮影会をやったほうが良いんじゃないかな?

ファインダや使い勝手はZ 9と同じで、これならZ 9との組み合わせでも違和感ないですし、もちろんファースト機としても十分な性能です。

以下、対応してくれたニコンの方とのやり取りです

Q.飛行機モードは旅客機だけじゃなくて戦闘機も対応するか?
A.戦闘機にも対応します

Q.飛行機モードはZ 9に搭載する予定はあるか?
A.今のところ予定はないけど、やろうと思えば対応はできるのではないか

注:対応できるか、対応するか、わかっているのは開発部門と思うので、広報的に発表されたこと以外は答えられないと思われる

Q.バッファはZ 9と同じ?
A.Z 9のほうが多い
注:スペック上は連続撮影コマ数で大きな差はないし、実際のところZ 8でも十分確保されている

Q.連写する場合SDカードだとバッファ開放が遅い?
A.はい、連写ではXQDかCFexpressをおすすめします。あくまで汎用性を考えてのSDカードスロット搭載です。

Q.要望ですが、DXモードにクロップした際の表示がZ 9と同じで右上に小さく表示されるだけで分かりづらい。Z 9でも何度もDXのまま撮ってしまうことがあったので、動画撮影で赤枠が表示されるように、DXクロップ時にも枠が表示されるようにして欲しい
A.要望として伝えておきます

逆にニコンの方からこんな質問をされました。
中の人.もしD500のミラーレス版が出たら欲しいですか?
Yamaro.いや、フルサイズのほうがクロップも出来るし汎用性高いのでいらないですね。
ただ、この質問は答えが分かれるでしょうね。APS-Cセンサなら価格を下げられますから。ただ、Zマウントはフルサイズセンサの性能を余すところなく使えるマウントなので、あの大きなマウントにAPS-Cは、なんだかもったいないのですよね。

とまあ15分で確認できるのはこの程度でしたが、やり取りや要望を伝えられて満足しました。
発売日が待ち遠しいですね。

Nikon Z 8、予想以上にZ 9寄りだったが、明確な違いもあるかな

2023年5月10日21時、Nikonより新機種のZ 8が発表されました。

Nikon Z 8

噂になっていたZ 9ベースで小型化した機種、という情報は正しく、Z 9から一部機能は削られるのではと予想されていましたが、蓋を開けてみると、機能的には動画もスチルもほぼ同等(動画の連続撮影時間がZ 9より若干短い程度)である上に、スチルは新たにHEIFに対応、飛行機専用の被写体検出が追加されています。

その昔、フィルムのフラッグシップ機Nikon F5に対し、F100が後から登場してF5ジュニアと呼ばれましたが(Nikonもそういうキャッチコピーを使っていた)、Z 8もまさにZ 9ジュニアですね。しかし、メカシャッターのコストの面とバッテリの電圧の違いから、F5とF100では連写速度に差がありましたが、そういった成約も一切なく、連写速度やバッファもZ 9と同等です。
Z 9と明確に異なる部分は、バッテリがEN-EL18dより小型でZ 7やZ 6シリーズや一眼レフのミドルクラスなどでも使われているEN-EL15cに、CFexpress TypeBスロットは1基で、もう1基がSD UHS-IIであること、GPSを内蔵しない、LAN端子を装備しない(その代わりに通信専用のUSB TypeCポートが追加)、シンクロターミナルがないことでしょう。
とは言え、多くのユーザーにとっては、Z 8で十分と言えますね。

機能を共通化することで開発コストを下げている

上級機のZ 9に忖度して、ファームウェアで機能を削ることは簡単にできたはずです。
しかし、画像処理エンジンやイメージセンサが共通していること、特にメカシャッターレスにより、グレード別でメカシャッターので耐久性や連写速度が変わるといった要素もないため、スペックも共通化出来るということでしょう。
むしろできるだけ共通化したほうが、電装品やファームウェアの開発コストを抑えることも出来ます。
SONYやCanonのように潤沢な開発リソースがあるわけではないNikonにとっては、多才なラインナップを展開するより、共通化のほうがメリットが高いのでしょう。

Z 9と同様にZ 8もメカシャッターレスとしたことで、メカシャッターの耐久性や連写速度などのヒエラルキーはもはやなく、いわゆるプロ機、と呼ばれていたかつての一眼レフのフラッグシップ機とその下の機種、といった時代と違って、今やプロだから絶対にフラッグシップ機でなければ、という時代でもなくなりました。
いっぱしの素人よりも低グレードの機種で稼いでいるプロ写真家はたくさんいます。報道やスポーツの最前線だけがプロ写真家の世界というわけでもないですからね。
必要十分な性能があれば、上位機である必要がない、コストにシビアなプロだからこそ、その用途の応じた機種を選んでいるのです。
なので、実質ダブルスロットがいらない環境(CFeとSDでは明確な速度差が存在するため)、バッテリ持ちが大きな影響を与えない環境下の撮影であれば、Z 8で十分でしょう。

そんなわけで、出し惜しみなく仕立てたZ 8、ボディの一部に炭素繊維強化プラスチックを採用するなどしているものの、基本はZ 9ベースゆえに、Z 7 /Z 6シリーズよりは大きいのですが、これは仕方ないでしょうね。
それでもZ 9から比較してコンパクトな筐体、かつ熱対策も考慮すると、このくらいが妥当なのかなと思います。

Z 9との機能共通化は、今後も順当にFWアップデートを重ねることで、両機種とも成熟していくはずですです。
新機種ならではのサプライズは正直少ないでしょう(Z 9はフラッグシップ機に初めてのメカシャッターレスというサプライズがあった)けど、Z 9のサブ機としても、Fマウントからの乗り換えにも最適な機種と言えるのではないかと。

◆D850よりは高いけれど

Nikonユーザーは結構保守的で、今もD850辺りをメインとしているユーザーも多いでしょう。実際のところD850ユーザーで、Z 7IIを触った身としては、画質以外の多くの点でD850に追いつけていないと言わざるを得ないです。
もちろん風景やスナップなどを撮るのであれば、Z 7IIで十分、画質はD850やZ 9と比べても一皮剝けた感じで、個人的にはスチルではNikonトップクラスの画質と思っています。
が、Z 7IIは(Z 6以下の機種もそうですが)、動態を撮るとまるでダメでした。また操作性もD850と比べると今一歩、どちらかというとD750寄りでしょうか。
D850は、D5譲りの151点AFの良さは、ミラーレスよりもAFエリアが狭い位で、エリア内の補足力は非常によく、戦闘機の撮影も何ら問題なくこなせます。
同じことをZ 7IIで行うのは難しかったけど、Z 8ならZ 9譲りの被写体検出があり、しかもブラックアウトフリーのEVFは、一度使うと一眼レフのミラーアップによる像の一瞬の消失が煩わしく感じます。
いや、ミラーレスであっても多くはメカシャッターによる像のフリーズやブラックアウト、あるいは像は表示されるけど疑似表示となるので、Z 9の快適なリアルタイムファインダーがZ 8にも搭載されているのは朗報です。
こうしたメリットが享受できることから、D850の後継としても十分でしょう。値段がアップしてしまいましたが、それに見合うものはあります。

ただ1点だけ、暗所AFがどれだけ改善されているかがZ 8の懸念されるところです。
Z 9はスペックこそ立派でも、実際はスターライトビューを使っても、D850ならスパっとAFが合う暗い場面で、AFが遅くなる挙句にピントが合わない(合焦しない)事象が多発します。
これが改善されていないと、D850からすべての面で良くなっている、とはいいがたいのも確かです。

ただ、もうFマウントは開発が凍結されており、レンズもラインアップをどんどん減らしていることからも、この先新機種が出る可能性は極めて低いのと、Zマウントレンズが一眼レフ用と比較して、どれも素晴らしい画質で、レンズもだいぶ充実してきたので、そろそろ移行を考えてもよいでしょうね。

明確なZ 9とZ 8の違い

Z 8はZ 9を凝縮したようなカメラですが、Z 9との明確な違いがあります。

1.バッテリの違いによる撮影時間の違い

ミドルクラスの機種に多く使われているバッテリ、EN-EL15cを採用するZ 8は、撮影枚数はパワーセーブOFFでファインダ撮影時、Z 9の700コマに対して330コマと、ほぼ半分です。連続撮影で5310コマのZ 9に対し、Z 8は2280コマです。1回の撮影枚数が多い場合、Z 8ではバッテリ交換頻度が多くなります。

Z 9のバッテリEN-EL18d10.8V 3,300mAhで、元々EL18シリーズは一眼レフのフラッグシップ用でした。一眼レフの場合、連写でメカシャッターとミラーを高速で駆動させるためには、バッテリ電圧も高いほうが、消費電力が大きい際の電圧低下に対する余裕があります。
Z 8はミドルクラスの一眼レフやミラーレスに採用されるEN-EL15cで、7.2V 2,280mAhと、電圧や容量はEN-EL18系より低くなっています。
よくぞこのバッテリで、Z 9と同等のスペックを引き出せたと思います。基板の改良で、消費電力をより抑えていると思われます。メカ可動部がほぼなくなった(センサ保護用シャッターはあるけれど)大きく効いてきているのでしょう。
ただし、バッテリが小さい分、バッテリの持ちもZ 9と比較して半分程度になっています。
別売りのパワーバッテリーパックMB-N12(通称縦グリ)にはバッテリが2個入りますが、この縦グリを装着すると、ボディサイズはより大きくなり重くなります。
そうなると、Z 9と値段も重さも、あまり変わらなくなってしまいます。

Z 8用パワーバッテリーパックMB-N12

個人的に、パワーバッテリーパックを使うくらいなら、Z 9を導入したほうが良いと思います。
Z 8は、パワーバッテリーパックがなくても、実用上のバッテリの持ちはそれほど悪くはないと思われ、予備のバッテリもEN-EN18系よりはるかに安価なので、2,3個の予備を持っていれば、まず心配ないですし、PD給電も出来るので、容量の大きなPD給電対応のモバイルバッテリを併用するという手もあります。
パワーバッテリパックも、だんだん必要とされなくなる時代になってきているかもしれません。

ただ、Z 9を持っていなくて、普段はZ 8単体でコンパクトに使いたいけど、たくさん撮影するシチュエーションも時々あるよ、という人であれば、検討して良いかもしれません。


ちなみに、執筆時点(23/5/12)で、値上前Z 9の最安値が¥628,650(マップカメラ)、Z 8が¥539,550で、MB-N12が¥47,520となっているようなので、差額はわずか4万円強です。MB-N12はバッテリ2個入るので、1個予備を買うと6千円弱なので、差額は3万5千円程度しかありません。Z 9近々7万円強の値上がりの対象となるため、この差は広がりますが、それでも10万円程度です。さあどう考えますか?

2.CFexpressカードとSD UHS-IIとの書込み速度差が大きい

CFexpress Type BのダブルスロットであるZ 9に対して、CFeとSD UHS-IIのダブルスロットのZ 8。高速連写可能なZ 8では、SDカード側が圧倒的に書き込み速度が遅いため、RAW同時記録どころか、SDカード側をJPGに設定しても足を引っ張る可能性が高いです。
また、動画でも4Kや8KのRAWは、SDカードでは足を引っ張るため、使い方次第では、Z 8はシングルスロット+αとなり、ここが明確にZ 9との違いでしょう。

Z 9であれば両スロットにバックアップで同時書き込み、あるいはRAWとJPGで分けて書き込み、片側の容量を使い切ったらもう片側に書き込む順次書き込みも出来、同じ種類のカードであればバッファが詰まることはそうそうありません。
CFexpressカードは、モノによりますが、ProGradeのCOBALT 325GBの最低継続書き込み速度は1,300MB/秒と非常に高速です。同社のGOLD 512GBでも最低継続書き込み速度は旧タイプが400MB/秒、新タイプでは850MB/秒です。

Z 8の片側のSD UHS-IIスロットは、UHS-IIの理論上の最大読み書き速度は312MB/秒です。しかし、あくまで理論値であり、実際はもう少し遅いです。
書き込みは早いものでも299MB/s程度で、しかもそれは最高値です。実際はそれより遅くなります。

既に先行でZ 8を手にしたユーザーの中には、RAW+JPGでCFe側を高効率RAWに設定した場合、SD UHS-II側のPG画質がBASICであっても書き込みが追い付かないようです。

となると、連写を多用、かつバックアップが必須と考えている人はZ 9を選択したほうが良いでしょう。
Z 8はあくまでシングルスロット+α位に考えたほうが良いかもしれません。
実はXQDレベルの書き込み速度しかないD850ですら、XQD(CFe)+SDで連写すると、バッファ開放がかなり遅いくなります。
XQですら、SD UHS-IIの倍近い書き込み速度なので、より速いCFexpressとの速度差はかなり気になるはずです。

3.GPSの有無

これは人によっては全くいらないし、スマホのSnapBridge経由でGPS情報を取得できるので、必須ではないですが、後で写真を見返したときに、これどこで撮ったっけ?というのがGPSデータが有ればすぐわかるので、個人的にZ 9のボディにGPSを内蔵しているのはありがたいのです。

2015年の観艦式で護衛艦「きりしま」に乗艦した際の写真にGPSデータを付けていたので、その航跡がわかります

スマホのSnapBridge経由のGPSは、消費電力の関係か、一定時間ごとのデータ取得のため、短時間のうちの移動量が多いと、実際の位置とのズレが大きくなります。
ここは内蔵のGPSよりどうしても精度が落ちます。
ところで、Z 8は10ピンターミナルがあるので、ここに従来からあるGPSユニットを付けてみて、データが取得できるかは試してみたいと思います。

4.シンクロターミナルの有無

Z 8には搭載されていません。これも人によりけりですが、スタジオによっては有線のシンクロケーブルしか使えないことろもあるようなので、無いと不便という人もいるでしょう。
ちなみにNikonもZシリーズでは、シンクロターミナルを搭載するのはZ 9のみです。一眼レフではミドルクラス以上に当たり前のようについていたシンクロターミナルも、段々と搭載機種を減らしていますね。
ただ、最近はリモートコマンダーで無線で使うというのが一般的になっているので、あまり重要で無くなってきているのも確かです。
どうしてもZ 8でシンクロターミナルが欲しければ、ホットシューアダプターAS-15を使えば解決します。


ということで、Z 8はZ 9と細かく見ていくと違いもあるものの、かなりZ 9に近い性能を持って小型化した機種です。
値段の近いCanon EOS R5はもっと小型軽量ですが、バッファも小さく、電子シャッターの幕速も遅く、動画撮影は熱との戦いです。3年前のR5にやっとZ 8が追いついたという口の悪い意見もありますが、差はもちろんありますね。まあCanonはR5IIでそこを超えてくる可能性は大いにあるでしょうけど。

そんなわけで、今年はZ 8と、Z f?なのかなNikonは。Z 6IIIも年内という噂もちらほら見かけます。でも噂は噂なので、必要なら買う、ということで。おそらくZ 8もしばらくは品薄でしょうし、Z 9も値上前の駆け込み需要は大きそうです。