「Nikkor-S Auto 35mm F2.8」タグアーカイブ

新旧NIKKOR 35mm撮り比べをしてみた【近距離風景編とボケ味】

4本のNIKKOR 35mmを撮り比べるシリーズ第2弾です。

第1弾は↓

第2弾では、近距離の被写体(ここでは木を入れています)と遠景のボケ味を確認してみました。
FTZ IIとAuto NIKKORの組み合わせ、マウントアダプタのデザインがねぇ…。
Nikon Z8ではカスタムセッティングで、AF-ONボタンで拡大表示、もう一度押すかシャッターボタン押せば全体表示に復帰するようにしているので、MFはむしろ一眼レフより楽ですね。お陰でMFレンズも軽快に撮影できます。
Exifにレンズ名もカスタムで入れられて、焦点距離に連動してボディ内手ぶれ補正も最適化されるので、本当に撮影が楽で楽しいですね。

マウントアダプターFTZ IIに自己責任でNIKKOR-S Auto 35mm F2.8を装着

以下の画像はLightroom Classicで未調整のまま解像度のみWebように落として出力しています。
レンズデータはAuto NIKKOR以外適用されています。

今回は木の幹の中央付近にフォーカスを合わせ、各絞り値で撮影してみました。

NIKKOR-S Auto 35mm F2.8

最近重視される近場の解像力とボケ味ですが、流石に1960年代のレンズでは絞り開放で球面収差による影響が感じられますね。
ボケは開放では口径食による影響があり、縁どりも強い、硬いボケ味ですね。この時代は準広角たる絞って撮影するのがセオリーだったので、開放よりも少し絞った辺りを基準としていたと思われます。

絞るほどネガな要素は消えていき、f8からf11あたりで球面収差の影響もなくスッキリとした描写になりますね。
ただ最近のミラーレス専用レンズの完璧な描写とは間逆なだけに、こういった開放の描写がむしろ好みと感じる人も一定数いるんじゃないかな? 実は自分も嫌いではないんですよ。
背景を選べば、このちょっとざわつく開放の背景描写も好ましい方向になるかも?
そしてやはり色合いは寒色系ですねこのレンズ。カラーリバーサルフィルムなら、少し暖色系のKodachrome 64あたりがしっくり来るかもしれませんが、もう買えないフィルムですから、カスタムピクチャーコントロールで作ってみるのも面白いかも。

AI AF Nikkor 35mm f/2D

Auto NIKKORと比べると、80年代の光学系とは言え、いきなりモダンな描写になったのがわかります。
特にボケ味は硬さがなく、同じf2.8でAuto NIKKORと比較してもボケの縁取りが少なくぐっと柔らかさが出ています。
ただ絞り開放では木の幹の左側は少し像が流れているのはAutoと同じ傾向はありますね。絞れば改善されます。像面湾曲などザイデル収差はこの時代のレンズではまだ大きく影響がありそうです。
ただ、この時代はまだ絞り開放から画面の隅々まできっちり解像するなんてのは難しかったわけですし、被写体は平面チャートではない3次元的なものだから、ザイデル収差はある程度妥協はあったでしょう。値段的にも高価なレンズではないですからね。

改めて思ったのは、このレンズの描写、悪くないです。Nikon F90Xを買った後に初めて手に入れた単焦点レンズで、買った当初は絞って撮ってばかりで、何かこんなもんなのかなと思っていたのですが、開放を積極的に使うようになって、レンズの面白さがわかりました。
このレンズはどちらかと言うと暖色系な色合いを感じますが、気のせいかな?

AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED

上のDタイプと比べて、更に現代的な描写になったのがわかります。像面湾曲や球面収差の影響が少なくなっています。ボケ味はさらに柔らかさが出ていますが、わずかにボケの縁取りは残っていますね。
とは言え、AutoとDタイプほどの差はなく、より現代に近い描写になったと言ってもよいでしょう。
そしてAF-S化によるAFの速度とフォーカス群の繰り出しの正確さはミラーレス機で使っても恩恵がありますね。

絞り開放では木の幹の左側隅の描写がぐっと良くなっているのがわかります。もう収差の影響はあまりなく、単純に被写界深度の浅さによるボケが発生している感じでしょうか。
色合いはニュートラルですね。
一眼レフもミラーレスも両方使う人なら、このレンズ1本あれば十分と言えます。ええ、NIKKOR Zの描写さえ気にならなければw

NIKKOR Z 35mm f/1.8 S

この撮影においては、AF-Sとの差は殆ど感じません。同じ35mmでも、Zのほうがわずかに画角が広いです。描写の傾向もこの撮影だと似ていますね。
ほんの僅かにボケの縁取りがZのほうが少ない気もしますが、殆ど差はないと言っていいでしょう。
これはAF-Sが優秀だという証であり、Zになったから劇的に良くなるという要素は少ないかもしれません。

色合いもニュートラルです。
大きな差はAF-Sとはないものの、Zマウントのボディとレンズの組合せでは煩わしいマウントアダプタ装着も不要ですから、もしFマウントボディをお持ちでないなら、このレンズ一択でしょう。


このテストでは、4本のレンズで劇的な差は認められなかったです。こういうシチュエーションでよく使われる焦点距離だけに、このあたりのフォーカス距離の描写に重点が置かれているのでしょうね。

created by Rinker
Nikon
¥48,000 (2025/07/02 17:57:37時点 Amazon調べ-詳細)

新旧NIKKOR 35mm撮り比べをしてみた【中距離風景編】

35mmレンズは標準レンズたる50mmより少し画角が広く、35mmが標準レンズという人も世の中に少なからず存在しますし、私もその一人です。
屋内でも屋外でも、汎用的に使える画角で、昔の単焦点コンパクトカメラでも35mmや38mmというレンズはよく使われていました。

ずっと50mmの画角が苦手だったワタシ(今は苦手意識はなくなり好きな画角になりました)には、35mmレンズは必ず持ち出したい1本となり、いつの間にかレンズも増えました(笑
レンズ交換式のNIKKORレンズだけで4本あります。ま、世の中にはもっとたくさん持っている人もいますが、この4本はそれぞれ思い入れのある4本です。

左からNIKKOR-S Auto 35mm F2.8(後期型), AI AF Nikkor 35mm f/2D, AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED, NIKKOR Z 35mm f/1.8 Sです。NIKKOR-Sは1959年発売の前期型ではなく、後期型になりますが、NikonのFマウントレンズでも古いものになります。これは親父が1970年に新品で買ったものです。
AIレンズは持っていなくて、いきなりAFレンズのAI AFとなりますが、これが自分にとっての最初の35mm交換レンズです。これを長年使い、待望のAF-Sは初めて予約して買ったレンズでした。そしてNIKKOR Zは、Zマウントで初の単焦点レンズとして2018年位発売されたレンズになります。Zマウントレンズはハズレがないので、試したくて購入しました。

新しくなるほどレンズが大きくなっていますね。古いほど光学系も機構もシンプルとも言えます。Zマウントではマウント径が一眼レフのFマウントより大きいため、大きい径と短いフランジバックを活かした製品づくりをしているせいか、大きめのレンズが多いですね。

ここからは三脚を据えて、レンズ交換しつつ各f値で撮り比べをしています。
今回は中距離風景編、ということで、練馬の光が丘公園にやってきました。
ここはかつて陸軍飛行場があった場所であり、戦後はアメリカ軍が駐留していた場所でもあります。なので、とても広いのですよね。息子もサッカーの練習試合でたまに使っていたりします。自転車で走るもよし、ランニングもよし、スケボーで遊べルるエリアもあり、BBQエリアもあり、なんでもあるんです。こういう撮影テストにピッタリの場所です。

カメラはNikon Z8を使用し、ISO感度は64に固定、AWBは自然光オート、絞り優先のマルチパターン測光で撮影しています。
1本のみMFレンズのNIKKOR-S Auto 35mm F2.8は非CPUレンズなので、カメラ側にあらかじめレンズ情報を入力しています。
現像はLightroom Classicで未調整撮って出しで出力しています。
描写だけでなく、絞りによる露出のばらつきも確認してみてください。

NIKKOR-S Auto 35mm F2.8

半世紀以上前のレンズだけあり、開放では画面中心でわずかに球面収差による影響が見られなくはないものの、なかなか解像力は悪くないです。正直なところ、こんなによく写るとは思っていませんでしたね。
このレンズはAI改造をしていないため、AF一眼レフではフィルム機でもデジタルでも使用していなかったレンズです。Zマウント機へはFTZ IIを使用して撮影していますが、初期のAuto NIKKORレンズはAIレンズ行こうと違ってわずかに寸法の公差設定などが違うそうで、レンズによっては装着が硬かったり外しにくいものがあるため、公式には装着できないことにはなっていますが、自己責任で装着の上撮影しています。確かに手持ちのこの個体は少し装着は硬めでした。

絞るほど解像感は増していき、f11では周辺までかっちり解像します。非CPUレンズの場合は絞り込み測光になるため、実絞りと計算値と乖離はそうそうないはずですが、何故かf11とf16では露出オーバー気味になってしまいました。
もしFやF2をお持ちなら、このレンズは標準レンズとしてコンパクトで確かな描写を得られそうです。F2.8と他のレンズより若干暗いのも(光学設計的に無理がない)古い割に描写の良さを感じさせる要因でしょう。
カラーバランスはやや寒色寄りに感じますね。

AI AF Nikkor 35mm f/2D

80年代の光学設計のレンズ、Auto NIKKORより30年新しいだけに、開放から安心して使えますね。グルグルボケの原因になる非点収差もあまり感じませんね。ただワタシが持っているレンズの個体差なのか、右下隅がほかより像が流れてしまっている気がします。ただf11まで絞ると全体としてかっちり解像します。中心部は開放から何ら問題なく使えそう。
このレンズに限りませんが、初期のAF Nikkorレンズ、ごく一部を除一眼レフではAF時にフォーカスリングが回転するタイプ故に、MFの操作性がスカスカです。MFレンズのようなネットリ感を出せないのは、フォーカスリングごと回る機構によるものです。
そのためか、フォーカスの繰り出しによるガタツキもあり、こうした四隅の一部のみがボケるといった症状、この時代の85mm以下のAF単焦点レンズでよく見かけるような気がします。
中古で買う場合はこうした個体差が出やすいことに注意が必要です。

絞るほど解像感が増していくのは最近の新しい設計のレンズでは味わえない感じです。かといって開放も緩くはないです。
AF一眼レフならフィルムでもデジタルでもオススメの1本です。とてもコンパクトです。ただ外装は昔のプラ外装故に、現代のプラ外装ほど高級感は出せないですね。チープ感も結構あります。使い込むほどテカってしまいます。
色味は少し黄色味が強い気がします。

AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED

2014年発売の本レンズ、流石にまだ新しいだけあります。開放でも中心部はキリッと描写します。周辺はわずかに非点収差による影響はなくはないですが、デフォーカスしていくボケのグラデーションが良いですね。なので、絞り開放でも自然にボケていく感じです。個人的に大好きな描写で、どんな撮影もそつなくこなせるのと、AF-SによりAFもスパッと快速とまで言わないものの、ストレスなく使えます。もちろんFTZ II経由でZマウントボディでもAFが使えます。フル機能で使えるので、AF一眼レフでもミラーレスでも、ちゃんと使えるのがありがたいです。

開放からしっかり解像するので、絞り込むほど解像感が増していく感じはありませんが、f11まで絞ると、この撮影条件では周辺までちゃんと解像しますね。f16だと回折の影響が出てくるので、f11までが実用でしょう。
色もニュートラルに感じますね。

NIKKOR Z 35mm f/1.8 S

実はAF-Sより4年新しいだけです。2018年発売。が、描写がぐっと上がったのはミラーレス専用設計で、口径が大きくフランジバックが短いZマウントの性能を如何なく発揮出来るからでしょう。
開放ではことさらカリカリ感を出していなことに好感が持てます。描写の繊細さが出ています。解像力だけ見ると、ほとんどAF-Sと変わらないですが、デフォーカスしていく部分のつながりがAF-Sより更に上をいっているのではないでしょうか?
少し手前のボケに二線ボケが出ていますが、そこまで目立つ感じではないですね、

絞りによる解像力の変化はもっとも少ない気がします。とにかくグラデーションが豊かですし、f16まで絞っても回折の影響は少なめです。個人的には風景ならf11が良いと思います。
暗部の階調もよく出ていますし、風景でカリカリしないのは本当に好感が持てます。
色味もよりニュートラルで、Nikonで言われがちな黄色味もこのレンズは感じませんね。
光学設計はNikonではない(KONICA MINOLTA?)とも言われていますが、そんなことはどうでもよく、さすが最新ミラーレス専用レンズだけあります。デビューから7年近く経ちますが、まだまだII型は不要でしょう。
Zマウントユーザーは1ポンあって損はないレンズです。


作例が多いので今回はここまで。他にもいくつかのパターンで撮影しましたので、ぼちぼちアップしたいと思います。

Zマウントユーザーならスナップにこの1本。f/1.4よりも描写は良いです。

AF-Sレンズの場合、安価なDX(APS-C)フォーマット用レンズとフルサイズFX対応の以下のレンズとは描写は別物です。APS-Cのデジタル一眼レフでもこちらのレンズがおすすめです。

created by Rinker
Nikon
¥48,000 (2025/07/02 17:57:37時点 Amazon調べ-詳細)

Rollei RETRO 400Sで撮る足尾銅山の風景

GW休み中、十数年ぶりに行ってきた足尾銅山。変わった風景あり、変わらぬ風景ありで、デジタルの写真はブログで紹介済ですが、デジタルだけでなくフィルムでも撮影しています。

撮影日は天気予報が雨のち曇り、であればISO感度400が良いかなと持って行ったRollei RETRO 400S、ただ結果的に曇りでも時々晴れ間も出る天候で、Nikon Photomic FTNの高速側シャッタースピード1/1000を多用することも多かったです。
日中撮影は、ISO100で十分だと改めて思った次第。

↑シックナーとその周辺から

とは言え、今回スキャンしてみて、このフィルム、気に入りました。まずスキャンしやすいです。ベースフィルムが透明なのもありますね。
コントラストの出方もよいし、適度な粒状感も良い塩梅です。
RolleiはRollei 35シリーズで有名なドイツのカメラメーカーでしたが、現在は写真用アクセサリを中心に販売しているようです。ただ、自社製造というよりはOEMで供給されたものが多いようです。
このRollei RETRO 400Sも、製造国はベルギーなので、製造しているのはAGFA-Gevaert(アグファ・ゲバルト)と言われています。AGFAも元々ドイツのフィルムメーカーでしたが、ベルギーのGevaertと合併し、現在本社はベルギーとなっています。
ドイツの写真関連のメーカー事情は複雑で、それこそ倒産や合併等を経て現在の形となっていますね。

↑通洞変電所から

RETROを謳うだけあり、FujifilmやKodakのモノクロフィルムよりも粒状感は少し多め、コントラストの出方もやや古めかしさは感じます。
このフィルムは、近赤外光の750nmの波長までの分光感度を持っているため、赤外線フィルタ装着による赤外写真にも対応するようです。
KodakのモノクロフィルムであるT-MAX 400では、630nmを境に急激に分光感度が低下するため、確かにRETRO 400Sのほうが赤外写真には向いているフィルムでしょうね。
今回は特別フィルタは装着せずに撮影していますが、このフィルムの独特のコントラストは、この近赤外線の感度が高い事によるものかもしれませんね。

↑足尾駅の展示車両

フィルムって今時のデジタルの写真よりずっと解像度は低いですが、逆にこの情報量の少なさと適度な粒状感が、写真として良い場合もあるかもな、と今回Nikon Z 8と一緒に撮影していて思いました。
現代は写真でも動画でも、選択肢としての情報量がまずもって30年前とは桁違いに多いですし、その1つ1つの写真や動画にしても解像度も高いため、あらゆる面での情報量が多すぎるのかもしれません。
レトロに写る色調のフィルムや古いコンパクトデジカメがもてはやされているのも、そんなのが理由かもしれませんね。

デジタルで撮った写真と合わせてご覧ください。同時に撮ったとは思えないくらい時代が違って見えますね。
そして今回の撮影で、水銀電池の互換電池を使ったフォトミックファインダーの露出計も問題ないことがわかって一安心。安心して露出系任せで撮影できますね。

35mmレンズで撮ったこの風景が好き

今回はレンズはNikkor-S Auto 35mm F2.8の1本だけ。やっぱり35mmが一番好きだというのも再認識した1日でした。

Rollei RETRO 400S、なかなか良いね

先日現像から上がったモノクロフィルム、取り急ぎスキャンしました。群馬県の草木ダムから。

Nikon Photomic FTN + Nikkor-S Auto 35mm F2.8 (Rollei RETRO 400S)

ISO400なのでそれなりに粒状感はありますが、このコントラストの出方、好きです。

Nikon Photomic FTN + Nikkor-S Auto 35mm F2.8 (Rollei RETRO 400S)

露出計の電池を互換電池に交換したNikon Photomic FTNの露出計は問題なしかな。ややアンダー目に撮った写真もちゃんと反映されている感じ。その他の写真も随時ご紹介します。

NIKKOR Z 35mm フィールドデビュー 群馬県草木湖にて

GWの天気、平日はパッとしませんが、せっかくなので遠出して写真撮影をと思いまして、今回は足尾銅山に十数年ぶりに行ってみようと思いました。

ナビが示した道は、宇都宮経由ではなく群馬経由、時間はかかるけど、このルートで一度足尾方面に行きたいと思っていたので、ナビ通りに行ってみることにしまして、その途中、群馬県堺に近い、草木湖に立ち寄りました。

今回、先日導入して初めてNIKKOR Z 35mm f/1.8 Sをフィールドに持ち出しての撮影です。35mmは自分にとっての標準レンズですから、初心に帰った気分です。

息を飲む描写です。上の3枚はちょい絞った遠景、草木ダムからの風景、雨がやんだあとの、まだ湿気の多いダム湖、風はほとんどなく波立っていない湖面、低い雲、この雰囲気を余す所なく描写できています。ことさらシャープネスを強調せず収差を抑えています。
今まで使ってきた35mmでも圧倒的です。

下の2枚は、ツツジの花びらが印象的だったので、いずれも絞り開放で撮りました。
いや立体感がいい! 後ボケでなく前ボケも良い。ボケとピント面のグラデーションもなかなかです。ボケ味の良さだけでなくつながりが良いのは、NIKKOR Zに共通した良さです。
Nikon Zマウントとともにデビューした最も古いZレンズの1つですが、数年経過した現在でも高いレベルのレンズであることがわかりました。

久しぶりに標準レンズの楽しさを味わえました。AFは特段速いというわけではないですが、遅くもなく標準レベル。ですが描写は過去のFマウントを確実に超えています。さすが、新しいレンズは違いますね。特にミラーレス化による恩恵は大きいですね。

さて、今回の撮影ではこちらも持ち出しています。

Nikon F Photomic FTN + Nikkor-S Auto 35mm F2.8

先日フォトミックファインダー(露出計)の電池を交換した、Nikon F Photomic FTNに、35mmを1本のみで。
NIKKOR ZとNikkor Autoの描写の違い、もちろんデジタルとフィルムの描写の違いを楽しみたいと思いまして。
Rollei RETRO 400Sはこれから現像に出してきます。その写真はまたいつか。


Zユーザーなら1本あって良いレンズ。Z 40mm f/2からのステップアップにもどうぞ。

今回天気が悪いと思ってISO400のモノクロを持ち出しましたが、後半天候回復してやや感度高めでした。
曇天時にどうぞ。

4本のNIKKOR 35mm

NIKKOR Zの35mmはf/1.2が出るとの噂もありますが、スナップはf/1.8で十分と思っているので、NIKKOR Z 35mm f/1.8 Sはいつか欲しいと思っていたレンズの1つです。

これで手持ちの一眼用の35mmは4本となりました。好きなんですねぇ。

左から右へ行くにつれ新しくなっていく、そして大きくなっていく…f値が違うから一概に言えませんが

Nikkor-S Auto 35mm F2.8
AI AF Nikkor 35mm f/2D
AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED
NIKKOR Z 35mm f/1.8 S

どのレンズもNikon Zマウント機なら使えます。FマウントレンズはマウントアダプターFTZ IIを介して取付可能。厳密には一番古いNikkor-* Auto(通称オートニッコール)はFTZ IIは公差の問題で公式には取付不可能としているものの、そのNikon自身がNikonミュージアムの企画展で、自己責任の下FTZ IIにオートニッコールを取付けて撮影していて、個体差で取付が渋いものがあるようですが、概ね問題ないと思っています。

ということは…4本のレンズで撮り比べできちゃうんですよね。
これは撮影が結構大変なので、そのうちやろうと思いますが、まずはNIKKOR Z 35mm f/1.8 Sの特性をつかんでいきたいと思います。


ところで…Photomic FTNの電池がついに切れてしまいました…。アダプタ買わないと。

【サイボクに行ってきた】NIKKOR-S Auto 35mm F2.8編

サイボクの森で子どもたちを遊ばせつつ、Z 9にFTZ IIを使って、レンズをとっかえひっかえしていろいろ試してみるシリーズ。

こちらはデジタルでは初めて使った、NIKKOR-S Auto 35mm F2.8です。

Nikon Z 9 + FTZ II + NIKKOR-S Auto 35mm F2.8(後期型)

このレンズは、うちの親父がNikon Photomic FTNとともに購入したレンズです。それを奪ってきたので(笑)自分がツーオーナということになります。それほど明るくないレンズ故に、軽量ですね。
なお、NIKKOR-S Auto 35mm F2.8は前期型と後期型があり、このレンズは”Nippon Kougaku”銘ではなく”Nikon”となっている後期型です。
色々な資料によると、”Nikon”銘のものは1971年から、とありますが、このレンズを親父が買ったのは、確か保証書によれば昭和45年(1970年)となっています。この辺りよくわかりませんが、とにかく後期型には違いないですね。

数年前に、Photomic FTNとともにNikonでオーバーホールを実施しましたので、ヘリコイドも滑らかに動きます。光学系もきれいな状態です。
この日はレンズフードを忘れてきてしまいました…

AI化以前のオートニッコール世代のレンズで、これまでのNikonデジタル一眼レフでは、絞りリングの機械連動であるAIガイド(人工知能のAIではなく、開放f値自動補正方式 Automatic Maximum Aperture Indexing 方式のAI)が干渉するため(一部AI非対応ボディを除く)、これまで手持ちのボディで取付は出来ませんでした。
かといって、オートニッコールのためにAIガイド可倒式のNikon Dfを買うのも…ねぇ…と言う感じでしたが、Zマウント用のマウントアダプタが全てを解決しました(笑
FTZFTZ IIも、AIガイドがないため、非公式ながら、オートニッコール世代のレンズの取り付けが可能です

つまり、オートニッコール世代のレンズは、物によっては干渉などがあり、破損の可能性もあるため、メーカーとしては一律「使用できません」としているが、自己責任で取付確認して使用は可能、ということです。オートニッコール世代は、マウント径など一部ごく僅かに寸法が違うようなので、注意が必要です。

ということで、Z 9で晴れてデジタルデビューです。

おお、同じ35mmでも、Fマウント最新のAF-S NIKKOR 35mm f/1.8G EDと半世紀以上設計年次が異なるので、これだけ写りが違うんですね。
中心は、開放から解像力が高いですね。ただ、コマ収差と球面収差の影響で、周辺になるほど像が流れ気味になりますが、それでもWeb掲載程度の解像度なら、ほとんど問題ないですね。L判や2L判プリントであれば、何ら問題ないレベルです。絞るほど改善していき、f11で周辺までスッキリと解像します。
周辺減光も、f2.8では多めですが、f8まで絞れば気にならないレベルです。
まあ写真のような遠景は、この時代は絞って撮るのがセオリー。絞り開放で全域高解像のレンズなんてのは、ここ10年の話ですから。

コマ収差の影響で、少しグルグルボケっぽい感じもありますが、それほど目立つ感じはないですね。近接では球面収差の影響もあり、開放だとわずかにふんわりとしたベールがかかるけど、中心は解像力はあれど柔らかい描写で、ポートレートにも良い感じですね。
Z 9のEVFでもピントの山は見やすく、MFでも何ら問題ありませんね。流石に動き回っている子供はしんどいですけど。

この時代の明るくない単焦点は、流石に無理のない設計で、描写も安定していますね。それでも最新のレンズと比べると、どこかレトロな写りになるのは、様々な残存収差の影響なんでしょうね。
特に色味は最新レンズと異なります。まだモノクロフィルム主体だった時代を感じさせます。

意図せず写ってしまった太陽、フレアとゴーストが派手に出ています

逆光耐性は時代を感じさせますね。今どきのレンズのように、逆光だろうがヌケの良い描写、とはなりません。フィルムとデジタルの違いももちろんありますが、たまたまシャッターボタンに触れて写ってしまったこの空の写真、フレアとゴーストが多く出ています。でもこのモノコーティングの時代は、これが当たり前でした。
現在では動画を中心に、逆に太陽の眩しさの表現として、フレアやゴーストをあえて発生させる、というのもあるようなので、このくらいのフレアやゴーストがちょうどよい感じに思えますね。

ということで、デジタルでもわりと良い感じに使えるNIKKOR-S Auto 35mm F2.8、このレンズの描写もなかなか捨てがたいものがありますね。

フォトミックファインダーを修理したNikon F2フォトミックで撮った写真をスキャンしてみた

GWに、レンズの絞りと露出計が連動しない不具合のフォトミックファインダーDP-1を修理し、F2で撮影を行ってきました。
フィルムが現像から上がってきたので、早速スキャンしてみました。

フィルムはFujifilmのNEOPAN ACROS 100IIです。

入射光式の単体露出計と比較しつつ、撮影しました。概ね、フォトミックファインダーの露出計と、単体露出計は合っているように思いました。

もちろん、被写体の色などに左右されない入射光式の露出計のほうが、正確です。フォトミックDP-1は中央部重点測光ですが、かなり被写体の色に左右されるので、それに応じた露出設定が必要です。まだ、フォトミックDP-1の露出計の癖がつかめていませんが、ネガフィルムであれば、問題なく使えそうな印象でした。

ところで、4年ほど前にNikonでオーバーホールしたNikkor-S Auto 35mm F2.8、なかなかの描写です。最近はデジタルでオールドレンズを使うことも流行りですが、このレンズの場合は、フィルムとの組み合わせのほうがしっくり来ます。安定した描写で、神経質なことは何もありません。

広角レンズはAI Nikkor 24mm F2を使用。当時としては大口径ながらコンパクトな24mmレンズ、解像力は現代のレンズに劣るものの、広角なのに開放ではしっかりとボケますし、そのボケ味もなかなか良いです。このレンズも、デジタルよりフィルムでの描写のほうが上に感じました。

Nikon F2 Photomic + AI Nikkor 50mm f/1.2S Fujifilm NEOPAN ACROS 100II

最後は、AI Nikkor 50mm f/1.2S、NikonのFマウントで最も明るいレンズです。初代Fから、最新のデジタル一眼まで、制約なく撮影できるレンズです。この撮影時点では曇っていたのが一気に晴れて、シャッタースピード1/2000秒ではf2.8くらいまで絞らなければならない状況。
このレンズはf2.8まで絞れは、カリッとニッコールらしい解像力のある描写です。デジタルでも、少し絞るだけで素晴らしい解像力を得られます。フィルムでの開放撮影も楽しみたいですが、やはり古いMF機では、シャッタースピードが1/1000や1/2000秒までなのが多いので、純粋にフィルムで開放で撮るなら、手持ちのカメラだとF90XsかF100の出番となりますね。

なにはともあれ、露出計も復活してちゃんと使えそうなので、F2の出番も増えそうです。Fより撮り心地、シャッターやミラーの感触が良いですから。さすが、機械式一眼レフの最高峰だけあるカメラです。こうなると、F2 Titanも欲しい…


NEOPAN ACROS 100IIも、なかなかの描写のモノクロフィルムですね。2019年デビューの最新モノクロフィルムです。コントラスト、特に黒の締りが良くなったように思います。
シャープさも増し、フィルムスキャナでもその解像力の高さがわかります。粒状感もそれなりに感じるけど、好きな描写です。モノクロフィルムはもう黙ってNEOPAN買っておきます。

フォトミックファインダーDP-1を修理したので、露出計を確かめてみた

Nikon F2用フォトミックファインダーDP-1を修理しましたので、早速露出計の精度を確かめに、子供を公園で遊ばせがてら、撮影してみました。

Nikon F2フォトミックMINOLTA AUTO METER IIIFにNEOPAN ACROS 100II

この組み合わせです。

比較のため、入射光式の単体露出計、MINOLTA AUTO METER IIIFを用意しました。久々に出したかな。個人的に、デジタル表示のこのメーターよりも、安価なSEKONICのアナログ針式のほうが使いやすいのですが、今回は入射光式が良いかなということで。
もっとも、この露出計も中古ですし、精度は不明です。ま、だいたい露出が合えばいいので。

そういや、先日、MINOLTAってメーカー、写真やっていない若い人は、もう何のメーカーかわからないんだろうな、というのがツイートされていましたが、実際、現在のKONICA MINOLTAはカメラ事業をSONYに、アフターサービスはKENKO TOKINAに移管していて、コンシューマー向けの製品は作っていないので、MINOLTA時代を知る人もだんだん減っていくのでしょうね。

それはさておき、ついでに撮影を、ということで、FujifilmのNEOPAN ACROS 100IIを用意しました。

レンズはまずNikkor-S Auto 35mm F2.8から

レンズは、Nikkor-S Auto 35mm F2.8から試してみます。明るいレンズでもなく、極端に暗くもないレンズで、まず試してみました。

入射光式の露出計は、撮影被写体付近に露出計の白い球状の測光面を、光源に向けて測ることで、反射光式のように被写体の色に左右されずに測光可能で、正確な測光が可能となります。カメラの露出計は、このNikon F2フォトミック一もそうですが、一般的にTTL測光とという、カメラのレンズを通した光から露出値を読み取る方式ですが、18%グレーで適正露出となるようになっているため、被写体が黒だったり白だったりすると、それによって露出値が変動してしまいます。
最近のデジタル一眼では、露出の精度が大幅に向上したのと、デジタルにおけるISO感度はカメラごとに特性が異なり、単体露出計だけでは適正露出にならないこともありますが、フィルムであれば、その特性はカメラによらないため、入射光式の露出計が最も正確に露出を知ることが出来ます。

概ね、合っているかな

フォトミックDP-1の場合、針式のメーター、中央部重点測光で、当然被写体の色味に左右されるものの、入射光式の露出計との差は1段も違わない印象でした。

レンズをAI Nikkor 24mm F2に変更しました。

AI Nikkor 24mm F2

道路のアスファルトを18%グレーに見立てるという暴挙で、カメラを道路に向けて露出を比較してみると…

シャッタースピード1/2000秒に設定、絞りはf2にした場合、カメラの露出計はメーターが中央に、露出計もf2~f2.8の間を指している

カメラのシャッタースピードは1/2000秒、絞りは開放のf2に。この状況で、フォトミックのメーターは針が中央(適正露出)になりました。写真でも、ペンタプリズム上にあるメーターが中央を指していることがわかりますね。

一方その状況で、露出計で測った値は、1/2000秒設定でEV13.3、絞りはf2とf2.8の間を示しています。
つまり、カメラと露出計の差は0.5EV程度と考えられます。

もちろんこのやり方はあまり良いものではなく、本来は18%グレーの標準反射板を用意すべきですが、ネガフィルムならこのくらいの差はそれほど問題ではないでしょう。

このままフォトミックファインダーの露出計を使っても問題なさそうです。

AI Nikkor 50mm f/1.2Sでは絞り開放では撮れなかった

レンズをAI Nikkor 50mm f/1.2Sに交換。ただし、F2との組み合わせでは、晴天の下、ISO100のフィルムであっても、絞りはせいぜいf2までで、絞り開放のf1.2では撮影できず。これは、F2のシャッタースピード上限が1/2000秒までだから。1970年代のカメラは、このくらいのシャッタースピードが一般的でした。
1/4000秒のシャッターが切れるカメラは、縦走りのフォーカルプレーンシャッターを搭載したNikon FM2が出る1982年まで待たねばなりませんでした。
この状況では、絞り開放で撮りたければ、NDフィルターを使用すべきでしたね。
それを考えると、ミラーレス一眼では、電子シャッターで1/16000秒や1/32000秒が使えたり、ISO感度をISO50や32、あるいはISO8まで落とせるカメラもあり、ピーカンでの絞り開放撮影に制約が少なくなっていて、良い時代になったものだなと思います。昔は道具と技術と知識が必要だったのが、カメラで何とか出来る幅が増えましたね。


5月なのに雨が降ったり晴れたり

このGWの関東の天気、突然雲が来たかと思うとザーッと雨が降り、程なくして止んで晴れ間が出る、という天候が続いています。まるで夏の天気かのように。

なんだか落ち着きのない天気です。
幸いこの日は雨はパラパラ降る程度で、大降りにはなりませんでしたが。
GW後半は天気が崩れるみたいです。ステイホームしろということかな。