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AI AF Nikkor 35mm f/2Dで光が丘公園をスナップ

4本のNIKKOR 35mmを比較する写真を撮ったついでのスナップ撮影。今回はAI AF Nikkor 35mm f/2D

Nikonは一眼レフがAF時代となった80年代以降、Ai AF Nikkor 35mm F2Sを1989年に発売し、それを同じ光学系のままDタイプ化(距離エンコーダ内蔵)したAI AF Nikkor 35mm f/2Dを1995年に発売して以降、2010年にAF-S NIKKOR 35mm f/1.4Gを発売するまでの15年間、AFレンズはずっとこのDタイプ1本だけでした。もっともその時代にもまだMFのAI Nikkor 35mm f/2Sf/1.4Sをラインアップしていたというのもありますが。

というわけで、長きにわたりAFレンズとしてはこの1本だけで頑張ってきたレンズ、Yamaroが一眼レフのNikon F90Xsを買ってから初めて自分で買ったNikkorレンズでもあり、思い入れのある1本です。このレンズとともに写真を続けてきたので。

見た目はプラスチッキーで質感は必ずしも高くなく、使い込むほど表面はテカり、AFカプラーを使うボディ内AFモータ駆動のレンズゆえ、AF時もフォーカスリングは回転するし、MFレンズ時はフォーカスリングはスカスカ(AF時に回転するのでMFレンズのようなネットリ感を出すとAF駆動に支障が出る)と、今となっては古さを感じます。

が、このレンズの後継としてAF-SやNIKKOR Zを買った後に改めて使ってみると、なかなか写りは悪くないです。オートニッコールほど球面収差が出るわけでもなく、かといって周辺まできっちり解像するわけでもないのですが、この時代のレンズらしい性能と写りは、今見ても悪くないんですよ。

なによりコンパクトで軽量なのがこのレンズの持ち味。フィルム時代ならこれで十分すぎる性能、今時の4500万画素のデジタルでもそつなくこなせます。D300時代のカメラより、今使っているD850やZ8で撮ったほうがよく写るんですよね。イメージセンサの光学フィルタも進化しているということかな?

撮影はNikon Z8にFTZ II経由で行っています。AFは使えない以外は、CPUレンズなのでコマンドダイヤルで絞り操作も可能ですし、フォーカスエイドも使用可能です。

f5.6だと、本当に画面の四隅が僅かに像が流れるものの、他はほぼ問題なく解像し、収差の影響も見られないです。このレンズはまだフィルム時代の発売なので、四隅が僅かに解像しないのは、当時プリントで四隅が切られてしまうことを考えると、全く問題とならなかったです。
そつなく写るので、ともすると面白みにかけるレンズですが、それが返ってレンズの個性に頼らないで、ちゃんとフレーミングしようよ、被写体とその前後の位置関係考えよう、となるわけです。じゃ、自分がそれが出来ているかと問われると、多分あまり出来ていない(笑) いいんです、趣味なんで楽しければ。

上の写真はf4です。こういう近距離風景のスナップなら、f4に絞る程度で十分写ります。D300だとシャキッと写らなかったのが、D810以降のカメラでは割とよく写るんです。同じレンズでも、デジタルだと世代で描写が変わるのは、イメージセンサも光学系の一部となっているからなのかなと。

絞り開放だと、このレンズはフォーカス距離によってはご覧のように背景がやや硬めのボケになります。フィルム時代は開放より絞って使っていましたね。
今時のレンズのように、ピント面がシャキッとは解像していないけど、これはこれで好き。

f5.6で。このレンズはこういう撮り方が一番合っているな。ちょっと絞って撮る、昔ながらの撮影スタイル。
光が丘清掃工場の煙突はどうしても撮りたくなります。

f5.6で。このくらいの絞りで撮るのが、このレンズの持ち味が出て良いですね。落ち着いたトーンで暗部もしっかり粘ります。

中古でもそこそこ数のあるレンズです。値段も安いので、スナップに1本いかがでしょう?

新旧NIKKOR 35mm撮り比べをしてみた【近距離被写体編】

新旧NIKKOR 35mm撮り比べシリーズラストです。

撮り比べてわかったのは、35mmレンズというのは50mmレンズより実は安定した描写のものが多いんじゃないかな、と。
NIKKOR-S Auto 35mm F2.8後期型ですら、描写の安定性が高いんですよね。50mmだとこの時代のレンズは、開放では収差が多く、絞るほどに収差が改善されキリッと描写するものが多かったですが、このAuto 35mmレンズは確かにその傾向は見られるけど、50mmほどではないんですよね。もちろんF2.8という開放を欲張っていないのも大きいですが。

さてこの最後の比較ですが、最も各レンズの描写の違いが出ているように感じます。
特に今回は順光で被写体の自転車の距離が2.5m程度、背景も複数の距離を取り混ぜてみました。
良い悪いではなく、同じレンズでもこんなに特徴が違うんだなとわかりやすい作例になったかなと思います。撮影タイミングで光の状況が変わったり厳密な同じ条件ではないですが、傾向を感じていただければと思います。

NIKKOR-S Auto 35mm F2.8

この作例では最も絞りによる描写の変化を感じられたのがこのレンズです。
絞り開放では球面収差や非点収差と思われるふわっとした描写が感じられますが、いい塩梅に柔らかさを出していて、独特な立体感を感じさせる描写です。ですが解像力はしっかり出ていて、ピントの芯があるので、収差だらけで見るに耐えない、ということがまったくなく、これはポートレイトに積極的に使いたいですね。
f2.8という決して明るくはない開放ですが、むしろ被写界深度が適度にあることもこの手の撮影では好ましいですね。

開放では周辺減光がむしろ独特の立体感に寄与している感じがしますね、1段絞れは収差の影響もぐっと減り、安定した描写です。これはf16まで変わらず。ハイライトのパープルフリンジはむしろ新しいAIAFよりも出ていないくらいです。
解像力は確かに新しいレンズよりはないかもしれませんが、あくまで比較した場合であって、今時の4500万画素のデジタルでも十分と感じます。
よく高画素機が登場した頃には、古いレンズは解像力が追いつかないので意味がないなんて話も聞かれましたが、そんなことはないです。

AI AF Nikkor 35mm f/2D

Autoと比べると、80年代の光学設計も新しさを感じます。このレンズはAutoよりも1段明るいですが、絞り開放の球面収差はAutoのf2.8よりもむしろ少ない、もちろんまったくないわけではないのですが。
Autoよりより端正な描写担っていると思います。ただ、ハイライトのパープルフリンジがAutoでは感じなかったのが、このレンズでは少し出ているんですよね。

絞るほどにキリッと描写していきます。f16でも回折の影響はあまり感じないですね。
今回の作例ではないのですが、このレンズは円形絞りではないために、夜景撮影では光芒がきれいに出るんですよね。
そしてこの撮影では円形絞りではないことによる影響はあまり感じませんね。

AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED

AIAFよりさらに30年近く新しくなると、もはや絞り開放でも収差の影響はほぼないです。
中心部の解像力も高く、ここまで写れば文句のつけようがないですね。少し気になる点は、開放では背景の木の葉のボケが少し二線ボケの傾向が見られるところでしょうか。
絞りを変えても全体として安定性は高いですね。ただ開放時にハイライトの縁にパープルフリンジが少し出ています。AutoやAI AFでは出ていないんですよね。ピントが良すぎるから?

解像力のピークはf8~11辺りと感じますが、f16でもほとんど回折の影響は感じられないですね。さすが新しいレンズだけあります。

NIKKOR Z 35mm f/1.8 S

完璧です。描写の傾向はAF-Sと似ていますが、違いは二線ボケの傾向が少なくなっていること。お陰でより立体感のあるボケが出ています。
また解像力はさらに一歩高いですね。AF-Sよりも中心から解像力の高い範囲が広がっています。像面湾曲がより少ないのでしょうね。
ただAF-Sと同様、絞り開放でハイライトのパープルフリンジが少し出ています。気になるほどではないのですが。

とはいえ気になる点はほぼなく完璧に近い描写です。これが逆に写りすぎて…なんて言われる所以なのかもしれませんが。人間ってないものねだりで贅沢ですね。
でもこれだけしっかり写るからこそ、写真に集中できるとも言えますね。レンズのクセに頼りすぎないってのも撮り方の1つです。


シリーズで掲載してきた本記事も一旦これで終了。
実はこの後、各レンズで簡単にスナップしてきたので、その写真もいずれまた掲載しましょう。
35mmレンズはスナップの王者です。使いやすいし、描写は間違いないですから。

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新旧NIKKOR 35mm撮り比べをしてみた【最短撮影距離編】

シリーズ「新旧NIKKOR 35mm撮り比べをしてみた」

KhodaaBloom RAIL DISC EX LIMITEDにTOPEAKのQUICK TRACK対応リアキャリアを装着、50cmの長いカゴを取り付けることで、撮影機材などを柔軟に運搬でき、必要に応じて簡単にカゴを取り外せるシステムを構築。
ロードバイクではないのでスピードや重量はそこそこですが、こういう使い方に適したクロスバイクも面白いですね。

今回のテーマは最短撮影距離です。
最近のズームレンズは最短撮影距離が随分近くなりましたが、大昔は全然寄れなかったのを思い出しました。
35mmの単焦点レンズは昔から割と寄れるレンズでしたが、ここでは各レンズをMFで最短撮影距離で撮影してみました。

最短撮影距離が短いから撮影倍率が大きいわけではないのがレンズの面白いところ。
ここでは先に実際の撮影倍率を書きますが、

AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED AI AF Nikkor 35mm f/2DNIKKOR Z 35mm f/1.8 S >> NIKKOR-S Auto 35mm F2.8

という順番になりました。カタログスペック通りの結果になりました。AF-SとAI AFは0.25倍、Zは0.19倍、Autoは調べましたがわかりませんでした。Autoは当時のNikonカメラガイドにも書かれていないんですよね。
うちにあるカメラガイドのスキャン抜粋。曲がっているのは御愛嬌w

1971年当時のNikonカメラガイドにNIKKOR-S Auto 35mm F2.8に最大撮影倍率の記載はない


そして意外にも、わずかに最新のZの撮影倍率は少し劣るようです。が、これはわずかなさで、Autoとの差が大きといったところです。
ただ、どのレンズも一般的な撮影では使い勝手が良く、寄れないなと感じることはあまりないと思います。

NIKKOR-S Auto 35mm F2.8

Nippon Kougaku銘ではなくNikon表記となった後期型の本レンズ、最短撮影距離は0.3mで、当時の50mmよりも寄れるので、様々なスナップ撮影で便利に使えます。
比較すると、新しい世代の35mmより最大撮影倍率は劣るものの、実写ではここまで寄れればまず問題ないくらいに使い勝手もよいです。

やはり世代の新しいレンズと違い、最短撮影距離付近では少し解像力は落ちる感じでしょうか。ちょっとボケにざわつきも。
でも絞るほどにキリッとして来るのはさすが、この時代のレンズは絞って使う、というのがセオリーでしたが、f11辺りまで絞ると本当によく解像しますね。
もう60年近く前のレンズなので、オールドレンズと言って差し支えないですが、いかにもオールドレンズな写りというのを期待すると、普通にまともに写るので拍子抜けするでしょう。でもこれが本来のレンズの正しい方向性だと思うのですが。
開放ながら、コントラスト低下もほぼないのもこのレンズの隠れた凄さです。

この写真の撮影時、ちょうど薄曇りになってしまったのはご容赦ください。

AI AF Nikkor 35mm f/2D

実は今回の4本の35mmの中で一番寄れるレンズ。最大撮影倍率0.23倍です。このぐらい寄れると、背景もぐっとボケるので、二線ボケも開放では返って気にならないくらいです。
一般的な撮影距離では少しだけボケが硬いかなと思っていたこのレンズ、割と接写で柔らかくなりますね。中途半端に絞ったときのほうがちょっと硬さが出ます。

実はこのレンズでももうちょっと接写では収差があってコントラスト低下があるのではと思っていたら、良い意味で裏切られました。絞っても回折の影響はあまり感じないですね。Autoもよく写るけど、このAIAFのDタイプ世代は30年近く新しい(と言っても80年代の光学設計!)だけに、更に洗練されていると思います。
欠点は前回も書いたようにMF操作性がスカスカで、細かい調整では引っかかりがあるということ。ボディ内モータによるAF駆動で、フォーカスリングがAF時も回ってしまうタイプゆえの欠点ですね。

AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED

AIAFと同じ最大撮影倍率0.23倍で、スペック通りほぼ同じくらい寄れます。AIAFよりやはり30年近く新しいだけに、大きな差はないものの、わずかにボケ味が柔らかくなっている気がします。特に絞った時のボケの硬さは絞るほどに差が出てきて、AF-Sのほうが絞ってもボケが柔らかいのは、円形絞りになった恩恵でしょう。
画質も開放から安定しています。

最近はもっと寄れる単焦点レンズも多いですが、多分そこまで無理をしないことで、描写の安定性重視なんでしょうね。
全絞りで安定していますね。そしてボケとピント面の繋がりがとても良いです。
ホントこのレンズ1本あればいろんな撮り方が出来ますよ。

NIKKOR Z 35mm f/1.8 S

先輩AFレンズより少し最大撮影倍率が落ちて0.19倍の最新NIKKOR Zですが、開放でもピント面はしっかり解像し、ボケは柔らかく、絞ってもボケの柔らかさは保ちつつ被写界深度が深くなる、というレンズの理想がちゃんと再現されています、最短撮影距離でも。なかなかセオリー通りにはならないのがレンズの面白いところですが、ここまで完璧に写ると面白くない、と言われてしまうのが悲しいところ。写りすぎてしまうのが最近のレンズ、でもこれが技術の集大成なのだから。

サムネサイズでも明らかにボケがしっとり柔らかくなっているのがわかります。絞りの枚数がAF-Sの7枚からNIKKOR Zでは9枚円形絞りになったのも効いているのかもしれませんが、Zマウントの大口径を活かした光学設計ができるのも効いているのでしょうね。
一番最初に出たZマウントレンズは、7年たった今でも素晴らしい性能であることに違いありません。これ、次のモデルの設計担当者はなかなか大変でしょうね。


4本撮り比べて思ったのは、やっぱり新しいほどに最短撮影距離付近の描写も良くなっていること。大きな差ではないですが、今時のレンズは最短撮影距離も重視されているんだなぁと。
ただ新しいとはいえ、安価なNIKKOR Z 40mm f2.8は最短撮影距離ではもう少し解像力やコントラスト低下があるので、ある程度光学系に金をかけられるか否かでも変わるんだなぁと思った次第。
Z40mmもちょっと古い写りが返って心地よかったりもします。
そのうちZ40mmとZ35mmを撮り比べするのもやってみたいですね。

新旧NIKKOR 35mm撮り比べをしてみた【近距離風景編とボケ味】

4本のNIKKOR 35mmを撮り比べるシリーズ第2弾です。

第1弾は↓

第2弾では、近距離の被写体(ここでは木を入れています)と遠景のボケ味を確認してみました。
FTZ IIとAuto NIKKORの組み合わせ、マウントアダプタのデザインがねぇ…。
Nikon Z8ではカスタムセッティングで、AF-ONボタンで拡大表示、もう一度押すかシャッターボタン押せば全体表示に復帰するようにしているので、MFはむしろ一眼レフより楽ですね。お陰でMFレンズも軽快に撮影できます。
Exifにレンズ名もカスタムで入れられて、焦点距離に連動してボディ内手ぶれ補正も最適化されるので、本当に撮影が楽で楽しいですね。

マウントアダプターFTZ IIに自己責任でNIKKOR-S Auto 35mm F2.8を装着

以下の画像はLightroom Classicで未調整のまま解像度のみWebように落として出力しています。
レンズデータはAuto NIKKOR以外適用されています。

今回は木の幹の中央付近にフォーカスを合わせ、各絞り値で撮影してみました。

NIKKOR-S Auto 35mm F2.8

最近重視される近場の解像力とボケ味ですが、流石に1960年代のレンズでは絞り開放で球面収差による影響が感じられますね。
ボケは開放では口径食による影響があり、縁どりも強い、硬いボケ味ですね。この時代は準広角たる絞って撮影するのがセオリーだったので、開放よりも少し絞った辺りを基準としていたと思われます。

絞るほどネガな要素は消えていき、f8からf11あたりで球面収差の影響もなくスッキリとした描写になりますね。
ただ最近のミラーレス専用レンズの完璧な描写とは間逆なだけに、こういった開放の描写がむしろ好みと感じる人も一定数いるんじゃないかな? 実は自分も嫌いではないんですよ。
背景を選べば、このちょっとざわつく開放の背景描写も好ましい方向になるかも?
そしてやはり色合いは寒色系ですねこのレンズ。カラーリバーサルフィルムなら、少し暖色系のKodachrome 64あたりがしっくり来るかもしれませんが、もう買えないフィルムですから、カスタムピクチャーコントロールで作ってみるのも面白いかも。

AI AF Nikkor 35mm f/2D

Auto NIKKORと比べると、80年代の光学系とは言え、いきなりモダンな描写になったのがわかります。
特にボケ味は硬さがなく、同じf2.8でAuto NIKKORと比較してもボケの縁取りが少なくぐっと柔らかさが出ています。
ただ絞り開放では木の幹の左側は少し像が流れているのはAutoと同じ傾向はありますね。絞れば改善されます。像面湾曲などザイデル収差はこの時代のレンズではまだ大きく影響がありそうです。
ただ、この時代はまだ絞り開放から画面の隅々まできっちり解像するなんてのは難しかったわけですし、被写体は平面チャートではない3次元的なものだから、ザイデル収差はある程度妥協はあったでしょう。値段的にも高価なレンズではないですからね。

改めて思ったのは、このレンズの描写、悪くないです。Nikon F90Xを買った後に初めて手に入れた単焦点レンズで、買った当初は絞って撮ってばかりで、何かこんなもんなのかなと思っていたのですが、開放を積極的に使うようになって、レンズの面白さがわかりました。
このレンズはどちらかと言うと暖色系な色合いを感じますが、気のせいかな?

AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED

上のDタイプと比べて、更に現代的な描写になったのがわかります。像面湾曲や球面収差の影響が少なくなっています。ボケ味はさらに柔らかさが出ていますが、わずかにボケの縁取りは残っていますね。
とは言え、AutoとDタイプほどの差はなく、より現代に近い描写になったと言ってもよいでしょう。
そしてAF-S化によるAFの速度とフォーカス群の繰り出しの正確さはミラーレス機で使っても恩恵がありますね。

絞り開放では木の幹の左側隅の描写がぐっと良くなっているのがわかります。もう収差の影響はあまりなく、単純に被写界深度の浅さによるボケが発生している感じでしょうか。
色合いはニュートラルですね。
一眼レフもミラーレスも両方使う人なら、このレンズ1本あれば十分と言えます。ええ、NIKKOR Zの描写さえ気にならなければw

NIKKOR Z 35mm f/1.8 S

この撮影においては、AF-Sとの差は殆ど感じません。同じ35mmでも、Zのほうがわずかに画角が広いです。描写の傾向もこの撮影だと似ていますね。
ほんの僅かにボケの縁取りがZのほうが少ない気もしますが、殆ど差はないと言っていいでしょう。
これはAF-Sが優秀だという証であり、Zになったから劇的に良くなるという要素は少ないかもしれません。

色合いもニュートラルです。
大きな差はAF-Sとはないものの、Zマウントのボディとレンズの組合せでは煩わしいマウントアダプタ装着も不要ですから、もしFマウントボディをお持ちでないなら、このレンズ一択でしょう。


このテストでは、4本のレンズで劇的な差は認められなかったです。こういうシチュエーションでよく使われる焦点距離だけに、このあたりのフォーカス距離の描写に重点が置かれているのでしょうね。

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新旧NIKKOR 35mm撮り比べをしてみた【中距離風景編】

35mmレンズは標準レンズたる50mmより少し画角が広く、35mmが標準レンズという人も世の中に少なからず存在しますし、私もその一人です。
屋内でも屋外でも、汎用的に使える画角で、昔の単焦点コンパクトカメラでも35mmや38mmというレンズはよく使われていました。

ずっと50mmの画角が苦手だったワタシ(今は苦手意識はなくなり好きな画角になりました)には、35mmレンズは必ず持ち出したい1本となり、いつの間にかレンズも増えました(笑
レンズ交換式のNIKKORレンズだけで4本あります。ま、世の中にはもっとたくさん持っている人もいますが、この4本はそれぞれ思い入れのある4本です。

左からNIKKOR-S Auto 35mm F2.8(後期型), AI AF Nikkor 35mm f/2D, AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED, NIKKOR Z 35mm f/1.8 Sです。NIKKOR-Sは1959年発売の前期型ではなく、後期型になりますが、NikonのFマウントレンズでも古いものになります。これは親父が1970年に新品で買ったものです。
AIレンズは持っていなくて、いきなりAFレンズのAI AFとなりますが、これが自分にとっての最初の35mm交換レンズです。これを長年使い、待望のAF-Sは初めて予約して買ったレンズでした。そしてNIKKOR Zは、Zマウントで初の単焦点レンズとして2018年位発売されたレンズになります。Zマウントレンズはハズレがないので、試したくて購入しました。

新しくなるほどレンズが大きくなっていますね。古いほど光学系も機構もシンプルとも言えます。Zマウントではマウント径が一眼レフのFマウントより大きいため、大きい径と短いフランジバックを活かした製品づくりをしているせいか、大きめのレンズが多いですね。

ここからは三脚を据えて、レンズ交換しつつ各f値で撮り比べをしています。
今回は中距離風景編、ということで、練馬の光が丘公園にやってきました。
ここはかつて陸軍飛行場があった場所であり、戦後はアメリカ軍が駐留していた場所でもあります。なので、とても広いのですよね。息子もサッカーの練習試合でたまに使っていたりします。自転車で走るもよし、ランニングもよし、スケボーで遊べルるエリアもあり、BBQエリアもあり、なんでもあるんです。こういう撮影テストにピッタリの場所です。

カメラはNikon Z8を使用し、ISO感度は64に固定、AWBは自然光オート、絞り優先のマルチパターン測光で撮影しています。
1本のみMFレンズのNIKKOR-S Auto 35mm F2.8は非CPUレンズなので、カメラ側にあらかじめレンズ情報を入力しています。
現像はLightroom Classicで未調整撮って出しで出力しています。
描写だけでなく、絞りによる露出のばらつきも確認してみてください。

NIKKOR-S Auto 35mm F2.8

半世紀以上前のレンズだけあり、開放では画面中心でわずかに球面収差による影響が見られなくはないものの、なかなか解像力は悪くないです。正直なところ、こんなによく写るとは思っていませんでしたね。
このレンズはAI改造をしていないため、AF一眼レフではフィルム機でもデジタルでも使用していなかったレンズです。Zマウント機へはFTZ IIを使用して撮影していますが、初期のAuto NIKKORレンズはAIレンズ行こうと違ってわずかに寸法の公差設定などが違うそうで、レンズによっては装着が硬かったり外しにくいものがあるため、公式には装着できないことにはなっていますが、自己責任で装着の上撮影しています。確かに手持ちのこの個体は少し装着は硬めでした。

絞るほど解像感は増していき、f11では周辺までかっちり解像します。非CPUレンズの場合は絞り込み測光になるため、実絞りと計算値と乖離はそうそうないはずですが、何故かf11とf16では露出オーバー気味になってしまいました。
もしFやF2をお持ちなら、このレンズは標準レンズとしてコンパクトで確かな描写を得られそうです。F2.8と他のレンズより若干暗いのも(光学設計的に無理がない)古い割に描写の良さを感じさせる要因でしょう。
カラーバランスはやや寒色寄りに感じますね。

AI AF Nikkor 35mm f/2D

80年代の光学設計のレンズ、Auto NIKKORより30年新しいだけに、開放から安心して使えますね。グルグルボケの原因になる非点収差もあまり感じませんね。ただワタシが持っているレンズの個体差なのか、右下隅がほかより像が流れてしまっている気がします。ただf11まで絞ると全体としてかっちり解像します。中心部は開放から何ら問題なく使えそう。
このレンズに限りませんが、初期のAF Nikkorレンズ、ごく一部を除一眼レフではAF時にフォーカスリングが回転するタイプ故に、MFの操作性がスカスカです。MFレンズのようなネットリ感を出せないのは、フォーカスリングごと回る機構によるものです。
そのためか、フォーカスの繰り出しによるガタツキもあり、こうした四隅の一部のみがボケるといった症状、この時代の85mm以下のAF単焦点レンズでよく見かけるような気がします。
中古で買う場合はこうした個体差が出やすいことに注意が必要です。

絞るほど解像感が増していくのは最近の新しい設計のレンズでは味わえない感じです。かといって開放も緩くはないです。
AF一眼レフならフィルムでもデジタルでもオススメの1本です。とてもコンパクトです。ただ外装は昔のプラ外装故に、現代のプラ外装ほど高級感は出せないですね。チープ感も結構あります。使い込むほどテカってしまいます。
色味は少し黄色味が強い気がします。

AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED

2014年発売の本レンズ、流石にまだ新しいだけあります。開放でも中心部はキリッと描写します。周辺はわずかに非点収差による影響はなくはないですが、デフォーカスしていくボケのグラデーションが良いですね。なので、絞り開放でも自然にボケていく感じです。個人的に大好きな描写で、どんな撮影もそつなくこなせるのと、AF-SによりAFもスパッと快速とまで言わないものの、ストレスなく使えます。もちろんFTZ II経由でZマウントボディでもAFが使えます。フル機能で使えるので、AF一眼レフでもミラーレスでも、ちゃんと使えるのがありがたいです。

開放からしっかり解像するので、絞り込むほど解像感が増していく感じはありませんが、f11まで絞ると、この撮影条件では周辺までちゃんと解像しますね。f16だと回折の影響が出てくるので、f11までが実用でしょう。
色もニュートラルに感じますね。

NIKKOR Z 35mm f/1.8 S

実はAF-Sより4年新しいだけです。2018年発売。が、描写がぐっと上がったのはミラーレス専用設計で、口径が大きくフランジバックが短いZマウントの性能を如何なく発揮出来るからでしょう。
開放ではことさらカリカリ感を出していなことに好感が持てます。描写の繊細さが出ています。解像力だけ見ると、ほとんどAF-Sと変わらないですが、デフォーカスしていく部分のつながりがAF-Sより更に上をいっているのではないでしょうか?
少し手前のボケに二線ボケが出ていますが、そこまで目立つ感じではないですね、

絞りによる解像力の変化はもっとも少ない気がします。とにかくグラデーションが豊かですし、f16まで絞っても回折の影響は少なめです。個人的には風景ならf11が良いと思います。
暗部の階調もよく出ていますし、風景でカリカリしないのは本当に好感が持てます。
色味もよりニュートラルで、Nikonで言われがちな黄色味もこのレンズは感じませんね。
光学設計はNikonではない(KONICA MINOLTA?)とも言われていますが、そんなことはどうでもよく、さすが最新ミラーレス専用レンズだけあります。デビューから7年近く経ちますが、まだまだII型は不要でしょう。
Zマウントユーザーは1ポンあって損はないレンズです。


作例が多いので今回はここまで。他にもいくつかのパターンで撮影しましたので、ぼちぼちアップしたいと思います。

Zマウントユーザーならスナップにこの1本。f/1.4よりも描写は良いです。

AF-Sレンズの場合、安価なDX(APS-C)フォーマット用レンズとフルサイズFX対応の以下のレンズとは描写は別物です。APS-Cのデジタル一眼レフでもこちらのレンズがおすすめです。

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【埼玉】2007年以来18年ぶりに白岩集落を訪問してみた その4

上白岩の散策を終えて、最後に下白岩へ向かいます。

下白岩へ

まだ建物は健在ですね。

道を進むとなんともサイコパスな状況を目撃しました。

ナンデスカ?この状況

ナンデスカ?

ハンガーにかかったスーツ、いや背広と言ったほうが良いかな? 電柱や電柱支持ワイヤーに引っかかっていました。
さすがに廃墟歴四半世紀なワタシ、ビビリはしないけど、恐らくこの先の廃屋から持ち出して引っ掛けたいたずらでしょうね。
相応に汚れているので、つい最近の仕業ではないにしろ、この何ヶ月かで行われたことでしょう。こういういたずらは本当に辞めてほしいですね。

サイコパスないたずらを見つつ、廃屋を眺めます。

こちらの住宅は、2007年当時は窓も扉も閉ざされていて、中の様子を見ることは出来なかったと思われます。
現在では窓や扉が破損した結果、中が見える状態に。先程のサイコパスなスーツ、いや背広はもしかしたらこのお宅のタンスにあったものかもしれません。

2007年当時のこのお宅付近の写真は、あまり撮っていないようです。

2槽式洗濯機は変わらず現存していますが、やはり2007年と2025年では、窓や扉が徐々に壊れて言っている様子が見て取れますね。

もう1軒のお宅、表札がありお名前もありましたが、名字は伏せておきます。

誰かが写真を取ってきてこの縁側に置いたのでしょうね。2025年時点では扉が開いているし、雨戸もなくなって中が見える状態に。

2007年時点では扉は締まり、雨戸も全て存在しました。
しかし2階部分の一部の雨戸は外れていますね。こうして少しずつ雨戸も崩壊して外れていったのでしょう。
とにかく2007年時点では、閉ざされた廃屋で、内部をうかがい知ることは出来ませんでした。

時間の関係で2025年は訪問していない2007年の下白岩の写真も掲載しておきます。

現在では恐らく倒壊して失われた光景と思われます。

以上、4回に分けて記載した2007年と2025年の白岩集落の写真、如何だったでしょうか?
18年の時の経過は残酷ではあるけど、案外残っているものもあり、失われたものありと、それらを記録に残せたのは良かったかなと個人的に思います。

そして2007年の写真は当時のブログに掲載していたものを、解像度をアップして再掲しました。
また十年後にでも、機会がれば訪れてみたいと思います。

【埼玉】2007年以来18年ぶりに白岩集落を訪問してみた その3

上白岩地区でも象徴的な物件です。

かつては多くの残留物がありました。
しかし、時を経て痛みも激しくなり、床はほぼ崩壊してしまいました。そして残留物も流出消失が進みました。
少しずつ崩壊して風通しが良くなった結果ですね。

この状況を見ると、向こう数年で倒壊する可能性もありそうです。
レコードは石野真子のベストヒットアルバムで、1979年発売です。ジャケットはどこに行ったのかな? 以前は車雑誌も多く残されていましたが、今はケンメリが載っている雑誌が1冊かろうじて残っているだけです。
裏手から撮った2階部分にはNationalのテレビの箱が。高級品だったテレビですが、型式はTC-39Gとあり、検索すると19インチの真空管白黒テレビ、昭和38年(1963年)の製品ですね。箱が現存していることに驚きですが、テレビはすでに見当たらないですね。

そして2007年3月はと言うと…

こちらはフィルムで撮影↓

あの有名だったこの物件のペダルカー、スモールバードに子供用の自転車が。

そしてこちらはCOOLPIX 5400で撮影↓

スモールバードの隣には初代フェアレディZのおもちゃが。これも1969年~のものでしょうね。この家がいつまで使われたかが不明ですが、残留物は学習机など70年代のものが多く、その頃にお子さんがいたということでしょうね。やがてそのお子さんは成長して、車に興味を持つようになった、そんな背景が伺えます。
この撮影時点ではまた床も健在で、多くの生活の跡が残っていました。
18年の時の経過は、あらゆるものを無にしてしまいました。

National TC-39G 真空管白黒テレビ 精巧な人工頭脳搭載!

そして2007年、外に転がっていたテレビがまさに、現在も箱だけが残るNationalの白黒テレビTC-39G。なんとこの時代に”精巧な人工頭脳”を搭載していたのが売りだったようです。
残念ながら2025年にこのテレビは見当たらず、土に帰ってしまったのでしょう。

それでは2025年に戻ります。周辺の写真を撮りつつ、もと来た道を戻ります。

何故かウルフルズのCDが供えられていました。もと来た道を戻りながら何枚か。社有地につき~の看板、どれも会社撤退したために社名が塗りつぶされていましたが、よく見ると「JFEミネラル」と書かれていますね。

時間がまだあったので、下白岩へ行ってみます。

続く…(次回で最後です)

【埼玉】2007年以来18年ぶりに白岩集落を訪問してみた その2

前回の続きです。

上白岩地区に向けて、登山道を上がっていきます。

途中、電柱がありましたが、電力線は張られておらず、撤去されてリール上に巻かれていました。
鉱山施設が廃止されたためでしょうね。この上の集落も無人になって久しく、もはや電線は必要ないのでしょう。

重複しますが、2007年3月の写真では、当然電力線は使用されていました。

2007年3月当時はまだ電柱の電力線は使用されていた

やはり18年の差は大きいですね。

登山道も上白岩集落手前は割と勾配が大きくなり、足元も滑りやすいので気をつけてくださいね。

上白岩に到着です。

上白岩集落へ

やはり18年の時の経過は大きいですね。2007年当時よりも、当然ながらあらゆるものの崩壊が進んでいます。

上の家屋にはお子さんもいたのでしょうね。ラジコンは80年代と思われるハイラックス、アンテナの形状もあの時代のものですね。落ちていた靴も子供サイズでした。
引っ越した際に、かなりのものを残留させたまま出ていったのがわかります。車が入れないこの場所だと、あらゆるものは人力で運んでいたのでしょうから、荷物の搬出は難しかったのでしょうね。
でも、どうやって搬入したのだろう。やはり人力なのかな?

転がっているガス瞬間湯沸かし器。今20代以下の人は見たことがないのでは? 現在では給湯器で各蛇口に温水供給できますが、昔はこうした後付のガス瞬間湯沸かし器が台所に据え付けられて、ここがお風呂以外唯一お湯が出せました。自分の子供の頃はこういうのが使われていましたね。直ぐ温かいお湯が出るのは良かったですけど、点火が怖かったなぁ…。
型式はパロマのPH-5QBとあり、調べると製造は昭和57~59年(1982~84年)とありました。残留物は70~80年代製造のものが多いですね。

さて18年前の2007年3月の写真です。

2007年3月はやはり残留物は多く、子供の遊具が残っていたり、給湯器はまだちゃんと台所に据え付けられていました。後半の写真の建物は現在倒壊、または解体されたものです。
あの当時、来ていてよかったと思います。こうして写真として残せたのだから。
上の写真はいずれもフィルムで撮影しスキャンしたものです。

そしてCOOLPIX 5400での撮影はこちら。

やっぱりこの時代のデジカメは、色がフィルムと比較するとちょっと変。あえて補正せず掲載します。
車雑誌と無線機があったこの建物は、2025年倒壊してしまっています。

では2025年に戻り、奥に進みます。

2007年当時は雨戸で閉ざされていたお宅です。しかし18年の時の経過は残酷で、雨戸は崩壊して内部が見える状態になっていました。お風呂が離れになっているのは時代を感じさせます。冷蔵庫も2台ありますが、これを運ぶのは大変だったのではと思いますね。
残留物はやはり80年代を感じさせるもので、置かれていた雑誌のTVガイドをめくってみると、1982年の年末、1983年年始の情報が掲載されていました。あの時代のTVガイド誌はこんなに分厚かったのですね。インターネットが影も形もなかった時代ですからね。
広告もmagnaxのビデオテープ(VHSとベータ)で、magnaxはコニカでおなじみ小西六と米アンペックスの合弁会社小西六アンペックスのブランドでした。後にアンペックスが民生用磁気テープ事業から撤退したために合弁事業も解消され、コニカが単独でテープメディアを販売するに至ります。

2007年3月はと言うと…

2007年3月時点では落書きもなく、雨戸でしっかり閉ざされていた

この当時は雨戸でしっかり閉ざされていて、ここを引き払うときに入口もしっかり封鎖したのでしょうね。
しかし時の経過は残酷ですね。

ではお向かいに移動します。

続く…

【埼玉】2007年以来18年ぶりに白岩集落を訪問してみた その1

埼玉県飯能市のやまね酒造でお酒を買った後、せっかくここまで足を延ばしたので、18年ぶりに白岩集落の現状を見たくなって行ってきました。
ま、実は撮影の準備もしていたわけですが。この冬休み、予定が色々変わって撮影行けないと思っていましたが、2年ぶりに恒例の廃墟散策できました。

10年ひと昔と言うけれど、18年ともなればふた昔と言うことで、前回訪問時からの変化も大きいはず。

白岩集落へは旧JFEミネラル武蔵野鉱業所の脇の登山道を登っておおよそ30分弱のルートです。

JFEミネラル武蔵野鉱業所は2007年当時は稼働していましたが、武蔵白岩鉱山が2015年に閉山したために、鉱業所設備も同年に解体されました。

登山道の麓、現在と、かつてあったJFEミネラル武蔵野鉱業所の様子です。
この設備の脇にある登山道を登っていきました。

今回は、2007年5月に撮影した写真と合わせてご覧いただければと思います。当時はまだフィルム撮影がメイン(Nikon F90Xs)、デジタルはコンデジ(Nikon COOLPIX 5400)がサブカメラという立ち位置でした。

2025年1月現在では設備は解体され、基礎が残るのみです。
またこの土地は現在個人の私有地となっていて、立入禁止となっていました。

登山道を上がっていきます。
かつてはこの登山道から鉱業所内の様子をうかがうことができました。当時はまだ採取した石灰を運搬するトロッコが稼働していました。
現在ではその名残のレールが一部残っています。

1月に訪問にもかかわらず雪がない(気温は10℃近く)のは、温暖化の影響でしょうね。

では2007年3月の様子はと言うと…

2007年当時は現役稼働中の鉱業所、トロッコも現役でしたね。
上の写真のうち、同じようなアングルを比較してみましょう。

この建物は健在でしたが、左側にあった小屋は、18年後の現在は東海したようで見当たりませんね。

林道を更に奥へ進みます。

崩壊しかかった橋と代わりの橋
ここは登山道のため、歩けるようには整備されています。この橋は18年前にも健在だったはずなんですが、18年前は撮影していないようです。

この先を進むと、森林を抜けて一度開けた場所に出ます。

傾斜地運搬用のレールがかろうじて残っていますが、鉱業所施設は解体済みで基礎のみ残っていました。

18年前はと言うと…

建物が存在していますね。古いけど現役施設でした。

白岩集落へはまだまだです。続く…

【栃木】旧石裂小学校とその周辺(2007/2010/2012年)

栃木県鹿沼市に建造中の南摩ダム、そのさらに上にかつてあった石裂集落は、かつて鉱山があったことから栄えていましたが、戦後鉱山の採掘量が減少したことから、次第に人口減少していきました。
そこにあった旧石裂小学校は、人口減少とともに1964(昭和39)年に閉校し、しばらくは集会場として使われていたものの、それも1980年代に別の建物ができてからは、この旧石裂小学校は使われなくなりました。使われなくなってから四半世紀、建造からは果たして何年経過したのか?

2007年7月

初めてこの旧石裂小学校に出会ったのは2007年、南摩ダム建造予定地や旧梶又小学校を散策した後、たまたま道を上がって走っていて見つけました。

また周辺には良い感じに古びた建物や看板も残っていて、かつて集落として栄えていた面影を伺わせました。
この時点では右側の教員棟はボロボロになりながらまだ健在でした。

2010年6月

3年後の2010年。校舎は窓ガラスの損壊が進んでいるものの建物は健在。しかし教員棟は更に崩壊が進みつつありました。

また向かいのお寺の建物も崩壊が始まっていました。

校舎と元愛車のアコードユーロR

2012年8月

そして最後に撮影した2012年。枚数は少なめです。校舎は健在でしたが、規制線が張られていました。
隣りにあった教員棟は撮影していません。確かもうなかったような? 倒壊しっぱなしだったら撮っていたと思いますが、多分この時点で残っていなかった(解体された?)のでしょうね。

なお、古びた仏壇仏具のお店の看板は、2024年ストリートビューに写っていて健在のようです。

しかし、対岸にあったお寺の古い家屋は2014年時点までかなり崩壊が進んだところまでは存在しましたが、かなり飛んだ2023年時点では存在せず、この間に解体されたようです。

2024年現在も旧石裂小学校は健在です。いつかは再訪したいですね。