まだPIONEERの本体がオーディオ部門を手放していなかった90年代の製品です。きちんとMADE IN JAPANです。今なら間違いなくMADE IN CHINAになっていることでしょう。PIONEERも、本体はオーディオ部門を切り離し、最近そのオーディオ部門を持っていたオンキヨーホームエンターテイメントが破綻、しかし何とかアメリカ企業のPremium Audio Companyにブランドを拾われ、日本国内ではTEACが代理店となることとなりました。 PIONEERブランドのオーディオ、好きなので、これからも良い商品を生み出して欲しいですね。
縦に基板が刺さっていますね。DOLBY S NRは、業務用のDOLBY SRを民生化した、最後のドルビーノイズリダクションシステムで、ノイズの低減効果は低音域まで及び、おおよそ24dB程度のノイズ改善が可能です。 ただし、1991年に登場したため、時代は徐々にデジタルオーディオに移行しつつあり、単体オーディオデッキでしか採用されることはありませんでした。 特に、初期のものは回路構成が大きいため、コストが掛かり高級機のみに採用、またナカミチなど高級カセットデッキメーカーの一部は最後まで採用しませんでした。 PIONEERのT-03SRは、このDOLBY S NRのICに、SONYのCXA1417Qを採用することで、回路をシンプルコンパクト化することが出来たためコストが下がり、定価¥39,800のデッキながら、DOLBY S NRを搭載するに至りました。 このT-03SRが、DOLBY S NRを搭載した最も安価なデッキでした。
でも見ての通り、SONY CXA1417Qで小型化出来たと言っても、あくまでもそれは単体デッキでの話で、DOLBY B/C NRのように、ICがワンチップ化されポータブルオーディオ、ラジカセ、カーステレオにも採用されたのと違い、IC1つで構成できたわけではないようで、これもDOLBY S NRが普及しなかった要因の1つです。
オリジナルの「Quiet Life 」の発売は1992年10月22日です。この当時、既に音楽の販売はアナログレコードからCDに完全に置き換わっていたため、この「Quiet Life 」もCDでのみの発売でした。 アナログの時代は終わりを告げ、CDが瞬く間に普及した時代です。CDラジカセやDiscmanなどポータブルプレーヤーも充実して、誰しもが気軽にCDを聞ける時代になった時代ですね。
楽曲のトータル収録時間は53分弱なので、LPレコードには1枚でギリギリ収録できます。が、そうすると音溝の幅が狭くなり、音質に影響します。 LP盤の「Quiet Life 」では、贅沢に2枚組とし、盤面1面あたりには3曲のみ収録(一般的なPOPSでは5,6曲入れることが多い)とすることで、音溝の幅を広く取ることが出来、音質向上に結びつきます。その代わり、盤面をひっくり返す、2枚目に交換するというタイミングはすぐ訪れるので、ちょっと面倒。でもせっかくレコードにしたのだから、その面倒さは許容できるものでしょう。
ここ最近のLP盤では最良の音質
音質、すごく良い!
音溝に余裕をもたせた結果ですね、針を落として1曲めの「家に帰ろう(マイ・スイート・ホーム)」を再生した瞬間、音圧も大きく、それでいて歪で破綻することもなく滑らかに楽曲が流れました。素晴らしい! 山下達郎のニューアルバム「softry」のアナログ盤では、音質はレコードならではの良さもありつつ、トータルでCDに軍配が上がるかな、と思っていて、それはブログにも書きましたが、その理由を個人的に考えた結果は、最新のデジタルレコーディングで収録した音源であれば、CDのほうが現在の技術では音質を落とさずに収録できる、そしてアナログレコードのカッティングマシーンは既に新規製造されていないため、機械の劣化もあるのでは? と想像していたのですが、この「Quiet Life 」を聴く限り、そんなこともないのかな、と考えを改めました。