購入し10年近く経過したスキャナ、EPSON GT-X970 のキャリブレーション、SSD更新でWindows 11を新規インストールし直したので、せっかくこのタイミングなので再度実施しました。 あまりマニュアル化されていないスキャナのキャリブレーションですが、2014年にやり方の記事は書いています が、今回はバンドルソフトのi1Scanner(現在はi1Profilerに統合)のインストール方法とともに、改めて書き直したいと思います。
最新のi1Profilerを入れてもScannerのキャリブレーションは有効にできない
まず、EPSON GT-X970のバンドルソフトだったi1Scannerは、スキャナのキャリブレーションソフトと、キャリブレーション用のMONACO社製反射原稿用の5X7インチチャートと透過原稿用の4X5インチチャートが付属しています。
左が反射原稿と透過原稿(フィルム)のキャリブレーション用チャート、右がi1ScannerのCD
付属のi1Scannerは2012年のソフトで古く、CDで提供されています。10年前はそれが当たり前でしたが、今やダウンロードが基本です。 i1Scannerの最新版は、xriteのサポートページ が非常見見づらく、しかも出てこないという…。ググったほうが早かったです。最新版はこちらにありました 。
まずはこのi1Scannerをインストールします。すると、インストール過程でシリアルナンバーの入力を求められるので、スキャナ付属のi1Scannerのシリアルナンバーを入力します。 これで、i1Scannerがアクティベートされて、この後インストールするi1ProfilerのSnannerキャリブレーションの項目も有効となります。 単純にi1Profilerを先にインストールしても、Scannerのキャリブレーションを有効にさせる手段がないため(もしあったらコメント欄で教えてください)、i1Scanner→i1Profilerの順にインストールとなります。
先にi1Plofilerをインストールすると、Scannerの項目はXとなる(一番右のアイコン)
i1ScannerをインストールしてS/Nを入力すると、Scannerの項目が有効になる
Scannerのプロファイル作成のためにはi1Scannerをまずインストールしてアクティベートする
キャリブレーション用チャートをスキャンする
i1Scannerに付属している、MONACO社製のキャリブレーションチャートをスキャンします。フィルムスキャン用の透過原稿用と、反射原稿用2種類があるので、それぞれをスキャンします。
まずは透過原稿から。GT-X970に付属している4X5インチフィルムスキャン用のホルダに、透過原稿用チャートをセットします。
MONACO社製透過原稿用チャートをセット
EPSONスキャンを起動して、プロフェッショナルモードに設定します。スキャン時の設定は以下のとおりです。
原稿種:フィルム(フィルムホルダ使用)
フィルムタイプ:ポジフィルム
イメージタイプ:48bitカラー
解像度:300dpi
その他はデフォルト(アンシャープマスクなど調整項目は全てチェックを外す) ※下の画像はアンシャープマスクにチェックが入っていますが、この後外しました
透過原稿用チャートスキャン時のEPSON Scanの設定(アンシャープマスクにチェックが入っていますが、スキャン時はチェックを外しました)
保存フルファイルの拡張子はTIFF形式(.tif)を指定します。
同様に反射原稿もスキャンします。
MONACO社製反射原稿用チャート
原稿種:反射原稿
取込装置:原稿台
イメージタイプ:48bitカラー
解像度:200dpi
その他はデフォルト(アンシャープマスクなど調整項目は全てチェックを外す)
反射原稿スキャン時のEPSON Scanの設定
こちらもTIFF形式の画像で保存します。
以上でキャリブレーション用の画像の保存が完了しました。
1iProfilerでスキャン用プロファイルを作成する
i1Profilerを起動し、スキャナ→基本プロファイル作成をクリックします。 まずは透過原稿用のプロファイルを作成します。ターゲットタイプから「X-Rite透過4X5」を選択します
次に、黒い画面のi1ProfilerヘルプのXをクリックして閉じます。すると画像をロードが表示されるので、クリックします。
画像をロードをクリック
ここで、予めスキャンしておいたファイルを指定します。透過原稿と反射原稿のファイルを間違え内容注意しましょう。
ファイルを選択すると、スキャンした画像が読み込まれると同時に、チャートの各カラーを認識している緑色の枠が表示されます。。
右下の次へををクリックします。
黄色の枠で囲われているものと合致する基準値ファイルをロードする
上の画像のように黄色の枠でチャートの日付が表示されるので、これに合致する基準ファイルを選択します。左上の基準値ファイルをロードをクリックします。
手持ちのチャートはMONT 45:2014:01とあるので、ファイルはMONT45.2014.01,txtを選択します。
ファイルがロードできたら、右下の次へをクリックします。
ファイル名はわかりやすいものに変更して「プロファイルを保存」をクリック
これでプロファイルが作成されるので、ファイル名は適当にわかりやすいものに変更して、プロファイルを保存をクリックします。 ICCプロファイルのバージョンは「バージョン2(規定)」のままにしておきます。EPSON Scanはバージョン4をサポートしていないとのことです。
以上でプロファイルの作成は終了。 同様に、反射原稿のプロファイルも作成します。ターゲットタイプを「X-Rite(反射)」にし、それ以外のやり方は透過原稿と同じです。
ただ、なぜか200dpiでスキャンしろと書いてあるのに、こんなエラーが出ます。
ヘルプではReflective=200dpiとあるのに…
これは以前から改善されていないソフトのバグです。200dpiのスキャンでOKです 。実際は300dpiの画像を読み込ませると、このあと手動で四隅のクロップマークをクリックしても、チャートをうまく拾ってくれません 。
また、私の手持ちの反射原稿のチャートは、何故かデフォルトで基準ファイルの合致する日付がありません。 もし合致する日付がない場合は、Monaco IT8 リファレンスファイル をダウンロードして、以下に解凍したファイルを入れておきます。
反射原稿用基準ファイル:C:\ProgramData\X-Rite\i1Profiler\ScannerReferenceFiles\Monaco_Reflective (MONR*) 透過原稿用基準ファイル:C:\ProgramData\X-Rite\i1Profiler\ScannerReferenceFiles\Monaco_Transmissive (MONT45*)
以上で、キャリブレーションしたプロファイルの作成は完了です。
EPSON Scanでキャリブレーションしたプロファイルを指定する
EPSON Scanを起動し、プロフェッショナルモードにします。一番下にある「環境設定」をクリックします。
環境設定をクリック
環境設定の「カラー」タブをクリックします。
ICMのソース(スキャナ)から透過原稿用と反射原稿用それぞれを選択する
ICMを選択し、ソース(スキャナ)をEPSON標準から、透過原稿用と反射原稿用、それぞれスキャンする原稿に合わせて選択します。 これでキャリブレーションしたプロファイルを使ってスキャンできます。 なお、ターゲットは「モニタRGB」「sRGB」「AdobeRGB」が選択できますが、一般にはsRGBを、また広色域でカラープロファイルを適切に扱える環境が整っているのであれば、AdobeRGBを選択します。
以上で、キャリブレーションしたプロファイルを使ってスキャンする準備が整いました。 GT-X970導入時は、Windows7 64bit環境でしたが、Windows10を経てWindows11でも同様にスキャンを行えます。
執筆現在、新品でフィルムスキャン(透過原稿スキャン)が出来るフラットベットスキャナは、GT-X970の後継モデルでハイエンドのGT-X980 と、ミドルクラスのGT-X830 しかありませんが、GT-X830は現時点で在庫限りとなっているようなので、ハイエンドでなくてもお気軽にフィルムスキャンしたい場合は、GT-X830を早めに導入したほうが無難でしょう。画質も十分です。