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Velbonのワケあり品の自由雲台QHD-66ASを買ってみた

Twitterのカメクラ界隈で話題になっている、Velbonのマグネシウム製自由雲台QHD-66ASを買ってみました。

なんと送料税込¥3500でした! クラス的には、2万円台の雲台になるはずと思われます。試作品の放出としてのB級品とはいえ、破格です。理由として、

〇開封済み商品になります。
〇製品本体に多少の擦れや汚れ等があります。
〇保証は付きません。到着時の初期不良交換対応のみになります。
〇故障時の修理対応も受付できません。
〇本体のみで特に記載がない限り付属品はございません。
〇パッケージ無し、配送用の簡易梱包になります。
〇別倉庫での管理になりますので、他商品との同梱が出来ません。
〇個々の状態についてのお問い合わせにはお答えできませんので、あらかじめご了承ください。

【楽天市場】【B級品 訳あり特価 送料無料 同梱不可 返品・交換不可】Velbon(ベルボン) 中型自由雲台 QHD-66AS 4907990501004 マグネシウムボディ トルク調整 アルカスイス互換:ハクバストア 楽天市場店 (rakuten.co.jp)

だそうです。

仕様は以下の通りで、5kgまでの機材に対応できます。

■カメラ台 : 51×38mm
■高さ : 107mm
■底面径 : 38mm
■質量 : 300g
■推奨積載質量 : 5kg
■三脚取付ネジ穴 : UNC1/4、UNC3/8両対応
■タイプ : 自由雲台
■カメラネジ : UNC1/4(細ネジ)
■クイックシュー : QB-6AS N
■水準器 : 丸型水準器

マグネシウム製のため、比較的軽量ですね。

Velbonブランドのベルボン株式会社は、2020年8月に、三脚と用品類の開発・販売・修理事業を、同じく写真用品の会社であるハクバ写真産業株式会社に事業移管しました。
これに伴い、山梨県の北杜市明野町にあった工場は閉鎖となりました。Yamaroもかつて北杜市に住んでいたことがあり、ドライブしていて発見したVelbonの工場、こんなところにあるんだ!と思ったものです。昔は明野村だった場所です。

この製品を開発途中で、Velbonの事業がハクバに移管されたため、製品としては開発に至らなかった商品です。
近年、三脚や雲台などは、中華ブランドの勢力が増しており、日本のVelbonは開発力の点で遅れを取っているように感じていましたが、負けじと奮闘していたが叶わず…といったところでしょうか。
個人的に、初めて買った三脚はVelbonだったので、中華ブランドに負けず、頑張っていただきたいところです。

B級品とは思えないパッケージ

Velbon QHD-66ASと昔買ったPH-253

配送用の簡易梱包、と書かれていましたが、箱にはきちんと製品シールが貼ってあって、ごく普通の製品梱包と変わらない印象。説明書と付属品もあり、このまま売っても問題のない感じです。中華ブランドなら当たり前の簡易梱包よりむしろちゃんとしています。
ボール部にグリスがべったりなので、ここはもう少し拭き取ったほうが良いかもです。

小さめながら、アルカスイス互換プレート付き。QB-6AS Nとあり、QB-6ASのマイナーチェンジ版でしょうか。近年、アルカスイス互換クイックシューが増えてきたため、特定の雲台専用のクイックシューは少なくなってきています。このクラスなら、今はアルカスイス互換のほうがメリットが大きいかな?
クイックシューは360度回転させることも可能で便利です。

トルク調整リング付き


ボール部の締め付けの部と同軸上に、ローレット加工のトルク調整リング付き。微妙な締め付けにより、滑らかに運ダウを動かすことが可能…ですが、重い機材を載せると、調整幅が少なく、動きもそれほど滑らかではありませんでした。この辺りは価格なりでしょうか。ねっとりとした滑らかさがあると良いのですが。
あと、ボール部をよく見てもらうと、動かしていくうちに黒い塗装が剥がれて、下地が見えてきています。恐らくこれが商品化までたどり着けなかった理由の一つでしょうね。
構造的には、一昔前の雲台という印象。最近はグリスに頼らない、テフロンコートされたのボール自由雲台が主流になりつつありますから。

ミドルクラスの一眼カメラまでに最適

 Nikon D3400 + 標準ズームとの相性はピッタリ

推奨積載重量5kgですが、1~2kgまでの機材に適している感じです。ボディとレンズで1kgに満たないD3400 + AF-P DX 18-55mmはがっちり固定できます。剛性感もまずまずです。

D850(MB-D18付き) + AF-S 24-70mm f/2.8E VRは辛い

さすがにD850(MB-D18付き)にAF-S 24-70mm f/2.8E VRとの組み合わせはきついです。固定は可能ですが、フリクション調整は、重量があるため調整幅が少ないです。単純に固定して、動かすときはカメラをしっかり持てば問題はありませんが、やや心もとない感じです。やはりこのクラスになると、もう一回り大きく剛性感の高い自由雲台が必要です。


今回試していませんが、この自由雲台とBRONICA S2の組み合わせも良さげですね。
もともと写真の三脚(SLIKの初代カーボンのPRO 803 CF)には3ウェイ雲台が付いていますが、あまり使い勝手が良くないので、この自由雲台で使ってみたいと思います。

今から14年前のNikon D300のキムタク

2007年11月23日に、Nikon D300が発売になるわけですが、その直前にもらったカタログ。
たぶん今でも保管してある、ハズ。

Nikon D300のカタログ「頂点の極み」

ちょうどNikonの一眼レフのD2XやD2Xs、D200が、出してもCanonの周回遅れみたいな感じになって中、D3/D300を出して挽回を図った。

D3もすごかったけど、D300もDXフォーマットで秒8コマ連写可能、それまでのフラッグシップのD2Xsすら超えるスペックだった。
ちょうど今のNikonにも当てはまりますよね。ミラーレスのZマウント機、どれも後出しなのに周回遅れ、そこに現れたZ 9。ただZ 9のDX版は今の所発表されていませんし、噂も聞きませんが、Z 9のDX版、Z 90?があってもよいのかなと思います。

しかしD300のカタログ、キムタクを採用して、相当金をかけたんだろうな~。この当時はキムタクのCMもありましたしね。デジタルカメラが飛ぶように売れた頃です。
今考えたら、この頃がフィルムからデジタルへの大転換期だったわけで、それが一巡し、スマホが当たり前になった今、レンズ交換式のカメラは、かつてのようにニッチな市場に戻っただけなんですよね。

ところで、このカタログを貰った直後に有人の結婚式があり、たまたまNikonの中の人と同席しまして、その方曰く「社長はキムタク嫌いなんですよ」だって(笑
今となっては時効かな?

AF-P DX NIKKOR 18-55mm 早すぎた引退

2016年の販売開始から、わずか数年で生産完了となってしまったAF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VRD3400のキットレンズとして、Fマウントレンズでは初めてステッピングモータを採用したレンズです。

AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR ブラック
AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR

Fマウント初のステッピングモータ搭載レンズ

ステッピングモータ(STM)は、1パルス毎の回転角が決まっているため、パルス数に応じた正確な回転角度出しが可能、パルスの周波数(パルスを発生させる間隔)を変えることで、回転速度も自由に変更可能なので、特に動画撮影のように、ゆっくりフォーカシングさせる場合にも適しています。
AF-Sのような超音波モータは、高トルクで素早く動かすのに向いている反面、速度の連続的な加減速や正転反転の繰り返し動作は苦手です(これを克服したCanonのナノUSMも存在します)。
特にコントラストAFのような動作に、ステッピングモータは適しているとされています。2011年から発売されたミラーレスのNikon 1は、全てのレンズがSTMでした。
NikonのZマウントレンズも、今のところ全てSTMを採用していますが、これは構造がシンプルで耐久性が高く、比較的大きな望遠レンズもマルチフォーカスを採用することで、フォーカシングユニットを分散させて、小型化しているのも大きいのでしょうね。

STMはパルス毎の回転角が決まっているため、エンコーダ(回転角の位置を検出する)が不要ですが、二次側から外力を加えてモータを回すと、現在位置がわからなくなるため、従来のAF-Sレンズのように、フォーカスリングを回すことでMFに移行できる、機械式でのフルタイムマニュアルフォーカス機構の組み込みは難しいです。
このため、AF-Pレンズは全て、フルタイムマニュアルフォーカスはフォーカスバイワイヤ、つまりフォーカスリングは機械的にはレンズユニットにつながっておらず、フォーカスリングはエンコーダを内蔵したバイワイヤ駆動となっています。

こうした特性のため、従来のAF-Sレンズのように、レンズ単体ではフォーカシングできず、通電させなければなりません。また、電源ON時に、本レンズは必ずフォーカスが無限遠に移動しますが、これはエンコーダを持たないモータの現在位置検出のための動作と思われます。電源を切ってしまうと、レンズが現在のフォーカス位置が分からなくなってしまうためです。

茨城空港、百里基地の風景 Nikon D3400 + AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR

従来のAF-S DX NIKKOR 18-55mm系は、安価な筒型超音波モータでギア駆動のため、フルタイムマニュアルフォーカスは、機構が複雑になるために使用できませんでしたが、AF-Pレンズは、構造上フォーカシングユニットもフォーカスリングと機械結合できないためにバイワイヤとなるため、安価なレンズでもフルタイムマニュアルフォーカスが可能となりました。フォーカスも速くなりました。

2021年5月旧製品に

しかし、ミラーレス一眼の急速な普及、そしてNikonの一眼カメラは中上級機の販売にシフトしていく過程で、従来のエントリークラスの一眼レフ、D5x00とD3x00系は、それぞれD5600,D3500を最後に、2021年早々にに旧製品化し、そのキットレンズであった AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VRも2021年5月に旧製品となってしまいました。
ことのことは、もうD5x00/D3x00系の一眼レフは出さないことを意味します。他にも、次々とFマウントのDXレンズは旧製品化、またFX用も少しずつ旧製品化されており、一眼レフの新製品が今後出る可能性は極めて低いと思われます。

Fマウント最後の廉価ズームとしては中々の描写

さて、本レンズが、事実上DXフォーマットの廉価ズーム最後となってしまいましたが、描写は中々良いですよ。もちろん、値段に対して、という断り入れなければなりませんが。
AF-Pレンズということで、やっと普及価格帯でCanonに並ぶことが出来た爆速AFの話に傾きがちですが、描写もこのクラスとして優れています。

Nikon D3400 + AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VR

絞り開放では、中心部は解像力が高く、周辺はやや流れますが、少し絞れば周辺までしっかり解像します。手ブレ補正も4段で十分よく効きます。軽量コンパクトで使い勝手も良いですね。
色乗りもよく、センサのカバーガラスの性能差からなのか、ややレンズを選びがちなD3400との相性もバッチリです。さすがキットレンズです。
このレンズは、D3400とともに、妻のカメラですが、時々サブカメラとして借りて使っています。システム全体で軽量なのが魅力です。
以前は、このクラスのレンズの描写は、悪くはないけど良いと思わなかっただけに、本レンズは安価ながら、中々優れている1本です。
タラレバになってしまいますが、後3,4年早く出ていたらなぁと思います。出るのが遅かっただけに、引退も早すぎましたね。

【百里基地】2021年11月19日の記録…というかTC-14EIIIのテスト

これが年内最後の百里基地かな? 12月は忙しくなりそうで、休みが取れないかも…というのと、昨日書いたテレコンTC-14EIIIのテストも兼ねて、行ってきました。

今回はちょっと撮影ポジションをまずった…。C-2輸送機が来ていたのは、降りは見えず、上がりはお買い物中…
途中車内で居眠りしてしまって、F-2の4機編隊の進入を撮り逃がす…

というわけで、撮影結果としては散々でしたが、TC-14EIIIのテストは出来たので、これはこれで。
写真としてはF-2の転がりばかりでツマラナイですが。

TC-14EIIIのテスト結果ですが、AF-S 600mm f/4G ED VRに取り付けると850mm(計算上600x1.4=840mmですが、Exif上では850mm表記)となりますが、久しぶりに手持ちで850mmだと、やっぱり歩留まり下がりますね。鍛えないと。
画質としては、テレコン云々以前に、晴れていたので陽炎の影響があるので、正確な判断は難しいですが、戦闘機撮影には十分使えますね。ただ、少し前後が二線ボケになることもあり、背景は選ぶ必要がありそうです。
絞りも、今回はほぼ開放でテストしましたが、少し絞ったほうが画質は向上するようですが、開放でもそれなりに使える印象でした。
順光で条件が良ければ、解像力も問題なさそうですが、やや暗い場面では少し厳しいかな…。これは、Z 9だと果たしてどうなるか。気になるところです。

転がりばかりですが、最後にアラハンへ向かうF-2、AAM-3AAM-4Bの実弾を装備しているのを見ることが出来ました。
スクランブル発進待機のため、武装してアラートハンガーで待機するわけですが、射程の長いAAM-4Bまで搭載しているのは初めて見ました。2010年より改修が始まり、現在は8割程度の機体がAAM-4B搭載改修を終えており、レーダーも改修されてJ/APG-2となっているそうです。
F-2も対艦のみならず対領空侵犯措置任務も重視されているマルチロールファイターですし、近年、中国やロシア機の活動も活発になってきているので、AAM-4Bを搭載した任務もますます重視されてきているでしょうね。
戦闘機の開発ノウハウのあるアメリカやイギリスなど諸外国ですら、近年開発は順調に進まないですから、F-3も計画通りに開発されて、2030年代にF-2から置き換えるのは容易でないでしょうから、国産の強みを生かして、F-2の改良も行ってほしいですね。

AF-S TELECONVERTER TC-14EIIIを買ってみた

どうやら以前の撮影の際に紛失してしまったらしいAI AF-S TELECONVERTER TC-14EII。シクシク?
望遠レンズのAF-S 600mmやAF-S 70-200mmに必要なテレコンであることから、光学系が一新されたIII型を、中古ですが買ってみました。

Nikon TC-14EIII これが実質最後のFマウントのテレコンバーターに

■TC-14EIIIではDタイプのAF-S/AF-Iレンズが使えなくなった

NikonのAFテレコン初代のAI AF-I TELECONVERTERのTC-14E、2代目のAI AF-S TELECONVERTER TC-14EIIは、どちらも光学系は同じ5群5枚で、外装の仕上げが異なるのみです。
AF-S TELECONVERTER TC-14E III(以下III型)では、Dタイプレンズが使用できなくなりました。II型までにあったAIガイド(Nikonの絞りリングの絞り値をボディ側に機械伝達する機構)が省略され、レンズ側の最小絞りが伝達できないためでしょう。
元々、NikonのAF-I/AF-S TELECONVERTERは、レンズの絞りリングでしか絞り値をボディ側に伝達できない、F4シリーズやF90/F90Xシリーズのようなカメラも考慮した設計となっていました。
絞りの位置を機械的に伝達するAIガイドが残されていたわけですが、1996年のF5以降に登場したボディは、ボディ側のコマンドダイヤルで絞りを設定できるため、21世紀になり登場したレンズは、ほぼ全てが絞りリングのないGタイプやEタイプ(電磁絞り)になりました。
また、TC-14Eと組み合わせるべき望遠レンズも、最後に発売されたDタイプのAI AF-S Nikkor ED 300mm F2.8D II(IF) (2001年3月)より後のレンズは、全てがGタイプかEタイプとなり、現状ではAIガイドを使うことはほとんどなったことから、バッサリとDタイプの望遠レンズの互換性を切ってしまったのがTC-14EIIIです。
当方も既に、Dタイプの望遠レンズは所有していないので、実質的に問題ないですね。
AIガイドを省略したため、名称もAI AF-Sから”AI”を取った、AF-S TELECONVERTERになっています。

■工学系はII型から一新

TC-14EIIIでは、II型までの5群5枚の工学系から、新しい4群7枚の光学系に更新されています。


さらにレンズ表面にフッ素コートを施すことで、汚れが付きづらく拭き取りやすくなっています。
光学系が一新されたことで、従来とどう変化したか、今後実写で試したいと思います。同じ条件で比較できないのは残念ですが。

テレコンは、テレコン自体の光学系性能と、マスターレンズの光学性能両方が作用するため、一概に評価はできませんが、1.4倍なので、無理なく伸ばせます。
旧II型でも、劣化は少なく実用でした。さすがにTC-20EIIIのように2倍テレコンになると、やはり画質の劣化は感じます。
というわけで、実写で試したら、また報告します。

今度はなくさないよう、気をつけて管理しないとね。

Nikon Z 9のセンサの製造がどことか、エンドユーザーが気にしても仕方ない

発売日がなかなか決まらないNikon Z 9、生産台数が月産35,000台という日経の誤報道から様々な憶測が飛び交ったり(結局当初月産3500台と訂正)と、何だがゴシップ記事も多い今日この頃。
それだけ注目されていると言えますが、ちょっと過熱しすぎな気もします。

そんな中、今度は、毎度おなじみ、イメージセンサはどこが作っているか、の話題が出てきていますね。

Nikon Z 9の積層型CMOSセンサ NikonのHPより引用


B&Hは、SONYセミコンダクターソリューションズ 、またはタワーセミコンダクタと予想し、Sony Alpha Rumors(SAR)はSONYセミコンダクターソリューションズと予想しています。
どちらもあり得る話ですし、過去にNikonがこれらのメーカーで製造されたセンサを使用したカメラが販売されていることは事実です。
SARはさらに、”信頼できる情報源”より「ニコンが使用するためにSONYの特許(ライセンス)を受けている」としています。
ちなみに、Nikon自身は、Z 9の積層型CMOSセンサを、「Z 9は有効画素数4571万画素、ニコン独自の積層型CMOSセンサーを新搭載。」としており、海外のプレスリリースには

stacked 45.7 MP full-frame CMOS sensor designed by Nikon engineers and an ultra-fast EXPEED 7 processor.
(日本語訳)ニコンのエンジニアによって設計された新しい積層型45.7MPフルフレームCMOSセンサー

https://www.nikon.co.uk/en_GB/news-press/press.tag/news/bv-pr-wwa2110-nikon-announces-the-z-9-flagship-camera-v2.dcr

としており、設計自体はNikonによるもので間違いないでしょう。
ただし、仮にSARの言う、SONYの特許を使用しているとしたら、その部分については使用料を払う必要があります。

■単純に買い物のイメージセンサを載せたわけではない

こういう記事を見ると、「結局SONYに技術を握られているじゃないか」「ライセンス買って作ってもらっているだけ」「SONYも同じものを載せたα1IIを出す」という話が出てきます。
しかし、製造業に携わっている人なら分るでしょうけど、そういう単純な話ではないのです。
今は工業製品は電子部品の割合が多く、全てを自社で賄うなんてことは困難です。
まず商品を作りにあたっては、メーカーが構想を練ってデザインし、自社で技術開発する部分についてはそれを行います。その開発した部分もすべて自社で行うか、と言われると、そうでないことも多いのです。

例えばわかりやすい工業製品として、自動車であれば、ヘッドライトは小糸製作所スタンレーといったような会社が、自動車メーカー向けに開発製造を行っています。
ウインドウガラスもしかり、ナビやオーディオもです。
車の心臓部ともいえるエンジンですら、場合によっては、他社から買ってくることもあります。ケータハムがスズキのエンジンを使ったり、ロータスがトヨタのエンジンを使う例もあります。

それこそ材料レベルになれば、ボディの鋼材は鋼材メーカーから買ってきます。
さらに組立は、子会社であったり、別の車体組立会社に委託する場合もあります。
では、そうやって製造されたA社の自動車は、いろんな製造メーカーの集合体だから、実質A社の車じゃないでしょ? とは言えないですよね。
以前どこかの記事で、とある自動車メーカーの若者が、結局部品メーカーに丸投げで自社の技術なんてない、と失望して会社を辞めた、なんてのを見かけたことがあります。きっとその方は、まだ経験が浅くて、自動車製造のごく一部だけを見て判断したのでしょうね。
自動車に限らず、工業製品は部品の集合体です。確かに部品は買い物かもしれませんが、その部品も製品を企画し、仕様を決めてインテグレーションしてテストを繰り返し、最終的な製品として販売するのが自動車メーカーです。単純に買ってきたものをくっつけてできるわけではありません。
それら部品の集合体が、企画した意図した通りのカタチとなり機能することで、初めて製品となるわけです。

カメラも同じで、センサの製造が仮にSONYセミコンダクターソリューションズだから、SONYの特許を使用しているから、といって、その設計が丸々SONYにコピーされることはなく、むしろNikonが設計した部分は特許で守っているはずですし、その辺りの契約は当事者にしかわからないです。
少なくとも、単純に仕様だけ伝えて、あとは作ってね~ではないでしょう。Nikon独自の積層型CMOSセンサと言っているくらいですし。

SONYセミコンダクターソリューションズが外販向けのセンサも販売はしていますが、一方で製造委託も行っているため、Nikonが設計したセンサを、SONYが製造することについては、お互いに利害関係が成立しており、何ら問題ないですし、今回Z 9のセンサの技術が丸々次のSONYのαシリーズに載るわけでもないでしょう。
もちろん、Nikon Z 9のセンサの製造能力があるということは、少なくともそれと同等のセンサの製造技術を持っているわけですから、SONYや他社が同様の設計をしてその製造依頼をすることもあるでしょうし、その能力もあるということでしょう。

Nikonがセンサ設計できるということは、それをどこに製造してもらうかを選べるわけで、SONYやCanonのように自社設計から製造までをできないから不利、とは言えないです。
それを言ってしまうと、自社でiPhoneを生産していないAppleの立場はないですよね?
そもそもNikonは半導体製造装置の大手でもありますし。

■製品を見て判断すれば良い

結局のところ、我々エンドユーザーがイメージセンサの製造メーカーだけを気にした所で意味はなく、製品そのものを評価するしかないと言えますね。
SONYのα1も、カメラとしては相当の出来ですから、次のII型で打倒Z 9は当然最優先事項でしょうね。
α1のイメージセンサも、Z 9に全く劣っていませんが、問題はZ 9の、その想定よりも安価な値段でしょうから、α1IIや、Canonから出るといわれるフラッグシップのEOS R1?がどう出るか、価格も含めて気になるところですし、こういう技術競争があるから、製品はよくなるわけで、大いに戦ってほしいですね。


ところで、いつ発売になるんだろうZ 9?

【待ちましたよ…】Nikon Z 9の雑感

2018年にNikonのフルサイズミラーレス一眼、Zシリーズが販売開始されました。
しかし、恐らく躍進するSONYのαに対抗すべく、急遽出しました感が大きく、Z 6Z 7はNikonの一眼レフに及ばないスペック、マウントアダプタFTZには不格好な三脚座が、遅れて出たバッテリグリップは縦位置シャッターボタンやダイヤル無し、とまあ後出しなのにチグハグ感、ライバルの周回遅れ感は否めず、Zマウントにはずっと縁がありませんでした。
Z 7IIZ6 IIが出て、やっとある程度追いついてきたかに感じましたが、かと言ってD850を置き換えるほどか?と問われると、そこまでかな、という気がしまして。
Nikonは長年のユーザーでもあるので、愛着はありますが、Nikonのミラーレスの周回遅れに、将来はCanonに移行しようかな? なんて去年のEOS R5/R6デビューを見て思ってしまうくらいでした。
が、2021年3月、やっとZシリーズのフフラッグシップ、Z 9が発表、これはちょっと待ってみようという気にはなりました。
なんだかんだでFマウントの資産を抱えすぎましたので(笑)、Canonに移行と言っても、なかなか難しいのも事実。レンズ数本なら出来ても、それ以上となると…。

■発表から待たせすぎでしょう

2021年3月に突如、フラッグシップ機のZ 9の開発発表があったのも、恐らくその前月にSONYからフラッグシップ機のα1の発売が発表されたのも大きいでしょう。
Nikonは、東京オリンピックに於いてはD6がメインのフラッグシップ機として使用され、その次の冬季北京オリンピックには、ミラーレスのフラッグシップ機が試験投入で使われることを想定していたと思われます。
オリンピックが2020年ではなく2021年開催となり、そのあたりの計画が狂ってしまったこともありますが、α1のインパクトは大きかったと言えます。
あくまでも想像ですが、2021年開催となった東京オリンピックには、Z 9は当初から試験投入は考えていたと思われます。その結果を見て、2022年の冬季オリンピックまでに投入するか判断だったのではないでしょうか?
α1のスペックが出て、Nikonもフラッグシップを開発発表しないと、そのパイを奪われかねない、という判断があったのかもしれません(あくまで想像ですよ~)。
しかし、そんな感じで、当初の予定より早く開発発表せざるを得なかったため、実際の販売予告までに半年以上の時間を要してしまったのは、痛手でしたね。
いつ発売するのか? スペックはどうなのか、割と最後まで噂レベルでしか出なかったので、このあたりの販売戦略をどう考えるかは、今後の課題でしょうね。
発表だけしていつまでも売らないと、熱も冷めてしまいますから。
そして、10月のティーザー広告も、あまり大きなサプライズはなく(8K動画の連続撮影時間くらいかな)、ここでもSNS界隈では、割と賛否両論が多かったように思います。
半年以上、待たせすぎは、もうなしにして欲しいですね。Canonのようにスパっと発表して売るほうがスマートだと思うのですが。

■一番のサプライズ、メカシャッターレス

長年続いた一眼レフ全盛期から、ミラーが消え、次に消えるといわれていたシャッターユニット、完全電子シャッター化は以前から言われていました。
電子シャッター自体は今に始まったことではなく、ミラーレス一眼になってからは、電子シャッターも搭載したカメラが増えてきました。
実は、Nikonのレンズ交換式のミラーレス一眼では、Zシリーズ以前の1インチセンサミラーレス(Nikonではレンズ交換式アドアンストカメラと称していた)で、電子シャッターのみの機種を展開していました。
Nikon 1 Jシリーズは、一貫してメカシャッターレスで、電子シャッターのみを採用していました。ローリングシャッター歪は原理的に発生してしまうものの、実際に撮影でローリングシャッター歪が目立つことはなかったため、電子シャッターの幕速は極めて速かったのでしょう。画素数を落とせば、最大1200fpsの超スローモーション撮影も可能でした。
このため、あえてメカシャッターを省くことで、上位のVシリーズと違って割り切って作ることができたのでしょう。
しかし、まさかその後に出したメカシャッターレスのカメラが、いきなりフラッグシップ機だったのには驚きました。SONYのα1も、電子シャッターでもローリングシャッター歪みの少ないセンサを採用したにもかかわらず、メカシャッターは健在でした。
メカシャッターレスのカメラは、全画素同時読み出しが可能なグローバルシャッターの搭載が必須と思われていましたが、ローリングシャッターのセンサであっても、読み出し速度がメカシャッター並みに十分速ければ、電子シャッターのみでも問題ない、という判断でしょう。
グローバルシャッターのカメラは、業務用途では開発されているものの、センサの単価が非常に高くて画素数を増やすのが難しいからか、一般的なスチルカメラへの搭載はまだ難しいようです。
十分な読み出し速度のある積層CMOSセンサを採用したことで、メカシャッターレスを実現したZ 9ですが、この辺りも後述する値段の安さに繋がっていると思われます。

■二番目のサプライズ、価格

事前情報で、D6より安くなる、という噂もあったZ 9。個人的には懐疑的で、α1の初期の価格、88万円に近いのではないか、と想像していました。
この懸念はよい意味で裏切られ、最安値で63万円弱となりました。70万円前後のD6と比べても、1割安いということになります。
これはかなり戦略的な価格です。
実はD850も、秒9コマ連写するには、パワーバッテリパックとEN-EL18系のバッテリとその充電器が必要で、これが結構な投資でしたので、それを考えると、この値段には驚きです。
利益度外視することはありえませんから、メカシャッターユニットがなくなった恩恵が出ていると思われます。(センサ保護のためのシャッターは存在)
フラッグシップのD6は一眼レフカメラだったので、ミラーユニットが必要ですし、メカシャッターは当然存在します。これらが存在しない分のコストは下げられますから、その分を単価の高いと思われる積層CMOSセンサや、あるいはEXPEED7などの画像処理、内部メモリなどに充てることができます。それでもD6より安くなっているのだから、メカシャッターやミラーがいかにコストを上げていたか、ということです。
ここで、ミラーもシャッターもなくなったカメラは、海外新興企業も作りやすくなって、日本のメーカーは駆逐されかねない、という意見もありますが、カメラはボディだけでなく、レンズやアクセサリを含めたシステムですし、レンズは依然といてメカの塊です。ここのアドバンテージは大きく、むしろ単体のカメラ自体がスマホカメラの影響でマイノリティになりつつあり、あえて新興メーカーが参入するほど、この業界は甘くないのかな、と思います。
とにかく、価格はだいぶ頑張って、22年前のデジタル一桁初代のNikon D1とほぼ同価格帯というのは、すごいことですね。

■9種類の被写体検出可能なAF

Nikonのミラーレス一眼で、一番の弱点だったAFですが、493点という測距点はZ 7シリーズと変わらないものの、、9種類の被写体検出できる、ディープラーニング技術を用いて開発したアルゴリズムを搭載して、動態への食いつきはD6以上とされています。
低照度‐6.5EVからの測距が可能で(f/1.2レンズ使用時)、スターライトビュー有効時は‐8.5EVからと、かなり頑張っています。ただし、今までf/2.0連巣基準で出していた数値が、急にf/1.2レンズとなったのが解せませんが、それでもなお、より低照度に強くなっていると思われます。
SNSで指摘されているように、公開された動画は、低照度のAFのシーンがないため、判断が難しいところです。この辺りはカタログ値は鵜吞みにはできないため、実機での確認で判断したいところです。
9種類の被写体検出の1つにYamaroがよく撮る飛行機があり、全体や先頭部、コックピットの設定があるのも面白いですね。どこまで食いついてくれるかが楽しみです。
被写体検出も、任意選択とオートが選べますが、オートの場合、複数の被写体が同時にフレームに入った場合、

画面内に複数の異なる被写体があり、フォーカスポイントが意図していない被写体を捉えている場合は、マルチセレクターで意図している被写体を選べます。

https://www.nikon-image.com/products/mirrorless/lineup/z_9/features01.html

となっています。マルチセレクターでの選択は、被写体が多いほど時間がかかるため、タッチパッドで選べるなど工夫が欲しかったですね。Canon EOS R3なら視線入力で選べるかなと思います。
やはり実機を使って判断、となりそうですが、やっと動態AFはライバルに追いついたかな、と言えそうですね。

■世界初のブラックアウトフリーReal-Live Viewfinder

ブラックアウトフリーは、既にα9シリーズなど、一部の機種に搭載され始めていますが、

ファインダー像の消失が起きないよう同一画像を表示する従来のブラックアウトフリー撮影とは異なり、実際の被写体の動きを常にそのまま表示します。

https://www.nikon-image.com/products/mirrorless/lineup/z_9/features02.html

とあるように、実はこれまでのブラックアウトフリーは、撮影中のコマ落ちは同一画像で補っていたそうです。(知らなかった~OMさんSONYさんそうだったの!?)
今回は、連写し続けても、コマ落ちせずEVFに表示できるのが売りのようです。
EVFのスペック自体は、Z 7/Z 6シリーズと変わらない369万ドット0.5型OLEDですが、元々ZシリーズのEVFは工学系の設計が良いからか、ドット数以上に見やすいファインダーとなっているため、ドット数の大きさよりも、見やすさと表示レートダウンのなさを優先させたのでしょう。

■スチルは20コマ/秒に留まる

SONYのα1が、5010万画素ながら、JPG/圧縮RAWで30コマ/秒に対応(対応レンズが必要)なのに対し、Z 9では、RAW撮影では20コマ/秒に留まります。JPGだとフル画素では30コマ/秒となります。
連続撮影枚数も、α1はRAW(恐らく圧縮RAW)で238、ロスレス圧縮RAWで92枚、Z 9ではロスレス圧縮RAWで79コマに留まるものの、高効率★圧縮RAWで685コマ、さらに高効率圧縮RAWで1000コマ以上となります。
軍配はα1に上がるものの、新開発の高効率圧縮RAWを使えば、一気に連続撮影枚数が向上します。ちなみに、α1はJPGのLファインで400枚です。
この辺りは、各カメラとも使用するメモリーカードや設定、レンズなど、様々な要素が絡んで、一概には言えないようです。
特にSONYの場合、30コマ/秒は装着するレンズでも使えないものもあり、サードのレンズでは15コマ/秒に制限されます。
また、Z 9は将来的に8K60p(12bit RAW)動画の内部記録に対応するようなので、将来的にスチルも高圧縮RAWで30コマ/秒に対応すると嬉しいのですが。
個人的には、余りにデータが増えすぎるので、20コマ/秒でも十分ですが、将来的なアップデートに期待したいところですね。

■高画素機の宿命か、ISO感度はD850やZ7と変わらず

高感度番長のD5,D6のユーザーが、一番気になる部分ではないでしょうか? 2000万画素のD5,D6は、高感度耐性も高く、基本感度はISO100~102400、拡張で高感度側は5段分(ISO3280000相当)の増感が可能でした。
対して、Z 9は、これまでの4500万画素クラスのD850やZ 7/Z7IIと変わらず、ISO64~25600(拡張で2段分ISO102400)に留まります。
ここはもう少し頑張ってほしかった部分ですし、夜や屋内撮影が多いユーザーは気になるところでしょう。高感度撮影が多いD5, D6ユーザーは、簡単にはZ 9へは移行できないのではないかな、と思われます。
かといって、Z 6/Z 6IIでは多くの点で見劣りします。Nikonは高感度耐性の高く、8Kを取り除いたZ 8も検討すべきでしょうね。
ちなみに、α1も基本感度はISO100-32000と、わずかに高感度が有利なだけで、拡張感度は同じISO102400なので、やはり高画素機はこの辺りが限界なのでしょうね。

■動画は現時点で再強か

元々ビデオカメラを販売しているSONYもCanon、スチルカメラの動画でも評判は良いですが、EOS R5がフルサイズミラーレス一眼初の8K動画の撮影が可能ながら、熱問題にに苦しんだことは記憶に新しいです。α1も8K30pは連続撮影30分ですが、Z 9は8K30pで最大125分の内部記録を可能としました。
SDR、N-Log、HLGに対応、ProRes 422 HQ 10ビット、H.265の内部記録対応など、この辺りはライバルも対応していますが、やはり8K動画の長時間記録は他にないメリットです。
実際に125分も長回しすることはほとんどないでしょうけど、それだけ熱耐久に優れていると言えます。特に近年温暖化が進んで真夏は灼熱になるため、そういった場面での撮影でも、熱による録画停止のリスクが軽減されていそうです。
8K動画撮影には、高速書き込み可能なCFexpressカードは必須ですが、特に将来の8K60pやRAW動画には、ProgradeのCOBALT 1700Rのような最低継続書込速度1400MB/sのSLCメモリが推奨されています。

■新バッテリEN-EL18dは大幅容量アップ

バッテリのEN-EL18シリーズは、Nikon D4から採用されている形状のバッテリです。
D4の標準品だったEN-EL18は10.8V 2000mAhでしたが、D4Sで採用されたEN-EL18aは2500mAhに容量アップし、以降EL18b,EN18cと型式はマイナーチェンジされましたが、機能容量とも大きな変化はありませんでした。
今回EL18dでは、3300mhとEL18a~c型から3割以上の容量アップ下と同時に、Z 9からのUSB給電にも対応します。
ただし、EL18dは、形状は従来のEL18シリーズと同じですが、対応機種は現在のところ、Z 9以外にD6,D5のみとなっており、初代EL18~EL18cが使えた機種が全て対応しているわけではないようです。D850のMB-D18バッテリーパックやD4シリーズにはには非対応
なのが残念ですし、理由も知りたいところです。
ちなみに、EL18d対応充電器も、新型のMH-33となり、従来のMH-26a/26は充電不可能となっています。


とまあZ 9の雑感をタラタラと書いてみましたが、HPでは頻繁にディープラーニングという言葉が出てきており、AFの認識追従やAWBの精度アップに貢献しているようです。
また、今後のファームアップで、さらに動画やスチルの連写性能を上げていくことが告知されており、現時点での性能に留まることなく進化しそうですね。
これらの技術が、ミドルクラスのボディに降りてくると、ライバルメーカーに対するアドバンテージにもありそうですし、技術競争も進むでしょう。
D3の再来といわれているZ 9ですが、これでNikonも少しは盛り上がってくれると、カメラ業界も賑わって良いと思いますね。
後はZレンズかな? 特に望遠レンズはこれからですしね。

ベランダでベローズPB-4を使って接写してみた

スッキリ晴れた週末。でも予定がちょこちょこあったので、スキマ時間でベランダの五色唐辛子を接写で撮ってみました。

Nikon ベローズフォーカスアタッチメントPB-4は、かつてNikonが販売していた、接写用のアタッチメントです。
一般に、写真用レンズは、カメラ側からマウント面が離れるほど、より接写が可能となります。そのためのエクステンションチューブ(接写リング)もありますが、ベローズはさらにレンズをカメラから離すことで、より高い倍率で撮影可能です。
近年はカメラレンズもミラーレスかと同時に電子マウント化が進み、カメラボディと通電・通信されていないとフォーカスも絞りも動かすことができなくなりつつあり、カメラメーカー純正のベローズ廃れてしまいましたが、デジタルになって結果がすぐ分かり、撮り直しなど、色々試行錯誤しながら撮ることが簡単になった現代こそ、こういうベローズで遊ぶのが面白いのですよね。

現代の最新の高度に電子化されたレンズは、こうしたベローズで使うことは出来ませんが、機械式の機構が残ったFマウントレンズ(Dタイプ以前)以前のレンズはもちろん、今回ここで使っている引き伸ばしレンズ(現像済みフィルムの像を印画紙に露光するためのレンズ)など、色々取り付けて撮影できます。

Panasonic DG-GX7MK3 + LEICA DG SUMMILUX 15mm F1.7 ASPH. 最短撮影距離で撮影

センササイズが小さいため、接写に強いマイクロフォーサーズ機ですが、マクロレンズでないと(しかも広角)だと、最短撮影距離ではこんな感じです。

では、ベローズを使うとどうでしょう?

EL-Nikkor 80mm F5.6

Nikon D850 + Bellows PB-4 + EL-Nikkor 80mm F5.6

どうでしょう? 蕾がここままで接写できます。引き伸ばしレンズの、EL Nikkor 80mm F5.6を使っています。
コントラストが浅いのは、ピクチャーコントロールをニュートラルで現像しているからです。レンズのコントラストが低いわけではありません。非常に繊細かつ解像力の高いレンズです。

FUJINON-ES 90mm F4.5

FUJINON-ES 90mm F4.5

以前1500円で買った富士の引き伸ばしレンズ、FUJINON-ES 90mm F4.5です。光学系が大変綺麗だったので、思わず購入してしまいました。今回初撮りです。

同じ蕾を、ベローズのセッティングを変えず、レンズのみEL-Nikkor 80mmから FUJINON-ES 90mm F4.5に交換してみると、やや撮影倍率は下がるようです。しかし描写はなかなかで、EL-Nikkorと甲乙つけがたいものがあります。解像力はわずかにEL-Nikkorが上回るように感じますが、FUJINONのしっとりした描写も好みです。これも良いレンズです。
引き伸ばしレンズは、小粒でも実力の高いレンズが多いですね。

EL-Nikkor 135mm F5.6

Nikon D850 + Bellows PB-4 + EL-Nikkor 135mm F5.6

花が咲き終わって、唐辛子の実がなりつつあります。いわば、唐辛子の赤ちゃんですね。

50~90mmの引き伸ばしレンズと比較して、急に大きくゴロンと重たくなるのが135mmのEL-Nikkor。見た目は質感の高く、大きさの割に質量があるレンズです。
やはり同じセッティングで撮ると、撮影倍率は80~90mmより低いですね。その代わり、ワーキングディスタンスが取りやすいです。とは言え、接写での使い勝手などは、やはり80~90mm軍配が上がります。
ただその描写は大変優れており、好きなレンズです。どちらかと言うと、接写よりも一般撮影に適したレンズかもしれません。
一眼レフでも無限遠が出せます。作例は、RED BOOK NIKKORのページに掲載されています。

再びEL-Nikkor 80mm F5.6

Nikon D850 + Bellows PB-4 + EL-Nikkor 80mm F5.6

レンズを再びEL-Nikkor 80mm F5.6に交換。やはり接写は80mmのほうが勝手が良いですね。


せっかくアオリ撮影もできるPB-4、今度は物撮りにもチャレンジしてみたいですね。

テレコンTC-14EIIを紛失…見つからなければIII型を検討か

今日、これから息子の保育園のミニ運動会があるのですが、それに向けて、超望遠レンズは必要ないので、AF-S 70-200mmに1.4倍テレコンTC-14EIIあれば十分かなと思って、いつも入れている、AF-S 600mm用のレンズバッグを探したけど…見つからない。えっ? なぜ、となりまして。

AI AF-S TELECONVERTER TC-14E II
どこに行ったの? Nikon TC-14EII

コロナ禍で超望遠撮影する機会はへ減っていて、このレンズバッグ最後に持ち出したのが、9月7日夜中に、横須賀はヴェルニー公園から撮影した、英空母HMS クイーン・エリザベス(Queen Elisabeth)の撮影でした。

2021年9月7日に横須賀ヴェルニー公園から撮影したHMS Queen Elisabeth

1.4倍テレコンバーターのTC-14EIIは、いつも超望遠用のカメラバッグに入っていまして、この撮影では使っていませんが、レンズを出す際に、テレコンはレンズの隙間に入れてあるので、テレコンも一度外に出しています。ってことは、この時に落とした可能性が高いです…。
車の中で落とした可能性はゼロではないにしろ、車の中でバッグは開けていなかったので、可能性としては低く、しかもその後2ヶ月近く車を使っていますし。

神奈川県警の遺失物検索をしてみましたが、残念ながら横須賀市でのカメラ関連の遺失物は、鉄道で見つかったものだけのようです。

神奈川県警の遺失物検索では、色々条件を変えたが見つからず

光学系が一新されたTC-14EIII

紛失したかもしれないTC-14EII、後継のTC-14IIIが発売されています。

AF-S TELECONVERTER TC-14E III ブラック
Nikon TC-14EIII

初代とII型は、コーティングの改良があれど、光学系は同じでしたが、III型になって光学系が一新されています。そして、Fマウント用のAFテレコンバーターで唯一、絞りリング搭載レンズに非対応となっています。
初代とII型が、”AI AF-S TELECONVERTER”と言う名称なのに対し、III型は”AF-S TELECONVERTER”です。
頭についていた”AI”(ここで言うAIは人工知能のことではなく、Nikonの開放F値自動補正方式 AI = Automatic Maximum Aperture Indexing)が、III型ではなくなっています。
これは、2000年代に、多くの望遠レンズが、絞りリングのあるDタイプから、絞りリングのないGタイプ、あるいは電磁絞りのEタイプに移行したからで、絞りリングの位置を伝達するAI機構がなくなったため、テレコンバーター側も不要としたのでしょう。ようは、古いDタイプの超望遠は対応を切り捨てたわけです。

中古市場には、豊富に初代やII型のテレコンバーターが出回っているので、実質的には問題ないでしょうけど、Fマウントの互換性を重視してきたNikonも、この頃には古いものはバッサリ切り捨てるようになったので、一部には批判もあったようです。

ただ、自分ももうDタイプのテレコン対応望遠レンズは使っていないですから、III型で問題ないですね。
買うとしたらこのIII型でしょう。

Amazonだと、Zマウント用より高いんですね…。
さて部屋ももう一度探すか…

Nikon Z 9で1時間以上8K動画撮ると、ストレージはどのくらい必要なんだろう?

Nikon Z 9のディザー広告、4つ発表されるうちの2つ目までが、執筆時点(21/10/16)で発表されています。

Nikon Z 9 1つ目のティザー広告
Nikon Z 9 2 つ目のティザー広告

あまり大きな情報はないですね。
1つ目の動画は、Nikon初めての3軸チルト液晶を搭載していること、2つ目は8K30pの動画を1時間以上継続して撮れることしかわかりません。

1時間20分以上8K30pで撮影していることが分かる

Nikonは2021年3月10日に、Nikon Z 9を開発中であることを広報発表していますが、あれから半年経過してのティザー広告です。ソニーがα1を2021年1月27日に発表し、3月19日に発売したことを考えると、あまりに遅いですね。
恐らく、SONYがα1を発表したことで、Nikonはフルサイズミラーレスのプロ機までもSONYに先を越され、待ったなしの状況になったからでしょう。α1が仮にまだ発売されていなかったとしたら、NikonもあのタイミングでZ 9の開発を広報発表することはなかったのではないかと思います。

東京五輪では、まだ報道カメラマンのメーカーシェアはCanonとNikonが優勢だったものの、SONYの報道利用は確実に増えつつあるのは確かです。
こちらの記事では、Canonが6割近くと圧倒的優勢、Nikonは3割ですが、SONYは1割弱とのことで、将来的にもCanonが優勢であること、SONYは今のコンセプトのままでは逆にシェアを落とすのではと予想しています。

個人的にはNikonが追い上げをかけない限り、そしてプロ向けサービスの質を落とさないようにしなければ、機材リプレースのタイミングで、ごっそりCanonに持っていかれる気がしてなりません。ここが踏ん張りどころと思います。そして、プロの間でもEOS R5が支持されている通り、ミドルクラスの充実も必要です。
Nikonは、Z 9に続くZ 8で3000万画素クラスの高速連写機を、そしてZ 7IIIでは画素数据え置きで秒20コマ達成(EOS R5の対抗機種)を目指すべきと思います。

ところで、8K動画を1時間以上連続撮影できるストレージって?

Nikon Z 9で疑問に思ったこと、8K動画を、気温の高い屋外で1時間以上撮影できることは、ただでさえ熱が厳しい8K動画撮影では画期的なことです。
SONYのα1では、4:2:0 10bitで約30分の8K 30p動画記録としていましたが、Nikon Z 9ではこの倍以上を撮れるということです。
放熱にかなり気を配った設計となっているようです。

疑問に思ったのは、8K30pで1時間以上動画を撮る場合、ストレージはどの程度消費されるか?ですね。

SONYのα1の場合、動画のビットレート(最大)は、

  • XAVS HS 8K30p 10bit 4:2:0・・・400Mbps = 50MB/s
  • XAVS S-I 4K60p 10bit 4:2:2・・・600Mbps = 75MB/s

となっています。なお4Kのモードは複数あり、上記は最高画質のモードの場合です。
意外にも8Kより4Kのほうがビットレートが多い、と思われる方もいますが、8Kでは30フレームで、クロマサブサンプリングが4:2:0なので、4K動画は8K動画の画素数1/4しかないとは言え、クロマサブサンプリングで4:2:2で倍のフレームレート、更に圧縮方法の違いなどから来ています。

純粋に解像度は8Kが有利ですが、色情報法の多さを加味すると、実はα1の場合はXAVS S-I 4Kのほうが編集時の耐性が高く画”質”は上といえます。
このビットレートは動画と考えれば案外高くありません。
単純計算すると、8Kなら30分で約90GBとなります。今どき128GBのメモリーカードは普通ですね。
ただここで気になるのは、SONY α1はCFexpress Type A/SD UHS-IIのデュアルスロットで、書き込みの速いCFexpress Type Aカードは、現時点で最大容量が160GBまでしかラインナップされていないのです。
SDカードならより大容量のカードもありますし、600MbpsならSD UHS-IIカードでも速度的に問題なく書き込めます。
逆に言うと、フラッグシップ機たるα1が、書き込み容量や速度で不利なCFexpress Type Aを採用したことは疑問です。この辺りが、ボディサイズと合わせて、α1がフラッグシップ機、というよりはプロ機として足かせになるのではないかと危惧する部分ではあります。

Canon EOS R5の場合、

  • 8K DCI RAW HDR PQ 4:2:2・・・2600Mbps = 325MB/s
  • 8K DCI ALL-I HDR PQ 4:2:2・・・1300Mbps = 162.5MB/s

となり、EOS R5のほうが書き込みビットレートが速いモードが多いです。8K動画撮影時の熱問題で販売当初叩かれたR5でしたが、基本的なスペックは、α1を上回っている部分も多いですね。
なによりボディ単体でRAW動画が撮れるのは魅力でしょう。
ちなみにCanonのサイトによれば、 最大ビットレートを使用する8K DCI RAW HDR PQの場合、 1TBのカードで51分撮れるようです。※ただし連続撮影は温度上昇に伴い約20分です。
現時点でCFexpress Type Bカードは2TBまで発売されていますから、EOS R5で8K動画を撮る場合は、1TBのカードは欲しいところですね。お高いです。

NikonがZ 9の8K動画ではどのような方式を採用するかによるけど…

結論から言うと、1時間以上の8K動画を撮る場合、SONYの50MB/s程度のビットレートなら256GB以上のカードが、Canonの8K RAWのようなビットレートの場合は2TBが必要になります。
恐らく、複数のモードが用意されるのではないかと思いますが、8K動画前提なら、最低512GB、1TBは必要でしょう。そうなるとカメラを買い替えたら、CFexpressカードにかかる予算も考慮しなければなりませんね。
スチルだけなら、128GBか256MBあれば十分でしょうけど。

個人的に、今の所8K動画を長々と撮る予定はないし、それより4Kを高画質で撮りたいと思っていますが、タイムラプスで8K動画は作ってみたいと思っています。編集ソフトも含めると…やっぱり動画ってカネがかかりますね。
8K動画を1時間撮れるくらいの熱耐性があるなら、4K動画なら余裕があると見てよく、この辺りは流石にNikonのフラッグシップなんだな、と思わせますね。