Nikon TC-20EIII、焦点距離を2倍にするAF-S/AF-Iレンズ用のテレコンバーターです。
元箱と付属品が揃った中古美品、テレコンバーターって割と元箱付きという中古は少ないのです。何なら付属のポーチすらない中古は多い、まあポーチ使わない人は多いし、そういう扱いの商品なんですかね。
テレコンバーター、買っては見たものの、画質に満足できなくて手放す人は多いです。ですから、中古流通は割と豊富です。特に、2倍のテレコンバーターは、焦点距離を倍にする分、2段分暗くなり、マスターレンズの中央部を拡大するため、マスターレンズの欠点も拡大します。解像力は確実に低下しますね。
超望遠レンズは大きくて高い、なので、既存の望遠レンズにテレコンバーターを併用するというのが一つの手段ですが、デジタル一眼が高画素化されていく中、光学的にクロップするより、画像処理でクロップしたほうが、結果が良くなるケースが多いです。たた、そうは言ってもトリミングにも限界があります。難しいところです。
実は、かつて1世代前のTC-20EIIは持っていました。APS-CのD300の時代は、AF-S ED 80-200mm f/2.8D、そして今も使っているAF-S 70-200mm f/2.8G ED VRIIに、TC-20EIIで撮影をしていました。これで換算280-600mm相当となりました。
が、Nikon D800を導入した際は、その画素数にテレコンバーターの性能がついていけていない感が出てきました。その後、SIGMAから150-600mm Sportsが販売されたため、これを導入、ネイティブに600mmまで対応できるため、必要となくなったTC-20EIIは売却となりました。
ロクヨンのサブレンズ、どうする?
更にロクヨン導入に伴い、戦闘機撮影はロクヨンとなりましたが、今度はそれ以下の焦点距離をどうしようか? ということになりまして。ロクヨン1本で全て済ませるほど、人間ができていません…。引きの絵も欲しいことはありますからね。では150-600mmと併用するか…となると、このレンズも重量級ですから、2本併用は正直難しいのです。
150-600mmだけなら、ほぼこの1本で対応できますし、更に今はコンパクトなのに画質はちょい上の、SIGMA 60-600mmも存在します。そう考えると、超望遠の単焦点は扱いが難しいですね。
となると、ある程度コンパクトな2本目が欲しい。SIGMAやTamronからは100-400mmも出ていますが、あまりレンズを増やしたくない…ということで、手持ちのAF-S 70-200mm f/2.8G ED VRを再びテレコン併用で使用する、という選択肢になりました。
実は先日、過去写真を見直すことがあり、D810導入後に、AF-S 70-200mm f/2.8G ED VRIIとTC-20EIIで撮影した戦闘機写真が、割としっかり写真が解像していることに気づいたのです。
たった5年前なのに、この写真に写っている機体、偵察機の501SQや戦闘機の302SQのオジロファントムは退役、305SQのイーグルは宮崎の新田原基地に異動、いやはや時の流れは早い…と感傷に浸るのは置いておいて、もちろんベストの解像力とは言わないまでも、機体の細かい文字も等倍ではそこそこ見えるんですよね。
あれ? テレコン使用時の画質、そこまで悪くないかも、となりました。
D800の時は解像力不足を感じていましたが、ローパスフィルタレス、ミラーショック軽減となったD810で改善されたのか? あのときは、フルサイズで400mmの限界、というのを感じていただけで、画質的には悪くはなかったのかもしれませんね。
ちなみに、このAF-S 70-200mmとTC-20EIIの組み合わせでも、VRの動作やAFに当時不満はありませんでした。戦闘機を撮れていたのですから。
TC-20EIIとIIIの違いは?
ニコンのAF2倍テレコンバーターは、初代がAI AF-Iテレコンバーター TC-20Eで、名称から分かる通り、超望遠レンズがまだAF-I(コアレスモータ内蔵)の時代に販売されていたものです。
2代目はTC-20EIIとなり、名称はAI-AF-Sテレコンバーターとなりました。AF単焦点望遠レンズは、2代目以降AF-S(超音波モータ内蔵)レンズが主流となっため、テレコンバーターの名称も変更されましたが、光学系は同一で、外観上は、滑り止めローレットのデザインが変更されただけとなっています。
これに対し、2010年に発売された3代目は、名称からAI(人工知能のAIではなく、絞り値をボディに機械伝達するAI方式機構搭載の意味)が外れ、AF-Sテレコンバーターとなりました。
ただし、AI機構は搭載されているため、フィルム時代で2コマンドダイヤル以前の機種と、絞りリング付きのDタイプの望遠レンズとの組み合わせでの使用は、依然として可能となっています。
大きな変化点は、光学系が刷新されたことで、新型は非球面レンズを1枚採用しています。
光学系が刷新されたことで、よりデジタルに適したテレコンバーターになったと思われます。とは言え、過度な期待は禁物です。所詮はマスターレンズの解像力や収差に左右されます。
ロクヨンG型とTC-20EIII
AF-S 600mm f/4G ED VR(通称ロクヨンG)にTC-20EIIIは、元々この組み合わせで積極的に撮影するつもりはありませんが、取り付け撮影は可能なので、テストということで。
流石に1200mmともなると手持ち撮影は至難の業ですし、そこまで長いレンズは戦闘機撮影でもほとんどのケースでは必要ないですから。600mmでも苦労しますし、超望遠レンズは、レンズだけでなく、陽炎(空気のゆらぎ)や些細なブレも影響しますから、一筋縄では行きませんね。三脚に据えて、遠方を撮ろうとしたら、見事に空気が揺らいでいるのがファインダ上でわかります。撮ってみても、絵がボケボケに流れてしまってだめでした。
そこである程度近い距離(と言っても数十mは離れていますが)をテストしてみました。
TC-14EII(1.4倍テレコン)ではほぼ解像力低下は感じないロクヨンGですが、さすがに2倍のTC-20EIIIは、最新光学系のテレコンとはいえ、絞り開放のf8では解像力低下は否めません。この撮影時、かなり陽炎が出ているので、近距離でもそれなりに影響はしていると思いますが、あまり積極的に使える感じではないですね。
ところが、1段絞ってf11では、割と解像している感じです。もちろん使わない時よりは解像力低下は感じますが、そこまで悲観する感じでもないですね。
もしロクヨンGで2倍テレコンを使うときは、1段絞って使いたいところです。用途は月の撮影とかですかね。
余談ですが、ロクヨンに2倍テレコンで開放f8となるため、AFもD850では中央の15点(選択可能測距点としては9点)、D810でも中央11点のみ使用可となっています。他の測距点は選択できますし、場合によってはAFが合うこともありますが、試してみたら大きくピントがずれている場合は、AFが迷ってしまいました。
AF-S 70-200mm VRIIとTC-20EIII
AF-S 70-200mm f/2.8G ED VRIIにTC-20EIII、こちらが主に想定している組み合わせです。
開放f値もf5.6ですから、手持ちのD850やD810の場合は、開放f5.6までは、全測距点でAF可能です。 個人的には懐かしい組み合わせですね。ほんの数年前まで、この組み合わせで撮っていたのですから。
TC-20EIIIとの組み合わせで140~400mm f/5.6となり、AFもVRもさほど影響は受けない組み合わせです。なにより、純正レンズなので、信頼性もサード品よりは高いですしね。
ロクヨンGでは、絞り開放はやや厳しい結果となりましたが、AF-S 70-200mm VRIIでは、絞り開放でも割と使える解像力となっています。1段絞っても、大きく改善はしない感じです。逆に、f11まで絞ると、少し回折の影響によるものなのか、解像力の低下を感じたので、この組み合わせでは開放f5.6か、1段絞ったf8までで使うのが良さそうです。
AFも全測距点で迷いなくスパッと合います。手持ちでも、400mm程度なので、VR含みで何ら問題なく撮影できそうです。
個人的には、画質に余裕がありそうな感じだったロクヨンが、2倍テレコンだともう一つなのに対し、ズームな70-200mmでは割とまともだったのが意外でした。
TC-14EIIは、ロクヨンGで、TC-20EIIIはAF-S 70-200mmで主に使うことになりそうです。同じテレコンでも、2倍と1.4倍でこれだけ長さが違うのですね。
ところでNikonのテレコンバーターですが、最新のTC-14EIIIでは、ついにAI機構が外れ、Dタイプレンズは使用不可となりました。Dタイプの望遠レンズは旧式なので、実質問題ないのでしょうが、あえて外す必要もあるのかなという気はします。
テレコンも2種類になったので、これである程度広い範囲での望遠撮影は可能ですね。あとは、AF-S 70-200 VRIIのケース、どうしようかな? 純正どこ行ったんだろう?w