アダプターリングBR-2AとBR-5+ AF Nikkor 20mm f/2.8Dで撮影倍率3.4倍のマクロ撮影をしてみた

NikonはDタイプレンズやMFレンズを販売終了にした際に、多くのレンズアクセサリ類も販売終了になってしまいました。
その中で数少ない現行品(2022年6月執筆時点)がアダプターリングBR-2Aです。これは通称リバースアダプタとも呼ばれ、レンズをカメラに逆付けするためのアダプタです。

そして、販売終了してしまったBR-5リングは、BR-2Aリングにフィルタ径62mmのレンズを取り付けるアダプタになります。

リバースリング? ナニソレ? ナンノコッチャ?となる前に、写真でご紹介しましょう。

アダプターリングBR-2AとBR-5 AF Nikkor 20mm f/2.8D

AI AF Nikkor 20mm f/2.8Dも、多くのアクセサリと一緒に販売終了となっているレンズです。この3つを使って遊んでみます。特にBR-5リングは、手持ちのレンズではこのレンズのためだけに持っているようなもので、こういう遊びのために、未だにAI AF Nikkor 20mm f/2.8Dを修理してまで使っています

まずはBR-5リングを、AF Nikkor 20mmのフィルタ枠に取り付けます。と言うのも、BR-2Aリングは、フィルタ径52mmのレンズを直接取り付けできますが、AF Nikkor 20mmのフィルタ径は62mmなので、直接取り付けできません。そこで、BR-5リングを使うことで、フィルタ径を52mmに変換しします。
52mmに変換したら、BR-2Aをねじ込みます。すると、レンズの前玉にFマウントができるわけです。
このBR-2Aは、精巧で美しい墨入れ刻印が入っているにも関わらず、定価はたったの2,200円です。多くの接写用アクセサリが廃番になる中、このアクセサリだけ作り続ける理由もないので、恐らくは在庫限りなのだと思っています。ですから、買うなら今のうちです

BR-2Aリングは、先にレンズに付けるよりも、ボディ側に装着したほうが取り付けしやすいです。
実際にリバースしてレンズを取り付けた写真が右上です。本来マウント側になる後玉が前を向いているのがわかります。
さてこんなことをするメリットって何なのでしょう?

広角レンズをリバースして取り付けるとマクロ撮影が可能となる

そういうことなのです。レンズをリバースして取り付けると、等倍を超えるようなマクロ撮影が可能となります。特に広角レンズになればなるほど、撮影倍率は上がります。
AI AF Nikkor 20mm f/2.8Dの場合、リバースすることで、一般的なマクロレンズの等倍(1倍)を超える、3.4倍もの倍率で撮影可能となるのです。

リバースして蕾を撮影。ワーキングディスタンスもそれなりに稼げる。

まずAI AF Nikkor 20mm f/2.8Dをそのまま装着して、最短撮影距離25cmで撮影してみました。この時の撮影倍率は0.12倍です。

AI AF Nikkor 20mm f/2.8Dの通常撮影の最短撮影距離ではこんな感じ

広角レンズゆえ、寄ったところで限界がありますね。主体が何だかよくわからない写真です。

次に、AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G EDで撮影してみました。

AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G EDで等倍撮影

等倍だと、いきなりここまで接写できるようになりました。一般にはこれでも十分接写できていますが、人間欲張りなもので、更に寄って撮影してみたくなるものです。
ここで広角レンズをリバースして撮影した写真をお見せしましょう。

AI AF Nikkor 20mm f/2.8D + BR-2A +BR-5で3.4倍撮影 絞りf11

どうでしょう? ここまで接写が可能となります。撮影倍率3.4倍は伊達じゃないですね。
なお、ここまで接写すると、絞り開放では被写界深度が浅くなりすぎるため、上の写真はf11に絞っています。一眼レフでは、光学ファインダ上ではかなり真っ暗になりますが、ライブビューではピント合わせできるくらいには明るく表示できます。もちろんミラーレスなら、何ら問題なく見えるでしょう。
この撮影では、スピードライトも用いていますが、かなり離した場所の横からワイヤレス発光させています。
ここではそうしていませんが、背景を暗くして被写体だけを明るくするには、シャッタースピードを上げて絞り込むのが良いでしょう。

こういった撮影は、絞りリングで絞り設定ができるからこそで、Gタイプ以降の絞りリングレスのレンズでは、絞り設定ができなくなりました。
もっとも、Gタイプレンズであれば、絞り連動レバーがマウント側に残されているので、市販のGタイプ用レンズアダプタを噛ませて、絞りを設定する、あるいはレバーを手で動かして絞りを設定することもできなくはないです。
完全電子マウント化したEタイプレンズやミラーレス用の多くのレンズでは、機械的な絞り設定ができなくなったため、こうしたリバース遊びは事実上できません(絞りを制御できないだけで、撮影自体はできなくはないけど)。

どんなに電子化されても、1,2本はこうしたマニュアル、あるいはAFでも古いレンズがあれば、色々遊べるので、興味があればぜひ。

AI AF Nikkor 20mm f/2.8D + BR-2A +BR-5で3.4倍撮影 絞りf22

上は更に絞り込んだf22で、それでもこれだけ被写界深度は浅いのです。これは自然光のみで撮ってみました。

中間リングを使ったマクロ撮影も気軽にできますが、広角レンズをリバースさせる、と言うのも一つの手法です。

BR-2Aリングの豆知識

中古で型番末尾にAがつかないBR-2があります。現行のBR-2Aの違いは、前者が電子接点のないMF一眼レフ用(というよりBR-2発売当時はそれが当たり前でした)となっているのに対し、BR-2Aは電子接点を持つ一眼レフ用(電子接点のない一眼レフでも使用可能)となっています。
古いBR-2を電子接点を持つ一眼レフ(AF一眼レフ全般及びF-601M)に装着すると、電子接点と干渉し破損につながる可能性があるため、必ずBR-2Aを使用してください。

また、FTZ/FTZ IIとBR-2Aの装着は可能なので、一眼レフだけでなく、Zマウントミラーレス、あるいは他社製ミラーレスにFマウントアダプタ経由でも使用可能です。

以下は、BR-2Aリングを使用してリバース取付した場合の、Fマウントニッコールレンズの撮影倍率となります。
なお、BR-2A単体の場合、フィルタ径は52mmのレンズ、BR-5リング併用の場合はフィルタ径62mmのレンズが対応します。
18mm以下の広角レンズ、およびGタイプ、Eタイプレンズは非対応となります。
実際には、取付さえ何とかすればできなくはないですが、あまり実用的ではないでしょう。

下記の表を見ると、リバース取付で最も撮影倍率が高いのは、AI AF Nikkor 20mm f/2.8D/SとAI Nikkor 20mm f/2.8Sの3.4倍となります。いずれもAFかMFかの違いはありますが、基本的に同じ光学系のレンズです。
また、ズームレンズの広角の方が、同じ焦点距離の単焦点レンズより高倍率になることが多いようです。
こういったリバース取付のマクロ遊びをするなら、高倍率撮影を楽しめる、Nikkor 20mm f/2.8が最適と言えますね。

レンズ名BR-5リング
併用
撮影倍率
AI AF Nikkor 20mm f/2.8D/S3.4X
AI AF Nikkor 24mm f/2.8D/S 2.5X
AI AF Nikkor 28mm f/2.8D/S 2.0X
AI AF Nikkor 35mm f/2D/S 1.4X
AI AF Nikkor 50mm f/1.4D/S 1/1.1X
AI AF Nikkor 50mm f/1.8S(New) 1/1.4X
AI AF Micro-Nikkor 55mm f/2.8S1.2X
AI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8D/S1/1.2X
AI AF Zoom-Nikkor 24-50mm f/3.3-4.5D/S3.0-1.0X
AI AF Zoom-Nikkor 28-70mm f/3.5-4.5D/S 2.2-1/5.6X
AI AF Zoom-Nikkor 28-85mm f/3.5-4.5S(New)3.0-1/27.5X
AI AF Zoom-Nikkor 28-105mm f/3.5-4.5D(IF)2.8-1/1.8X
AI AF Zoom-Nikkor 35-70mm f/3.3-4.5S(New) 2.1-1/6.1X
AI AF Zoom-Nikkor 35-80mm f/4-5.6D 1.5-1/1.4X
AI AF Zoom-Nikkor 35-70mm f/2.8D/S2.3-1/1.9X
AI AF Zoom-Nikkor 35-105mm f/3.5-4.5D(IF) 1.8-1/33.62X
AI AF Zoom-Nikkor 35-105mm f/3.5-4.5S 1.8-1/6.1X
AI AF Zoom-Nikkor 35-135mm f/3.5-4.5S(New)2.2-31.7X
AI Nikkor 20mm f/2.8S3.4X
AI Nikkor 24mm f/2S 2.6X
AI Nikkor 24mm f/2.8S 2.5X
AI Nikkor 28mm f/2S 2.2X
AI Nikkor 28mm f/2.8S 2.1X
AI Nikkor 35mm f/1.4S 1.8X
AI Nikkor 35mm f/2S 1.6X
AI Nikkor 35mm f/2.8S 1.5X
PC-Nikkor 35mm f/2.8 1.6X
AI Nikkor 50mm f/1.2S 1.1X
AI Nikkor 50mm f/1.4S 1/1.1X
AI Nikkor 50mm f/1.8S 1/2X
AI Micro-Nikkor 55mm f/2.8S 1/1.1X
AI Noct Nikkor 58mm f/1.2S 1/1.2X
AI Zoom-Nikkor 25-70mm f/3.3-4.5S 2.1-1/6.1X
AI Zoom-Nikkor 28-85mm f/3.5-4.5S2.9-1/35.8X
AI Zooom-Nikkor 35-105mm f/3.5-4.5S 1.8-1/6X
AI Zoom-Nikkor 35-135mm f/3.5-4.5S2.2-1/14.9X
AI Zoom-Nikkor 35-200mm f/3.5-4.5S2.2-1/∞X
BR-2A取付時の各レンズの撮影倍率表

さて、この撮影倍率は、BR-2Aリング単体使用の場合ですが、中間リングやベローズを介すことで、さらなる高倍率撮影も可能です。
それについてはまた機会を見て試してみたいと思います。

ベランダにトマトをお迎えしてみた

ここ何年か、ベランダに鉢植えを置くようになったのは、歳をとったからなのかな?

カインズでミニトマトの苗を買ってきたよ

カインズでミニトマトの苗を買ってきました。サントリーってこういう苗も一般販売しているんですね。

3年持った五色唐辛子も、どうやら寿命のようです。元々、日本の寒い冬を外で越せない植物だったので、持ったほうかな?
ミニトマトに植え替えました。ただ、ミニトマトって、鉢植えでも本来もっと大きめの鉢が良いみたいですね。

へぇ…と言う説明書き。農家さんなら当たり前のことなんでしょうけど

ナス台木を使用した接木苗だそうです。なにそれ?って調べたら、こういうことらしいです。知らないことばかりで、面白いですね~。
接木しているので、根本が膨らんでいて、その下が細かったのは、下がナスの接木だからなんですね。

今どきは、説明書きはHPで詳しく見られるのが良いですね。

わき芽も摘め、とありました。なにそれ?第2段です。これですかね?

枝分かれに生えるわき芽

何となく生やしたい気持ちになりますが、花が咲き始める頃に摘み取れ、だそうです。栄養が取られちゃうからでしょうね。
しかし分からないことだらけです。
比較的乾燥に強いので、水のやり過ぎ厳禁、肥料も植え付けの頃は不要だそうです。なので、わき芽と接木苗のナスの芽を摘んでおけば良い、のかな。
実がなったらラッキーくらいのつもりで育てるのが良さそうね。

朝顔は順調に育っています

朝顔は、最初1本だけ生えて寂しいなと思っていたら、みるみる数本生えて、今こんな状態。適当に切ってあげないとね。

【秋鹿酒造】秋鹿 多酸酵母使用 純米酒 槽搾直汲

大阪の秋鹿酒造。そういえば大阪のお酒って、意外と飲んだことがない。これは東京のお酒もそうですが、大都市のある都道府県のお酒って、案外地元以外に粒子内お酒が多い気がします。
こちらは自分にとって初めての「秋鹿」です。

【秋鹿酒造】秋鹿 多酸酵母使用 純米酒 槽搾直汲(2022年1月上槽)

なぜ買ったかというと、自分の大好き酸味の多い日本酒だったからです。
多酸酵母使用(協会28号)という、あまり見ない酵母で、平成5年より実用化された「リンゴ酸高生産多酸酵母」というもののようです。
検索すると、この「秋鹿」がトップに出てくるので、この酒造が多く使っているっぽいですね。

酒造自体はHPを持っていないようですが、大阪ではメジャーな酒蔵なようで、現在は自社田を持ち、まさにワインで言うテロワールのような酒作りを行っているようです。

酒米は、自社田の無農薬・無化学肥料で育てた山田錦を100%使用し、精米歩合70%とあまり削っていません。
速醸酛とあるように、乳酸添加である点は、ごく一般的な製法です。同酒蔵は、生酛のお酒もあるようで、ここは作り方を分けているようですね。
日本酒度は-8、酸度は4.0とかなり高めです。一般に、酸度が高いと絡めのお酒になると言われていますが、実際の味覚上では、必ずスもスペックの遠折に感じないのが日本酒の面白いところです。
アルコール度数はほんのすこし低い15度。

ほんのり黄色

上立ち香は爽やかな青りんごを思わせる感触。冷酒で口に含むと、おおお、これは酸味と旨味のハーモニーだ!
酸度が高いので淡麗で辛口? いやいや逆でした。どちらかと芳醇な旨味もあります。まずはりんごらしい酸味がありますが、そこに米の甘みがほんのりとのってきます。辛さは程よく有りますが、酸味が主体となるため、あまり辛さを感じません(個人的に)。
酸味も酸っぱい!と言う感じではなく、果実のような甘みと絡むので、心地よい酸味です。

とても気に入りました。すぐ無くなりそう。同酒蔵のお酒も、もっと買ってみたいな~。

【コエドブルワリー】COEDO 毬花-Marihana-

最近、ビールのIPA(India Pale Ale)がお好きな妻のために買ってきました。

【コエドブルワリー】COEDO 毬花-Marihana-

IPAは、通常よりも多くのホップを使ったビールだそうです。
この毬花は、アロマホップを多く使っているそうで、香りが豊かで、それでいてビールらしい苦味もしっかりと入っている、らしい。

【コエドブルワリー】COEDO 毬花-Marihana-

アルコール度数は、ビールではやや低めの4.5%です。IPAのビールは、アルコール度数が高めの印象がありましたが、これは逆に低いのですね。
ということは、甘みも結構感じられる?

王道の金色ビール

色は少し決めの金色。一般的なヒールよりはやや濃い目の色。
香りは豊かです。華やかですね~。そして口に含んでも、華やかなアロマホップの甘みの後に、心地よい苦味が来ます。決して苦味も刺さる感じではなく、芳醇な苦味ですね。アルコール度数も低めなので、グイグイ飲めてしまいます。

ビールって値段を出すほど味に比例していく感じが、他のアルコールよりも大きいですねぇ。特にこの価格帯のビールは、その差が顕著に感じられます。
最近大手もクラフトビールに力を入れ始めているので、日本のビールも質が高まってきているのを感じます。

【髙千代酒造】豊醇無盡 たかちよ とこなつむすめ 扁平精米 無ろ過生酒

サイボクの帰りに立ち寄った酒屋さん。

本当に酒屋があるの!?と言う感じの場所に突如として存在する、素敵な酒屋さんでした。マツザキは、新宿店(東京の新宿ではなく川越市新宿町)に行ったことがありますが、中福本店は初めてでした。とても綺麗で素敵なお店でした。

買ってきたのがこちら。

【髙千代酒造】豊醇無盡 たかちよ とこなつむすめ 扁平精米 無ろ過生酒

久々だぜ「たかちよ」。新潟は南魚沼、まさに米どころのお酒です。
写真はかなり減ってしまっていますが、最初に撮った写真がピンボケだったので、後日撮ったものです。実は後述する悲劇により、この量に…

扁平精米とは、通常米は削ることでどんどん丸に近づきますが、本来米の形は縦長です。その縦長の両端に雑味の原因となる部分があるため、その部分のみを削ることにより、他をあまり削らず(磨かず)に精米する方法です。これはかなり手間がかかるようですが、従来の吟醸・大吟醸では大幅に削っていた米のムダを無くしています。

アルコール度数は、夏酒らしくやや控えめな15度、その他酒米や酵母に関する情報はなし。バーコードが徳利のデザインになっているのが素敵です。

ほんのり黄色

上立ち香は、まさに新鮮なバナナ。まだ完熟していないバナナです。口に含むと、やっぱりバナナ系でした! 芳醇なバナナのような甘みと若々しい酸味、そしてあとに来る程よい苦味。バナナジュースです。ごく僅かにプチプチ感あり。どうやらそういうコンセプトらしいので、まさにコンセプト通りのお酒ですね。
決してさっぱり系ではないものの、適度な青青しい苦味があるために、芳醇な割に後味スッキリです。

なお、2,3日経過すると、やや甘みが後退しますが、それはそれで良いバランスになります。うん、美味しいぞ!

悲劇! 横倒し厳禁なのに倒した末路

実はラベルにある「横倒し厳禁」は、後になって知りました。
一般家庭では、冷蔵保管のお酒、四合瓶ならともかく、一升瓶を立てて保管は、他の食材調味料があるので、なかなか難しい。
我が家でも、開栓後横倒しで冷蔵保管していたら…翌日悲劇!
どうやら冷蔵庫内で栓が飛んでしまったらしく、冷蔵庫内がたかちよで水浸し! まだ開栓初日だったので、その大半が流出する結果に…。

あまりガス感はなかったので、そこまでなると思っていませんでしたが、やはり瓶の横倒し保管は良くないですね。これ故、生酒の一升瓶は難しいのですよね、一般家庭では。

ということで、恐らく1L以上を流してしまいました…。妻より、専用冷蔵庫買ったらとのの話もあり、色々物を整理してスペースを開け、将来的に立てて保管できるレマコムを買いたいと思います。

ついにレマコムかぁ…

【サイボクに行ってきた】AI AF DC-Nikkor 135mm f/2D編

このシリーズ?最後に登場するのは、Fマウントの名レンズの1つ、AI AF DC-Nikkor 135mm f/2Dです。

何度か紹介していますが、DC(Defocus-image Control)機構を採用し、球面収差の補正量をコントロールすることで、前ボケや後ボケの特性を調整できます。
DCリングをR側(リア側)に回せば、球面収差の補正が補正不足側となり、後ボケが柔らかくなる反面、前ボケは固く二線ボケ傾向になります。
どちらのボケを重視するか調整できますし、中立にすれば普通のレンズとして使えるほか、過剰にDCリングを回せば、ややコントラストが低下するけどふわっとしたソフトフォーカス気味な描写も得られます。
遊び心満載のレンズです。

Nikon Z 9 + FTZ II + AI AF DC-Nikkor 135mm f/2D

このレンズは、ついつい絞り開放で撮りたくなります。と言うか絞りいらない(笑)

やはり前回のCOMURAと比べると、写りは現代的です。ただ、このレンズ、光線状態によっては、軸上色収差の影響か、パープルフリンジが出やすいレンズでもあります。このあたりはデジタルなので画像補正可能ですが、それ以外に特に不満はありません。
レンズ内AFモータは内蔵していないレンズゆえ、Nikon ZシリーズのFTZ II経由ではマニュアルフォーカスとなってしまうのが残念。
一眼レフと違って、ボディ内手ぶれ補正が使えるフルサイズのZボディ、ピントもコントラスト式と像面位相差の併用で、より精度も良くなっているので、ぜひ価格が上がってもFTZのモータ内蔵版は出て欲しいところです。

もちろん、ZマウントのDCレンズも大歓迎ですけどね。

【サイボクに行ってきた】SUPER-KOMURA ZOOM 90-250mm F4.5 TL925編

かつて存在した、レンズメーカーの三協光機。KOMURA(コムラー)ブランドでレンズを展開し、35mm判から大判までのレンズを手掛けていたメーカーでした。
1980年に倒産したため、それから40年以上経過した現在では、中古流通も少なくなってきているものの、時々見かけるのは、現役当時それなりに売れたからなのでしょうか?

このレンズも親父がNikon Phtomic FTNで使っていたレンズです。

実はこのレンズ、親父のPhtomic FTNと共に奪ってきたレンズですが、古いレンズメーカー製だし、MFで望遠と言うので使う気にはなれなくて、持っているだけの状態でした。なにせ、純正のAI Zoom-Nikkor 100-300mm f/5.6Sも持っていますし。
こちらはマウント交換式で、当然ながらFマウントが搭載されていますが、Nikon純正レンズで言う非AIタイプとなるため、これまでAIガイドのある一眼レフではガイドが干渉するため装着できませんでした。
が、FTZ IIなら、非AIレンズも非公式ながら装着可能。今回晴れてZ 9で撮ってみました。おそらく世界広しといえど、Z 9と組み合わせたSUPER-KOMURA ZOOM 90-250mm F4.5 TL925の作例はそうないでしょう。

外装は全金属なのは、1970年代のMFレンズらしいですね。ズームは90-250mmと何とも中途半端です。が、f4.5通しで比較的明るいのが良いですね。
ズームリングの回転角は、90年代以降に出回るようになった70-300mmクラスと比べると異様に大きく、かなり回転させないとズーミング出来ないので、素早いズーミングには不向き。あくまで単焦点望遠を何本も持っている、と言う使い方がベストです。回転角が大きいためか、ズームリング自体はかなり軽いです。
絞りリングが2箇所あるのは、マウント交換式でプリセット絞りのカメラにも対応するためでしょうね。
Fマウントの場合、マウント側にある絞りを使用し、レンズ中央付近にある絞りリングはf22にセットします。古いNikonの機械式露出計連動爪、通称”カニ爪”も搭載しています。
フードは組み込み式で、手前に引っ張れば伸ばせますが、組み込み式故にやや短めですね。

では撮ってみましょう。絞り開放です。

正直、レンズメーカー製の、しかも70年代のズーム望遠レンズ、全く期待していませんでしたが、予想に反してなかなか良いです。まずズームらしからぬボケ味の良さ。開放では少しコマ収差があれど、あまり気にはなりません。
この日は天気が良かったので、あまり気になりませんが、条件によってはややコントラストが低下する感じもあるものの、解像力も意外なほどよく、4500万画素のZ 9でも、条件によってはなかなかの解像力が得られます。
なお、Z 9側の焦点距離設定に250mmがないため、200mmに設定しています。ボディ内手ぶれ補正も効くので、歩留まりの良い写真になりました。
フィルム現役当時より、よく撮れているんじゃないでしょうか。

Nikon Z 9 + FTZ II + SUPER-KOMURA ZOOM 90-250mm F4.5 TL925

びっくりするほど立体感もよく出ます。これ、90年代の70-300mmクラスズームよりずっとよく写ります。もちろん球面収差や軸上色収差はありますが、それが気にならないです。よく写ります。本当にビックリしています。好きな写りです。

左上の写真は、意図せず絞ったものです。と言うのも、絞りリングにクリックがないため、簡単に動いてしまいます。f8くらいに絞られていると、本当にもうカリッと解像してしまいます。これだけ見ても、やはり90年代の70-300mmクラスよりよく写っている気がします。
順光であれば、非常によく写るレンズ。ちょっとコムラー、見直しました。こりゃ、中古で出物があったら、遊んでみた気ですね、同ブランドのレンズ。

【サイボクに行ってきた】NIKKOR-S Auto 35mm F2.8編

サイボクの森で子どもたちを遊ばせつつ、Z 9にFTZ IIを使って、レンズをとっかえひっかえしていろいろ試してみるシリーズ。

こちらはデジタルでは初めて使った、NIKKOR-S Auto 35mm F2.8です。

Nikon Z 9 + FTZ II + NIKKOR-S Auto 35mm F2.8(後期型)

このレンズは、うちの親父がNikon Photomic FTNとともに購入したレンズです。それを奪ってきたので(笑)自分がツーオーナということになります。それほど明るくないレンズ故に、軽量ですね。
なお、NIKKOR-S Auto 35mm F2.8は前期型と後期型があり、このレンズは”Nippon Kougaku”銘ではなく”Nikon”となっている後期型です。
色々な資料によると、”Nikon”銘のものは1971年から、とありますが、このレンズを親父が買ったのは、確か保証書によれば昭和45年(1970年)となっています。この辺りよくわかりませんが、とにかく後期型には違いないですね。

数年前に、Photomic FTNとともにNikonでオーバーホールを実施しましたので、ヘリコイドも滑らかに動きます。光学系もきれいな状態です。
この日はレンズフードを忘れてきてしまいました…

AI化以前のオートニッコール世代のレンズで、これまでのNikonデジタル一眼レフでは、絞りリングの機械連動であるAIガイド(人工知能のAIではなく、開放f値自動補正方式 Automatic Maximum Aperture Indexing 方式のAI)が干渉するため(一部AI非対応ボディを除く)、これまで手持ちのボディで取付は出来ませんでした。
かといって、オートニッコールのためにAIガイド可倒式のNikon Dfを買うのも…ねぇ…と言う感じでしたが、Zマウント用のマウントアダプタが全てを解決しました(笑
FTZFTZ IIも、AIガイドがないため、非公式ながら、オートニッコール世代のレンズの取り付けが可能です

つまり、オートニッコール世代のレンズは、物によっては干渉などがあり、破損の可能性もあるため、メーカーとしては一律「使用できません」としているが、自己責任で取付確認して使用は可能、ということです。オートニッコール世代は、マウント径など一部ごく僅かに寸法が違うようなので、注意が必要です。

ということで、Z 9で晴れてデジタルデビューです。

おお、同じ35mmでも、Fマウント最新のAF-S NIKKOR 35mm f/1.8G EDと半世紀以上設計年次が異なるので、これだけ写りが違うんですね。
中心は、開放から解像力が高いですね。ただ、コマ収差と球面収差の影響で、周辺になるほど像が流れ気味になりますが、それでもWeb掲載程度の解像度なら、ほとんど問題ないですね。L判や2L判プリントであれば、何ら問題ないレベルです。絞るほど改善していき、f11で周辺までスッキリと解像します。
周辺減光も、f2.8では多めですが、f8まで絞れば気にならないレベルです。
まあ写真のような遠景は、この時代は絞って撮るのがセオリー。絞り開放で全域高解像のレンズなんてのは、ここ10年の話ですから。

コマ収差の影響で、少しグルグルボケっぽい感じもありますが、それほど目立つ感じはないですね。近接では球面収差の影響もあり、開放だとわずかにふんわりとしたベールがかかるけど、中心は解像力はあれど柔らかい描写で、ポートレートにも良い感じですね。
Z 9のEVFでもピントの山は見やすく、MFでも何ら問題ありませんね。流石に動き回っている子供はしんどいですけど。

この時代の明るくない単焦点は、流石に無理のない設計で、描写も安定していますね。それでも最新のレンズと比べると、どこかレトロな写りになるのは、様々な残存収差の影響なんでしょうね。
特に色味は最新レンズと異なります。まだモノクロフィルム主体だった時代を感じさせます。

意図せず写ってしまった太陽、フレアとゴーストが派手に出ています

逆光耐性は時代を感じさせますね。今どきのレンズのように、逆光だろうがヌケの良い描写、とはなりません。フィルムとデジタルの違いももちろんありますが、たまたまシャッターボタンに触れて写ってしまったこの空の写真、フレアとゴーストが多く出ています。でもこのモノコーティングの時代は、これが当たり前でした。
現在では動画を中心に、逆に太陽の眩しさの表現として、フレアやゴーストをあえて発生させる、というのもあるようなので、このくらいのフレアやゴーストがちょうどよい感じに思えますね。

ということで、デジタルでもわりと良い感じに使えるNIKKOR-S Auto 35mm F2.8、このレンズの描写もなかなか捨てがたいものがありますね。

【サイボクに行ってきた】AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED編

子どもたちをつれて、サイボクに行ってきました。
最近、便利高倍率ズームNIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VRばかり使って怠けていたので、たまには単焦点レンズや、これまでデジタルで使ったことのないレンズで撮ってみました。
これも、マウントアダプタFTZ IIが精度保証できないためにメーカーでは取付不可としているものの、実際は取付可能なケースはほとんどの、非AIレンズが使えるからです。

でも、今回はタイトルの通り、FTZ IIにAF-S NIKKOR 35mm f/1.8G EDを取り付けての撮影です。

Nikon Z 9 + FTZ II + AF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED

Fマウント最後の35mmとなったAF-S NIKKOR 35mm f/1.8G ED

Nikonは現在、Fマウントの一眼レフからZマウントのミラーレス一眼に舵を切っており、2025年には一眼レフ製品は殆ど収束しそうな予想が出ています。
このため、現状Fマウントレンズの整理は加速しており、本レンズは執筆時点(2022年6月)では現行品ですが、いつ生産完了になってもおかしくない状況です。
ちょっと前にMFレンズとDタイプレンズが生産終了となってちょっとした話題になりましたが、いよいよ新品で買えるFマウントも終息に向かいつつあるようです。

本レンズの登場は2014年2月6日、Yamaroは予約して購入しました。それだけ待っていたレンズです。それまでメインで使ってきた、フィルム時代からのAI AF Nikkor 35mm f/2Dは、ボディ内AFモータで駆動するレンズで、2010年代には登場から20年経過して、いささか古臭くなっていたレンズでした。
なので、このレンズは発表された時は、やっとレンズ内モータの35mmの手頃なレンズが出る!となりまして(f/1.4は大きく値段も高くて手が出なかった)、待ちわびていたレンズの登場、といったところです。
あれからもう8年も経つのか~。

f/1.4Gのようなナノクリスタルコートは採用していないものの、1/3の価格ながら特殊低分散ガラスのEDレンズを採用しています。
描写は、開放では少し球面収差が残っており、絞ったときとの描写の変化が楽しめます。古いレンズのように収差が多く残るタイプではなく、ごく僅かに球面収差を残し(あえて残した?)、周辺減光も開放では大きめです。が、少し絞るだけで解消されます。
本レンズの光学設計者は、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8G ED/24-70mm f/2.8E ED VRや、NIKKOR Z 50mm f/1.2 Sを開発しています。なので、絞り開放に特にこだわりがあるように感じますね。開放でのみ、描写が変わるのも、この価格のレンズというのもあるけど、あえてそうした特性を持たせている気がしてなりません。
それでもあまり遊びに走りずぎず、絞れば端正な描写であることから、どんな場面でも使いやすいレンズの1つです。後ボケが若干ざわつくこともあるものの、立体感のある描写はなかなかのものです。

すでにZマウントでも同様のスペックのNIKKOR Z 35mm f/1.8 Sも登場しているものの、本レンズもまだまだ現役です。こちらの方が少し軽量なようですね。
本レンズは値段も手頃で、Fマウントの標準レンズとして最後まで残ってほしいものです。

さすがに現代的な描写ですね。でも開放時の周辺減光や残存収差も良い個性です。使っていて楽しいレンズです。
一方で、新しいNIKKOR Z 35mm f/1.8 Sの描写も気になっていたりします。Zマウントになってから、どのレンズもびっくりするくらい描写が良いですから。


ベランダの緑が賑やかになってきたけど…お前誰だ?w

ここ数年、ささやかにベランダで緑の何かを育てています。

バジル??

枯れてしまったアボカドの鉢に、妻がこっそり何かを植えたらしいが、何だか本人が植えたものと違うっぽいとか騒いでいるけど、肝心の何を植えたかは教えてくれない。
Googleレンズで調べたら、第一候補として出てきたのは「バジル」。ああ、確かに妻が植えそうだな。

こちらは身元がわかっている(笑)、五色唐辛子。本来寒い冬を外では越せないらしいですが、3シーズン目。でも見ての通り、ほぼ枯れていて葉っぱも小さいのですが、ここ最近暖かくなってから、わずかに小さな葉っぱを付けているので、かろうじて生きているご様子。とりあえず、経過観察中。

そしてこれは自分で植えたけどわからないやつ↓

誰だよお前…。これ、以前もらった種なのですが、何が入っているかわからないシークレットだそうで、植えてからか細い葉っぱだと思っていたら、最近みるみる成長しました。
いつの間にか蕾ができて、花も咲きそうです。
これもGoogleレンズで、オレガノと第一候補では出ました。確かにそれっぽい。高音多湿を嫌うそうなので、日本の夏にあまり合わない気もしますが。とりあえず放置です。


いつもはマクロ撮影は、古いNikon D810で撮るのですが、今回はZ 9を使ってみました。マクロ域だと、ボディ内手ぶれ補正の恩恵はあまりないみたい。
ところで、Z のマイクロレンズ(マクロレンズ)は、50mmと105mmがラインアップしましたが、個人的に60mmと90mmを好むので、60mmは現状維持(AIAFとAF-Sの2本もあるし)、90mmはTamronの古いModel 172Eから新しい世代に行きたいところですが、なんと現在Tamronでは90mmマクロがすべて販売終了となってしまいました。
Fマウントがそろそろ終了っぽいので、サードもFマウントを辞めるのはわかるとして、ZマウントでTamronの90mmが果たして出るのか?
EマウントのようにオープンライセンスではないZマウントですが、NIKKOR Z 28-75mm f/2.8のように、OEMでTamronの設計を使うという可能性はゼロではないし、COSINAのようにライセンスを得てZマウントレンズを販売する例も出てきているので、そのいずれかに期待したいですね。

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