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【横田基地】23/9/3の記録 & Z 180-600mmのフィールドテスト

しばらく天気が悪そうなのと、9月10月は予定がかなり詰まっていて、撮影に行けるか微妙なので、週末にちょっと早起きして、久しぶりに横田基地で撮影してきました。
もちろん、AF-S 200-500mmとの入れ替えで導入したNIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VRのフィールドテストを兼ねています。
ボディはFW Ver4.01のNikon Z 9です。Z 8でも良かったのですが、比較的軽量の望遠ズームとはいえ、やはりそれなりの大きさのレンズだけに、Z 9との組み合わせの方がバランスよくホールドできます。

そしてこの日の横田基地、とても情報量が多い午前でした。

まずはRC-135Wジョイントリベット、信号情報収集機です。1962年より運用されている息の長い機体。続いてWC-135R コンスタント・フェニックス、大気収集機です。これらが飛ぶということは、演習、もしくは北朝鮮関連の情報収集なのかな?

おっとレンズテストですが、なかなかに安定した画質です。周辺減光も少なく、解像力、コントラストもよく出ています。このクラス望遠のズームレンズとしては、七かな良い印象です。AFも、相手が戦闘機ではないですし、よほどでフォーカスしていなければ問題ないでしょう。事前にレンズ側のL-Fnボタンにほぼ無限遠にフォーカスを動かすようカスタム設定したので、事前にこれを押しておけば、飛行機撮りに関して大失敗はないはずです。

いつものC-130J。ペラ機なので、シャッター速度は1/200秒程度に落としましたが、VR(手ぶれ補正)のモードは露光前センタリングしないSporsモード、これでもしっかり手ぶれ補正が効いて、かつ横方向のフレーミングでもフレームが置いてけぼりになるような不自然さは皆無、しっかり被写体を追うことが出来ます。
Z 9のブラックアウトフリーシャッターで、きちんと被写体を追いながら撮影出来るので、歩留まりが非常に高いです。このVR Sporsモード、AF-S 200-500mmよりさらに進化しています。ほんとフレーミングでブレないので、更にシャッタースピードを落とすことも容易そうです。これならペラ機やヘリの撮影でよりシャッタースピードを落として、躍動的なプロペラの表現ができそうです。

このあともやたらと上がりましたね。KC-135RにRC-135V、この日は古き良き4発機のオンパレードです。こんなにC-135系の機体を見たのは久しぶりです。いずれも1960年代の製造で、半世紀以上経過した機体です。後継機のB767ベースの機体が急ピッチで配備されても、まだまだC-135系の機体は多いのですね。
更に特殊用途のRC-135系は、簡単に代替機を作れないという事情もあるようです。

写真は夏の雲が生えて良い感じです。Z 180-600mmはこの手の撮影に最適ですね。相手が戦闘機と違って大きいので、ある程度引きの絵も欲しいとなると、ズームのレンズ法が便利なのは言うまでもないですし、Z 180-600mmのズームリングもとてもスムーズで、鏡胴が伸びないためホールドバランスの変化がないので、安定して構えられます。歩留まりの良い写真が撮れそうです。
色乗り、コントラスト、安定した手ぶれ補正、どれもこの価格のズームレンズとしてはよく出来ていますよ。

気温が上がってきて、離陸直後だと陽炎の影響が出ていたのは残念、この時期仕方ないですけどね。

そして最後、これが撮りたかった! オージー(オーストラリア)のP-8A哨戒機です。どうやら台風避難のため嘉手納から横田に来ていたのが、戻るようです。ということは、先に飛んだ米軍機も台風避難から嘉手納に戻る機体だったかな?

雲が多く晴れたり曇ったりでしたが、午前のギリギリのタイミングで逆光にならずに撮れました。これはラッキーでしたね。
B737ベースのP-8、見た目は…シンプルです。やはり4発機の方が迫力があっていいですね。

テスト撮影に行った割に、割と収穫のある撮影でした。
横田基地ならZ 180-600mmが威力を発揮しますね。ただ、フェンス抜きで撮影したいとなると、やはり明るい単焦点望遠に分がありそうです。そこは使い分けですね。

待ちに待ったNIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR届きました

予約していたNIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR、発売日がなかなか決まらなかったり、発売日の予告前に日程お漏らしがあったなど、まあちょっと最近いろんな品質がガタついているNikonですが、8月31日に発売日が決まり、当日届きました。
ええ、帰省が伸びてやっと帰ってきた当日です。

長いことロードマップに掲載されながら、3年以上販売されなかったレンズ。ライバルのSONYのFE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSがら随分遅れてしまったけど、まずは発売されたことにホッとします。

AF-S 200-500mmと比較する

Fマウントで、比較的安価な超望遠ズームレンズ、AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VRから買い替える方も多そうです。自分もその一人で、実はすでに売却済みです。というのも、Z 180-600mmが発売されたら、下取りでAF-S 200-500mmが大量に中古市場に流れるのは目に見えており、買取価格の低下が予想できたから。実際、大手買取店でも2万円程度買取価格が下がりました。この1ヶ月で。売ろうとお考えなら、少し待ったほうが良いかもです。

またフィールドでの撮影ができていないので、手にとっての簡単な雑感を。

  • サイズ感は想定通り。鏡胴を縮めた状態のAF-S 200-500mmよりは全長は長め(267.5mm→315.5mm)だけど、ズーミングで伸びないので重心も安定している。
  • 外観の質感は値段からすれば良いと思う。
  • レンズフードはAF-S 200-500mmほどではないにしろ、ペナペナ感があり。相変わらず縁にゴムもついていなくて縦置きに考慮されていない。
  • 三脚座はAF-S 200-500mmよりは剛性感はあるが、相変わらず座面が小さいのが気になる。サード製に期待?
  • 三脚座にはこれまでのNikonのレンズと同様、90度ごとのクリックストップはない。
  • 三脚座のネジ穴は2個(1/4と3/8in各1個)あり、ここは1個だけ回転して緩みやすかったAF-S 200-500mmから進化。
  • AFスピードは、近接から遠景まではAF-S 200-500mmと同じくらい? 特段速くはないが、遅くてイライラするほどでもない。ここはもっと使ってから評価したいです。
  • AF音は無音、VR(手ぶれ補正)音もほぼ無音
  • 暗いズームなので、暗所AFはやや苦手で、速度がかなりゆっくりになる傾向(これはレンズのせいと言うよりZ 9の暗所AFの性能の悪さもあるけど)
  • NikonのZで多く採用されているAFモータのSTMだけど、ライバルは超音波モータやリニアモータをこのクラスでも採用しているのは気になるところ
  • VRは非常によく効くし、フレーミングで変に張り付く感覚もなくスムーズ
  • ズームリングの回転角が小さくズーミングが素早いのは◎
  • AF-S 200-500mmにはなかったL-Fnボタンが90度ずつ4つあるのが助かる。個人的にはフォーカスメモリーに設定し、フォーカスが抜けてしまった際に特定位置にメモリーさせて復帰できるのが良い。
  • MFの操作性はまずまず
  • スイッチはAF/MF切り替えとフォーカスリミッターのみ、Normal/Sportsモードの物理切替スイッチも欲しかった。スイッチがマウント側に寄りすぎなのは、体に当たって不要に切り替わるのを防いでいる? でも使いにくいような?

ベランダからテスト撮影

忙しくてまだまともに撮影はできていませんが、まず夜に撮ってみました。

Nikon Z 9 + NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR (f6.3 1/25 ISO25600)

まずは一番使われるであろう望遠端600mm、遠方に見えるマンションですが、600mmの手持ち撮影、シャッタースピードはわずか1/25秒ですが、手ブレなくしっかりと解像しています。等倍で見ると、マンションのベランダの欄干までしっかり写っています。

上の画像を切り出し

感度が上がってノイズは多めですが、しっかりと解像力が有り、コントラストも出ています。しかも絞り開放です。
絞り開放でこれだけ解像していれば十分です。以前使用していたSIGMA 150-600mm Sportsだと、600mmでの絞り開放はやや解像力が低下し、半段程度は絞る必要があったけど、このレンズに関しては絞り開放から行けそうです。

月を600mmで撮影し、クロップ。絞り開放で

ブルームーンです。色温度を2500K前後に設定。これも絞り開放ですが、特にフリンジなども発生せずしっかりと解像しました。
昔は望遠レンズは色んな意味で敷居が高いレンズでしたが、こんなにぱっと良いものが撮れてしまうのだから、時代は進化したものです。

風景を撮るのに何ら不自由はないですかね。S-Lineレンズではないですが、このクラスの望遠ズームとしては十分な性能を有しています。待った甲斐がありましたね。
早く飛行機を撮りに行きたいです。


現在どこも在庫切れです。年内は厳しいようです。キャンセル品がうまく出てきたらラッキーですかね。


Nikon Z 8の2つのリコール修理、最速で完了

Nikon Z 8、発売早々に2つのリコールが発生してしまいました。

●ニコンミラーレスカメラ「Z 8」ご愛用のお客様へ(レンズが装着できない件)

https://www.nikon-image.com/support/whatsnew/2023/0623_02.html

1つ目は、レンズが装着できない件。2023年6月23日に発表。一部ボディとレンズで、装着出来ない場合があるとのこと。
こちらは、少なくとも手持ちのZ 8のボディとレンズでは発生していないため、何かの機会についでに出せば良いかなと放置していました。

ところがもう1つについては、ちょっと怖いカメラ落下の可能性があるお話です。
レンズ装着できない件は、X(Twitter)上でも発生した人の書き込みは見かけませんでしたが、ストラップ取付部が外れる件は、先に中国のSNSにアップされていた件から発覚しました。

●ニコンミラーレスカメラ「Z 8」ご愛用のお客様へ(ストラップ取り付け部の対策に関して)

https://www.nikon-image.com/support/whatsnew/2023/0807.html

ストラップ取付部外れはカメラやレンズ落下につながる深刻な話です。
この件はX(Twitter)上では対応が遅いという意見も出ましたが、7月後半に出始めてから(実際にNikonへの報告があったのはもっと早い可能性はあります)リコール発表までは2週間程度。
この不具合の発生率や発生原因究明と対策、修理対応方法、修理体制(世界規模です)を敷くまでの時間を考えると、むしろかなり早いと言えます。
X(Twitter)のフォロワーさんの中には、対応が遅すぎるという意見もありました。
もちろんリコールが発生すること自体がいけないことで、Nikonの品質保証体制が問われますし、その点を擁護する気もありませんが、それとリコール発表までの期間は別の話です。別に遅いとは思いません。
まあ、製造業の仕事をしていないと、こういうのは感覚としてわからないのでしょうけど。

炭素繊維複合材料(CFRTP)の正面カバーによる影響!?

Z 8の今回のリコール、自分なりに検証してみましたが、今回Z 8ではNikonボディでは初めて、ストラップ取付部のある上面カバー側に、炭素繊維複合材料(CFRTP)を採用しています。
Nikonはそれ以前のボディ、D750で初めてモノコックボディを採用し、CFRTPを採用しています。
Z 8では、D750とはボディの材質がマグネシウムとCFRTPの配置が逆になっています。

あくまで個人的な推察に過ぎませんが、今回始めて上面カバー側にCFRTPを採用し、ストラップ取付部もその部分に取り付けられています。
材質としてはマグネシウム合金と同等の強度を確保しているとのこと。
ただ、ここで言う「強度」は帝人化成のHPでは「耐衝撃性」となっています。
たわみが極めて少ないマグネシウムに対して、CFRTPは炭素繊維強化樹脂であることから、マグネシウムよりはたわみます。ただし炭素繊維は簡単に割れたり塑性変形はしません。
個人的に思ったのが、力がかかってたわんだときに、ストラップ取付部の固定が外れてしまうケースがあるのではないか?ということです。

今回始めて上面カバーに採用しただけに、取り付け方法に問題があった可能性が考えられます。
ただ、割と早く対策されたということは、構造そのものというよりは、取り付け品質の歩留まりの話なのかなと思います。

いずれにしろ、2つのリコールは良いことではないですし、Nikonの品質保証体制はしっかり見直してもらいたいと思います。

2つとリコール対応は実質1日で完了

先週金曜日午後にZ 8ボディをNikonの修理センターへ発送。月曜日に到着と修理開始のメールがあり、火曜の午前中には修理完了のSMSが入っていました。
そして水曜日にカメラが戻ってきました。修理でこんなに早いのは初めてのことです。

見た目には変化なしです。気持ち剛性感が増した感じがあります。
ネジ山が傷んでいたと言う方もいるようですが、今回自分のボディに関しては、よく見るとちょっと潰れがある程度、M2程度のネジならこの程度は許容範囲でしょう。私、仕事でこれより小さいネジを扱いますが、こういう黒いネジだとちょっとしたことで傷や潰れは出来るので、この程度は仕方ないかな。
もちろん舐めそうなくらいは駄目ですけどね。

今回相当な台数なだけに、特別な修理体制をとっているのでしょう。
重ね重ね、本来製造上の品質保証をしっかり担保できていれば、こんなことは発生しないのです。

ちなみにマウントのほうは、調整シート(シムシート)4枚と修理書に書かれていたので、調整は入ったようです。手持ちのレンズの装着感は特に変化なしでした。
これ以上品質問題が起きないことを願います。

品川駅上空を飛ぶ旅客機

夏休み中に行ったニコンミュージアム、品川にありますが、ちょうど午後3時以降南風のときの羽田空港への着陸航路となっているのですね。
真上を旅客機が飛んでいったので、撮影してみました。

おー、結構近いね。
品川、羽田空港に近いので、この時点でかなり高度は下がっています

国土交通省のHPより引用

国土交通省の新羽田航路の地図見ると、品川区の次はもう空港なんですもの、そりゃ近いです。

この写真は3枚ともNIKKOR Z 40mm f/2で撮影。画角で言うと標準レンズですから、それでこれだけの大きさで写るんですもの、結構近いですね。
ビルに吸い込まれていく様が印象的でした。

この日の撮影をもって、Nikon Z 8はリコール修理のため旅立ちました。前代未聞の、レンズ装着できないかもストラップ環外れちゃうかも問題への対応です。
ほんと近年のNikonの品質、どうかしていますよ…

Nikon 35Tiのデモ機を動かしてみた

先日行ったニコンミュージアム、コロナ禍で一時撤去されていた、触れる歴代カメラの展示が復活していました。
以前あったF2 Titanの触り心地には痺れましたが、今回はなく、高級コンパクトカメラの28Tiや35Tiがあったので、動かしてみました。

動画で撮ってみました。

アナログ表示のメーターがかっこいいですね。ただ、カメラのファインダーを覗いていると見ることができないのです。
このカメラの特徴的なギミックであるとともに、実用性皆無(笑)なのもまた高級機らしいですね。

残念ながら、Nikonはこの手の高級コンパクトがあまり上手ではなく、ライバルほどは売れなかったようです。
1993年に発売された35Tiは、その機種名通り35mm f/2.8の単焦点ニッコールレンズを搭載、チタン外装にリバーサルフィルムでも安定の露出を得られるマルチパターン測光を搭載、1年後に28mm f/2.8の単焦点ニッコールを搭載した28Tiも発売され、こちらはボディカラーがブラックでした。

この時代は京セラのCONTAX T2、MINOLTA TC-1を始めとする、高級コンパクトAFカメラが各社から発売されていました。
Nikonもその流れに乗って発売した35Tiと28Tiでしたが、結局その後に後継機種を発売することはありませんでした。Nikonは昔からコンパクトカメラが苦手でしたが、このカメラも中々のギミックを搭載しながらも、残念ながらブームに乗ることはできなかったようです。

現在では、この最大の特徴であるアナログ表示の不具合が出ている個体も多く、まともに動作する個体は減っています。特にこの時代のAFコンパクトは、機構的にもコンパクト機ゆえに耐久性で否一歩だったり、電子基板が駄目になるものも多く、機械式カメラと違って簡単に直せないため、中古でも手出ししづらいですね。
Nikonもすでに修理受付はしていませんが、こうした展示機は状態の良いものを整備して展示しているのでしょうね。中古市場でもめったに出てこないため、高値安定している印象です。
自分も一時期欲しかったけど、やっぱり当時から値段が高かったというのあって、手を出すことはありませんでした。
そもそも、これだけフィルム価格が高騰してしまうと、フィルムで撮ること自体のハードルが高いですね。

でもやっぱり欲しい気はします。まともに動くなら、CONTAX T2とかT3も良いですけどね。

ニコンミュージアム「企画展「AI NIKKORの魅力~ニコン社員による写真展~」を見に行ってきた

ニコンミュージアムが、2024年の本社移転に伴い。2024年3月1日から長期休館に入るということで、夏休み閉館から開けた16日、行ってきました。
今回はタイトルの通り、AI NIKKORという、NikonがFマウント一眼レフカメラ用のレンズとして最も長期間販売していたMF(マニュアルフォーカス)レンズによる写真を、社員自ら撮影したものを展示していました。

会期は2024年2月29日まで延長となりましたが、パネルの表示では9月2日までとなっていました。今後修正されるのかな?

各レンズで撮られた写真とレンズが展示されていました。
どれも中々の力作です。ニッコール千夜一夜物語でおなじみのあの社員の写真(佐藤氏のお子様の成長記録も)、中にはMr.ニコン、フェローだった”元”社員のあの方写真も!

基本、AI NIKKORはMFレンズですが、最初に撮ったパネルにもあるように、技術的重要性から、F3AF用レンズのみはAFレンズですが、この企画展に登場しています。

AI AF Nikkor 80mm f/2.8SとAI AF Nikkor ED 200mm f/3.5Sの2本は、F3AFという、マニュアルフォーカス一眼レフのF3をベースにAF化したカメラ専用のレンズで、F3AF以外には、一眼レフではF-501、F4、F-601Mにしか装着できません。しかし解説文にありましたが、マウントアダプタFTZを介したZマウントのミラーレス一眼で撮影可能ということです。となると、手に入れてみたくなりますね。

企画展以外の定常展示も、少しづつ入れ替えなどをして工夫しているようです。
コロナ禍で一時撤去されていた、触ることが可能な歴代カメラの展示が復活していました。これは嬉しい!

Zマウントシステムの展示もあり、2018年登場から5年、やっとレンズも充実し始めたな、という印象です。
水中カメラのNIKONOS-Vの展示もよかった。もう今水中カメラをNikonが売ることはないのだろうけど。せっかくNikon 1 AW1まで出していたのにね。

ということで、ニコンミュージアムも来年2月で一旦休館となりますので、ぜひ足を運んでは?

カメラを落とした! 原因推察と修理までの流れ

ちょっと前ですが、Nikon Z 9を落としてしまう(落ちてしまった、といったほうが良い)トラブルに見舞われました。

経緯としては、ちょうど百里基地に展開する米空軍のF-35A戦闘機撮影のため、撮影ポイントに移動でした。
レンズは、AF-S NIKKOR 600mm f/4G ED VR(以下ロクヨン)をマウントアダプタのFTZ II経由でNikon Z 9に取付けていました。
レンズは5kgを超える非常に重いものなので、レンズ側のストラップを肩から斜めがけにして、ボディはレンズに装着した状態です。
この状態で移動中、ゴンという音がすぐ後ろでなりまして、連れの方が「カメラが!」というので振り返ると、歩道脇の草むらにZ 9 + FTZ IIが転がっているではないですか!
慌てて拾い上げると、一見草むらがクッションになって大丈夫かなと思いましたが…

しっかり打痕が付いていました。
ただ、落としたにしては、液晶など表示画面やファインダも割れていないし、SmallrigのL字プレートも特段傷はなし。

そして一度カメラをレンズに取り付けて電源を入れるとファインダに何も表示されず、肩液晶(有機ELですが)にこんな表示…

Err”

ああ、あっぱり壊れたか…
しかし、気を取り直して、一度レンズを外し、FTZ IIの接点に水滴がついていたのでふき取って再度装着、電源を入れると…電源入った。
ファインダも液晶面も表示できている。
さすがフラッグシップ機。頑丈だな!なんて思っている余裕はないけど、とりあえず撮影続行。もしダメだったら、サブ機のZ 8に切り替える予定でしたが、重量級レンズのロクヨンで撮る場合、Z 8より重く大きいZ 9のほうがバランスが取れるので、Z 9で撮りました。
撮影データ自体も…問題なさそう。ピントもちゃんと出ている。特段不具合はなさそうです。

Nikon Z 9落下後の撮影。ちゃんと撮れて、ピント精度も問題なかった


とは言えカメラは精密機器、分からない程度のゆがみや割れはあるかもしれません。特にマグネシウム外装はきわめて変形しにくい頑丈な材質ですが、強い衝撃が入ると割れることもあり、その割れはぱっと見てもわからない場合があります。
目に見えない細かな割れに対しては、探傷浸透剤やX線検査をしないと分からないため、やはり精密検査は必要です。

結局その日は1日問題なく撮影出来ましたが、落下品として数理に出すことにしました。

ちなみに落下原因は推測ですが、移動中にマウントアダプタFTZ IIのリリースレバーと体が触れてスライドして、外れてしまったのだと思います。それ以外考えられないので。
これがネイティブなZマウントレンズなら、まず体がカメラボディのレンズリリースボタンに触れて落としてしまう事故は発生しないはずで、このあたり、マウントアダプタという中継が悪さをした典型です。もうレンズストラップを使って移動するのはやめて、レンズの三脚座を持って移動することにします。
FTZ IIのリリースレバーも、体が触れてスライドしないよう、改修したいと思います。

クレジットカードの携行品補償で修理する

ちょうど今年の初めに、クレジットカードの携行品補償に加入しました。
クレカで買ったものでなくても、持ち物を使用中に破損させたり、盗難にあった場合など、10万円までの補償が出る仕組みです。(免責は1000円)
カードの保険会社に確認した所、補償が使えるようなので、ありがたく使用することに。入っていてよかった!
修理見積金額の分かるものと、破損状況の写真、購入時の金額が分かるもの後日提出する必要あり、こちらは申込用紙と共にカード会社に提出しました。

カメラはNikonのサイトからネットで修理依頼をかけ、落下品修理の場合、状態に関係なく初期見積ではNikon Z 9は94,000円の見積金額となっていて、この金額をカードの保険会社には提示しています。

Nikonのカメラの場合は、こちらから修理見積もりの確認ができます

「ショック・落下の修理品」を選択
Nikon Z 9のショック・落下の修理品の金額は見積もり時点で¥94,281

この見積金額を保険会社に提示しています。
実際の金額は、修理進行とともに不具合個所を洗い出して確定します。
マグネシウム外装は欠けが発生したため、交換をお願いしています。ここは前述の通り、目視で分からない割れなどが発生している可能性もあり、また微妙な変形も考えられます。

なお、保険会社からは、実際にかかった修理金額ではなく、見積時点での金額から支払額を決めるとのことです
これは一般的な保険もそうで、車なんかも修理するしないはユーザーに託され、見積金額から支払額が決定されますね。

そして保険の方ですが、支払い申込書と破損状況の写真、見積もりを送付してから1週間後、平日昼に何度か電話がかかってきて(機密の関係で勤務中は個人携帯持ち込めないので出られない)、留守電に「保険金の支払いの件でお電話いたしました。また改めさせていただきます」と何度も同じ留守電が。
これが2週間続いて埒が明かないので折り返し電話したら「お支払いします」とのこと。だったら留守電にその旨入れるよと!
このあたり、保険屋さんによってDX化が進んでいないなと思いました。ネット上でやり取りできる保険屋とそうでない保険屋、この違いは今の時代大きいですよ!
今回は、見積金額から免責の1000円を引いた、93,281円が支払われることになりました。最大10万円までの保険なので、助かりました。

実際の修理金額は…

今回、Nikonに火曜日に修理品が到着、金曜日には修理完了のお知らせが来ました。早い! 最初の段階では修理は3週間程度かかるとされていましたが、修理箇所が少なかったようです。

実際の修理金額は見積もりの半額以下となりました

修理金額は¥42,049と見積もりの半額以下で済みました! 思ったより安いです。つまり、あまり修理する箇所はなかったようですね。
土曜日には修理完了となったZ 9が納品されました。ただNikonの場合(他メーカーもそうらしい)、修理代金は代金引換で現金払いのみなんですよ。せめてカード払いできて欲しいですね。

修理箇所は

  • 背面カバー部組(傷の付いたマグネシウム外装)…¥8,118
  • 銅箔テープ…¥36(2点)
  • 視度調整ノブカバー…¥162

プラス交換工賃(関連系統の点検と調整、動作点検)、¥28,710に消費税と送料でした。
マグネシウム外装、もっと部品代も高いと思っていたら、1万円しないのですね。私、仕事でマグネシウム部品を扱っていて、それらはもっと単価が高い(最も特注品というのもありますが…)ので、さすが量産品は部品代が安いな、と思った次第。

この金額なら、現行品ならちゃんと修理したほうがいいと思いました。

きれいな姿で帰ってきました。
それにしても、落としたのに外装修理だけで済んだのが良かったです。ファインダや液晶が割れなかったのも幸いですし、イメージセンサがズレてしまうこともない(手ぶれ補正内蔵なので、強いショックでセンサがズレてしまう不具合は、わりとSONYなんかではあるみたいなので)のも良かった。
ここはフラッグシップ機の面目を保った感じでしょうか。

今回、人生で2回目のカメラ落下でしたが、いずれもNikonで、撮影の致命傷にならずに済んだのが幸いでした。SmallRigのL字プレートを装着していたのも、ショックの分散に繋がったかもしれません。
ほんと、落下には気をつけないとですね。機材が高価なだけに。そして使わなかったけど、サブボディとしてZ 8も持って行っていたので、本当に万が一のときでも撮影は継続可能。別にプロではないので、撮れなくても食いっぱぐれないけど、時間をかけて行った遠征先で撮れないと悲しいですからね。

Nikkor 180-600mm この焦点距離には歴史があった

レンズ交換式のカメラを手にすると、誰もが一度は望遠レンズに憧れる時が来ます。
しかしフィルムカメラの時代であった20世紀、とりわけ1980年代以前は、一般人が手に入れることのできる望遠レンズは、概ね300mmまででした。
もちろん、それ以上の焦点距離の望遠レンズは当然存在したものの、ハードルが高かったのは確かです。

ここでいうユーザーのハードルの高さとは、焦点距離が長いほど
・レンズが大きく重くなる
・レンズの価格も高価になる
・手振れしやすい
・ピント合わせが難しい(特にマニュアルフォーカス時代は)

という、大まかに分けて4つのハードルがありました。

特に「手振れしやすい」は、レンズの価格を抜きとしても、大きく重い超望遠レンズを手持ち撮影するとして、フィルムの感度はせいぜいISO50~400程度、さらにピントもMFで合わせるのは難しく、レンズもf値が暗くファインダも暗く見づらいという、本当に今とは比較にならないほどハードルの高い時代でした。
なので、300mmを超える望遠レンズで手持ち撮影だなんてのは、あの当時あまり考えられていなかったわけですね。
もちろん、光学設計もハードルが高かったわけです。

もっと昔、一眼レフがMFだった頃は戦闘機を機体全身アップで撮るだなんてのは、雑誌に載せるようなプロの神業がないと難しかったのです。
今でも「航空ファン」で写真編集の解説の連載を持つ元井英貴氏が、1970年代にNikon F2で撮った、航空自衛隊のF-104J戦闘機の写真に痺れたものです。
あの時代、元井氏はKodakのテクニカルパンという複写用の高精細フィルムを使用し、マニュアルでピントを合わせ、高速で離陸するF-104J戦闘機を望遠レンズで撮っていたのです。
ごく限られたプロにしか撮れない神業ですね。
そんな60年代70年代の超望遠レンズは、まだ高価でプロ用という感じで、一般人で所有する人は極めて少なかったと思われます。まして、当時は通常の焦点距離もまだまだ単焦点レンズが主流、超望遠ズームなんてのはさらに特殊でした。

私は戦闘機を撮るのが今は趣味ですが、撮りだした最初はまだフィルム時代、最初は望遠レンズすら持っていなくて、その後お金をためてNikon F90XとSIGMAの70-300mmのズームレンズで、フィルム残数を気にしながら、連写してもせいぜい数枚、戦闘機は遥か彼方に豆粒…といった状況でした。なので、本当にたまに撮る程度しかなかったです。その頃はまだ趣味とまでは言えなかったです。まして400mmだの600mmだのは夢のまた夢でした。

人生初の航空祭、1998年の航空自衛隊千歳基地にて、Yashica TL Electro XとAuto Yashinon 50mm F1.7で撮影
そりゃ望遠レンズが欲しくなりますわ…

MF時代のNikonの600mm望遠ズーム

Nikonの600mmクラスの望遠ズームレンズは、実は案外早く登場しており、1959年のNikon Fの発売からわずか2年後の1961年に、Auto Nikkor Telephoto-Zoom 20-60cm F9.5-10.5が発売されています。この当時はまだmmではなくcmで争点距離を表記していました。
http://nikonfan.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/20cm60cm_8689.html
https://redbook-jp.com/kenkyukai/2017/201707.html
しかし、このレンズは開放f値がf9.5-10.5と暗く、全長も長いため、三脚に据えて撮影が基本(フィルムでこのような暗いレンズで手持ちでピントとズーミングしながら撮影はほぼ不可能)です。
当時はスポーツ撮影に使われたと思われますが、さすがにプロ用だとしても、出荷数は少なかったと思われます。ましてこのレンズを使って、手持ちで高速で飛ぶ戦闘機を撮る、というのは相当なハードルです。
それでも、Fマウント登場からわずか2年で発売したのはすごい事です。Zマウントも見習ってほしかったです(笑

このレンズは、後に改良で開放f値がf9.5に固定され、AI化され、80年代まで発売されていました。
また、さらに開放値を明るくしたZoom Nikkor ED 180-600mm F8も76年に受注生産で発売され、
http://nikonfan.cocolog-nifty.com/blog/2008/09/ed180600mmf8-5d.html
82年にAi-S化されました(こちらも受注生産)。
http://nikonfan.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/ed180600mmf8s-e.html
この180-600mmという焦点距離は、1982年のAi Zoom Nikkor ED 180-600mm F8S以来、f値は可変ながらより明るくなり、実に40年ぶりにZマウントでNikonから発売されることになるのです。

NikonからFマウントのAFレンズで600mmクラスの望遠ズームレンズが発売されることはなかった

ここまで紹介したレンズは、いずれもMF(マニュアルオーカス)です。Nikonは80年代にFマウントレンズをAF化させますが、AFモータをカメラボディ側に搭載するという方針から(それ以前に発売されたF3AFはレンズ内蔵AFモータ)、AFの超望遠レンズの発売が結果的に遅れることになりました
AFレンズ発売当初、Ai AF Nikkor ED 600mm F4S(IF) は発売を予告しながら、最終的に発売されませんでした。
このレンズは、ボディ側のAFモータでAFを駆動させようとしていたと思われますが、このクラスの超望遠レンズは非常に大いためく、ボディ側のAFモータで、AFカップリングを経由し長い機械伝達系でフォーカシングユニットを動作させるには、相当なモータトルクとスピードが必要で、最初からモータをレンズ側に搭載させたCanonのEOSシリーズのレンズと比較して、実用的なAF速度が得られなかったのではと推察します。
このつまづきが、600mmクラスの超望遠レンズの登場を遅らせることになりました。
Nikonがレンズ内モータのAi AF-I Nikkor ED 600mm F4D(IF) を登場させたのは、1986年のAF一眼レフF-501登場から実に6年後の1992年と、非常に遅れてしまいました。
これは600mmクラスの望遠レンズはレンズ側にAFモータを搭載しなければ使い物にならないと判断され、そこからのAFモータをレンズに載せる方針転換で開発に時間がかかったのでしょう。

これによって、AF一眼レフの王座は完全電子マウント化したCanonに奪われ、同時にこのクラスの望遠レンズの最大ユーザーである報道関係者がNikonからCanonに鞍替えし、シェアは逆転します。

また、レンズ側にAFモータ(コアレスモータ)を搭載したAF-Iレンズも、当初の対応ボディはF4とF90のみ(1988年発売のF4は、恐らくモータをレンズ側に搭載したF3AF用レンズが使えるように設計されていたことが救いとなった、あるいはプロ機としてレンズ側にAFモータを入れることも考慮した設計となっていた)で、その後超音波モータ化したAF-Sが1996年にF5とともに登場するまで、レン側のAFモータに対応ボディが少なく、また最終的にFマウントでAF-Sレンズがメインになるのが21世紀に入ってからとずいぶん時間がかかってしまったこともあってか、過去にMFにあった200-600mmあるいは180-600mmのAF化はついに行われませんでした。
もちろん、当時の一眼レフの位相差AFセンサがf5.6光束の縛りで、それより暗いf値のAFレンズが作れなかった事も影響しているかと思いますが、AF-S化すべきレンズが他にも多くあり、そうした望遠ズームにまで手が回らなかったのかもしれません。

そうこうしているうちに、SIGMAなどサードメーカーが150-500mmを、そして手振れ補正が望遠レンズに搭載されるなると、さらに150-600mm, 60-600mmといったレンズや、超ド級の300-800mm F5.6といったレンズも登場します。
NikonはAF望遠ズームレンズは長年400mmまでの期間が続き、2015年にやっとAF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VRを発売しましたが、これがFマウントで最長の焦点距離の望遠ズームとなりました。
※ただし、2018年発売のAF-S NIKKOR 180-400mm f/4E TC1.4 FL ED VRは1.4xテレコンバーターを内蔵しているため、テレコンを切り替えれば望遠側は560mmとなる

Zマウントで蘇る180-600mmという焦点距離

NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR 

前述の通り、40年ぶりに発売されるNIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VRというレンズは、MF時代のように特殊な用途のプロ向けとは違い、一般ユーザーが手の届く価格です。まあ20万円は超えますが。
ミラーレスレンズなので、開放f値の暗さも気になりませんし(f6.3は一眼レフでも日中なら問題なし)、重量もこのクラスの超望遠ズームとしては比較的軽量です(絶対的には少々重いですが)。
ライバルのSONYも、FE 200-600mmというレンズを2019年に出してから潮目が変わったように思います。このレンズが登場以降、飛行機界隈の撮影でも、SONYユーザーが増えてきました。
飛行機界隈のカメラマンは割と保守的で、一眼レフユーザーもまだまだ数としては多いので、このクラスのレンズが各社からそろえば、ミラーレスへの移行も進むのではと思っています。

いずれにせよ、Nikonユーザーにとっては長く待たされただけに、楽しみなレンズですね。

Tamronに丸投げではないと思われる NIKKOR Z 70-180mm f/2.8

Z 180-600mmと同時に発表された、タイトルのNIKKOR Z 70-180mm f/2.8。焦点距離がかつてFマウントで存在したAF Zoom-Micro Nikkor ED 70-180mm F4.5-5.6DのZマウント版では?との推測もありましたが、蓋を開けてみると、Tamron 70-180mm F/2.8 Di III VXD (Model A056 ※Eマウント版のみ発売) のZマウント版とも言えるレンズでした。
Tamronブランドではなく、Nikonから発売されてる純正レンズです。

OEM? 光学断面図は同じだけど…

この2本のレンズ、焦点距離やf値、光学断面図は同じです。

TamronとNikonでレンズ名称は異なるものの、光学断面図のレンズ形状と低分散レンズ、非球面レンズの配置は同じです。
また、ズームリングやコントロールリングの配置も同じ、ズームリングの回転角もであることから、ズームのメカ機構も同一と考えて良いでしょう。

しかし外観デザインは異なります。TAMRONをNIKKORに書き換えただけではないですね。
また、その他にも異なる点がいくつかあります。

  • TamronのAFモータはVXD (Voice-coil eXtreme-torque Drive)というリニアモータに対し、NikonはSTM(ステッピングモータ)
  • TamronのModel A056の製造国はベトナムだが、Nikonは中国
  • Tamronは広角端70mmで0.27mの最短撮影距離にするためにはMFでなければならないが、Nikonは全域AFが使用可能
  • Tamronはテレコンバーター使用不可(これはEマウントがサード製レンズのテレコン使用を許可していないため)に対し、Nikonはx1.4とx2.0両方のテレコンを使用可能

よく言われるOEM(original equipment manufacturer 相手先(委託者)ブランド名製造)は、相手先に丸投げでバッチだけ変えたもの、なんて揶揄する方もチラホラ見かけますが、こと製造業においては、自社名のブランドで製品展開するものは、当然ながらその製造責任は自社に回って来ます。これは自動車などでよく見かけるOEMでも同様です。
そして、実際にバッジだけ変えて販売されるものもあれば、そうでないものもあります。

まずこの2本、製造国が違います。そしてAFモータも違います。更に最短撮影距離でのAFが使えるか否かテレコン使用可能か否かなど、割と違いも多いです。
このことから想像できるのは以下のとおりです。

  • 光学設計とフォーカス、ズーム機構のライセンスをTamronから取得し、それ以外はNikonが設計・製造
  • 光学ガラスまではTamronが製造し、Nikonに引き渡して、以降はNikonが組み込み製造、または光学設計で得られた情報から光学ガラスもNikonが製造(あるいは第3者製造もありうる)
  • 全ての、あるいはデザイン以外の設計をTamronに委託し、製造はNikonが行う

上記に書いたことの一部だけかもしれませんし、実際はTamronとNikonの間での契約となるために、情報が公開されることはないでしょう。
個人的には、1つ目の光学設計とメカ機構をライセンスして、それ以外はNikonが設計したのではないかと思っています。特にAFに関しては、NikonのZボディに合わせて調整してあるはずで、この辺りがボディまで設計製造している純正レンズと、ボディは他社製というTamronの違いとなっている可能性があります。


今のところ、本レンズを購入する予定はありませんが、選択肢が広がったのは良いことです。
手ぶれ補正は内蔵していませんが、案外Nikon Zボディの内蔵手ぶれ補正は強力で、300mmまでなら内蔵でも手持ち撮影は行けますし、しっかり手ぶれ補正が効いていることも実感できます。

3年半待ったよ…やっと発表 NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR

Nikonの飛行機撮り、野鳥撮りユーザーが待ちに待ったレンズではないでしょうか?

NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR

ここ2年でやっと望遠レンズが充実し始めたNikonのZマウントですが、600mmクラスのレンズが高価なNIKKOR Z 600mm f/4 TC VR Sしかなく、ライバルのSONYはFE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSを、4年も前の2019年7月に発売しています。

SONY FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS

思えばSONYのαが、割と保守的で今でも一眼レフユーザーが多い飛行機撮り界隈も見かけるようになったのは、このレンズが登場したからというのが大きい気がします。
手に入る価格で600mmまでのズーム、それまでは一眼レフ用でサードメーカーのSIGMAやTamronの独壇場でしたが、純正レンズで600mmまでのズームを早くから登場させたSONYは先見の明がありますね。

2019年にはレンズロードマップに掲載されていた

2019年10月、NikonはミラーレスのZマウントレンズのロードマップを公開しましたが、その際に既に、今回発表のZ 180-600mmのベースとなっていた200-600mmの記載がありました。

2019年10月に発表されたNikon Zマウントレンズのロードマップ

今見ると懐かしいですね、この当時はまだZ 50mm f/1.2 SやMicro(現製品ではなぜかMCと呼称)大三元の広角と望遠、高倍率ズームのZ 24-200mmも未発売、まだまだレンズが足りない、Zマウントを導入する気にはまだなれない、そんな感じでした。

この2019年のロードマップで、今後発売を予定しているレンズは黄色のラインで描かれていますが、この中で200-600mm以外は、一部焦点距離の変更がありつつも、全て現在販売されています。その間にTanmronとのOEMの提携もあったのでしょう、ロードマップに書かれていない、Tamronの設計と思われるレンズも発売されています。
今回、Z 180-600mmと同時に発表されたNIKKOR Z 70-180mm f/2.8も、光学断面図はTamron 70-180mm F/2.8 Di III VXDと同一とみられることから、TamronのOEMと思われます(光学設計のみTamronから買ったのか、製造まで委託しているのか、どの程度Tamronが関与しているのかは不明)。

とにかく、ロードマップ掲載から3年半、本当に待たされましたが、Z 9やZ 8のような動態がやっとまともに撮れるようになったNikon Zにふさわしい望遠レンズがやっと出ますね。あとはミドルのZ 7/ Z 6シリーズも動態に強いAFを搭載して発売されれば。最もこれらの機種は2024年に出るのではとされていますが。

重量・サイズもライバルと並ぶ

FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSSとほぼ同じ重量・サイズを実現したNIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR。ライバルが4年前に発売していたのを考えると、大きな驚きはないですが、SONYがダイレクトドライブSSM(超音波モータ)採用に対し、Nikonは多くのZマウントレンズに採用するSTM(ステッピングモータ)です。
個人的に、モータの方式だけでフォーカス速度を語るべからずと思っていますが(光学・メカ設計やボディの性能にも依存するため)、巷の噂では、Z 100-400mmよりも速いとの話もあり、この点についてはあまり心配はしていません。

またペナペナフードか…

懸念点はレンズフードです。この手の望遠レンズは、レンズとボディを装着したまま、フードを地面側に立てて置くことが多く、より重量級の望遠レンズは、レンズフードの縁にゴムが取り付けられています。
ところが付属のレンズフード、HB-109は、ゴムの取り付けはなく、明らかに薄そうです。ペナペナしそうな感じで、ここはAF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VRのレンズフードHB-71とあまり変わらなそうで残念です。

見るからにペナペナそうなHB-109

対してSONYのフードALC-SH157はしっかりしていそうです。

SONYの200-600mm用ALC-SH157のほうがしっかりしていそう

これについてはNikonに要望を出すとします。あるいはサードでもっとしっかりしたフードを作ってくれないかな? SIGMAだってもっと頑丈なフードを採用しています。


ともあれ、このレンズは手持ちのAF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VRと入れ替えですね。やっとです、待ちに待ったレンズです。
これでNikonの望遠界隈ももう少し賑わえば…と思います。