Tamronに丸投げではないと思われる NIKKOR Z 70-180mm f/2.8

Z 180-600mmと同時に発表された、タイトルのNIKKOR Z 70-180mm f/2.8。焦点距離がかつてFマウントで存在したAF Zoom-Micro Nikkor ED 70-180mm F4.5-5.6DのZマウント版では?との推測もありましたが、蓋を開けてみると、Tamron 70-180mm F/2.8 Di III VXD (Model A056 ※Eマウント版のみ発売) のZマウント版とも言えるレンズでした。
Tamronブランドではなく、Nikonから発売されてる純正レンズです。

OEM? 光学断面図は同じだけど…

この2本のレンズ、焦点距離やf値、光学断面図は同じです。

TamronとNikonでレンズ名称は異なるものの、光学断面図のレンズ形状と低分散レンズ、非球面レンズの配置は同じです。
また、ズームリングやコントロールリングの配置も同じ、ズームリングの回転角もであることから、ズームのメカ機構も同一と考えて良いでしょう。

しかし外観デザインは異なります。TAMRONをNIKKORに書き換えただけではないですね。
また、その他にも異なる点がいくつかあります。

  • TamronのAFモータはVXD (Voice-coil eXtreme-torque Drive)というリニアモータに対し、NikonはSTM(ステッピングモータ)
  • TamronのModel A056の製造国はベトナムだが、Nikonは中国
  • Tamronは広角端70mmで0.27mの最短撮影距離にするためにはMFでなければならないが、Nikonは全域AFが使用可能
  • Tamronはテレコンバーター使用不可(これはEマウントがサード製レンズのテレコン使用を許可していないため)に対し、Nikonはx1.4とx2.0両方のテレコンを使用可能

よく言われるOEM(original equipment manufacturer 相手先(委託者)ブランド名製造)は、相手先に丸投げでバッチだけ変えたもの、なんて揶揄する方もチラホラ見かけますが、こと製造業においては、自社名のブランドで製品展開するものは、当然ながらその製造責任は自社に回って来ます。これは自動車などでよく見かけるOEMでも同様です。
そして、実際にバッジだけ変えて販売されるものもあれば、そうでないものもあります。

まずこの2本、製造国が違います。そしてAFモータも違います。更に最短撮影距離でのAFが使えるか否かテレコン使用可能か否かなど、割と違いも多いです。
このことから想像できるのは以下のとおりです。

  • 光学設計とフォーカス、ズーム機構のライセンスをTamronから取得し、それ以外はNikonが設計・製造
  • 光学ガラスまではTamronが製造し、Nikonに引き渡して、以降はNikonが組み込み製造、または光学設計で得られた情報から光学ガラスもNikonが製造(あるいは第3者製造もありうる)
  • 全ての、あるいはデザイン以外の設計をTamronに委託し、製造はNikonが行う

上記に書いたことの一部だけかもしれませんし、実際はTamronとNikonの間での契約となるために、情報が公開されることはないでしょう。
個人的には、1つ目の光学設計とメカ機構をライセンスして、それ以外はNikonが設計したのではないかと思っています。特にAFに関しては、NikonのZボディに合わせて調整してあるはずで、この辺りがボディまで設計製造している純正レンズと、ボディは他社製というTamronの違いとなっている可能性があります。


今のところ、本レンズを購入する予定はありませんが、選択肢が広がったのは良いことです。
手ぶれ補正は内蔵していませんが、案外Nikon Zボディの内蔵手ぶれ補正は強力で、300mmまでなら内蔵でも手持ち撮影は行けますし、しっかり手ぶれ補正が効いていることも実感できます。

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