なんだか修理ばかりしているGWです。時間がかかる作業だし、COVID-19だし、こういう機会を使ってやるしかないんですけどね。というわけで、表題のNikon F2用フォトミックファインダーDP-1の修理です。
フォトミックファインダーとは、Nikon FとF2の交換式ファンダーで、露出計を内蔵したファインダーの名称です。
露出計を内蔵しない通常のファインダーは、アイレベルと呼ばれています。更にウエストレベルファインダーやアクションファインダー、高倍率ファインダーも存在しますが、説明が長くなるので、ここでは割愛します。
F2には、以下のフォトミックファインダーが存在します。
- フォトミックファインダーDP-1(1971年・Nikon F2フォトミック)
- フォトミックファインダーDP-2(1973年・Nikon F2フォトミックS)
- フォトミックファインダーDP-3(1976年・Nikon F2フォトミックSB)
- フォトミックファインダーDP-11(1977年・Nikon F2フォトミックA)
- フォトミックファインダーDP-12(1977年・Nikon F2フォトミックAS)
フォトミックファインダーだけでも、全部で5種類存在しましたが、一番流通量が多くて、現在も比較的生存しているのが、一番最初に発売されたDP-1です。
DP-1は、基本的には、1世代前のF用に最後に作られたフォトミックFTNファインダーと同じで、レンズの絞りと連動させるためのカニ爪を連動レバー結合させて、ファインダに絞り値を伝達します。
露出系自体は針式表示です。
後継のフォトミックファインダーでは、露出計が針式表示からLEDになったり、レンズもAI方式に対応したり、受光素子もCdSからSPDに変わるなど、色々と変化しているものの、初代のDP-1が最もシンプルで修理しやすいファインダーとのことです。
デザインも、個人的にはDP-1がフォトミックファインダーでは一番シンプルで良いデザインだと思います。
2つの、それぞれ不具合を抱えたDP-1
元々、F2フォトミック後期型を買ったときに付いていたファインダーは、露出系自体作動するものの(光の強さに応じて針は動く)、レンズの絞りを変えても露出計の針の触れ方に変化がありません。絞り値連動ができていない不具合です。
もう1つは、先日別途手に入れたもので、こちらは露出計は正常に動き、絞りに応じて露出計の針の触れ方も変化します。しかし、ファインダの前面についている最小絞り値窓の表示が動きません。
最小絞り値窓の表示が動かない
こちらが簡単そうなので、先に修理します。
実際はここまでバラす必要なく、最小絞り値窓の表示プレートの軸が固着していたようです。何度か二次側から動かしていたら、動くようになってきました。しかしこの個体、サビが多いし、あまりきれいじゃないなぁ。でも少しメンテしてちゃんと動くのだから頑丈ですね。プリズムは腐食していないのも良かったです。
露出計が絞りと連動しない
なんだか厄介そうだなーと思いながらずっと修理出来ていなかった不具合ですが、先程直したDP-1があるので、そちらの動きを参考にしながら、不具合原因を探ってみます。
2つのファインダ、写真右が先程最小絞り値窓を修理した前期型(S/N:2*****)で、左が絞りと連動しない不具合を抱えた後期型(S/N:5*****)です。前期型はマイナスネジが多いほか、細かい部分を見比べると、少し違いがありますね。
カニ爪連動レバーをガチャガチャ動かしながら、内部の機構を把握していくと、正常品は、絞り連動レバーの動きに応じて大きな円環状のギヤが動くのに対して、不具合品は動きません。なるほど、だから露出系連動しないのか。では、動かない理由はというと…
円環のギヤと、絞り連動レバー側の白いギヤが噛み合っていません。だから、露出計自体は動けど、絞りリングを動かしても、露出計が変動しないのですね。
ではなぜギヤが噛み合っていないか。よく見ると、不具合品は円環のギヤが浮いているんですよ。写真を見てもらうとわかるように、白いギヤが沈んでいるのではなく、円環のギヤが浮いています。内側の円環(可変抵抗の接点と思われます)手で回そうとしても重たい。
正常品と比較していくうちに、円環ギヤが浮いている理由が判明しました。円環を支えている3つのプーリーのうちの1つから外れていました。
赤丸部分のプーリーから外れていました。このプーリー、ネジを回すと偏芯するんですね。対角上のプーリーも同様に偏芯するので、ここを回して位置調整して、円環ギヤをプーリーにはめ込むことか出来ました。
しかしなんで外れたのかな…、はめ込むのもかなり硬かったですし。
ともかく、元に戻してカメラに取り付けし、露出計が絞りに応じて変化することを確認できました。
2つとも修理できて満足!
露出精度はわからないので、単体露出計と比較してみるとして、これでF2フォトミックの使用率も上がりそうですね。