EPSON ScanでICCプロファイルが表示されなかった話

35mmフィルムは今でもNikon COOLSCAN Vを使っていますが、中判フィルムはEPSONGT-X970を使用しています。これは現行のGT-X980の1世代前の機種ですが、性能的にはほぼ同じで、透過原稿の光源が、前者はCCFL(冷陰極管)なのに対し、後者は基本的にウォームアップがいらないLEDとなっています。

さて、今年に入って、OSの入れ直しをした際に、スキャナのキャリブレーションのファイルも消してしまったので、改めてキャリブレーションを行ってみました。

x–riteのi1 Profilerでスキャナをキャリブレーション

EPSON GT-X970や、現行のX980には、スキャナのキャリブレーション用に、i1Scanner(i1 Profilerに統合)が付属していて、透過原稿と反射原稿用のキャリブレーションシートが添付されています。
これを無補正でスキャンし、i1 Profilerでプロファイルを作成します。やり方は、2014年のアサブロに掲載していますのでご参考に。

ところが今回、作成したプロファイルをEPSON Scanの環境設定で設定しようとしたところ、こんなトラブルが出てしまいました。

プロファイルを設定できるが、真っ白になっている

ご覧の通り、「EPSON標準」以外のプロファイルが、選べるけど真っ白の表示で、何が選択されているかがわからない!

プロファイルは、i1 ProfilerでICC Ver2で作成(EPSON ScanはVer4プロファイル非対応なので)しているし、特にデフォルトの設定項目からはいじっていません。
何度かやり直しても同じで、i1 Profilerの再インストールを行ってもダメでした。EPSON Scanもインストールし直したけど、改善せず。
もちろん、ICCファイルには英語名のファイル名で保存していますし、それほど長い名称もつけていません。

ここ2,3日、それで格闘し、どうにも改善しないので、EPSONのサポートに連絡しました。しかし、返事としては、

お問い合わせいただきました件でございますは、誠に恐れ入りますが、お知らせの内容から、弊社よりご対応方法などをご案内することが難しい状況でございます。
つきましては、対応OSなどにつきまして、一度エックスライト社へご確認くださいますようお願い申し上げます。

とのことでした。
なんだかたらい回しにされそうな予感…。

今一度x-riteのHPを確認したところ、起動時バージョンチェックされてはいますが、そこに引っかからなかった新しいバージョン(i1 Profiler Ver3.3.1)が9月8日付で公開されていました。(それまでインストールされていたのはVer3.3.0)

試しにこれ(Ver3.3.1)をインストールして、プロファイルを作成したところ…

i1 Profiler Ver3.3.1で作成したプロファイルは表示された

今度はちゃんとプロファイルが表示できました! ということは、やはりi1 Profiler側の問題ということか…。

以前は旧バージョンのi1 Profilerで作成したものでも、ちゃんとキャリブレーションしたプロファイルは表示されていたので、思うに、Windows 10のVer2004が悪さしていないか?とも考えられます。

いずれにしろ、i1 ProfilerのVer3.3.1で我が家の環境では解決したので、同様の事象が発生している環境では、Ver3.3.1以降を試してみてはいかがでしょうか?


x-riteはi1 Profilerのバージョンアップは割と頻繁にしてくれるので、バグフィックスしてくれるという点では助かりますが、検索で旧バージョンばかり出てきてしまい、HPも見づらいのが難点ですね…。


今やフィルム専用スキャナは海外のごく一部に残るのみ、国産ではフラットベットスキャナではEPSON GT-X980かX830くらいでしょうか。Canonもフラットベットスキャナは1機種のみで、フィルムスキャンできるものは販売終了してしまいました。需要がないのでしょうね。
若者の間でフィルムが流行っているとか聞きますが、スキャンはお店にお願いして、中にはネガはいらないなんて人もいるようで…。何のためのフィルムなんだろうか?
本気でスキャンやっている人は少ないのでしょうね。

【写研埼玉工場】解体動向(20/9/8)

少し暑さが緩み、台風が来るようになって、雨がちな天気も増えてきましたが、晴れ間とタイミングを見つけて、仕事前と帰りに撮影している、写研の埼玉工場解体の様子。

第二工場も解体が進む

第二工場も随分解体が進みました。

※これまで、第二工場と書いたり、第2ビルと書いたりしていましたが、調べると第二ビルと表記しているサイトが多いことから、今後は第二工場に表記統一します。

第二工場は1965年(昭和40年)に操業開始だけあり、半世紀以上経過した建物ですから、窓の形状など古さを感じさせます。
写真を見ると、工場の機械らしきものが一部残されていました。
地下もあるようでしたが、地下部分はどう解体するのかが気になります。

かつて写植機で莫大な利益を得た写研ですが、90年代以降のDTPの普及に伴う業績悪化で、2007年7月時点の埼玉工場の社員数は30人とのこと、しかも工場は1965年(昭和40年)に操業開始だけあり、半世紀以上経過した建物ですから、窓の形状など古さを感じさせます。写真を見ると、工場の機械らしきものが一部残されていました。地下もあるようでしたが、地下部分はどう解体するのかが気になります。かつて写植機で莫大な利益を得た写研ですが、90年代以降のDTPの普及に伴う業績悪化で、2007年7月時点の埼玉工場の社員数は30人とのこと。
しかも写植機の販売数減少で、2002年からは本業と関係のない内職の仕事もしていて、2007年にはその内職の仕事すらなくなり、社員は自宅待機を命ぜられるなど、21世紀入ってからは、写植機の生産はほとんどなくなっていたことが伺えます。
工場としては、もう20年近く殆ど動いていなかったのでしょうね。
その一方、その時点でも内部留保は400億円以上あり、如何に全盛期に稼いで、それを蓄えていたことか。こうした内部留保は、社員の給与や、そして今回の建物解体にも充てられているのでしょう。

メインビル

メインビルを横から。棚が隅っこに寄せられたまま、解体待ちです。手前に見切れる建物も、大分解体が進みました。

ここからは、仕事帰りの夕方撮影

仕事帰りです。メインビルは解体が進み、5階部分はほぼ解体されています。
第二工場もフロアがだいぶ削られています。朝見た工作機械も消えていましたので、建物ごと解体されたのでしょうね。
ところで、マイナビの記事に、1970年当時の第二工場の写真が掲載されています。今と違ってクリーム色ではなかったようですね。


Instagramに解体中の写真と動画を発見

ここからは、人様の写真をリンクします。

埼玉県和光市市議で行政書士の安保氏Instagramに、高い場所から撮影したと思われる、解体中の写研埼玉工場の写真と動画が掲載されています。8月に撮影したものです。
私が撮れないアングルからなので、ちょっと羨ましい(*^^*)

この投稿をInstagramで見る

【写研工場解体工事】 毎日楽しませていただいている解体工事の今日の様子です。 一部、粉塵が気になるとの声があると聞きましたので改めてよく観察してみました。 粉塵が上がりそうな所では重機から、また、人がホースで、大量の水を撒いています。 また、敷地外に面する部分では足場の外側にプレートを貼り外に粉塵や破片などが飛び出さないようにされています。 事前に丁寧な説明会もあり、また、工事計画も周辺住居にポスティングされるなど、安全には配慮されています。 #和光市 #写研 #ヤオコー #誇れるまち和光へ

あんぽ友博(@tom_ampo)がシェアした投稿 –

安保氏のコメントにもあるように、ホースで水をまきながら解体しているため、周辺住宅や交通への粉塵の影響は特に感じません。
騒音も問題なく、防音壁の遮音性の高さがわかります。

写研川越工場はストリートビューで確認可能

写研には、埼玉工場(埼玉県和光市)以外にも、かつては川越工場が存在しました。川越工場も埼玉ですけどね。あとに建てられたからでしょうか?
※後述する本が届いたので、それを確認したところ、川越工場は1982年に出来たそうです。

その川越工場は、2018年には解体されて、現在は住友商事の物流倉庫「SOSiLA川越」となっていますが、ストリートビューに川越工場の画像が残されています。

最も古い2012年のデータの時点で、すでに工場は稼働していおらず、草や植樹は伸び放題、柵は錆び、休憩所?と思われる場所の障子は破れて、長いこと使われていないのが伺えました。
何せ、2007年時点で、川越工場の従業員はわずか10名だったそうで、その人数だと建物の管理とか、ちょっとした保守部品の生産程度しかできなかったと思われます。最盛期は400人超えだったそうですが。

解体前の2017年の時点では、草が刈り取られ、植樹も消えていること、内部にトラックが入っている様子が伺えることから、この時点で解体は決まっていたのでしょう。先のSOSiLA川越のリンク先の記事にも、

今回の「SOSiLA川越」の開発はその商社としての総合力を物語っている。「この土地は写研さんの遊休地だったのですが、鶴ヶ島の土地とこの芳野台の土地の両方を1社で引き受けてくれるのなら、売却しますということでした。

https://www.lnews.jp/2019/02/l0201301.html

との記述がありますので、使っていないので、買ってくれるなら一括で買ってほしい、といった感じだったようですね。
ところで、鶴ヶ島にも土地があったのですね。色々調べると、ネットの情報だけではわからないことも多いです。「ネットに真実はない」なんて言う人もありますが、実際には真実もあれば間違いも多い、というのがネットです。この私の書いていることも、確信が持てないことだってありますしね。
ということで、ちょっとお高いですが、どうにも写植機の歴史に興味が湧いてきたので、こんな本を手配しました。

2016年の出版なので、まだそれほど古くない。写研や川越工場のことも記載されているようです。ゆっくり読んで、記事に反映できる情報があれば、記載していきたいと思います。

【埼玉】2020年の日窒鉱山から(モノクロ編)

8月に撮影した日窒鉱山の廃墟ですが、デジタルと同時に、BRONICA S2を使用したフィルム撮影も行っていました。
現像とスキャンが完了したので、掲載いたします。

広角のNikkor-50mm F2.8だけで撮ったので、もう少し引き目の写真に仕上げるつもりでしたが、少し中途半端になってしまいましたね。

撮影場所は傾斜地が多く、またあまり引いて撮影できない状況、三脚の設置が難しい状況で、思うように撮影できなかったかな。

とまあ少し言い訳しましたが、中判フィルムの立体感は良いですね。
加えて、フィルムはこれが手持ち在庫最後の旧ACROS(現在ACROS IIに移行)でしたが、このフィルムの諧調性の豊かさと粒状感のなさは中々ですね。

ACROS IIも手に入れているので、そのうちリベンジ撮影したいですね。

【藤井酒造】龍勢 番外品 其ノ壱

職場の後輩から頂いたお酒です。

【藤井酒造】龍勢 番外品 其ノ壱

後輩のお宅のお子さんが、1歳になって立ってつかまり歩きするようになって、ベビーゲートって使ってますか?と質問してきました。
我が家ではベビーゲートは子供に入ってほしくない場所に使っていたのですが、下の子も4歳になり、ベビーゲートは乗り越えられるし、場所も取るので撤去を考えていたので、じゃああげるよ~、ということで差し上げまして、その御礼ということで。

後輩の出身地広島県のお酒です。龍勢は何度か飲んだことがありますが、こちらは「番外品 其ノ壱」という、蔵元曰く

「純米吟醸、純米大吟醸の責めの部分をブレンドしたマニアックなお酒。
蔵元が毎年の出来に合わせて独自の配合でブレンドをするため配合比率は毎年変動する」

http://www.fujiishuzou.com/product/13

だそうで、協会9号酵母を使用した日本酒をメインにブレンドしたそうです。ブレンドの比率は毎年変わり、内容は非公開ということで、酒米も精米歩合も表記されません。

ということで、先入観なく(笑)飲めますね。
吟香はそこそこ、酒の色はやや黄色かかっています。冷えた状態で飲み始めましたが、まず濃厚なマンゴーのようなとろりとした甘さ、酸味は穏やかですが、その後どっしりと辛さが来ます。重ためです。
したがって、濃いめの味付けの食事と合いそうです。

角上魚類で鯛の半身を買って、お刺身と焼き魚に

この日は、角上魚類で買ってきた鯛の半身。お店でお刺身用のブロックとアラに切ってもらい、お家でブロックは刺し身に、アラは焼いていただきました。刺身は脂が乗っていて、その辺のスーパーマーケットではお目にかかれない、良質な鯛でした。焼いても美味しいですね。

鯛とよく合う龍勢の番外品でした。

【岩手】国民宿舎山王閣 2009年4月撮影

アサブロにのみアップしていた、国民宿舎山王閣の写真を、再現像しました。
アサブロのコメントに、当時の写真を頂きたいとの書き込みがあり、再現像を行いました。

当時は、撮影量に対して、Web化が間に合っておらず、また当時のアサブロでは写真を多く掲載することに限界があり(現在もですが)、またHP掲載にもWordPressのようには簡単にきれいに作れるわけではなかったので、アサブロに選んで掲載する、くらいしかしていりませんでした。

撮影から10年以上経過し、その当時の写真が、今となっては貴重に、となってくる時期でもあります。写真の面白さは、撮った直後だけでなく、こうして10年20年、あるいは100年後にも違った支店で楽しめるということでしょう。半世紀前の写真なんて、今見ると全てが新鮮ですからね。

1974~78年の航空写真から、国民宿舎山王閣 国土地理院

さて、国民宿舎山王閣は、岩手県宮古市の三王岩を眺望できる高台に、1965年に開業しました。
国民宿舎ということで公営の宿泊所で、4階建てのコンクリートにプールの付いた、当時としてはモダンなリゾート宿泊施設だったかと思います。
国民宿舎は、1956年の制度化以降、1960~70年代にかけて、全国各地で開業し、廉価で整った宿泊施設を提供しましたが、70年代以降は民間の宿泊施設も多く建造されると、90年代以降は国民宿舎の老朽化と陳腐化により、閉業や民間譲渡される施設も多くなりました。

山王閣も1995年に民間に無償貸付されたものの、恐らく設備の老朽化も進み、改築に見合う営業収入を得ることが難しかったのでしょう。2001年に閉業しました。

海沿いの施設ということで、廃墟と化して8年後の撮影でしたが、その1年後の2010年には解体されたとのことです。そして、そのさらに1年後の2011年3月11日、東日本大震災により、宮古市も津波により多くの被害が出ました。

多分宮古市のホテルだったと思うが、どのホテルだったか思い出せない… ここも津波被害はあったと思われる

この撮影の前日、宿泊したのは宮古市のホテルでしたが、海沿いでしたから、震災による津波被害は恐らくあったと思われます。残念ながら、ホテルの写真はこの1枚のみで、周辺写真は撮っていません。
たろう観光ホテル…だったかも知れません。もし、この写真を見て、どのホテルかわかる方がいましたら、コメントいただけるとありがたいです。

撮影は、田老鉱山撮影後で、三王岩を見たいと思ってたまたま行ったら、山王閣があった、という偶然で撮影したものです。疲れていて、あまり気合の入っていない写真ですが、よろしければご覧いただければと思います。
なお、現在は前述の通り建物は解体され、周辺は整備されて山王園地となっています。

山王閣からはそのまま海岸の遊歩道につながっていて、浪打崎まで降りることが出来ました。

残念ながら、2019年の台風19号の影響で、この遊歩道が使えない状態となっており、現在(2020年9月時点)でも通行禁止となっているようです。実は、その復旧工事関係者より、復旧にあたり、山王閣のプールがあった平場が崩壊したため、プールがあった当時の状況を資料として使用したい、との連絡があり、今回写真の再現像に至りました。

写真って、こうして過去を示す資料でもあるんですよね。お役に立てばと思います。

PHILIPSのモバイルバッテリDLP8712Cを買ってみた

モバイルバッテリ、ここ最近は安定と安心でAnkerばかり購入していましたが、調べていると、PHILIPSブランドでも販売していて、しかもAnkerより少し安い。

PHILIPSといえば、オランダの老舗電器メーカーで、日本で言うところのPanasonic、いや設立は1891年なので、Panasonicの前身の松下電器より、ずっと歴史が長い会社です。
音楽CD規格をSONYと共同開発し、オーディオブランドとしてもよく知られていますが、今は音響分野は据え置き機よりは、イヤホンなどモバイル系がメインです。音響分野は、ブランドがギターのギブソンに売却されていますが。
今は、シェイバーや電動歯ブラシ、イヤホン分野でのイメージが強いですね日本では。
我が家では、PCのサブモニタがPHILIPSだったりします。ブランドイメージは、個人的に悪くないですかね。

で、本題。最近は2,0000mAhのモバイルバッテリも多いですが、その分重量があるし、そこまでの大容量は不要なので、スマホが2,3回充電できれば十分な、10,000mAhのDLP8712Cチョイスしました。

LINE登録すると、200円OFFとなります(当記事掲載時)。なので実質は2000円を切る価格で、これはAnkerの同等品よりお安いですね。

一部中国語…

ああ、PHILIPSもチャイナ企業になりつつあるのか…。PHILIPS自体、事業再編で半導体部門や照明部門、音響部門を売却しており、家電部門も売却検討中、ヘルスケア部門に絞るようです。
近年では、ブランド名と実際の運営会社、国は一致しない例が多いですね。
このモバイルバッテリも、実質はチャイナなのかな? 製造もチャイナですし。

製品としては、PD/QCに対応しているのと、出力が3系統、TYPE -C端子はPD対応で入出力両方対応で、Ankerの同クラス製品より端子が多く、汎用性が高いです。

サイズは、手持ちのXperia 1よりひと回り小さく、厚さも結構薄い印象で、バッグのポケットに入れやすく、持ち運びも楽そうです。

さて、付属のケーブル(TYPE-A to C)を使って、充電残量30%のXperia 1を充電してみました。TYPE A端子につなぐと、QC充電になるようですが、Xperia 1はPD充電のみに対応となったようで、今回は普通充電になるのかな? 取り急ぎ、PD対応のUSB TYPE-Cケーブルは手配しました。

残量30%からフル充電まで1時間半

はい、PD充電ではないですが、30%からフル充電までは、1時間半程度でした。これくらい速ければ、実用上問題ないですね。PD充電ならどの程度速くなるか、ケーブルが届いたら確認してみたいと思います。

ちなみに、この充電を行った状態で、モバイルバッテリの残量表示は、フルの4メモリから2メモリに減少したので、もう1回はフル充電できそうですね。Ankerの10,000mAhのよりは、少し実容量は小さいかもしれません。

2本の高倍率ズーム AF-S 18-200mm II型とTamron 18-270mmを比較してみた2

前回の記事では、遠景を試したので、今回は近接撮影してみました。

高倍率ズームの歴史は、近接撮影との戦いの歴史でもあったりします。

71D
AF 28-200mm F/3.8-5.6 Aspherical (Model 71D)


AF一眼レフ用の高倍率ズームとして、世界で初めて28-200mmを達成したのは1992年発売のTamronのModel 71Dでしたが、このレンズは最短撮影距離が、何と2.1m!、最大撮影倍率はわずか0.1倍で、標準ズームの望遠を伸ばしたというよりは、望遠ズームの広角側を広げたというイメージでした。遠景撮影だけなら何とかなりますが、スナップには使いづらかったでしょう。

【製品画像】AI AF Zoom Nikkor 28~200mm F3.5~5.6D(IF)
AI AF Zoom Nikkor 28~200mm F3.5~5.6D(IF)

その後、Nikonも同様のレンズを出しましたが、初代はやはり最短撮影距離2m(28mmマクロ設定時0.85m)と、これ1本で全てをこなすには、最短撮影距離は物足りない感じでした。
MF時代にも、NikonではAI Zoom Nikkor 35~200mm F3.5~4.5Sなど、高倍率ズームはあったのですが、やはり最短撮影距離は長く、特定の焦点距離でのみ、マクロモードでそれなりの近接撮影が可能、といった具合でした。

しかし21世紀になって、高倍率ズームレンズは急速に進化し、最短撮影距離は0.5m程度(フルサイズ/APS-C用)まで向上し、ほとんどの撮影をこなせるようになりました。

とは言え、高倍率ではない標準ズームは、更に最短撮影距離を短く、撮影倍率を大きく出来ているのも事実ですが。

まずはスナップで多く使うであろう焦点距離50mm、どちらも最短撮影距離で両者を比べてみました。

50mmでの最短撮影距離比較

両者、露出の違いはあれど、画質や撮影倍率、インターナルフォーカス式レンズで発生する最短撮影距離付近の焦点距離の目減りなどは、ほとんど差がない感じです。

個人的には、画質は僅かですがTamronのほうがボケ味、解像力、コントラストで良いように感じました。

それでは、今度は望遠端の最短撮影距離を見てみましょう。

望遠端での最短撮影距離比較

Tamronが270mm、Nikonが200mmなので、単純に比較はできないものの、Tamronが270mmでの最短撮影距離0.49m、最大撮影倍率約0.26倍なのに対し、Nikonは最短撮影距離0.5m、最大撮影倍率0.22倍なので、寄れるという面では、写真の比較でも明らかにTamronです。
が、大差はないとも言えます。

また、Tamronは、開放から解像力が高く、f11まで絞ると収差もほとんどなく、コントラストもよいです。
対して、Nikonは開放では解像力が甘く、さらにf11では後ピン気味になっています。

ただし、AF速度に関してはNikonが圧勝で、無限遠から最短撮影距離まではほぼ1秒以内にAFが合焦するのに対し、TamronのAFはかなり遅く、無限遠からだと合焦に2,3秒かかりました。また、時にAFが全く合わなくなることもありました。これは、望遠端の開放f値がf6.3と少し暗いのも影響しているでしょう。

ちなみに、標準ズームではどうか?
代表例として、AF-P DX NIKKOR 18-55mm f/3.5-5.6G VRの望遠端55mmの最短撮影距離を載せます。

最短撮影距離0.25m、最大撮影倍率0.38倍で、かなり寄れるレンズであることがわかります。寄れるだけではなく、撮影倍率が高いので、ここまで被写体に迫れます。
画質で見ると、このレンズは最短撮影距離では、収差がやや多めで、ふわっとした描写です。

これだけ見るとTamronは優秀、だが…

遠景と最短撮影距離、2つのアプローチで、TamronとNikonの高倍率ズーム2本のレンズを比較してみました。

今比較だけで見ると、Tamronはかなり検討しているかと思います。実際、ちゃんと撮れた場合、画質に大きな不満はありません。

が、この「ちゃんと撮れた」という歩留まりの面で行くと、Nikonに軍配が上がります。
というのも、Tamron、AFがかなり曲者で、AFが遅く、AF-Cではかなり厳しい結果となります。これは、例えば動き回る子供を撮る場合には致命的です。

Tamronの場合、VCのシャッター半押し直後の不安定さで、かえって被写体がブレてしまうという現象も発生しました。基本、私はシャッター一気押しはしません。が、とっさに撮りたいときは、一期押しせざるを得ない場合もあります。そんな時、一瞬画面がガコッと揺れてしまうことのあるTamronでは、歩留まりが下がってしまいます。

光学的に優秀なのはTamronかもしれません。が、トータルでミていくと、すべての面で安定し、無難にそつなくこなすNikonに軍配が上がります。Tamronは、私の個体の問題ですが、買って直後にレンズエラーが発生するという事象もあり、これが撮影中に発生すると、シャッターが切れなくなります。画質だけの問題ではないのです。

安定性、信頼性だと純正に軍配

結局、こういう結論に達します。200mmか270mmかの差は大きいです。さらに望遠端300mmや400mmなんてレンズも存在しますが、大きく重くなるので、200mmは妥協点、ただもう少しあると嬉しいな、というTamronの270mmは、中途半端だけど使いやすいですね。
そして、ちゃんと撮れている限り、画質もTamronは遜色ないし、むしろ良い部分もあります。

反面、やっぱりVCの初動の不安定さによる微ブレ多発、AFの遅さと精度の不安定さによる歩留まりの悪さは、写真を撮る上では致命的だったりします。これらは、シャッター半押しからしっかりワンテンポ置く、AFポイントを手動設定し、中央で合わせることで解決できます。
ただ、ワンテンポ置く、というのはシャッターチャンスを逃しやすいのですよね。
Tamronが評価が二分されているのも、こういった「癖」をうまく理解して付き合えるかどうかな気もします。

ということで、Tamronはドナドナかな…。いやこのレンズ、光学系はそのままで、AFとVCを改良してくれたら、と思うんですよね。




それにしても、純正も11年前のモデルだからか、発売当初よりずいぶん安くなりましたね。
そろそろ、AF-Pでリニューアルしてほしいレンズです。Zマウントとの絡みもあるから、難しいかな?

【写研埼玉工場】解体動向(20/9/2)

シリーズでお送りしている?写研埼玉工場解体。

写研埼玉工場(20/9/2)

さて上の写真でお気付きでしょうが、ついに第二工場の解体も始まったようです。

手前には鉄筋が山積みされています。第二工場の解体方法は、メインビルと同様に、中央部分から崩していっているようです。
短いですが、動画も撮ってみました。

三脚がないと、動画は厳しいな…。

メインビルを横から

メインビルも随分解体が進みました。中央部分から崩しているので、建物の両サイドはまだ残っています。
棚や、写植機関連のかもしれない筐体も、まだ残っていますね。

建物中央は、解体が進んで壁が低くなっています。解体したら、その部分の防音壁も撤去しているので、中央が凹んでいる感じです。作業員の方が、防音壁の撤去作業を進めているようでした。高所恐怖症だと出来ない仕事ですね。


さて、仕事帰り、夕方も来てみました。もう18時過ぎともなると、だいぶ暗くなってくる季節ですね。写真的にも厳しい季節となってきました。特にこの撮影では、M4/3のGX7MK2を使っていますが、高感度はやっぱりセンササイズなりで厳しいものがあります。

朝と比較して、中央部分の解体が進んで、通りを挟んだ向こうのマンションが見えるようになってきました。

メインビル横は変化なし

メインビルの横は、しばらくこのままなのでしょう。朝と変化はない感じです。

第二工場は、朝と比べて開口部は広がっていませんが、内部の解体は進んだようです。柱は残しつつ、床と壁を先に解体しているようですね。

メインビルを通り側から

メインビルの中央部分の解体が進んで、防音壁とネットが撤去されています。入り口の守衛所は最後に解体するのでしょうね。

2本の高倍率ズーム AF-S 18-200mm II型とTamron 18-270mmを比較してみた1

ここに2本のレンズがあります。

Tamron 18-270mm F/3.5-6.3 DiII VC PZD (B008TSN) とAF-S DX NIKKOR 18-200mm f/3.5-5.6G ED VR II

Nikon D300がメインだった頃、DXレンズはもう買わない、なんて宣言していた気がしますが、嫁さんのD3400導入後、DXフォーマットを少し見直していて、これはこれで良いね、と思い始めている今日この頃。

やっぱり軽いカメラって軽快なんですよね。家族を連れている時、カメラ以外の荷物も多いですから。
もちろん、もっと軽いM4/3も良いのですが、M4/3の高倍率ズームは、写りはややコンデジに近いきらいがあります。いや、コンデジよりは断然良いのですが、操作性など含めてですね。小さすぎても操作性が損なわれます。あと、やっぱりM4/3の小さいセンサは、写真をメインとすると、少々不満があるのも事実でして。

ということで、D3400と便利ズームという組合せも、画質と操作性と利便性の両立で良いかなと思った次第。

レンズが2本ある理由は、先に買ったTamron、使い込んでいくうちにある不満が出たからです。

AF-S DX NIKKOR 18-200mm f/3.5-5.6G ED VR IIは、ヤフオクで動作未確認が安く出ていたので、博打で購入したものですが、結果的には殆ど使用感のないレンズで、動作も問題ありませんでした。

Tamron 18-270mm、AFが不安定では?

ズバリ、Tamron 18-270mmを使ってみて出てきたのは、このAFです。
過去記事では、手ブレ補正機構VCの初期動作の不満を指摘しましたが、AFも少し不安定です。というのも、三脚にカメラを据えての定点撮影テストで、同じ遠景の被写体を撮っていても、フォーカスリングの位置が毎回ずれる、というのがありまして。

テストでは、どちらのレンズも、MFでデフォーカスさせて、AFを動作させて撮影(フォーカスポイントは中央)しましたが、Tamronは遠景にも関わらず、毎回少しフォーカスリングの位置が変わるんですよね…

Tamronは、ピントが大幅にズレてしまうと、その後MFである程度近いピントに持っていかないと、AFがいつまでも合焦しない、という事象も発生しました。この辺り、AFは速くはないけど、スパッと合焦してくれる純正のAF-S 18-200mmの方に、安定性の軍配が上がります。

Tamronは、PZD(ピエゾ素子を使用した定在波型超音波モーター)を搭載していますが、AF時にフォーカスリングが動くタイプで、フォーカスリングの回転角も、最短から無限遠までは30°程度しか動かないタイプです。この手のタイプは、シビアなフォーカス動作が苦手な印象があります。フルタイムMFも出来ません。

対してNIKKORは、リング型超音波モーターを採用していると思われ、AF時にフォーカスリングは回転せず、フルタイムMFが可能となっています。MF時は、フォーカスリング自体は90°で最短から無限遠まで動かせますが、フォーカス指針的にはもう少し回転角は狭い印象です。MF操作しやすいように、メカ的に減速させている感じですかね。
AFは速くはないけど、スーッと合う印象で、迷うこともあまりないです。精度については問題ないですね。

100/105mmでの比較(遠景)

マンションのベランダからの遠景テスト、焦点距離100/105mmからの掲載としたのは、広角側だと周辺が映り込みすぎて、撮影地点がピンポイントで特定できてしまうので、100mmからの掲載とさせていただきます。

絞り開放から、f11までを掲載しています。f16以上は回折の影響もあって使うこともないので、テストしていません。また、撮影はJPGの撮って出しで、Web掲載用に解像度は落としています。

なお、ズームリングを微調整しても、Tamronは100mmとなりますが、NIKKORは105mmとExifでは記録されます。この辺りはExifのへの表示させ方の、メーカーの考え方の違いでしょうか。

NIKKORのほうが開放は明るいですね。大きな差は両者でないですが、Tamronのほうが僅かに周辺の解像力は高い印象です。反面、電子歪補正が効かないTamronは、糸巻き歪が発生している印象です。サードのレンズを使う場合、こうした歪補正が効かない、ということも頭に入れておいたほうが良いかも知れません。

200mmでの比較(遠景)

この手のレンズで使用頻度が高い望遠側の比較です。

中心部はどちらも開放では少し甘く、f11まで絞ると解像力は高くなる印象です。一方、周辺は、建物の解像力はTamronがわずかに高い印象です。そしてやはりTamronは歪補正が効かない分、糸巻き歪が出ている感じです。

Tamronのみ270mm(遠景)

Tamron、NIKKORより軽量で少しコンパクトにも関わらず、270mmまで使えるのはありがたいです。比較すれば、200mmより270mmまで撮れたほうが、撮影範囲もぐんと広がります。
さすがに周辺は、絞ってもやや解像感が無くなるものの、中心部は高倍率ズームと考えると、解像力はなかなか良いです。


こうして三脚に据えての固定被写体の遠景撮影では、どちらも大きな不満はなく、TamronもAFがしっかり合えば、NIKKORより高倍率なのに、むしろ僅かに解像力が高く、良い結果が得られます。

しかし、こうした高倍率便利ズームは、スナップなど様々なシチュエーションで使われることが想定され、そういった撮影で、TamronはAFの精度とVCの初期揺れによる歩留まりが、実際の撮影では影響している感じです。

次回は、近接撮影を比較してみたいと思います。

【油長酒造】風の森 Petit 純米大吟醸 無濾過生原酒 秋津穂50

とにかく扱っている種類が多い練馬区の酒屋「うえも商店」に行ってきました。ここは、私の大好きな「作(ZAKU)」も扱っていますが、それは次回に。今回は、やはりここのお店のラインアップで得意とする「風の森」を2本買ってきました。最初の1本がこちら。

【油長酒造】風の森 Petit 純米大吟醸 無濾過生原酒 秋津穂50

細身のおしゃれな瓶です。Petitと書かれているように、量も375mlと少なめ。お値段も800円と、量相応にお安く。いや、瓶代や手間を考えると、ここまで安く提供できることが、逆にすごい。

なのに純米大吟醸、元々風の森は、基本的に無濾過無加水の生原酒のみを提供していますが(一部TYPE 3のように海外販売のため火入れをしたものもあります)、ここまで削りながらもリーズナブルなお値段、中々やりますな。

開戦して注ぐと、フレッシュなプチプチに、さわやかな吟香が立ちます。そして大吟醸でありながらも濃厚なタッチ。甘さも引き立っていますが、その後しっかりと酸味と辛さが出ていて、軽く爽やかな飲み口を想像していたら、割としっかりとした味です。

【油長酒造】風の森 Petit 純米大吟醸 無濾過生原酒 秋津穂50

様々な手法で製造した日本酒を提供する油長酒造ですが、決して高級ブランドを目指していないのも好感が持てます。そして種類が多くて、常に新しいものに挑戦しているのも、酒好きにはたまらなないですね。

このPetitは、中身は同じながら、ラベルは10種類あるそうです。凄いね。