2本の高倍率ズーム AF-S 18-200mm II型とTamron 18-270mmを比較してみた1

ここに2本のレンズがあります。

Tamron 18-270mm F/3.5-6.3 DiII VC PZD (B008TSN) とAF-S DX NIKKOR 18-200mm f/3.5-5.6G ED VR II

Nikon D300がメインだった頃、DXレンズはもう買わない、なんて宣言していた気がしますが、嫁さんのD3400導入後、DXフォーマットを少し見直していて、これはこれで良いね、と思い始めている今日この頃。

やっぱり軽いカメラって軽快なんですよね。家族を連れている時、カメラ以外の荷物も多いですから。
もちろん、もっと軽いM4/3も良いのですが、M4/3の高倍率ズームは、写りはややコンデジに近いきらいがあります。いや、コンデジよりは断然良いのですが、操作性など含めてですね。小さすぎても操作性が損なわれます。あと、やっぱりM4/3の小さいセンサは、写真をメインとすると、少々不満があるのも事実でして。

ということで、D3400と便利ズームという組合せも、画質と操作性と利便性の両立で良いかなと思った次第。

レンズが2本ある理由は、先に買ったTamron、使い込んでいくうちにある不満が出たからです。

AF-S DX NIKKOR 18-200mm f/3.5-5.6G ED VR IIは、ヤフオクで動作未確認が安く出ていたので、博打で購入したものですが、結果的には殆ど使用感のないレンズで、動作も問題ありませんでした。

Tamron 18-270mm、AFが不安定では?

ズバリ、Tamron 18-270mmを使ってみて出てきたのは、このAFです。
過去記事では、手ブレ補正機構VCの初期動作の不満を指摘しましたが、AFも少し不安定です。というのも、三脚にカメラを据えての定点撮影テストで、同じ遠景の被写体を撮っていても、フォーカスリングの位置が毎回ずれる、というのがありまして。

テストでは、どちらのレンズも、MFでデフォーカスさせて、AFを動作させて撮影(フォーカスポイントは中央)しましたが、Tamronは遠景にも関わらず、毎回少しフォーカスリングの位置が変わるんですよね…

Tamronは、ピントが大幅にズレてしまうと、その後MFである程度近いピントに持っていかないと、AFがいつまでも合焦しない、という事象も発生しました。この辺り、AFは速くはないけど、スパッと合焦してくれる純正のAF-S 18-200mmの方に、安定性の軍配が上がります。

Tamronは、PZD(ピエゾ素子を使用した定在波型超音波モーター)を搭載していますが、AF時にフォーカスリングが動くタイプで、フォーカスリングの回転角も、最短から無限遠までは30°程度しか動かないタイプです。この手のタイプは、シビアなフォーカス動作が苦手な印象があります。フルタイムMFも出来ません。

対してNIKKORは、リング型超音波モーターを採用していると思われ、AF時にフォーカスリングは回転せず、フルタイムMFが可能となっています。MF時は、フォーカスリング自体は90°で最短から無限遠まで動かせますが、フォーカス指針的にはもう少し回転角は狭い印象です。MF操作しやすいように、メカ的に減速させている感じですかね。
AFは速くはないけど、スーッと合う印象で、迷うこともあまりないです。精度については問題ないですね。

100/105mmでの比較(遠景)

マンションのベランダからの遠景テスト、焦点距離100/105mmからの掲載としたのは、広角側だと周辺が映り込みすぎて、撮影地点がピンポイントで特定できてしまうので、100mmからの掲載とさせていただきます。

絞り開放から、f11までを掲載しています。f16以上は回折の影響もあって使うこともないので、テストしていません。また、撮影はJPGの撮って出しで、Web掲載用に解像度は落としています。

なお、ズームリングを微調整しても、Tamronは100mmとなりますが、NIKKORは105mmとExifでは記録されます。この辺りはExifのへの表示させ方の、メーカーの考え方の違いでしょうか。

NIKKORのほうが開放は明るいですね。大きな差は両者でないですが、Tamronのほうが僅かに周辺の解像力は高い印象です。反面、電子歪補正が効かないTamronは、糸巻き歪が発生している印象です。サードのレンズを使う場合、こうした歪補正が効かない、ということも頭に入れておいたほうが良いかも知れません。

200mmでの比較(遠景)

この手のレンズで使用頻度が高い望遠側の比較です。

中心部はどちらも開放では少し甘く、f11まで絞ると解像力は高くなる印象です。一方、周辺は、建物の解像力はTamronがわずかに高い印象です。そしてやはりTamronは歪補正が効かない分、糸巻き歪が出ている感じです。

Tamronのみ270mm(遠景)

Tamron、NIKKORより軽量で少しコンパクトにも関わらず、270mmまで使えるのはありがたいです。比較すれば、200mmより270mmまで撮れたほうが、撮影範囲もぐんと広がります。
さすがに周辺は、絞ってもやや解像感が無くなるものの、中心部は高倍率ズームと考えると、解像力はなかなか良いです。


こうして三脚に据えての固定被写体の遠景撮影では、どちらも大きな不満はなく、TamronもAFがしっかり合えば、NIKKORより高倍率なのに、むしろ僅かに解像力が高く、良い結果が得られます。

しかし、こうした高倍率便利ズームは、スナップなど様々なシチュエーションで使われることが想定され、そういった撮影で、TamronはAFの精度とVCの初期揺れによる歩留まりが、実際の撮影では影響している感じです。

次回は、近接撮影を比較してみたいと思います。