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NikonはCine-Nikkorを検討している?

Dマウント用のCine-NIKKOR 38mm F1.9

Nikon Rumorsにこんな記事が掲載されていました。

Nikonがシネマ用のレンズを検討しているという話です。
シネマ用レンズは、その名の通り映画など高品質な動画撮影のためのプロ用レンズで、マニュアルフォーカスを基本とし、滑らかなフォーカシングはもちろん、ズームや絞りの動作も、その全てが動画作品では連続性のある表現のために重要となるため、マニュアルによるスムーズな操作性を実現しています。
また、スチル用レンズの明るさは、計算上で算出したf値を使用するのに対し、シネレンズは実行値であるT値を採用しています。
f値は、焦点距離を有効口径で割った値で、理論値、すなわち計算上で出された数値です。しかし実際は、同じf値でもレンズの種類によってずれが生じます。これはレンズの透過率などが影響します。
写真では、この多少のずれはレンズを通して光量を計測するTTL測光である程度修正できるのと、1枚1枚が基本の写真では、レンズの差はさほど重要ではありません。
しかし動画、特にシネマ用途に於いては、明るさは作品の連続性を担保する上で重要なため、実際の明るさを表したT値が採用されています。

こうしたシネレンズは、近年のデジタルシネマとカメラの発展で小型化され、カメラの価格が下が敷居が低くなったことから、カメラと同時にシネレンズ市場も、活気が出ています。
海外メーカーが多かったシネレンズ、国産勢はFujifilm、SIGMAなどが参入しています。

SIGMAのシネレンズ

ところが、日本の光学メーカーの老舗であるNikonは、現状、シネレンズを販売していません。
かつては業務用レンズではトップクラスだったNikonですが、近年はそうした分野では後塵を拝しています。
その昔は、業務用テレビカメラ用レンズもラインナップし、8mmフィルムや16mmフィルムのムービーカメラとそのレンズ、Cine-Nikkorも販売していました。

Nikonがミラーレス一眼で動画も重視し、とりわけZ 9やZ 8のように、RAW動画やProResなどで撮影できるようになり、NIKKOR Zもその多くが動画撮影も意識してフォーカスブリージングを抑えた設計になっています。
しかし、本格的なシネマ系の動画撮影になると、フォーカシングはマニュアル、ズーミングや絞りも正確で滑らかに動くことが求められます。
こうしたマニュアル操作性を極限まで高めたレンズは、かつてのマニュアル一眼レフの操作性を彷彿とさせ、またその質感の良さや見た目のカッコよさも相まって、あえてスチルで使う人もいるくらいです。

ほんの少し前まで、スチル用のマニュアルフォーカスレンズを市販していたNikonですが、現在も業務用レンズではそうしたレンズをラインナップしていて、全く技術が失われたわけではなく、むしろやろうと思えば今からでもできる体制は整っているはずです。
ただ、世の中の流れに対して少し遅いのが最近のNikon、既にシネレンズは国内海外多数のメーカーが参入していて、日独のみならず、とりわけ中国などの新興メーカーも多く参入しているのが現状です。

果たして、それらに対抗できる、それらにない個性を持つことが出来るか、その辺りが勝負となるでしょうね。