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被写体認識精度上がった? Z 9のFW.200

息子がコロナウイルス陽性となり、家族全員濃厚接触者となって、只今絶賛自宅軟禁中であります。

ということで、Z 9の大幅機能追加されたFW Ver2.00も、まだ試せていないことが山盛り。ベランダから写真を撮るくらいしか試せません。
まずは目下の課題だった低輝度の被写体認識の向上は、さほど大きくなかった、という感想でしたが、日中の被写体認識は、結構改善されている気がしました。
例えばこんなに遠くの被写体。

Nikon Z 9 + FTZ II + AF-S NIKKOR 600mm f/4G ED VR + TC-14EIII(NX Studioのプレビュー画像をキャプチャ)

600mmにx1.4テレコンで、焦点距離850mm相当の超望遠でもまだ遠い、多分航空自衛隊のCH-47J(LR)ですが、オートエリアAFですが、こんな小さな被写体も、ちゃんと認識出来ているようです。でも、これくらいなら、一眼レフのAFでも認識できるとは思いますが。

海保のベル412EP(JA6756)

ドン曇りだと写真も映えないですね…。ベランダから撮った海上保安庁のベル412EP、ベル204以来、改良を重ねながら脈々と続くシリーズです。
この機体は1995年就役、そろそろ引退が近そうな年式です。

この週末は外出もできないので、Z 9の新機能のセッティングをしてみたいと思います。一眼レフに近い表示の仕方が出来る「ファインダー優先」は、一番使いそうな表示設定で、特に飛行機撮りには良さそうな機能です。
動画関連は…RAW動画なんかは、もう高機能すぎて一般ユースでは過剰性能ですね。

Nikon Z 9 ファームウェアVer2.00が出たので低輝度AFの改善具合を試してみた

2021年末の発売以来、小改良のファームウェア(以下FW)アップデートに留まっていたNikon Z 9ですが、発売当初より予告されていた8K60pを超える8.3K60pのRAW動画内部記録対応(N-RAWおよびProRes RAW)の他、8Kオーバーサンプリングの4K60p動画に対応(従来はオーバーサンプリングは30pまで)、フルサイズミラーレス初の「プリキャプチャ」対応(C30,C120のみ)、カスタムワイドエリアAF、ファインダーの高フレームレート表示対応、比較動合成など、多岐にわたる新機能追加と改善が入りました。

以前指摘した、慌てて戦闘機が飛んできてカメラを構えたらEVF真っ暗、というのも、アイセンサが事前検出してEVFを起動できるなど、一眼レフの使い勝手の良い部分(逆に今までのミラーレスの良くなかった部分でもある)を継承できる機能追加がなされました。これらは、EVF撮影が主体の撮影に於いては、大きな改善につなりそうですね。

今回のFWアップデートの中で、最も改善を望んでいた「オートフォーカスの安定性、追従性と低輝度での被写体検出性能を改善しました。」が、スチル撮影で最も気になる部分です。

スペック上はD850よりZ9のオートフォーカスの暗所検出性能は上だけど…

Z 9のオートフォーカス検出範囲は、

-6.5~19EV(スターライトビュー有効時:-8.5~19EV)
※静止画モード、シングルAFサーボ(AF-S)、ISO 100、f/1.2レンズ使用時、温度20°C

https://www.nikon-image.com/products/mirrorless/lineup/z_9/spec.html

となっています。

これに対してD850の場合は、

-4~+20EV(ISO 100、常温(20℃))

https://www.nikon-image.com/products/slr/lineup/d850/spec.html

となっていて、スペック上では2.5EVの差があることになります。
しかしこれまでのZ 9では、暗所になるとAFが遅く迷った挙げ句に合わない、ということが結構ありました。同じレンズ、条件でD850ならスパッと合うのに。

スペックをよく見ると、Z 9ではf/1.2レンズの場合で記載されていますが、D850ではどのレンズの場合なのか、特に記載がありません。常識的に考えると、NikonのFマウント用AFレンズで最も明るいのはf/1.4なので、 f/1.4レンズでの数値と考えられます。
それでも、f/1.4とf/1.2は1EVの差しかないので、Z 9にf/1.4のレンズを装着した場合は、-5.5~20EVの範囲でオートフォーカスの検出が可能ということになるはずです。
これで行くと、同じ明るさのレンズで1.5EVのオートフォーカス検出のアドバンテージがあるはずですが、実際にはD850のほうが暗所でもスパッとAFが合っていました、これまでは。
なので、Z 9の暗所AFのチューニングが未完成だったのかなと思っています。なにせ、EVF上ではしっかりコントラストも出ている被写体(肉眼ではほとんど真っ暗)でAFが合わないのだから、これはAF処理の問題だろうと思っていました。

Z 9のFWをVer2.00にアップデート

一眼レフのファームウェアと比較すると、ミラーレスのZ 9のファームウェアの容量は非常に大きく、如何にソフトウェアの性能がカメラの性能を左右するかが分かりますね。

Nikon Z 9のFW Ver2.00のファイルは95MBもある

なお、今回はこれまでのFW Ver1.11と2.00を比較するため、比較用動画の撮影途中でFWのアップデートを行っています。

前回のZ 9のファームウェアアップデートもそうでしたが、プログレスバーがなかなか進まないので、大丈夫かなと心配になりますが、実際は問題なく進行し、5分程度でバージョンアップは完了しました。

FWで低輝度AFは改善されたか?

今回は、FWアップデート前のVer1.11と、アップデート後のVer2.00で、暗所のAFがどれだけ改善されたかを試してみました。
Z 9は1台しかないので、ファームアップ前と後で、同じレンズ(AF-S NIKKOR 600mm f/4G ED VR)を使って、AFの速さを比較してみました。
もちろんスチルでは伝わらないので、動画で試してみた。
動画の場合は、AFは遅めに設定していますが、今回はスチル撮影をシミュレートするため、最速設定としました。

改善傾向は見られますが、劇的には改善していないようです。

1つ目のマンションは、Ver1.11ではAFが行ったり来たりするウォブリングが僅かにありましたが、Ver2.00ではスパッと合焦しました。
2つ目の煙突では、Ver1.11では全く合焦せず、Ver2.00では何度か行ったり来たりを繰り返して、最後に合焦しました。
3つ目の給水塔?は、どちらのバージョンでも合焦せず。画面上では、マニュアルフォーカスできるくらいにコントラストは出ているのですが。

ちなみに同じ被写体を同じレンズで、D850の位相差AFセンサで合焦させたところ、1つ目と2つ目は一瞬でスパッと合焦し、3つ目は少し行ったり来たりしつつも合焦しましたので、改善されているとは言え、低輝度被写体ではまだD850に追いついていない感じです。

今回のFW Ver2.00は機能的にも大幅に改善されているため、これまで今一歩だった部分がどの程度良くなっているか、おいおいレポートしてみたいと思います。

BRONICA S2用 NIKKOR-P 200mm F4の描写 その5

本シリーズもこれで最後にします。

ふと、前ボケはどんな感じだろうと思ってこんな写真を撮ってみた。

BRONICA S2 + NIKKOR-P 200mm F4 (RVP50)

前ボケは二線ボケの傾向はあまりないですね。絞り開放での球面収差は少々過剰補正気味なのでしょうか。
一般に、絞り開放では球面収差はやや補正不足気味になっているレンズが多いのですが、中判カメラではフィルムの平面性もそうですが、その昔フィルムがメインだった時代は、今ほどボケ味ボケ味なんて感じではなく、三脚に据えて絞りは絞って撮る、というのがセオリーだったような。その時代の考え方なのでしょうか?

BRONICA S2 + NIKKOR-P 200mm F4 (RVP50)

こちらはやや露出不足になったので、硬めの絵になってしまいました。それでも、半逆光ながら、暗部の階調はちゃんと出ていますね。

BRONICA S2 + NIKKOR-P 200mm F4 (RVP50)

二線ボケは、このくらいの距離だと気になりませんね。そしてボケのつながりが良いですね。立体感がよく出ています。
よく見ると、やや輪郭が出ているボケも見受けられなくもないけど、あまり気にならないですね。

さて、写真の彼はまだ38℃の熱が上がったり下がったり。PCR検査の結果はまだ出ないのですが、この感じだと怪しいかな。
そうなると、家族も濃厚接触者になってしまうので、しばらく学校や会社には行けないですね…。

BRONICA S2用 NIKKOR-P 200mm F4の描写 その4

すっかり気に入ってしまったこのレンズ。
わざと逆光で撮るとどうなるかな?

BRONICA S2 + NIKKOR-P 200mm F4 (RVP50)

スキャンでは、ちょっと無理やり暗部の階調を持ち上げていますが、逆光にも関わらず、割とヌケの良い絵が得られています。
このときは若干曇ってしまったので、Velviaでも彩度は冴えないですね。この撮影は2月だったので、珍しく東京でも雪が降ったときの残雪が写っています。

BRONICA S2 + NIKKOR-P 200mm F4 (RVP50)

天気がコロコロ変わって、晴天になると、Velvia50の本領発揮です。やはりこのフィルムは、順光で晴れたとき、あるは夕暮れなどドラマチックな光で威力を発揮します。

BRONICA S2 + NIKKOR-P 200mm F4 (RVP50)

この状況では、二線ボケは気にならず、背景の立体感がよく出ています。
絞り開放では、ややハイライトににじみはありますね。やっぱりVelvia50、順光では濃厚な色合いが出ていて良いですね。

写真の息子、只今保育園でコロナの濃厚接触者になってしまい、本人も発熱中。PCRは結果待ちの状態です。
さてどうなるか…。

BRONICA S2用 NIKKOR-P 200mm F4の描写 その3

ややローキーな露出だけど、返ってそれが良かったかな。

自転車の練習中、だいぶ乗れるようになったね

地方暮らしだった自分の子供の頃と違って、今東京に住むと、なかなか練習が難しいのが自転車。袋小路の道路ならいくらでも練習できるけど、こちらだとある程度広い公園じゃないと難しい。まして家の前の道路は幹線道路なので、なおさら無理。
こうして機会を作って練習しないと。

そして、中望遠なのに左右逆像ファインダで、しかもマニュアルフォーカス。これで自転車に乗る子供を追う。でも昔はこれが当たり前だったんだよね。

だんだん調子に乗ってきた顔w

最初うまく乗れなくて半べそだった息子も、慣れたらこの顔。しかしVelviaの50の方は、やはり露出が難しいね。ちょっとアンダー気味。やっぱり露出計が示した値の+0.5段くらいは絞りを開けたほうが良いですね。
ただコントラストが高いので、露出を上げるとハイライトが白飛びしちゃう。こういう撮影では、VelviaよりもかつてのASTIAのほうが向いているのですが、もう無いフィルムの話をしても仕方ないですね。

やはりこのレンズ、ボケの輪郭が出てますが、不思議と硬い感じはしないです。背景を選びますが、1枚目はコマ収差の影響が見られるのは奥の建物(LIVIN光が丘店)に、見られる程度です。
時間帯が時間帯だったので、ほぼ絞り開放で撮影していますが、このレンズは積極的に絞り開放で撮って良さそうなレンズです。
前期と後期で光学系が変わっていますが、描写はどう変わるのだろうか? 気になるのですが、もはやこのレンズ、なかなかネットに作例がなくって。
Flickerに作例がありますが、背景ボケ、どうも違う気がしますね。ここでは前期か後期かがわかりませんが、どうやら描写は異なる感じですね。出物があれば、世代の違うものも試してみたいですね

充電が終わらない充電器MH-33 新品交換されました

Nikon Z 9付属の充電器MH-33ですが、購入時から、充電がいつまでも終わらない、という不具合がありました。

症状としては、バッテリーEN-EL18dを、Z 9付属の充電器MH-33とPD給電の本体充電アダプターEH-7Pを使って充電しても、50%→80%→100%と残量表示だ点滅し、最終的に点灯となって充電完了する、はずなのですが、いつまでも100%で点滅状態のままとなっていました。

ちなみに同じ症状の方がいらっしゃるようです。

どのバッテリを入れても充電完了にならない

手持ちのバッテリは、Z 9付属のEN-EL18dと予備の購入したもう1本、およびD850のMB-D18用に購入したEN-EL18bが3本。
このどれを充電しても、充電完了の点灯表示となったのはわずか1回のみでした。それ以外は何を充電しても同じ結果です。
ただし、数時間経過していれば充電自体は終わっているようで、それをカメラに入れると残量は100%となっています。

充電自体はできていますが、100%で点灯のまま終わらないのは怖いので(Li-ionバッテリは過充電で発火の危険性あり)、重い腰を上げてNikonに連絡しました。買ってから3ヶ月以上経過してるんですけどね。

サポートから、端子の清掃をお願いされましたが、それはもうやっています。ということで、MH-33を修理センターに送付してくださいとの連絡がありました。
ということで、3月末に修理センターへMH-33を発送しました。発送は保証期間内ですが、元払いなんですね。

なお、本体充電アダプターEH-7Pの発送は特に言われなかったので、発送していません。これがあれば、充電器がなくても、Z 9本体に直接取り付けてバッテリ充電が可能です。この辺り、仕様的にも助かりますね。

新品に交換へ

そして、ニコンの修理センターより電話連絡があり、症状を確認できたので、新品に交換します。交換なのでシリアルナンバーが変わります、とのことでした
恐らく、既に同様の不具合がいくつかあったからだろうか、比較的スムーズに新品交換となりました。
Nikonで過去に多くのデジカメを購入しましたが、このような充電不具合は初めてです。

そして新品となって戻ってきました。

Made in Chinaです。だからというわけでもないですが、なんだか不具合を目の当たりにすると、品質管理大丈夫かな…と思ってしまいます。フラッグシップ機の充電器ですしね。

届いたMH-33の製造は2021年9月

シリアルナンバーですが、上から2桁目が製造年の末尾で2021年を示し、3桁目の9が9月製造を示します。ここは16進数表示なので、例えば10月製造だとAとなるようです。
末尾の数字から見ても、補修用部品として初期ロットの製造と思われます。
まだバッテリが十分残っているので充電は行っていませんが、問題が解消されていると良いのですが。


まもなくZ 9の大幅アップデートのFW Ver2.00が公開されるので、FWアップデートしたら色々試してみたいと思います。特に低照度時のAFが改善されているようなので、比較テストしてみたいと思っています。

BRONICA S2用 NIKKOR-P 200mm F4の描写 その2

昨日載せたのと似たような写真だけど、息子と公園で遊びがてら撮っているので、その展ご容赦いただきたいです。

BRONICA S2 + NIKKOR-P 200mm F4 (RVP50)

ある意味、この時代のNikkorレンズらしい描写とも言えるかな? ボケ味にやや二線ボケの傾向はあれど、グルグルボケになる傾向はなし。
これは非点収差が極めて少ないことを意味します。

BRONICA S2 + NIKKOR-P 200mm F4 (RVP50)

往年のエド山口か!というカッコつけポーズを決める我が子。
このくらいだと、二線ボケも気にならないです。背景をやや選びますが、ピント面とボケの繋がりも滑らかで、ポートレイト向きのレンズかもしれません。
200mmはやや長めかな、と思っていましたが、案外この焦点距離も悪くないな、と思った次第です。

BRONICA S2用 NIKKOR-P 200mm F4の描写 その1

もう2ヶ月前に撮影したフィルムのスキャン、なかなか出来ていなかったけど、やっとこさスキャンを開始。

BRONICA S2用の中望遠レンズ、NIKKOR-P 200mm F4を入手し、撮影してみました。

BRONICA S2 + NIKKOR-P 200mm F4 (RVP50)

暖色系の色合いですね。この日デジタルで撮った写真も、2月の夕方の撮影らしく暖色でしたが、リバーサルフィルムではフィルタなどで補正しない限り、客観的な色再現となります。人間は見たものをある程度脳内補正するので、その現場ではあまり感じませんが、まだ冬の、夕方が早く来る季節感が出ている…と個人的に思っています。

なお写真に写る息子が半袖なのは、彼が真冬でもこの格好だからです(笑

フィルムはFujichrome Velvia 50(RVP50)、Velviaといえば、富士フィルムのカラーリバーサルフィルムでは、最も高彩度で低感度のフィルムです。
現在では、ISO感度50と100の2種類が売られているVelviaですが、その昔はVelviaといえばISO感度50のものしか無く、しかも実効感度はISO32などと言われ、低感度で少々扱いにくいフィルムでした。画質は硬調高彩度で、PROVIA100Fのような標準階調のリバーサルよりも、ぐっと濃い色の写真が撮れます。
感度が100と50に分かれた現在も、50のほうは昔のVelviaの印象が強く残っています。
低感度かつ実効感度がさらに低いため、露出計の示す値よりも少し露出を上げたほうが、より鮮明な印象の絵となります。
今回は、MINOLTAの入射光式の単体露出計で露出を測った上での撮影でした。わりかし適正露出で撮れたかな?

BRONICA S2 + NIKKOR-P 200mm F4 (RVP50)

この日は夕方とは言え晴れていたので、15時位ではBRONICA S2の最高シャッタースピード1/1000秒では、絞り開放で撮れず、この2枚は確か1段絞ったf5.6だったと思います。それでも中判だけに、なかなかのボケですね。背景の距離によっては、やや二線ボケがありますが、その立体感のある描写ははなかなかのものです。2枚とも手持ち撮影、動き回る子供を、左右逆像ファインダーで撮るのは至難の業ですが、まあまあピントも合っていますね。


ところで、2022年4月5日時点で、フィジフィルムよりこんな発表がありました。

【「リバーサルフィルム 120サイズ」一時販売中止のお知らせ】
日頃より、フジフイルムモールをご利用いただき、誠にありがとうございます。
「リバーサルフィルム120 サイズ」につきまして、原材料調達不足により十分な製品供給を行うことが困難な状況となり、当面の間は需給が逼迫することからフジフイルムモールでの販売を一時中止いたします。
お客様にはご迷惑をおかけいたしますこと深くお詫び申し上げます。
なお、販売再開につきましては、ホームページにてご連絡させていただきますので宜しくお願い申し上げます。

https://mall-jp.fujifilm.com/shop/#filminfo

ということで、富士の120サイズ(中判)のリバーサルフィルムは、現在入手できないようです。Amazonでもヨドバシカメラでも、在庫切れとなっています。
再販が待ち遠しいですね。

動画や日常スナップ用にNIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VRを導入

レンズやアクセサリ類を売却し、新たに導入したのが、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR。Zマウント用の高倍率ズームレンズです。
既に先月より、本ブログの写真でも、このレンズを使っています。

NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR ブラック 01
NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR

高倍率ズームは、これまでマイクロフォーサーズ用のLUMIX G VARIO 14-140mm / F3.5-5.6 ASPH. / POWER O.I.S.や、FマウントDXフォーマット用のAF-S DX NIKKOR 18-200mm f/3.5-5.6G ED VR IIは使用経験がありますが、フルサイズ用は、フィルム時代からを含めて初めての導入となります。
高倍率ズームは、フィルム一眼レフがAF全盛期に入った1992年に発売したTamronの28-200mm(Model 71D)が有名ですが、実はNikonは1985年にMFレンズでAi Zoom Nikkor 35-200mm F3.5-4.5S、という高倍率ズームを発売しています。しかも解放f値はF3.5-4.5と、高倍率ズームにしてはかなり明かるめです。なので、案外Nikonにとって高倍率ズームは歴史が長いのですね。

Zマウントレンズは、安価なものから高級レンズまで、どれも評価が高く、S-Lineではない本レンズも例外ではないようです。
Twitterのフォロワーさんの作例や、いろいろなブログを見て、これまでの高倍率ズームとは一線を画す画質、そして軽量コンパクトというのが決め手となりました。
動画撮影にも高倍率ズームがあれば便利かなと思いまして。
スナップ写真でも、純粋な記録写真の場合、明るい解放f値も必要ないですし、それよりもレンズ1本で様々な画角をパッパッと撮れることを第一とした場合、こういうレンズは便利ですからね。
それでも今までFマウントでこの手の高倍率ズームを使わなかったのは、やっぱり画質に対するネガが大きいのと、暗いズームでファインダが見づらくなるのが嫌だったからで、ミラーレスのZならその点を払拭してくれると期待した上での購入です。

新しいZ 24-120mm f/4Sも気になりましたが、まだ出たばかりでややお値段高め(それでも予想よりは安かった)のと、VR(手振れ補正)非搭載(フルサイズのZならボディ内手振れ補正があるのでまず問題なさそうだけど)、せっかくなら高倍率ズームを試したかった、ので、見送りました。どうせ標準ズームを買うなら、頑張ってf2.8が欲しいですし。

軽量コンパクトなレンズ

Fマウントの大三元の標準ズーム、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VRと並べてみました。


それぞれ設計思想が異なるので、単純に比較はできませんが、24-200mmの方が二回り位コンパクトなのがわかります。AF-S 24-70mm f/2.8Eは、ミラーボックスがあり、かつ口径の小さいFマウントで、最高の性能を得るために、光学性能を最優先で設計されているため、ちょっとした望遠レンズ並みに大きくなっていますが、Zマウントの24-200mmでは、大口径のマウントを生かしつつ、f値を抑えて軽量コンパクトに仕上げています。
両者の設計思想はだいぶ異なるといってよく、この両者で優劣を決めることはできませんが、望遠端200mmまで使えて、これだけコンパクトなのは、レンズ1本で済ませなければならない場合には重宝します。
AF-S 24-70mmが1,070gもあるのに対し、Z 24-200mmは半分近い570g! この差は大きいですね。
Z 9がそこまで軽くないので、全体としてのバランスはややカメラ側に重心が行く感じですが、バランスは思ったほど悪くないですね。

光学断面図を見ると、レンズマウントギリギリまで後玉があり、かつ径も大きく、このレンズはZマウントだからこそ出来たレンズと言えます。

逆に、それだけFマウントは光学的に制約が多かったということでもあります。

特にライバル他社と比較して、ズーム倍率を若干抑えた24-200mm(CanonやSONYは24-240mm)としているのも、小型化と高画質化に寄与しているように思います。

速くはないが静かで滑らかなAF

AF-S 24-70mmf/2.8Eは、超音波モータを採用し、従来のG型の超音波モータより1.5倍にAF速度がアップ、爆速AFを実現していますが、Z 24-200mmは、Zマウントの殆どのレンズで採用されている、STM(ステッピングモータ)をフォーカス駆動に使用しています。
STMはパルス制御により、回転速度を自在に変えるのが得意なモータです。このため、動画撮影も重視されるミラーレス一眼用のAF用モータとして採用例が多く、特にNikonはNikon 1シリーズやZシリーズでは、多くのレンズにSTMを採用しています。
ただしSTMは、超音波モータより瞬発力は劣るようで、超望遠レンズのような大型のフォーカシングユニットを駆動するモータには、超音波モータやリニアモータの採用が多いようです。

この焦点距離くらいだと、STMでもAF速度に問題はなさそうです。無音でスーッと合います。動画も滑らかに被写体を追従する印象ですね。
動作音もほぼ無音です。スパッと切れの良いAFではないです。ここは価格なりです。
AFは、速くもなく遅くもなく、といったところですが、滑らかにスーッと合う印象です。特に動画撮影では、ウォブリング(AFが行ったり来たり)もなくスーッと合うので、不自然さがありません。
Fマウントの超音波モータの場合、スチル撮影前提なので、動画撮影しようとすると、カメラ側で速度を抑える設定にしても、AFが不自然に速くて行ったり来たりを繰り返すのと、カタカタ動作音も発生するので、このレンズのAFの滑らかさは動画撮影にも向いていますね。

S-Lineレンズではないため、レンズ鏡胴部にAF/MF切り替えスイッチがないのが不満ですが、このレンズでMFが必要なのは、かなり周辺が暗い状況でAFが合わないとき、位でしょうね。
もちろん、コントロールリングのフォーカス割り当てで、フルタイムMFが可能です。

ズームリングも適度な重さがあり滑らか

スチルと違って、動画ではズーミングしながらの撮影も多くなります。
これまで、動画はLUMIX GX7MK2/3にG.VARIO 14-140mmを使用してきましたが、ズームリングの動きがぎこちなく、グリスが抜けたような印象で引っ掛かりがあったりします。値段なりと言えば値段なりの作りですし。
その点、Z 24-200mmは、完ぺきとは言わないまでも、ずっと滑らかにズーミングできます。重さも適度で、引っ掛かりもありません。重心移動も少ないのもよいですね。
広角端でズームロックするスイッチがありますが、ロックせずカメラを下に傾けても、自重でレンズが伸びてしまうこともないです。

最大5段分の手振れ補正はよく効くが、動画では少し不満も

Nikonの24mmからのズームレンズでは、今のところ唯一、手振れ補正(VR=Vibration Reduction)を搭載。
一般にレンズ内蔵の手振れ補正は、望遠側ほど効果が大きいため、200mmまでの本レンズでは、ボディ側の手振れ補正では不十分と判断したのでしょう。
今のところ、その他のZマウントの標準ズームには、VRは搭載されていません。
5段分の手振れ補正は、望遠側ほど補正能力の高さを感じる一方、広角側はもう一歩と思うことも。
他メーカーなら、ボディとレンズ双方の手振れ補正を協同させる機能がありますが、現時点で、NikonはZ9とのシンクロVRは24-200mmは非対応で、レンズ側のVRに依存します。
特に望遠側では効きを実感できますが、広角側ほど弱くなる印象です。ここは、早くシンクロVRにも対応してほしいところです。

また、動画撮影時は、手振れ補正がよく効く分、補正の範囲を超えると、いきなり大きくフレーミングするような挙動をすることもあります。
Z 9は4K60pまでなら、電子手振れ補正も併用できるため(そのぶん画角は狭くなります)、併用ならそのあたりもう少し滑らかに動作します。
手振れ補正はCanonに後れを取っている感じがあり、シンクロVRはぜひ早めに対応して欲しいですね。

外装は値段なりだが防塵防滴

見た目は正直…、高級感はないです。安っぽくもないですが。ただし、防塵防滴(に配慮)となっているのはよいですね。

フードも大三元レンズのようなガッチリさはなく、そこまで剛性のないごく普通のタイプです。もっともこの値段だとこんなものでしょうね。
かつての一眼レフ用AF-S 28-300mmよりも定価では若干安くなっていて、コスパもよいです。

画質インプレ

外れレンズがない、どのレンズも画質が驚くほど良いZマウントとは言え、所詮高倍率ズーム、便利さや動画撮影優先で考えていました。
撮りました→ナニコレ本当に高倍率ズームなの!? となりました。絞り開放でも抜けが良いですね。

逆光でもなかなか抜けが良い描写

f値が暗く、f5~f6.3とは言え、過半数のズーム域で開放f値はf6.3となる、かなり暗いレンズです。Fマウントではまずあり得ないスペックです。
こんなに暗いレンズだからなのか、f値を欲張らなかったからなのか、開放で撮って割と立体感が出ます。もちろん暗いので大してボケませんが、ボカす必要のない被写体ならこれで十分です。
暗いレンズなので、殆ど開放か、せいぜい絞ってもf8までしか使わないので、絞りはほぼ開放でも問題なさそう。
広角側も中間も望遠側も、どの焦点距離でも絞り解放からしっかり解像力があるのが良いです。基本高倍率ズームは、望遠側ほど1段絞って使いたいな、と思わせる位の解像力低下と収差があるものですが、このレンズはどの焦点距離でも、画質が安定しています。

歪曲は、Z 14-30mmと同様、自動補正が入っていて、切ることはできません。なので、素の状態では、恐らく歪曲はあるでしょうけども、補正をされていても画質や解像力はほとんど気にならないですね。

湾曲補正により画質低下は殆ど感じない

最短撮影距離は広角側で50cm。これだけ聞くと、あまり寄れないな、という印象かもですが、望遠端での最短撮影距離は70cmで、望遠にしては寄れます。撮影倍率は0.28倍で、実際にはこのスペックはNIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S(最大撮影倍率0.22倍)より大きく、テーブルフォトのように被写体からあまり離れられない、という状況以外では、実用上はほぼ問題ないレベルです。実際使っていて、不便さは感じません。

f8に絞ればほぼ解像力はピークに

解像力は、絞り開放から結構よいね。私が好きな繊細な描写とは違う方向ですが(それをこのクラスのズームレンズに求めるのは酷)、被写体や光線状態によって、やや線が太い描写になることもあれど、どの焦点距離でも安定しています。
特にこの手の高倍率ズームの望遠は、コマ収差や非点収差が多めで、解像力低下とはまた違った画質低下がありますが、本レンズはそういったネガもほとんどないです。なので安心して200mmも使えますね。

望遠側も不満のない画質

そんなわけで、想像していたより遥かによく写るレンズで、日常スナップ用に常用決定です。
ここぞというときには、AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VRですが、通常撮影では、この1本で事足りますね。
便利と引き換えに画質のネガな部分があって、避けてきた高倍率ズームでしたが、、本レンズはごくごく一般の標準ズームのように使えるので、使用機会が増えそうです。これに明るい単焦点が1,2本あれば、もうそうそう不満なく撮影できてしまいそうですね。

手持ちのAF-S 200-500mm f/5.6E ED VRとこのレンズの2本で、広角から超望遠まで、2本で撮れてしまうのはかなりメリットが大きいです。
実は、この組み合わせで、先日のYOKOSUKA軍港めぐりで撮影しましたが、いやはや便利。Z 9とD850を使ったので、レンズ交換なしでこの2本で撮れるのは便利です。
良いレンズです。Zマウントの望遠も、200-600mmの開発が予告されていますが、それが発売されれば、幅広い焦点距離をカバーできて完璧ですね。

まとめると、

●良い点

・小型軽量
・全域絞り開放から高倍率ズームを意識させない、抜けの良い画質
・逆光耐性もそこそこ良い
・24mmからのズームレンズで唯一手振れ補正(VR)内蔵で望遠側の手振れに強い
・上級レンズほどではないにしろ、防塵防滴に配慮

●いまいちな点

・開放f5-6.3と暗いf値で、50mm辺りからf6.3なので、絞りのコントロール幅は狭い
・外観は値段なり
・AFは遅くはないが速くもない

と言ったところでしょうか。

あと、Z 9との組み合わせでは、ボディの方がオーバースペックな気もします。
せっかくレンズが小型なので、ボディもそれに見合ったものが欲しくなります。値段もこなれてきた初代のZ 6もよいし、クロップ耐性やZ 9と同じ画素数ということで、Z 7系も良いかななんて思います。
Z 6/7系はいろいろダメ出ししてきましたが、サブ機として使う分には問題ないかな。
ただ、やはりブラックアウトフリーのZ 9に慣れてしまうと、ちょっとそれ以外のミラーレスはもどかしい気もしますし。

というわけで、どちらかというと動画のために買ったレンズなのに、スチルも結構いけるぞ、となってうれしい誤算です。Zマウントユーザーなら1本持っておいて損はないレンズですね。

JJC Japanから頂いたKIWI fotosのリモートスイッチ

先日、AF-S 200-500mm用にJJCのレンズポーチを購入しレビューしたら、JJC JapanさんよりTwitterフォローされまして、プレゼントキャンペーンに応募したら、見事当選しました。

当選しました!

そしてDMを頂き、しばらくして商品が届きました。Amazonから届いたから、あれ何か買ったっけ?と思ったら、当選商品でした。

JJCブランドじゃないの? JJCがKIWI fotosの製品を扱っているということかな? 今はチャイナブランドの商品は多岐にわたっているので、この辺の事情はよくわかりませんが、どちらのブランドもAmazonだけでなく、ヨドバシカメラやエツミなども扱っているので、そこそこ名が通っていますね。

さて、DMには特に使っているカメラのメーカーなどは聞かれていませんが、多分プロフを見たのでしょうね、私がNikonユーザーということで、リモートレリーズのNikon用が送られてきました。
しかも、10ピンターミナルを使う、MC-30の互換品のようですね。Nikonはミドルクラス以上のFマウント機に、RS-232C通信の10ピンターミナルを備えて、アクセサリを接続できるようにしていましたが、近年はUSB接続が一般的になって、これまでのNikon Zシリーズでは、古い10ピンターミナルはなくなっていていましたが、Z 9で復活しています。過去のアクセサリと互換性を持たせているのはすごいですが、シリアル通信をわざわざサポートしているのは興味深いですね。今や、スマホやPCなどでもレリーズはできますし。

学生時代に買って、四半世紀愛用している、NikonのリモートレリーズのMC-30を並べてみました。年季が入っていますね。このアクセサリがAFフィルムカメラから、最新のZ 9まで使えてしまうのが面白いですね。
MC-30は、現在は型式がMC-30Aとなって販売されていますが、形状は基本的に変わっていません。半押しと全押しのストロークが長めにとってあり、わかりやすいです。
対して、KIWI fotosのリモートスイッチ(英語表記はCALBE SWITCH)は、シャッターボタンに剛性感がなく、ややグネグネとしていて、半押しまでのストロークは浅いです。全押ししたときも、やはりグニャッとした剛性感があまりない感触です。ここは値段の差が一番出るところでしょうか。
シャッターボタンをを押したまま上にスライドさせると、ボタン押しの状態のままホールドされるので、Bulb撮影に重宝します。ちなみに、MC-30/MC-30Aにも同様の機能がありますが、このHOLD機構については、KIWI fotosのほうが片手でできるので使いやすいです。

Nikon Z 9は伝統のシリアル通信の10ピンターミナルが復活

Z 9に取り付けてみました。純正品と違い、10ピンターミナルの向きを示す指針がないので、挿し込みづらいのが難点でしょうか。
ちゃんと問題なくZ 9でも使えました。恐らく私の手持ちのフィルム機F100やF90Xでも使えるでしょうね。

最近は、スマホや専用のワイヤレスリモコンからレリーズ可能となり、だんだんこの手のワイヤードのリモートレリーズの出番は減ってきましたが、やっぱりスマホレリーズと違ってレスポンスが良いので、あると便利なアイテムではありますね。特にBulb撮影では重宝します。
ありがたく使わせていただきます。JJC Japanさん、ありがとうございました。