「カメラ・レンズ関連」カテゴリーアーカイブ

【4ヶ月使ったレビュー】NIKKOR Z 180-600mmは航空機やスポーツ撮影に適した入門望遠レンズ

2023年8月31日に発売され、事前予約で真っ先に手に入れたNIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR

NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VR導入

タイトルに結論を最初に書いてしまいましたが、この数か月の望遠撮影では、Fマウント単焦点望遠レンズAF-S NIKKOR 600mm f/4G ED VR(以下ロクヨンG)と共に、このNIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VRで撮影をしてきました。荷物を減らしたい撮影状況でも、Z 180-600mmは活躍しています。
そもそもAF-S NIKKOR 600mm f/4G ED VRは、気軽に持ち出せる重量サイズのレンズではないので、Z 180-600mmの出番の方が多くなっています。

私の戦闘機・航空機撮影のメインレンズは、現在もあくまで単焦点レンズのロクヨンGですが、ネイティブなZマウントの最新レンズであるNIKKOR Z 180-600mmがどの程度航空機撮影が可能か、また画質やAFの速さはどうか、簡単に比較していこうと思います。
また、息子がサッカーを始めて、試合を撮る機会も出てきたので、サッカー撮影についても書こうと思います。
このレンズの撮影はほぼ動態メインとなっているため、静態撮影中心の方と少し評価が違うかもしれない事をご了承ください。
野鳥撮影も行わないため、被写体との距離は離れた場面が多いです。

●サイズ・重量・操作性

全長は315mmとやや長め。縮めた状態のAF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VRよりも48mm長いため、カメラバッグは選ばなければなりません。

180-600mm用にレンズケースNikon CL-L2を購入しました

ただインナーズームなのでズーミングに係わらずレンズが伸びないのが特徴です。
伸びるズームの場合、重心変化が大きい、レンズに埃が入りやすいといったデメリットがある反面、ズームの広角側ではレンズ全長が短くなるため、持ち運びの点では有利です。
ズームで伸びないのは、個人的にはメリットが大きいと思い、特に望遠域での重心変化は、ブレの発生具合にも影響してくるので、大きなメリットです。
ズームリングの回転角度は70度と小さいため、、AF-S 200-500mmより高倍率になったにも関わらず、ズームリングを持ち直すことなくズームの端から端まで移動でき、素早いズーミングが可能です。
かつて使っていたSIGMAの150-600mm Sportsは、伸びるズームを生かして直進ズームのように使うことが可能で、これはこれで便利でしたが、ズーミングしたときの重心移動が厄介でした。そもそもレンズ重量も2,860gと割と重かったですし。
またAF-S 200-500mmはズームの回転角が160度近くあり、素早いズーミングに難ありでした。
それと比べると、Z 180-600mmは小さな回転角と、リングのトルク変動もほぼなくスムーズなので、使い勝手は良好です。

Z 180-600mmは重量も2,140gと比較的軽量。ただこれを軽量ととるか、重いととるかは人それぞれ。私は何せ5,060gの重量級なロクヨンGを使っているため、それからしたらずっと持っていられるくらい軽量に感じます。少なくとも長時間手持ち撮影も苦にならないレベルです。
これが初めての超望遠ズームという人には重く感じるでしょう。ただ、これより軽いとなると、フルサイズならNIKKOR Z 600mm f/6.3 VR Sと言ったやや暗めの単焦点か、M4/3など小さなフォーマットのカメラ&レンズを使うしかないでしょう。
600mmという焦点距離は、それなりの覚悟は必要なレンズです。買っても扱いきれずに手放す割合が高いのも、この手の超望遠レンズだったりします。

操作性は、まず本体スイッチとボタンは必要最小限で、フォーカのA/M切替とフォーカスリミッター、そしてL-Fn1ボタンがあります。
手振れ補正の切替はボディ側のメニューからの設定で、私は手持ち撮影が殆どで、ほぼSportsモードしか使わないので、本体側の切り替えスイッチが無くても困らないです。
L-Fn1ボタンにはAFロックやAF ONなど、あらゆる機能が割り当てられますが、私はロクヨンGと同じ、フォーカス位置呼び出しを割り当てています。
万一フォーカスを大外ししても、無限遠手前位にフォーカスが来るように設定しているので、このボタン1つでもあるかないかは大違いです。AF-S 200-500mmやSIGMA 150-600mm SportsにはFnボタンはありません。

マルチコントロールリングは、デフォルトのフォーカスリングの設定で使っています。
息子のサッカーの試合では、選手が入り乱れた場合に、息子以外にフォーカスが持っていかれることがあったため、コントロールリングを併用しフォーカスを時々MFとして使いましたが、概ねリ回転角に対しリニアにフォーカスは追従します。使い勝手はAF-SやSIGMAのHSMのリアルタイムMFと大きく変わらない印象でした。

ほぼAFで問題ないけど、とっさのMF操作も概ね良好

ズームリングのすぐ手前にコントロールリングがあるので、ほぼ持ち替えせずにフォーカスリングからコントロールリングに手を伸ばせるので、さっとMF出来るのも良いですね。

使い勝手については、トータルで満足です。

●解像力

まず画質で一番わかりやすいのが解像力です。
Zマウントレンズは、安価なものも含めて、解像力不足を感じることはほぼなく、特に画面周辺ではFマウントの同クラスのレンズと比較しても、安定した解像力を提供してくれます。
Zマウントでは高倍率ズームのNIKKOR Z 24-200mmでも従来の高倍率ズームのネガを感じさせないくらい、画面の隅々までしっかりと解像します。
レンズは望遠になるほど、光学設計上後玉(一番カメラ側についているレンズ)も撮像面から離れるため、一眼レフとミラーレスでの差は少ないと言われています。
しかし、実際にはZマウントの180-600mmは、Fマウントの同クラスのレンズであるAF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VRを確実に越える画質を提供してくれました。
元々FマウントのAF-S NIKKOR 200-500mmも比較的良好な解像力でしたが、Z 180-600mmは全焦点距離でさらに一皮むけた印象です。
少なくとも、AF-S 200-500mmや、Tamron, SIGMAの150-600mmクラスからの買い替えでは、解像力は確実に向上します。
各種収差の少なさも、解像力に貢献しているでしょう。

航空機のディテールもよく出ています

中心付近は、どの焦点距離でも絞り開放から解像力は高いです。画面隅は比較するとやや低下する傾向はあるもの、一眼レフのレンズと比較するとその差は大きくはなく、
安定しています。1段絞れば周辺解像力も向上しますが、私はほぼ絞り開放でしか使っていませんが、画質低下は殆ど感じられないので、安心して絞り開放から使えます。
SIGMAは600mm付近は少しだけ絞ったほうが良好、AF-S 200-500mmは開放から問題なく使えるも、少し絞ったほうが良くなりました。それと比較しても、Z 180-600mmは航空機撮影ではほぼ絞り開放で問題なかったです。

実のところ、解像力だけの話をすると、条件にもよりますが古い単焦点のロクヨンGにかなり迫っていると思いました。ほんとうに技術の発達にはビックリです。
もちろん、しっかりブレなく撮れた場合は、古くても単焦点のロクヨンGの方が圧倒的にしっかりと解像するものの、その差は以前の望遠ズームよりも縮まってきていると言えます。
条件によって、と書いたのは、やはり被写体との距離や明るさ、コントラストの条件の変化が大きくあっても、古くても単焦点レンズの方が安定性は抜群に高いです。そこは明確にズームと単焦点レンズの差が出るところです。特に最短撮影距離付近では、Z 180-600mmはやや画面隅の解像力が低下する傾向は感じます
なので、このZ 180-600mmは単焦点望遠よりは各種条件での安定性(解像力だけでなくボケ味など総合力)は一歩引くものの、日中なら殆どの場面では十分な高画質を発揮できるレンズと言えます。
望遠レンズに於いて、画面の隅までカリカリに描写させる場面は少ないと思いますが、遠景の風景などは、2段絞ると、隅々まで解像力が上がります。

●ボケ味

味、と表現するように、好みの分かれる部分です。
f値の大きなズームレンズだけに、広角側でのボケはやや中途半端です。
また、背景の距離と被写体によっては、ややボケがざわつくこともありますが、それでもAF-S 200-500mmと比較しても、背景ボケは滑らかに感じました。

後ボケは悪くない
ズームと考えれば後ボケは素直

後ボケと前ボケ、前ボケのほうがざわつく印象はあります。

前ボケは少しざわつく印象

ただ、一般に後ボケのほうが重視されることは多いので、この手のズームではこんなものかな、という感じですね。決してうるさいボケというところまではならないです。

単焦点には敵わないものの、この価格帯の望遠ズームとしては大きな欠点はなく、良好です。
望遠側で口径食が少し発生するようですが、玉ボケを気にするような撮影をしなければ、特段欠点にはならないでしょう。

●倍率色収差・軸上色収差・球面収差

いずれの項目も全く気にする必要はなく、RAW現像で倍率色収差のチェックを外しても、色収差は気になりません。軸上色収差も実写では全く気にならないですね。
最短撮影距離付近で、やや球面収差による影響があるような…気がしないでもないです。最短撮影距離付近では
解像力低下を感じるのは、球面収差の影響かもしれませんが、あからさまに目立つほどの球面収差ではないかと思います。

●湾曲収差

糸巻き歪みは補正を外すとあるようですが、大きくはないため、補正をした所で画質に影響は感じられません。
常時補正で良いでしょう。
コマ収差は、そのような撮影シチュエーションがないため未評価です。

●AF速度

NIKKOR Z 180-600mmはAFモータにSTM(ステッピングモータ)を使用しています。
STMはパルス波による電流のON/OFFに高速に繰り返すこと(これをスイッチングと言います)でモータを回転させます。1パルスごとの回転角が決まっているため、パルスの発生回数で回転角を正確に出すことができ、またパルスを発生させる間隔を変化させることで、ゆっくり回すことも速く回すことも可能です。速度制御しやすく、エンコーダのような角度センサを別途用いる必要がなく、回転角度が正確という特徴があります。また静粛性も高く、ほぼ無音です。
半面、DCモータや超音波モータと比較してトルクがやや低めという欠点もあります。
このため、従来は比較的小型なレンズや、安価なレンズに用いられてきました。

航空祭のフォーメーションからのブレイク、こういうのは全く問題なくAF追従

Nikonでは、現状Zマウントレンズでは殆どがSTMを採用していて、高価な超望遠レンズの一部のみが、SSVCM(ボイスコイルモータ=リニアモータ)を採用しています。
NIKKOR Z 100-400mmは、ややAFが遅め、と言われていました。
本レンズに関しては、爆速ではないものの、超音波モータのAF-S 200-500mm比較しても速いと感じられるレベルです。超音波モータだから何でも爆速というわけではなく、結局のところ超音波モータでもレンズによって採用されるモータが変わりますし、f値にもよりますし、STMだからとかリニアモーターだからとか、一概に言えないです。
さすがに同じAF-Sでも、AF-S 600mm f/4G(ロクヨンG)の方がスパっとキレのある速さですが、Z 180-600mmもこのクラスのレンズとしては健闘しているほうでしょう。

A/Bを焚いての離陸も問題なし

ただし、コントラストが低い被写体で、時々AF速度低下を感じます。スーではなく、じわーといった感じに遅くなることがあります。
これはレンズのせいというよりは、カメラ側の問題でしょうね。Nikon Zの像面位相差AFは、少しでも暗いとあまり機能せず、コントラストAFに依存する傾向がありますが、自衛隊車両のようなカーキ系の車両のようにコントラストが低いと、さらにAFが合わなくなる場面が何度かありました。
この辺りは、レンズよりむしろカメラ側の改善を望むところです。

雨天では迷彩の99式自走榴弾砲より手前の雨粒にフォーカスが合うことも→素早くMF操作して撮影

戦闘機が十分追えるので、旅客機や大型軍用機程度の速度は何ら問題なく撮影出来ます。

大型機なら80年代のAF機とレンズでもAFで追えますからね

息子のサッカー撮影は、まだ小学校低学年なのでスピードはさほどではないですが、少なくともAFの遅さは感じず、3Dトラッキングでしっかり追いかけられていて、フォーカスが追い付かないことはないですね。

息子が始めたばかりのサッカーでもZ 180-600mmは大活躍!

このクラスのレンズとしては十分速いと言えます。モータの種類だけでなく、フォーカス群のメカ構成やカメラボディ側の性能で、AF速度は変わりますので、STMだから遅いという先入観は持たないほうが良いですね。

●総評

ポートレイトや風景、野鳥撮影では評価が変わるかもしれませんが、少なくとも私が良く撮る動態撮影の航空機、そして息子のサッカー撮影に於いては、なかなかのパフォーマンスで、このクラスの望遠レンズとしてコストパフォーマンスが高いレンズと言えます。
Nikon Zユーザーの超望遠レンズ入門として、広くお勧めできるレンズです。そしてさらに重箱の隅をつつきたくなったら、単焦点レンズの世界へどうぞ!
執筆時点(24年1月)でもまだ品薄なのが残念なところです。


↓専用ケースではありませんが、ボディを装着したままピッタリ入りますよ

created by Rinker
¥10,170 (2024/11/21 17:39:33時点 楽天市場調べ-詳細)

時代によるメカニカルシャッターの耐久回数の移り変わり

目指せ60万ショット! まだまだ使い続けますNikon D810

先日、ベランダに据えて富士山のインターバル撮影しているNikon D810、シャッターカウント数をショット数comで確認すると、56万回を超えたところでした。

公称20万回のシャッター耐久回数のD810だけど、既にその3倍近くに達している

Nikon D810の公称シャッター耐久回数は、20万回です。もちろん、これは設計上の目安としているものであり、実際はそれより早く壊れる可能性もありますし、その逆も然りです。それにしても、公称の3倍近く使えているということは、実際には余裕を見た設計をされていると思われます。

公称シャッター耐久回数ってどのくらい?

フィルムカメラ時代は、一般的なフィルムは1本36コマまででした。これを何本も撮るのはプロやごく一部のハイアマチュアに限られていたため、フィルムカメラ全盛期ではあまりシャッター耐久数が話題になることはありませんでした。

2000年あたりのアサヒカメラのNikon F3特集で、図書館で複写用に使われていたNikon F3が、シャッターを88万回切ったけど壊れなかった、という記事を見たことがあります。
一般にメカは適度に継続して使われると壊れにくいです。これは業務で使われるタクシーやパトカーが、廃車までに50万~80万キロも走ってしまうのと同様ですね。
実際調べた限りの公称シャッター耐久回数は、以下の通りです(間違っていたらコメントでご指摘願います)。

機種シャッター耐久回数
Nikon F215万回
Nikon F410万回
Nikon F515万回
Nikon F615万回
Canon EOS -1N10万回
Canon EOS-1V15万回
フィルムカメラのシャッター耐久回数

フィルムカメラ時代のフラッグシップ機は、概ね10万~15万回でした。如何にフィルムをたくさん使えるプロと言えど、フィルムは使えば使うほど金がかかりますから、今ほどシャッターを切れなかったですからね。それこそ一般のカメラマンだと、36枚撮りを月10本撮ったところで、1年で4320コマ+αです。10年使ってもまだ5万回、20年でやっと10万回、そんな感じですね。なので、報道のプロでもない限り、シャッター耐久回数をそこまで気にすることもなかったのが実情ですし、そもそも回数が電子的に記録できるわけでもないので(別売りのデータバックでシャッタカウントを記録ができるカメラもありましたが)、実際どの程度シャッターを切ったかは未知数ですね。

ちなみに私はNikon F90Xsが最初のNikon一眼レフでしたが、このカメラにはデータバックMF-26が搭載されていて、シャッターカウント数を記憶できました。MF-26のバッテリを外さない限りはカウントし続けるのですが、それでも数年使って1万ショット超えたかな、という程度でした。アマチュアの使い方だとそんなところでしたね。

一方、デジタルカメラの時代になると、メモリカード(フロッピーディスクを使うマビカなんてSONYのデジカメもありましたね)を買ってしまえば、後は現像要らずなので、メモリーいっぱいまで撮ることができるようになりました。
ただ、2000年代前半のデジタルカメラは、メモリーカードの容量もどんどん増えていけど、画素数もどんどん増えていった時代なので、1枚のカードで撮影できる枚数は、感覚としては100枚から数百枚程度でした。フィルムよりはたくさん撮れますが、それでもやっとフィルム時代のシャッター耐久回数を使いきれるかな、という感じでしたね。

これが2010年代以降から、次第に画素数のアップが落ち着き、メモリ容量だけはどんどん増え続けて行ったので、それこそ1回の撮影で数千枚撮るなんて事もできるようになってきました

そうなると、今度はメカニカルシャッターの耐久回数が気になるようになってきました。自分もNikon D850は、最初の1年で10万回もシャッターを切っています。フィルム時代なら、どんなに頑張っても20年はかかるであろうシャッター回数を、わずか1年で消費です。

ではデジタルになってからの公称シャッター耐久回数はどの程度でしょう?

機種シャッター耐久回数
Nikon D2X15万回
Nikon D330万回
Nikon D70015万回
Nikon D440万回
Nikon D80020万回
Nikon D640万回
Nikon D78015万回
Nikon Z 720万回
Nikon Z 8 / Z 9N/A メカシャッターレス
Canon EOS 1DX MarkIII50万回
Canon EOS R350万回
SONY α150万回
SONY α9II50万回(電子先幕シャッター使用時)
デジタルカメラのシャッター耐久回数

全メーカー各機種はとても書ききれないので、代表的なものを記載しました。

1999年Nikon D1は、公称シャッター回数の資料がありませんでした。Nikon D1の発売された1999年のCFカードの容量は、多くても128MB(ギガバイトではないですよメガバイトです)、小型のHDDを内蔵したマイクロドライブで340MBでした。
96MBのCFカード使用時、JPEG 1/4圧縮の設定で73枚、RAWではわずか23枚しか撮影できませんでした。JPEGならフィルム2本分撮れます。逆に言うと、デジタルとはいえ20世紀末はその程度でメモリカードが一杯になってしまいます。この時代のデジタルカメラは、撮影枚数はフィルムとたいして変わらなかったのです。撮影枚数だけ見ると、デジタルのメリットはまだそれほどなかったのです。
したがって、この時代はシャッター耐久回数も、フィルムカメラより特段多くする必要もなかったでしょうね。バッテリの消耗も早かったですし。
後継機のNikon D2X(2005年)でも15万回、これは同時期にフィルムカメラのフラッグシップだったF5やF6と変わりません。それでもD2Xの時代になると、CFカード1GB(テラバイトではないですよ)という”大容量”カードが登場しましたが、画素数も1240万画素とD1の274万画素の時代から大幅に増加したため、1GBのカードでRAW(非圧縮)で49枚でした。今なら一瞬で撮り切ってしまいそうです。

しかしその後のD3(2007年)でシャッター耐久回数は倍増して30万回に。この世代になると、画素数は1280万画素とほぼ据え置きながら、連写速度が9コマ/秒(DXクロップで11コマ/秒)と飛躍的にアップしてフィルムフラグシップを超えるようになり、またRAWもロスレス圧縮出来るようになってデータ容量を抑えつつ、連写もフィルムカメラを超えるようになりました。CFカードも8GBが登場し、1枚のカードで数百枚以上の記録が可能になりました
この時代になると、プロもハイアマチュアもフィルムカメラからデジタルカメラへの切り替えが進み、いよいよフィルムカメラを超えるシャッター耐久回数が必要になると判断されたのでしょう
この世代のカメラになって、ようやくデジタルカメラのメリットの1つ、シャッター回数をフィルムより大幅に稼げるという時代になりました。

Nikon D4では更に40万回となり、現在のNikon D6もこれは変わっていません。一方、CanonやSONYの上位機種は、更に上の50万回の公称耐久回数を確保しています。
更に時代は進み、2021年末のNikon Z 9では、レンズ交換式フルサイズセンサのカメラで初めてメカシャッターレスの一眼カメラも登場しました。もっともレンズ交換式カメラでメカシャッターレスは、2011年のNikon 1 J1で既に達成しています、1インチセンサのカメラですけどね。

メカシャッターレス、すなわち先幕も後幕も電子シャッターとなると、メカシャッターではないため、撮影回数によるメカ消耗はなくなり、電子部品が壊れない限り、無尽蔵に撮影できるようになります。個人的にメカシャッターレスもミラーレス一眼のメリットの1つと捉えていて、更にSONY α9IIIのようなメカシャッターレスかつグローバルシャッターで高速な被写体でも歪みのない撮影が可能となったのは、デジタルカメラにおける新たな時代の幕開けと行っていいでしょう。

今後、メカシャッターレスのカメラはどんどん増えていくのではと思います。ただ一方で、シャッターの振動の心地よさというのは、疑似シャッター音では得られないものあがりますね。個人的にメカニカルカメラの最高峰と思っているNikon F2のTitanのシャッター音は最高と思っています。
メカシャッターが今後のカメラでなくなっても、メカシャッターの心地よさというのは大切にしたいですね。

公称シャッター耐久回数を超えるとどうなる?

各メーカーが独自にテスト基準を設定し、その回数を決めていると思いますが、公称シャッター耐久回数はあくまで目安であり、耐久の保証値ではありません
メーカーがシャッターユニットを設計する上での目安で、実際には使い方次第でもっと早くシャッターが破損することもあれば、その耐久回数を大幅に超えて問題ない場合もあります。なので、あくまで目安にしかなりません。
シャッターの寿命が近づくと、シャッタースピードの精度が悪くなったり、最悪シャッター羽根が曲がったり割れたりして動かなくなります
自分のカメラでは人生で一度も経験はありませんが、こんな感じにになるようです。

中古のカメラでシャッター回数が年式に対して極端に少ない場合、オーナーが変わって急にたくさん使い出すと壊れやすい、なんてこともあるかもしれません。
カメラのシャッターは、車のエンジンと違って、オイル交換など個人で簡単にメンテナンスできるものではないため、定期的にメーカーにオーバーホールに出さない限りは、基本的に使いっぱなしです。

一般にシャッターに限らず機械部品は、適度に使い続けることが、もっとも機械的な負荷がかかりにくいとされています。先に書いたように、タクシーやパトカーのように、毎日一定距離を走るような使い方は、機械部品に負担がかかりづらく、結果的に寿命が伸びることにも繋がります。
もちろん、使えば使うほど消耗劣化は進み、いつかは不具合が発生します。都市部のタクシーは1年10万キロ走行し、5~7年で廃車のようです。廃車寸前では、オイル消費も激しいと聞きます
カメラの場合は、オイル交換できるわけでもないため、オーバーホールに出す場合でも、公称シャッター耐久回数に近い場合や超えている場合は、交換部品があればシャッターユニットを交換するようで、概ね費用的には6~13万円前後かかります。ここはフラッグシップ機ほど高価になります。
特にフラッグシップ機はシャッターユニット自体が高耐久で高価なため、オーバーホールによる交換の場合は10万円を超える場合もあるようです。
D850クラスだと、7,8万円といったところのようです。

中古でもオークションなどの場合、こうしたシャッター回数を考慮しない値付けをされている場合があります。なので、できれば中古ならカメラ専門店の保証付きのほうが無難です。


ショット数.comはメカシャッタと電子シャッター、両方を加算した回数としてカウントしているようです。
2022年にNikon D850をオーバーホールした際は、ショット数.comで18万回シャッターを切っていたので、シャッターユニット交換と思いきや、交換されませんでした。
別のソフトで調べると、メカシャッターだけであれば11万回、インターバル撮影で電子シャッター回数が8万回近くと伸びていたため、合計18万回の表示だったようです。

再び絞りが壊れた1 NIKKOR VR 10-30mm f/3.5-5.6を修理してみた

1 NIKKOR全般の持病である、絞りが動かないトラブルが再発してしまった1 NIKKOR VR 10-30mm f/3.5-5.6。メーカー修理も終了し、中古もほぼ同じ症状のレンズしかない。なので自力修理しようと思い、絞りユニットをAliExpressで購入し届きました。

修理は冬休みの課題にしようと思っていたのですが、目の前に部品があると、早く直したくてしょうがない!となりまして、ついつい手を出してしまいました。

物が小さいズームレンズだけに、ネジもM1.6とかで、部品も細かい

使った道具は、帯電防止ピンセット、+00番の精密ドライバー、ディズニーランドで買ってきたお土産の缶の蓋(部品受け)です。

※注意! ここからは分解工程の写真です。分解後、正常に戻せる保証はどこにもありません! 参考にならないかもしれません、全ては自己責任です。

  1. マウント側の後玉のある部分の黒いプレートを外します。

2. 金属マウントを止めているネジを外してマウントを取り外します。このとき電子接点もくっついて来ますが、先に電子接点とマウントを止めているネジを外したほうが良かったです(反省点)。電子接点から伸びているFPCもコネクタから抜きます。

3. シムシートと透明な絶縁シート?を外します(載っかっているだけ)

4. 黒い線が締結されているネジを外し、3つのFPCをコネクタから抜きます。基板を止めている2つのネジを外して基板を取り外します。さらに金属プレートのネジを外し、外装のネジを3本外して、外装リングを抜き取ります

5. ズームリングのゴムローレットを外します

6. ズームリングのテープを外して接点プレートを止めているネジを外し、接点プレートを取り外します。更にレンズ正面側の化粧リングを外します(ネジロック剤がついているので硬めです)

7. ズームリングを引き抜きます ※このとき外れているFPCやFPCについている金属プレートが引っかからないよう注意

8. カムを止めているネジを外し、金属カラー?を抜き取り、カムの部品を抜き取ります ※このときスプリングとガイド部品が脱落するので、必ずトレイの上で作業しましょう

9. 落ちてきた部品、ここともう1箇所ネジ締結していない部分にスプリングと金属ガイド部品に入っていたっぽいです。復元時に忘れずに入れておきましょう。
 ここではスプリングも抜いておきます。

10. 内部のユニットを引き抜き、鏡胴と前玉の部品と分離させます

11. 外したユニット横にある金属プレートを締結しているネジ2本を外し、写真のようにモータがフリーの状態にします。これがフォーカシングのためのSTMのようですね

12. ネジ3本を外して中玉のハウジングを抜き取ります

13. 写真のFPCを止めているネジを外し、FPCを取り出します。接着剤がついているので、ゆっくりと引っ張り剥がします

14. 引き剥がした先にあるFPCの中継コネクタの黒いラッチを持ち上げて、FPCを引き抜きます ※ラッチを上げずにFPCを無理やり引き抜かないこと

15. 裏返して、ネジ3本を外してプレートを取り外します

16. フォーカスレンズを取り外すと、絞りユニットが見えました! 絞りユニットを止めているネジを外しておきます

17. 写真左側のFPCの白コネクタの黒いラッチを上げて、FPCを引き抜きます。あとはFPCを絞りのモータ側に追いやって、絞りユニットを外します
 ※このとき、金属プレート付きのFPCもうまく穴の奥に追いやってください

18. 外れた絞りユニットには、更にFPCが中継コネクタ経由でついているため、黒ラッチを上げて取り外します。しかもFPCがモータ側に接着されているので、ゆっくりじわっと剥がします

以上で絞りユニット単体まで分離できました。いや結構部品が細かくてしんどい!
私は普段仕事でこのサイズのネジやFPCなど扱っているので慣れていますが、そうでないとFPCのコネクタからの抜き差しはけっこう大変かもしれません。
FPCは斜め刺しで接点不良になりやすく、また経年すると接点が潰れて接触抵抗が増えてしまいます。

AliExpressで買った絞りユニットは、取り外したものと瓜二つで、純正部品なんですかね? これが手に入ってしまう中国恐るべし。その他のカメラの部品も何でも手に入っちゃいますからね、リバースエンジニアリングなのか、実際の修理部品の横流しなのか知りませんが…

復元は逆手順ですが、手順9で脱落した部品を入れるのを忘れずに。入れ方はコツが要りますが、半分程度入れてスプリングと金属部品が落ちないよう支えながらもう1つを入れる(文章で伝えづらい!)やり方で何とかなりました。

動作確認

さて何とか復元しました。

ネジも余らず復元できました(笑

ネジも余っていないぜ(笑) コツとしては、初めてバラす場合は、外した順番にネジや部品を並べる、これが一番間違いがないです。可能であれば細かく分けられたトレイを使えば、順番に部品を並べて混ざらなくて済みます。
基板もあるので、帯電しにくいプラ製でもカーボンなどを含有する導電バットや、ステンレスバットをおすすめしたいです。

さて絞りは…

ハイ作動しています! いや~ここまでやって直らなかったらちょっと悲しかったので、悲しまずに済みました。

さて、外した絞りユニットですが、絞りの機械的不具合はなさそうです。モータを外して、絞りだけの状態でちゃんと絞りが開閉することを確認。
この部品単体でも売られている、モータの先に着いている白い小さなギヤですが…

ぱっと見ギヤも大丈夫そうだけど…

ここが変形して絞り側のギヤと噛み合っていない不具合が多いとされていますが、ぱっと見は大丈夫そうに見えます。
とはいえ直径2mm程度しかないギヤ、よく見ると変形があるかもしれません。時間があれば、ベローズを使って数倍で撮影してみたいと思います。

1 NIKKORの絞りユニットを買ってみた

先日、妻が久しぶりにNikon 1を持ち出したら、なんだか画面が暗いと言います。レンズは1 NIKKOR VR 10-30mm f/3.5-5.6、ああまさかね…とか思いながら、絞り設定を変えてみましたが…絞りが動いていない。

ああ、また壊れたか…。そう、1 NIKKORは絞り不具合の発生率が高く、以前はNikonは無料で修理受付していました。

前回修理から3年半、再発です。結局修理も単純に従来と同じ部品のまま交換しているだけで、根本的な構造的欠陥は直っていなかったのでしょうね。
すでに1 NIKKOR VR 10-30mm f/3.5-5.6は生産完了から10年近く経過し、修理受付も終了しています。

1 NIKKOR は小型故に絞りの構造に無理があるのか、絞りを駆動させるギヤの破損、絞り羽根の機械的破損、FPC(フレキシブルプリント配線)の接触不良の事例が多いようです。
いずれにしろ、部品交換による対処療法しかないです。ということで部品検索すると、AliExpressに出てくる出てくる(笑)

AliExpressで検索すると、1 NIKKORの絞りユニットや絞り駆動用ギヤが出てくる

元々1 NIKKORもほぼMade in Chinaですからね、修理用部品の純正品なのか互換品なのか、何でもありますね。そりゃ世界一の製造大国、模倣天国(リバースエンジニアリング)です。

とりあえず修理もダメ元です。1 NIKKORは構造が細く華奢なので、ハードルは高そうですが、絞りユニット自体も千円前後で買えるので、今回はギヤだけとかではなく、絞りユニットを買ってみました。

注文から2週間ほどで届きました。

Len Partsだそうです。国内についてからの配達はヤマトでした。

実はAliExpressは初めてでしたが、Amazonで買って中国から届くのと、流れ的には同じですね。国内ではヤマトの関西空港小口オペレーションセンターに入り、そこから発送さていました。それにしても、チャイナからの箱ってテープでグルグル巻き、箱が雨などで崩れないようにしているのでしょうけど、開けづらいです。
中身はこれ。

1 NIKKOR 10-30mm用の絞りユニットと称している部品

細かいな~。モータも小さいです。正直、こりゃ壊れるよなぁ…という作りです。
交換作業自体は正月休み位に行うつもりですが、早く手を付けたい気も。が、色々調べて実際の1 NIKKOR 10-30mmを分解する動画を見つけましたが(案外見つからない)、いやぁ正直難易度高そうです。部品紛失に注意ですね。

うわぁ、部品が細かくて転がしたら見つからなそうです。
動画はあまり画質が良くなく見づらいのが難点ですが、参考にしてみようと思います。

上手く行く確率は五分五分かなぁ…

【百里基地】23/11/20の記録

仕事は忙しいのですが、もう気持ちをリセットしたいのと、技量維持、そしてNIKKOR Z 180-600mmで戦闘機撮影してみたく、百里基地に出向いてきました。

午前。

浜松基地の第41教育飛行隊のT-400(41-5054)が。新人パイロットの教育訓練かな? 後はT-4が上がったのみ。F-2もエプロンに出ていたんですけどね…。3SQ、あまり上がらないんだよね(笑

午後。
やっと3SQのF-2が動き出す。

冒頭のF-2と最後の3枚のT-4はAF-S NIKKOR 600mm f/4G ED VR(ロクヨンG)で、それ以外をNIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VRで撮影。
結論として、古いロクヨンに迫る解像力はありますし、オートフォーカスのスピードも、FマウントのAF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VRよりむしろ少し速いくらいでした。
よくSTM(ステッピングモータ)のAFレンズはAFが遅い、何ていう人もいますが、モータの種類だけでAFの速さは語れないと思いました。
そもそも光学設計も違うレンズ同士で、AF用モータの種類だけで語っても仕方ないです。
そしてズムリングも回転角が小さいのでズームアップやダウンでも素早く出来て使いやすいですね。直進ズーム出来たSIGMAの150-600mm Sportsも便利でしたが、ズーミングで重心が変わるため、安定性という面では重心変動が少なく鏡胴が伸びないNIKKOR Z 180-600mmのほうが有利ですね。

そして重たすぎるロクヨンと比較すれば、Z 180-600mmは相対的に軽いので、もう撮影が楽で仕方ないです。ロクヨンも最新の軽いのに買い替えたいです。宝くじ当たらないかな(笑

撮影ポイント移動。あえて、その時間は逆光になるけど、降りを間近で撮りたくてここへ。

いや~近い! 特にフォーメーションで降りてきた時は、気が抜けていたのでとっさに構えて画面いっぱい。
ロクヨンとZ 180-600mmのちゃんぽんで撮りましたが、やっぱりロクヨンは単焦点、古くても抜けは良いですね。ただZ 180-600mmも負けていません。

この日の戦闘機はこれだけ。とはいえ、ノーフラとかでなくてよかったです。

最後にまたポイント移動しましたが、F-2は格納し始めて、残念。
救難のUH-60Jと、横風で斜めに向いたスカイマークの降りを撮り(見事な着陸でした!)、コールサイン「はやぶさ UH-2」の無線を聞いて急きょ撮影した陸上自衛隊の最新汎用ヘリUH-2が撮れたので良しとしましょう。

まさかUH-2が見られるとは。今後はたくさん見ることになるんでしょうけどね。

SONY α9III発表、フルサイズミラーレス初のグローバルシャッター機だけど、やや尖った性能かな

噂レベルで、そんなの搭載されるのか!?と言われていたグローバルシャッターセンサ搭載の、SONY α9IIIが発表されました。

1/80000秒シャッター、フラッシュの全速同調

個人的にこのカメラのハイライトはフラッシュの全速同調ができるようになったこと、ここは大きいですね。
従来のカメラも、FP発光(フラッシュ光を高速で何度も発光させる)はフィルムカメラの時代からありましたが、FP発光はガイドナンバーが目減りしてしまうというデメリットがありました。それを気にせずフラッシュを使えるのは、フラッシュ撮影の幅が広がることになります。

秒120コマ連写より「プリ撮影」搭載が嬉しい

秒120コマ連写もすごいですが、実際はそこまで使う事はほぼないでしょう。SONYとしては、ここぞというときにFnボタンに割り当てての使い方を想定しているようです。連続撮影枚数がRAW(多分非可逆圧縮のこと)で192コマ、ロスレス圧縮と圧縮RAWで96枚と少ないのが気になります。
Nikon Z 9の場合、より高画素でありながら高効率圧縮RAWで1000コマ以上となっていることを考えると、連写機としてちょっと物足りないです。
α9IIは「RAW:239枚」となっていて、何故かII型よりバッファが少ないんですよね。センサの違いによりデータ処理量が違うから?

それよりも、「プリ撮影」が搭載されたのが朗報です。Nikon Z 9/ Z 8も同様の機能を搭載していますが、RAWで撮れずJPGノーマルしか使えず、恐らくはイメージセンサの動画モードを使用していると思われます。
α9IIIでは特に制約について書いていないので、RAWでも使えると思われます。これはちょっと羨ましいです。

グローバルシャッター搭載の弊害? ISO感度対応範囲は狭い

これまでグローバルシャッターセンサは、産業用メインで画質より高速性を重視していました。今回初めて民生用フルサイズミラーレスカメラに搭載されたグローバルシャッターですが、ISO感度の範囲がα9IIより狭くなっています

α9II: ISO100-51200 @メカシャッター,  ISO100-25600 @電子シャッター,  (拡張:下限ISO50、上限ISO204800)
α9III: ISO 250 – 25600 (拡張: 下限ISO 125、上限ISO 51200)

このあたり、画質も含め、グローバルシャッターの弊害はありそうです。特に、基本感度がISO250というのは、昼間に低速シャッターを使いたい場面ではNDフィルター必須です。


まだスペックだけしか分かりませんが、やや尖った性能のカメラであることは間違いなく、万人向けではなさそうです。
また値段も80万円台となりそうで、α1とともにかなり高額になりました。少なくとも、私のような素人が買えるようなカメラではなさそうですね。

とはいえ、Nikonに続き、SONYもメカシャッターレスのカメラを登場させ、更にグローバルシャッターを搭載するということは、ミラーレスカメラが新たな時代に突入したという印象です。というより、こうした部分がミラーレスカメラの真骨頂と思いました。機械的要素はますます排除されていくのでしょうね。

AIは万能でもないし正しいとも限らない

技術的な流行で、近年もてはやされるAI(Artificial Intelligence)、人工知能。

実はAIブームは80年代後半から90年代にもあったわけで、それこそ当時の家電にも取り入れられていたりするのですが、あの頃言っていたAIとは、ある程度集約化されたデータベースを元に答えを導くもので、現在のようなディープラーニングによる機械学習、深層学習に基づいた導きとは大きく異なります。
現在のAIは、平たく言うと、散々学習させた結果を元に答えを導く、というもので、20世紀では来なかった大量のデータの蓄積と解析ができるようになり、より導き出せる精度が上がったために、実用に達するものが増えてきた、と言って良いのかなと思います。

ではAIが万能で正しいか、と言われると、そうではないでしょうね。大量に学習しても、そもそも学習するデータの精度、そのデータから答えを導くためのアリゴリズムなど、様々な要因があり、偏向的な学習しかさせないと、答えも偏向した結果にしかならないのです。
ディープラーニングが進化して、大量の学習ができるようになっても、まだまだその学習させるべきデータに達していないことも多いし、学習のさせ方次第という面も大きいです。
マスコミが無闇やたらにAI[による危機を煽ったりもしていますし、ここ十数年の映画のトレンド(AIが暴走するみたいな)にもなっていますが、言う程万能ではないのですよ、現時点では。

で、何が言いたいかというと、AdobeのLightroom Classicに搭載されているAIノイズ軽減も万能ではないって話です。
例えばこの写真。

ANA B767-300ER (JA608A)

鬼滅の刃 じぇっと -弐-が羽田空港にアプローチするのをベランダから撮りました。17時近くで、この時期だともうかなり暗い時間です。写真ではそこそこ明るく見えますが、ISO感度22800、AF-S NIKKOR 600mm f/4G ED VRテレコンバーターTC-20EIIIを取り付け、1200mm f/8相当で撮影しました。
この時点で、開放f値がf8なので、AF的に厳しい条件で、使用したボディのNikon Z 9、以前のファームウェアではAFがなかなか合わない条件でした。
しかしだいぶAF(オートフォーカス)も進化しましたね。Z 9は「ディープラーニング技術を用いて開発した優れた被写体検出」を搭載しているため、このディープラーニングによる機械学習の精度アップにより、より被写体検出力は上がっています。
ただ厳しい言い方をすると、それでも暗所のAFの食いつきそのものは、Nikonの現行一眼レフに追いついていないと思いますが。

さて、ISO22800という、常用感度の限界に近い数値、Nikon Z 9は積層型裏面照射型CMOSセンサを搭載していますが、高速読み出しが可能な分、発熱等によるノイズはやや多めです。
この写真を、Adobe Photoshop Lightroom ClassicでAIノイズ軽減させてみました。

Lightroom ClassicによるAIノイズ軽減適用後

いや相変わらず凄いですね。細かいノイズは残りますが、ディテールがさほど潰れずに再現されるのはさすが。
ただ「さほど潰れず…」という表現をしたのは、そうでもない側面を確認したからです。Web掲載用画像は解像度を落としているので、等倍で切り出した写真です。

機体のレジ番号は潰れています

これ、元画像の時点でディテールが潰れてしまった結果、文字として成り立たなかったため、AIによるノイズ除去後も文字の形が崩れてしまっています
この機体のレジ番号は「JA608A」なのですが、AIノイズ除去でノイズを取った結果がこれなので、そもそもが文字としての解像力が不足していたわけです。
仮にAIがこの機体は鬼滅の刃じぇっと弐というのがわかっていれば、ここに入る数字もわかるので、無いディテールを再生できる可能性はありますが、結果としてはこうなりました。
現時点では、恐らくこうであろうという推測からノイズを消していると思われますが、やはり元の画像のノイズが多すぎると、精度が悪くなりますね。
こういう場面では、暗所に強いカメラに限りますね。

上の写真はテレコンを外して、レンズ素の状態で撮影。いくらミラーレス機では開放f値関係なくAFが使えるとは言え、明るいレンズのほうが歩留まりが上がるのは言うまでもありません。初期のFWでは夜は合わなかったNikon Z 9のAF、だいぶ改善されています。ちゃんと合います。ここは素直にディープラーニングによる学習が進んだ成果がAFのアルゴリズムに反映されているのでしょうね。

これで完?Z 180-600mm用のレンズケースにNikon CL-L2を買ってみた

前回の記事で書いた、NIKKOR Z 180-600mm用のレンズケースとして、Nikonのレンズケース、CL-L2を発注し、結構前に届いていたのですが、忙しくて開梱したのは本日です。

送られてきた箱が大きい。でもこの箱がさらに箱に入れられて届いたんですよね…。別にこの箱に希少性もないので、そのまま送ってもらっていいのですが。

では開墾します、いや開梱です。

我が家の600mmレンズを並べてみた

写真右のAF-S NIKKOR 600mm f/4G ED VRが入るレンズケースだけあり、高さは結構ありますね。そして写真左のNIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VRNikon Z 8は余裕で入りそうです。どちらも運べるということで、汎用性は高いですね。
ただ、AF-S 600mmは普段Loweproのレンズトレッカー600AW IIIで運んでいるため、今後上の写真の2本のレンズを持っていく時は、600AW IIIを背負って、さらにCL-L2を肩がけすることにはなります。
ただ、AF-S 600mmを持っていかずZ 180-600mmとZ 24-200mmでボディ1台だけなら、CL-L2はスリムなので、持ち運びは随分楽になりそうです。

まずは、CL-L2の対応表にも書かれている中で最大級の、AF-S 600mm f/4Gを入れてみましょう。

さすがにAF-S 600mm f/4Gだとギリギリサイズ。三脚座の出っ張りが気になります。ただ、三脚座にアルカスイスプレートを取り付けているので、これを外せば多少手出っ張りは抑えられるでしょう。

さて、本命のZ 180-600mmは余裕で入ることは確定ですが、Z 8とセットで入れてみましょう。

Nikon Z 8 + NIKKOR Z 180-600mm f/5.6-6.3 VRは高さも余裕が

余裕でした。写真ではZ 8ですが、Z 9でもOK。何ならグリップ付きのZ 8も多分問題ないです。ボディと一緒に入るのは大きなメリットです。これだけで望遠撮影に出かけられます。
ただし、このままだとレンズが細いので(AF-S 600mmと比較して)バッグの隙間に余裕があり過ぎて遊んでしまうので、付属の詰め物を入れてみます。

これがZ 180-600mmに合わせたかのようにぴったりです。更にカメラの上の空間にも余裕があるので、付属のポーチ(フィルタやキャップのケース?)が入ります。
ということで、このカメラバッグ、メーカー問わずオススメです。ってNikonって黄色で入っていますけどね。SONYのボディ+FE 200-600mmにもちょうどよいですね。

しかし、まさか最終的な答えが、同じNikonの望遠用汎用レンズケースになるとは。バッグ(レンズケース)は奥が深いな。

これってバッグ沼じゃん(笑

と思わずにはいられないです。Nikonって昔からカメラ・レンズバッグ類に力を入れていて、ラインナップも豊富ですが、あまり宣伝してないので、すっかり見落としていました。

恐らくFマウント望遠レンズの終息と共に、このケースも生産終了になると思われ、買うなら今がチャンスと思います。
同じようなサイズのZマウント用のCL-L3はやや値上がりして1万円台後半です。もっとも、それでも安い部類と思います。

私は楽天のコジマで購入しました。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ニコン Nikon レンズセミソフトケース CL-L2
価格:11,450円(税込、送料無料) (2023/10/27時点)


Amazonは執筆時点で在庫1個(ちょっと前まで品切れ)。製品も古いことから、売れてしまえば在庫補充されず販売終了かもしれませんね。

後継のCL-L3もコンセプトは同じで、対応はZマウントレンズの望遠ですが、汎用なので実際はレンズマウントは関係ないです。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ニコン Nikon レンズケース CL-L3
価格:18,103円(税込、送料無料) (2023/10/27時点)


CL-L2がディスコンになったら、CL-L3もおすすめですね。

続・NIKKOR Z 180-600mm用レンズケース考

NIKKOR Z 180-600mmとAF-S NIKKOR 600mm f/4G ED VRを両方持っていきたい、となった場合のレンズケース。
過去のブログで考えた挙げ句…

失敗しました…

そう、微妙に長いんです。

JJCのレンズケースが唯一、サイズ的に問題なさそうなのですが、かなり大きくなってしまい、Loweproのレンズトレッカー600AW IIIのサイドに取付ける…というのはちょっと難しそうです。

こうなると、バッグ2つにせざるを得ないな…となり、白羽の矢が立ったのが、Nikonのレンズケース、CL-L2です。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ニコン Nikon レンズセミソフトケース CL-L2
価格:11,450円(税込、送料無料) (2023/10/27時点)


このケース、NikonのFマウントの大型望遠レンズに対応しています。対応レンズを見ると…

・AF-S NIKKOR 120-300mm f/2.8E FL ED SR VR
・AF-S NIKKOR 180-400mm f/4E TC1.4 FL ED VR
・AF-S NIKKOR 200-400mm f/4G ED VR II
・AF-S VR Zoom-Nikkor 200-400mm f/4G IF-ED
・AF-S NIKKOR 400mm f/2.8G ED VR
・AF-S NIKKOR 500mm f/4G ED VR
・AF-S NIKKOR 600mm f/4G ED VR
・AF-I 400mm f/2.8D IF-ED
・AF-I 500mm f/4D IF-ED
・AF-I 600mm f/4D IF-ED

とあります。
かなり幅広い年代の大型望遠レンズに対応できます。なぜか現行品EタイプやGタイプ以前のAF-S Dタイプのの単焦点望遠レンズは入っていませんが。
サイズ的には、NIKKOR Z 180-600mmとBODYという組合せでも入りそうです。

実は、Zマウント用にも似た望遠レンズ用のレンズケースのCL-L3があります。サイドポケットがファスナー付きになっているなど、改良されているようですが、値段も上がっています。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ニコン Nikon レンズケース CL-L3
価格:18,103円(税込、送料無料) (2023/10/27時点)


いずれにしろ、これらのNikonのレンズケースは1種類のレンズ専用品ではなく、汎用で作られています。なので、サイズ的にZ 180-600mmにも対応できそうです。
しかも、割としっかりしたつくりっぽいのに値段も高くなく、コスパはよさそうですね。リュックタイプではなく肩がけなのも良いです。

ということで、CL-L2を手配してみました。手持ちのAF-S 600mm f/4Gにも対応しますし、汎用的に使えそうです。
さてどんな感じだろうか?

数年ぶりに東京ディズニーランドに行ってきた

子どもたちの学校がナンチャラ記念日とかで休み、ということで、自分も妻も仕事を休んで、数年ぶりに東京ディズニーランドへ行ってきました。
何でもこの日は夜貸し切りがあるとかで、18時半で閉園、なのでハロウィンでディズニーランド40周年でも、比較的空いているかも、とのことでした。

行ってみたら、実際めちゃくちゃ混むクリスマに比べたら、比較的空いていましたね。

何せ子どもたちは5年ぶりなので、上の娘は前回はうろ覚え、下の息子は記憶にないですから、純粋に楽しめたかなと。
一番奥のロジャーラビットから見てきましたが、大人気のアトラクションではないのか、一番乗り! ディズニーランドでアトラクション一番乗りなんてのは、人生でもそうそう経験しないですね。

昔からあるイッツ・ア・スモール・ワールドも、リニューアルしていまして、子供らはああ言うのがいいみたいです。上の写真にあるような、和のテイストは昔はなかったような。

うちはガチなディズニーファンではないので、楽しめるアトラクションを、さほど並ばずに楽しみました。
この日は、ある程度人気トップレベルを外せば、並んでも1時間かからずだったので、やはりいつもよりは空いているのでしょうね。

最後に娘のリクエストで、「ミニーのスタイルスタジオ」で写真を撮って、娘は小遣いで買ったポーチにサインしてもらえて満足だったようです。

ミニーがサイン中

こういうのは嬉しいですよね。

ってことで、18時半と早めの終了でしたが、ハロウィン期間にしては空いていたので、割と多く回れて良かったです。疲労困憊ですけどね。

次来れるのは…お値段的に厳しいのもあるけど、娘も大きくなってきて、だんだん家族で行かなくなるのかな、と思うとちょっと寂しい気もします。


この日の撮影は、お気軽にPanasonic LUMIX GX7MK3にしようかと思ったけど、結局Nikon Z 8にZ 24-200mmとZ 40mm f/2のお気軽2本。
昔みたいにAF-S 24-70mm f/2.8を持ち出すより、お気軽に撮影したいなと思いまして。
ただ、やっぱり質のいい単焦点レンズは1本欲しいなと思いました。NIKKOR Z 35mm f/1.8 Sがやっぱりスナップに1本欲しいなと思っています。40mmも悪くはないんですけどね。

そしてNikon Z 8のバッテリ、予備で2本持っていきましたが。ものの見事に3本が空に。最後の写真を撮った時は残量6%でした…。モバイルバッテリも電池切れだったので、割とヒヤヒヤでしたね。
途中までGPSアダプタを付けていたので、余計にバッテリ消費は大きかったけど、1日撮影なら予備バッテリは3本欲しいと思いました。撮影枚数自体は900枚もないのですが、連続撮影でないと、撮影枚数に対する消費が大きいですね。EN-EL15c、買わないとなぁ…