イラン海軍フリゲート「デナ」撃沈に関する艦船マニアの雑感(2026年3月末のメモから)

トランプ政権によるイランへの大規模な軍事攻撃(作戦名:「壮大な怒り」など)が開始されたのは、2026年の2月下旬。攻撃の開始から約8カ月強。
未だ戦争終結の糸口が見つからず、ウクライナとロシアの戦争も加えて長期化していて、これが原油価格にも大きな影響を与えています。
我々の成果に確実に影響を及ぼしていますね。

この記事は、イラン攻撃から間もない3月4日に発生したイラン海軍フリゲート「デナ」のが米攻撃原潜からの魚雷攻撃により撃沈された3月後半に書いていたものですが、公開するタイミングを逃してそのままにしていたものに、若干の加筆をしたものです。
記事の鮮度は薄れていますが、あの攻撃を含め、イラン海軍は艦艇や基地の多くがアメリカ軍の攻撃を受け、事実上壊滅状態となっているものの、小型高速艇などは残存している模様です。


先日、スリランカ沖の公海上で、インドでの国際観艦式を終えて帰路に就くイラン海軍のフリゲート(イラン海軍内部では駆逐艦の扱い)が、公海上で米海軍ロサンゼルス級原子力潜水艦「シャーロット」(SSN-766)にMk.48魚雷で撃沈されるというニュースが飛び込んできました。

これは第二次世界大戦後の米海軍潜水艦では初めての水上艦撃沈例となりました。
世界的に見ても、第二次大戦後では1982年のフォークランド紛争に於いて、英原子力潜水艦「コンカラー」がアルゼンチン海軍の巡洋艦ヘネラル・ベルグラノを直進魚雷のMk.8で撃沈して以来2例目となります。

2010年には韓国海軍のコルベット「天安(チョナン)」の沈没事件があり、北朝鮮の魚雷による撃沈と判断されているものの、北朝鮮側は関与を否定、機雷接触例などもあり、これについては公式にカウントされていないため、今回の撃沈が2例目となりました。

イラン海軍フリゲート「デナ」とは?

イラン海軍フリゲート「デナ」(IRIS Dena)は、モッジ級フリゲートの4番艦で、2021年に就役した同海軍最大の戦闘艦です。
最大とは言え、他国でいえばコルベットに相当する全長100mにも満たない小型のもので、兵装は76mm砲(伊OTOコンパクト砲のコピー版)や40mm、20mm機関砲、メラブSAM(SM-1MRのコピー版)、ヌールSSM(中国C-802のコピー版)、3連送短魚雷発射管を備えています。

多くの兵装がかつて西側と友好関係にあった時代の装備や中国のコピー版となっており、経済制裁を受けている同国ではリバースエンジニアリングが盛んに行われていることがわかります。
また船体は前級のサーム級フリゲートの改良型とされており、そのサーム級も英輸出向けヴォスパー・ソーニクロフト・フリゲートMk.5で、70年代の設計です。
半世紀前の設計のリファインで、また5隻ある艦艇でも装備品に差異があるなど、設計がこなれていない感じがします。

またエンジンが前級のCODOGではなくディーゼルのみとなって出力が削られており、最大速力は28kt程度とされています。

ソナーが搭載されていない、という未確認情報もあるものの、短魚雷発射管を装備している以上ソナーがないとは考えられず、装備しているものと思われます。
ただそのソナーの性能は艦の規模からしても大したものではなく、乗員の練度も高くはなかったと思われ、米潜水艦からの潜望鏡動画を見ても、「デナ」との距離は割と近く、この距離でも恐らく潜水艦を探知できていなかったでしょう。
艦によってレーダーや射撃指揮装置がバラバラだったりと、整備性や習熟度にも差を生んでしまう状態です。
デナでは回転式の国産三次元レーダーASR、WM-28射撃指揮装置(メラブSAMや砲の管制を行うものと推察)らしきものを装備していたようです。

無警告だったのか、警告を行ったのか

今回米海軍は攻撃を行った艦艇の艦名、および撃沈する瞬間を捉えた潜望鏡の動画を公開しました。

ただし、この攻撃が無警告だったのか、警告を行ったのかについては、米海軍の公式な情報はなく、またイラン側は無警告だと非難しており、真相は不明です。

仮に無警告だったとしても、この時点でアメリカとイランは戦争状態にあるため、軍艦に対する無警告は正当化されるとは言え、どの道艦の運命が決まっているのであれば、脱出する猶予を与えるべきだったと思いますが、警告したにも関わらず脱出しなかった可能性もあり、真相不明です。上記のようなXのポストもありますが果たして?

潜水艦は現在でも強力な対艦攻撃兵器である

現在中国海軍は通常動力型潜水艦と原子力潜水艦の二本立てでその数を増やしています。
対艦ミサイルがいくら長射程化したとて、発射した瞬間自艦の位置も晒しかねませんが、潜水艦による魚雷攻撃の場合は、その艦艇を攻撃できる射程圏内に潜水艦が入った時点で、潜水艦は優位です。対艦ミサイルは戦闘能力をそう失させられど、撃沈は容易ではありません。
が、魚雷の場合は船体下で爆発することにより船体をへし折るため、並のフリゲート程度なら撃沈できてしまいます。
特に今回、イラン海軍のモッジ級はコルベットに近いくらいの小型艦、そこに米海軍の優秀なMk.48魚雷を撃ち込まれたらひとたまりもないです。

日本の場合は強力な対潜網を敷いてロシアや中国の潜水艦の探知に全力を努めていますが、戦争状態になればこれが間に合わない可能性も出てきます。
中国がこれだけ力をつけた今、我が国はこれまで以上に、対潜戦に神経を使わなければなりませんね。


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