カメラ自体は嫌いじゃないけど、Fujifilmの販売姿勢にモヤモヤした話

X(旧Twitter)にもちょこっと書いたけど、Fujifilmの高級コンパクトカメラX100VI発売発表、モヤモヤしている人が多数いるなと感じました。

Fujifilm X100VI カッコいいんだけどね

なぜかというと、このカメラの前のモデルであるX100Vは2020年2月に発売(シルバーモデルが2月、ブラックが3月)されましたが、2022年11月に製品の供給が追いつかないとのことで、注文受付を一時停止するとメーカーより発表されました。

その発表から1年以上経過し、X100VIの発売発表(2024年2月20日付け)に合わせて、ついにX100Vは受注再開することなく、販売終了が発表されました
X100Vをずっと待っていた人たちにとっては、X100Vが供給できない理由が不明な上に、X100VIの発表されたことにモヤモヤを感じているのではないでしょうか? さらに、Fujifilm創立90周年記念モデルX100VI Limited Editionを1934台販売するということで、余計にモヤモヤする展開になりました。

製造国がX100Vまで日本だったのが、今回発表のX100VIでは中国製になっていることからも、国内生産が段々と難しくなってきている印象はありますが、その辺りはFujifilmからの発表がないため何とも言えません。ただ、少子高齢化により労働人口が減ってきている日本で、今後製造することが難しくなってきているのは確かでしょう。
とは言え、供給が追いつかないまま受注停止を続けたままの販売終了は、人手不足とかの問題ではなく、部品供給に問題があったのではと思いますが。
このあたりの説明が一切なくX100Vを販売終了するとともに、X100VIの発表は、メーカーとしての姿勢を疑います。特にコンシューマ向けの、しかもこだわりを持った製品ですから。

これ以外にも、Fujifilmのカメラの販売姿勢、モヤモヤすることが多いです。個人的にFujiflmのカメラは嫌いではないし、X100シリーズは好きで欲しいと思ってはいたのですが、どうもFujifilmというメーカー、カメラ部門の研究開発と販売マーケティングの方向性に一体感がないような気がしてならないのです。

元々写真フィルムの会社だったFujifilmは、デジタルカメラの普及による写真フィルムの売上減少に対応するため、医療分野に力を入れるようになり、現在では医療機器や製薬などのヘルスケアにおける経営利益が1/3程度を占めています。それでも2023年3月度の決算報告では、イメージング分野も経営利益の23%程度はあるんですけどね。

X-T1発売による一眼レフへのディスり

思えばYamaroのFujifilmに対するモヤモヤが始まったのは、初代XシリーズのX-Pro1X-E1のようなカメラから、EVFをレンズ光軸上に配した一眼レフスタイルのX-T1が発売された辺りから。当時散々一眼レフをディスった宣伝をしていました。「一眼レフからFujifilmのミラーレス機に乗り換えた写真家に言わせていた」感じですけどね。でもその広告を使ったのはFujifilmですからね。自ら言っていないだけで。その前まではFinepix S5 Proのような一眼レフを販売していたのに?と思いました。

X-Pro1やX-E1は一眼レフカメラのようなファインダの出っ張りはなく、そのコンパクトさを売りにしていました。
ところがX-T1はEVFをレンズ光軸上に配して一眼レフと同じ出で立ちになり、ミラーレス一眼は一眼レフに取って代わるものだという意識も芽生えたのでしょう。実際それは10年後の現代では正しかったことになり、一眼レフメーカーのCanonやNikonもミラーレス一眼に注力していますが、とにかく当時のFujifilmはこれからはミラーレスの時代だ、一眼レフは古いと言わんばかりの宣伝をしていました。
もちろんこれは現代のミラーレスカメラの視点で言えば、順当に進化したため、すでに一眼レフを超える部分が多くなっています。が、2014年当時は、まだミラーレス一眼はこれからといったところで、動体を追うのはまだ一眼レフに劣り、特にAFはまだ不安定でした。
それでも動体写真ではない分野では十分な性能となり、またフィルム製造の経験を生かした発色のこだわりや古典的な一眼レフスタイル、ベイヤーセンサながら独自のカラーフィルタ配列のX-Trans CMOS II センサーなど、X-T1は人気がありましたね。動体を撮らない人の中には乗り換えた人も多かったでしょう。

あれからミラーレスのAFも随分進化し、FujifilmのXシリーズも一定のユーザーを獲得し、いつしか乗り換え写真家による一眼レフディスり広告を出すこともなくなりましたが(その代わりそれを真似たような個人のブログ「私が一眼レフからX-〇〇に乗り換えた理由」みたいなのは今でも多数散見されますが)、今度はまた別の広告が論議を巻き起こしました。

X100Vのストリートスナップ広告で炎上

そう言えば、あの路上迷惑ストリートスナップ炎上事件も、注文受付を中止していたX100Vの宣伝広告だったんですよね。つくづくX100Vってカメラ自体は悪くないのに、宣伝で炎上し、受注停止の挙げ句に次世代モデル発表で販売終了と、カメラそのものとは別の所で曰く付きなモデルだったわけですね。

ストリートスナップ炎上事件は、スナップ写真のあり方そのものを問われるまでに発展しましたが、それはさておき、あの炎上が発生した際にFujifilmの対応も随分叩かれました。個人的に件の写真家のやり方には賛同できまんし、Instagramでは熱りが冷めたのか、あの時のストリートスナップ写真を掲載していますが(ちゃんと許可は取ったのかな?)、謝罪したものの、件の写真家自体をさっさと引っ込めてなかったことにしてしまったFujifilmの姿勢にも疑問を持った次第です。ああFujifilmにとっては単なる宣伝のためで、写真文化云々は関係ないんだなと思ったわけです。


ここに書いたことは個人的に感じたモヤモヤを綴っただけで、Fujifilmを貶める意図はありませんし、カメラ自体は嫌いではなく、むしろX100VIは結構気になる存在ではあります。ただもう自分お手の届く価格でもないので、買うことはないでしょうけど。このような用途のカメラは、自分にとっては、LUMIX GX7MK3 + SUMMILUX 15mm F1.7で十分なんですよね。

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