11年ぶりにナビを新調し、可逆圧縮のFLACファイルの再生も可能になったため、ついにiTunesでののAAC圧縮音源ともおさらばします。
ということで、手持ちのCDをせっせとFLAC形式に変換中。
さて変換ソフトですが、タイトルにもあるように、TuneBrowserを使用しています。
元々はASIO, WASAPI によるハイレゾ音源, DSD音源のネイティブ再生に対応したソフトということですが、オーディオに造形の深い作者のソフトで、CDの取り込みに対しても非常に強力なソフトです。
特に、初期のCDの一部に採用されていたエンファシス信号や、90年代から2000年代にかけてハイビット化の流行により一部CDで採用されたHDCDにも対応しています。
エンファシスとは?
デジタル音源であるCDが登場したのは1982年と、もう40年以上前です。それ以前の70年代から、一部の音源はデジタル録音が採用されていましたが(当時はアナログ録音とデジタル録音が混在)、初期のデジタル録音は14bitが主流で、CDは将来を見越して16bitを採用していたため、2bit分が不足していました。
また、アナログ録音でもデジタル化する際に14bitのADC(アナログ→デジタル変換)を使用している場合があったため、初期のCDは16bitをフルで使っていない物が多かったのです。
こうした当時のデジタルに対する未成熟な部分を補うものとして、エンファシスという、デジタルでありながら、まるでアナログ録音のノイズリダクションのようなものが採用されていました。
デジタル化する際に音楽信号では相対的に音圧の低い高音域を持ち上げて収録し、再生時アナログ変換した信号の高音域を下げることで、ノイズを低減するシステムです。
技術的な話は、こちらのサイトがわかりやすいかと思います。
さてこのエンファシスを採用したCDは80年代から90年代初頭まではあったようですが、デジタル録音の技術が向上した現在では採用されることがなくなりました。
このため、近年のCDプレーヤーではディエンファシス(プリエンファシスした信号を元に戻す回路)回路を持たないものもあるようです。
また、CDをリッピングする際に、エンファシスで収録されたCDを正しくクリッピング出来ないソフトも多いようです。
単純にリッピングしてしまうと、エンファシス信号のままデータ化しますが、そのデータにエンファシスのフラグがないと、正しくディエンファシスできず、高音域が強調された状態で再生されてしまいます。
本来は、アナログ変換後にディエンファシス回路により高音域を落とすことで、ノイズ軽減、とりわけ折返しノイズ軽減というデジタル化による弊害を軽減するという意味でのエンファシスなわけですが、現代のようにリッピングして再生する場合は、その変換形式やDAC(デジタルアナログ変換)回路に依存してしまう部分が多いのです。
そこで、TuneBrowserのエンファシスCDの変換は、FLAC化する際にデジタルのままディエンファシスし、さらにデジタル変換のままで目減りしてしまう高音域のダイナミックレンジを減らさないよう、信号を24bit化しています。
HDCDも24bit化されるはず…ですが
90年代になるとデジタル録音も進化し、20bitや24bit録音も増えてきます。ただしCDはフォーマット上16bitですから、ハイビットの録音をできるだけCDの互換性を保ちつつ活かそうという試みがなされ、その1つがHDCDというフォーマットです。
以前は私もDENONの対応プレーヤーを持っていましたが、手放してしまいました。
手持ちのCDではHDCDフォーマットを公言している山崎まさよし「ドミノ」ですが…
なぜか16bitのままです。TuneBrowserはHDCDのリッピングにも対応しているはずで、24bit収録になると思っていたのですが…。
この点はちょっと調べてみます。
追記:KOKIAのtrip tripは隠れHDCDでした。きちんとHDCDを認識して、24bit化していますね。