イタリア海軍の最新鋭哨戒艦、ITS Francesco Morosini(フランチェスコ・モロシーニ)が横須賀に寄港したわけですが、今回なんと見学する機会を得ました。
たまたまTwitterで情報をえて、すぐに見学申し込みしました。無料ですが、eチケットで申し込むやり方、上手いなと思いました。
言い方は悪いですが、ITに疎い層はこれで跳ねられるわけです。
海上自衛隊横須賀基地に停泊しているので、基地内に入って見学することになります。
乗艦してまずはヘリ格納庫と搭載ヘリのNH90を見学。
ヘリ格納庫は広くて高さもあり、海自の汎用護衛艦のヘリ格納庫よりやや広く感じましたが、搭載ヘリもやや大きめのNH90だからかな(2機搭載可能)、と思ったけど、実は海自のSH-60Kとほぼ同じ大きさのようです。
機体の基本設計は海自のSH-60系より新しいだけに、先進的なデザインですが、NH90は技術的トラブルも多いようで、早期退役や導入停止している国もあるようで、この機体も実績が気になるところです。質問はしませんでしたが。NH90のNHは、NATO Helicopterの頭文字だそうです。
ヘリの移送装置やシャッターも、海自護衛艦と違って興味深いです。新人自衛官も見学に来ていました。
艦首へ
先進的な外観を近くで拝むことが出来ました。進行方向に対して対面する平面がほぼないのです。速そうです。
搭載砲ややはりイタリア製のOTOメララ127mm単装砲、砲塔は127mm方にしてはコンパクトに見えて、こんごう型護衛艦に搭載されている同じOTOメララの127mm砲より世代が新しいだけあります。
この艦艇は哨戒艦型だけあり、今後建造される重武装型が搭載するであろうミサイルの垂直発射装置(VLS)があるべき1層上がった甲板には何もありません。
続いて艦橋へ。
CICの見学もできた!
どこの海軍も、艦艇の中枢戦闘指揮所であるCIC(Combat Information Center)はまず一般人を立ち入らせることはなく、せいぜい雑誌などの取材での写真で見るくらいしかないのですが、人生初、CICルームを拝むことが出来ました。ただしここだけは撮影禁止でした。
甲板からCICまでの通路も、特に軍艦の階段は海自もアメリカ海軍も急なタラップ、といった感じですが、イタリア海軍は随分と緩やかで広く、安全面からもこうした普通の階段の採用は良いなと思いました。
CICルームは、最新艦艇だけあり、イタリアの軍事企業Leonard製の操作コンソールがズラリ。写真を見せられないのが残念ですが、共通コンソールは40インチ程度のディスプレイとキーボードが搭載されていて、共通とのこと。検索したら、コンソールの画像出てきました。
ログイン画面が表示されていて、各武器などの担当者がログインすることで、どのコンソールからでもレーダーなどの情報表示、砲撃や対艦ミサイルの発射など、各種管制ができるようです。これは海自の新しい艦艇も同様ですが、海自の最新鋭もがみ型護衛艦は、360度ディスプレイを搭載した円形のCICルームと、保守的だった海自にしてはいきなり冒険したデザインらしいので、それと比較すると、大型ディスプレイを進行方向側に敷き詰めたモロシーニは、配置としてはごく一般的なCICですね。
とはいえ、最新鋭艦艇には違いなく、こうした大画面の共通コンソール(以前は武器の種類で専用コンソールがそれぞれ搭載されていた)はトレンドなんでしょうね。
面白いのは、CICルームは艦橋(ブリッジ)のすぐ後ろに配置されていて、この辺りは日米艦艇のように、艦橋とは切り離して防御の面から別階層の場所に設置しているのとは違って興味深いですね。考え方の違いなんでしょう。
ちなみに、この共通コンソールや大型ディスプレイなども、Leonardのロゴが入っていました。
まるで航空機やスポーツカーのような艦橋
CICルームの前方に配置されている艦橋(ブリッジ)、さすがイタリアンデザイン。色使い、ディスプレイの表示や操舵輪など、これだけ見るととても艦艇の操艦をする場所には見えなかったです。
革張りシートにハンドルはまるで航空機。コンソールの間接照明は赤! とても日米の艦艇では真似できない(笑
ところでディスプレイに表示される艦艇のCG画像は、レーダーが1面あたり2枚となっていました。つまり、今後建造される対空ミサイルを搭載する重武装型は、レーダーアレイがもう1面増えるということでしょう。
操舵輪はMOMOステアリングだ!
軍艦史上、最もスポーティな操舵輪を見た!
この操舵輪を見た瞬間、上はカットされているけどMOMOステっぽいと思いました。ロゴは入っていないけど、どうやらMOMO製のようです。どう見てもMOMOです。
ある一定年齢より上の車好きには響くでしょうね。まさか船にMOMOステアリングが装備されているとは! さすがイタリア、デザインの国、フェラーリやアルファロメオの国だけあります。これで艦艇ドリフトも(笑
あらゆる配色がイタリアン
前方のコンソールはまるで航空機のような操作盤ですし、せり上がるディスプレイとか、もうすべてがいちいちカッコイイです。革張りシートにはビジネスクラスのシート宜しくLEDライトも装備されています。
こんな艦艇なら快適でしょう。合理的デザインの日米とは一味違いますね。いやはや楽しい時間でした。
30分の見学はあっという間に終了。ちょっと物足りないくらいがちょうどよい? 見学者の皆さんも名残惜しそうに外観写真を撮っていました。
日米の艦艇以外はなかなか見る機会、まして中を見学する機会はないので、CICルーム含め見学できて、貴重な体験でした。