2022年3月25日、最新型のもがみ型護衛艦の2番艦「くまの」(FFM-2)が横須賀にやってきました。同基地の掃海隊群配備のようです。
護衛艦でありながら、掃海隊群という異例の配備ですが、もがみ型護衛艦は、従来の護衛艦と比較して、より多用途任務をこなす艦艇として、掃海機能も付与されています。
従来の掃海艇が削減される代わりとして、掃海のための無人機雷排除システム用水上無人機(USV)と機雷捜索用無人機(UUV)の運用能力が付与されているのが最大となっています。
例の公園から観察する
朝、横須賀基地の艦艇を見ることが出来る、艦艇ファンならおなじみの、とある公園でまず撮影してきました。
写真右側にヘリコプター護衛艦「いずも」(DDH-183)、左側から護衛艦「やまぎり」(DD-152)、イージス護衛艦「はぐろ」(DDG-180)、補給艦「ときわ」(AOE-423)、そして中央にお目当ての最新鋭艦「くまの」が見えます。
護衛艦は、それぞれ艦種記号が異なる4種類が並んでいて、護衛艦と名がつくも、空母に近い「いずも」、掃海機能が付与された「くまの」と、任務の幅が広がる海上自衛隊の現状を示していますね。
護衛艦「くまの」を観察
護衛艦より高い視点から見る機会は、なかなか少ないです。じっくり観察しました。
これまでの護衛艦は、対レーダーステルス対策として、壁面の傾斜こそ着けていたものの、突起部が多く、諸外国の戦闘艦と比較すると、あまり積極的ステルス対策がされていないように(少なくとも外観上は)見えましたが、もがみ型護衛艦では、これまでの護衛艦で最も進んだ対レーダーステルス対策がされているように見えます。
まず艦首を見ると、艦を係留させるためのロープの巻取り部やボラードが一切見当たらず、ツルンとしています。これらはすべて艦内に設置されているようです。
VLS(ミサイル垂直発射機)は予算の都合上、未搭載で、主砲の後方の搭載予定部分は、これまたツルンとしています。
かなり傾斜がついた壁面ゆえ、斜めになっている扉を開くのは一苦労に見えますね。
煙突も隠れていますし、対艦ミサイルもまだ未搭載なのか、それとも隠れて見えないのか、写真ではよくわかりません。
TACANなどのアンテナ類は筒型の中に設置されています。OPY-2レーダーはやや小ぶりですね。回転式のレーダーはもはや搭載しないかと思ったら、航海レーダーらしきものがマスト前方に設置されていますね。護衛艦とて、通常航行中は一般船舶と同様なので、ここは民生品のレーダーを搭載しているようです。
それにしても、ここまで徹底したステルス対策、欧州の艦艇のようでもあり、従来の護衛艦離れしていますね。将来的なシリーズ化、輸出も視野に入れているように感じました。
その他艦艇
手前の護衛艦「やまぎり」、かなり錆びていますね。海自の護衛艦は割ときれいにしているだけに、これだけ錆びている護衛艦は長期任務のあと、そしてこれから定期修理に入る直前なのかなと思われます。
艦齢33年の古参護衛艦で、従来ならとうに退役している艦齢ですが、予算不足から護衛艦の入れ替えが進まず、しばらく現役に留まると思われます。もがみ型がある程度揃ってからの退役になるでしょうね。
そして、イージス護衛艦「はぐろ」、マストに新造時搭載されていなかったレーダー、AN/SPQ-9Bもやっと搭載されたようですね。アメリカからの納品が遅れていたわけですが、紆余曲折あってやっと搭載されたようです。この辺りの話は、色々ありますが、ここではあえて書きますまい。
それでは、今度は海上から観察しましょう。続く…