花王といえば、洗剤や医薬部外品などのメーカーとして有名ですが、実はかつてKAO DIGITAL SOUNDというブランドからDAT(デジタルオーディオテープ)が販売されていたことをご存知でしょうか?
DATとは?
まず、DATをご存じない方がほとんどでしょう。アナログのカセットテープカセットテープは、最近復権していたりしますが、これは固定ヘッドで、比較的製造が簡単だからでしょう。
DATは、世界で初めて、デジタル録音できる専用メディアとして1987年に発売されました。
それまでも、民生用としては、ビデオデッキにデジタル録音できるPCMプロセッサが販売されてはいましたが、当時はビデオデッキも高価な上に、さらにPCMプロセッサも、となると相当高額になり、お金のあるマニア向けでした。
その点、DATは、テープメディアとしては、アナログのカセットテープよりもコンパクトで、CDを超える16bit/48kHzサンプリングで、しかも120分録音できる(後に180分テープ、LPモードで12bit/32kHzサンプリングで360分録音可能)ため、CDのマスターテープとしても採用され、どちらかというとコンシューマ向けというよりは、オーディオマニアやプロが使用したメディアです。
その後、1992年にMD(ミニディスク)が販売開始されると、一般向けのデジタルメディアとしては、こちらのほうが普及しました。ただし、MDはSONYが開発したATRACと言う圧縮音源だったので、非圧縮で録音できるメディアとしては、DATが優位でした。
もちろん使い勝手は、ディスクメディアのMDが圧倒的に有利でした。
その後、CD-Rの普及、さらにHDDレコーディング、メモリメディアの登場により、次第に録音メディア自体が淘汰されていき、DATは2005年には民生用機器の販売を終了、テープ自体もSONYが2015年を最後に販売を終了(相変わらずSONYは記録メディアに対して面倒見が良いです)して現在に至ります。
今では、こうした販売終了した記録メディアは、高値で取引されていたりします。
なぜKAOがDATのメディアを販売?
オーディオ好きだったYamaro(今でも好きだけど)、当時のオーディオ雑誌にKAOのDATの評判が良いと書かれていたりして、他のブランド含めて色々試したものです。
KAOがメディアを販売した理由は定かではありません。一般にはKAOはMDも販売していたので、そちらであれば当時見かけましたけどね。
個人的には、当時はmaxellのDATがお気に入りでした。デジタル録音だから、どれを使っても変わらんでしょ?と思うかもしれませんが、つかってみると確かに違うんですよね。
maxellのDATはつややかなサウンドで、よくBSのクラシックを録音したものです。当時、アナログBS放送、音声はデジタルでしたが、Bモード音声は16bit/48kHzとDATと同じスペックで、CDを超えるフォーマットでしたので、これを無劣化で録音するのに、DATが不可欠でした。
実は、KAOのDATは、私の住んでいた周辺の電気屋では見かけることがなく、というよりDATを売っている電気屋は大きなお店だけでしたね。なので、KAO DIGITAL SOUNDが現役だった頃に買ったことがなかったのです。
なので、2010年にハードオフで1本105円で売られていたときには、懐かしくてすぐに飛びつきました。2010年はまだSONYがDATのメディアを販売していたためか、KAOのDATに目をくれる人はいなくて、ハードオフでジャンクで売られていたのでしょうね。
今では、こうしたメディアは、ハードオフでも強気の価格設定になっています。
写真の手前の1本は、民生向けではなくプロ向けの製品で、業務用DATデッキでの仕様を想定したものです(民生機でも使用可能です)。テープの耐久性が民生版のKXよりも上がっているのかな?
とにかく、今はテープメディア、高値取引されていて、特にアナログのカセットテープも、メタルテープは高値になっています。昔は1本100円で売られていたこともあったのにね…。
安値で見つけたら買いですよ! もう安値で買う保は難しいですけどね。