まもなくNikon ZマウントのMicro NIKKORが発売されるとの噂も出ている中、今あえてFマウントのMicroを導入しました。
2008年にナノクリスタルコートを搭載して発売された、AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G EDです。
60mmのマイクロ(Nikonでは等倍までのレンズはマクロレンズではなくマイクロレンズと呼んでいます)は、古くからあったAI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8Dを既に持ています。
なのに、同じ60mmのマイクロを導入したのは、ひとえに使用頻度が一番高いからです。
当ブログの物撮り写真は、ほぼDタイプの古い60mmのマイクロで撮影しています。一週間のうち使わない週はないので、一番使っているレンズと言っても良いでしょう。
故に、タイムラプス用での長期間撮影に使うと、他の撮影に使えないというジレンマがありまして。
ということで、今回は買い替えではなく買い増しです。
20年の進化を感じるマイクロニッコール
AI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8Dは、Dタイプ化される前、1989年に発売され、Dタイプ化を経て2020年頃まで販売されていたレンズです。Dタイプ化以前を含めると、光学系は同じなので、30年売られていたレンズです。
故に流通量も多く、中古でも比較的よく見るレンズです。ただ、前期型になるほど、カビ等程度の悪いレンズも多く流通していたりしますが。
なので、AF-S化され、ナノクリスタルコートをまとった新しいマイクロには、興味はあれど、なかなか買うまでには至っていませんでした。
しかし、Dタイプレンズがすべて廃番になり、Zマウントレンズの足音も近づいた現在、せっかくなので、Fマウント最後になるであろうこの60mmマイクロも使ってみようと思った次第。
実際に使ってみると、ボディ内蔵モータによるAFよりも精度が高くて合焦速度も速く(AF-Sレンズとして見ると決して速い方ではないけれど)、かつ画質も向上していることがわかりました。
よく言われる、旧60mmマイクロがやや寒色系の写りをすると言われているのに対し、相対的に新しいGタイプの方は暖色寄り、いやこれがニュートラルなのかな、と感じる写りです。ボケ味も描写が柔らかくなりました。
決して解像力重視ではないというのも好感が持てます。カリカリの描写のレンズは、実は収差が多いレンズ、とも言われていますが、そういうピント面だけがカリカリになるピーキーな感じがないのも、このレンズの良さで、特にピント面とボケのつながりは、旧Dタイプより良くなっていると感じました。
インターナルフォーカス採用により、旧Dタイプのように全長が伸びないのも利点です。
ワーキングディスタンスが短い
一方、インターナルフォーカス化のための弊害なのかはわかりませんが、旧Dタイプよりもワーキングディスタンスが短くなっているのはマイナスポイントです。
下記スペック表を比較すると、最短撮影距離が34mmも短くなっているのが分かります。撮影倍率は両者とも1.0倍(等倍)なので、同じ大きさで撮影する場合、新型は撮像面から34mm多く近づかなければなりません。
これは、旧型は1.0倍にするとレンズが伸びることを考慮しても、少々撮りづらい印象。レンズフードを付けていると、被写体に接触してしまいます。
等倍付近は旧Dタイプが使いやすい、というレビューがあるのも納得です。
AF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED | AI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8D | |
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レンズ | ||
型式 | ニコンFマウントCPU内蔵Gタイプ、AF-Sマイクロレンズ | ニコンFマウントCPU内蔵Dタイプ、AFマイクロレンズ |
焦点距離 | 60mm | 60mm |
最大口径比 | 1:2.8 | 1:2.8 |
レンズ構成 | 9群12枚(EDレンズ1枚、非球面レンズ2枚、ナノクリスタルコート) | 7群8枚 |
画角 | 39°40′(35mm判一眼レフカメラ、FXフォーマットのデジタル一眼レフカメラ) 26°30′(DXフォーマットのデジタル一眼レフカメラ) DXフォーマットデジタル一眼レフカメラ装着時: 90mmレンズの画角に相当(FXフォーマット/35mm判換算) | 39°40′(35mm判一眼レフカメラ、FXフォーマットのデジタル一眼レフカメラ) 26°30′(DXフォーマットのデジタル一眼レフカメラ) DXフォーマットデジタル一眼レフカメラ装着時: 90mmレンズの画角に相当(FXフォーマット/35mm判換算) |
撮影距離情報 | カメラへの撮影距離情報を出力可能 | カメラへの撮影距離情報を出力可能 |
ピント合わせ | IF(ニコン内焦)方式、超音波モーターによるオートフォーカス、マニュアルフォーカス可能 | ボディ内蔵モータによる |
撮影距離目盛 | ∞~0.185m、8in(併記) | ∞~0.219m、8 3/4in(併記) |
最短撮影距離 | 0.185m(等倍) | 0.219m(等倍) |
最大撮影倍率 | 1.00倍 | 1.00倍 |
絞り羽根枚数 | 9枚(円形絞り) | 7枚 |
絞り方式 | 自動絞り | 自動絞り |
最大絞り | f/2.8 | f/2.8 |
最小絞り | f/32 | f/32 |
測光方式 | 開放測光 | CPU・AI方式のカメラでは開放測光、従来方式のカメラでは絞り込み測光 |
アタッチメントサイズ(フィルターサイズ) | 62mm(P=0.75mm) | 62mm(P=0.75mm) |
マウントアダプターFT1適否 | AF駆動可 | MF |
寸法 | 約73mm(最大径)×89mm(バヨネットマウント基準面からレンズ先端まで) | 約70mm(最大径)×74.5mm(バヨネットマウント基準面からレンズ先端まで)、全長約82.8mm |
質量 | 約425g | 約440g |
作例
というわけで、先日ベローズを使って撮影したお花をAF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED撮ってみました。
ややボケ味の硬かった旧Dタイプと比較すると、柔らかいボケ味になっているのと、色味も良くなっているように感じます。
ということで、等倍付近を多用しない撮影であれば、新型に軍配が上がりますね。これからガンガン使っていきます。