色々試してみたいことがあったのと、サブディスプレイの4K化に向けての準備もあり、表題のケーブルを買ってみました。
意外とないんですよね、このスペックのケーブルって。
グラボをDisplayPort1.4(以下DP1.4)出力対応のNVIDIA Quadro P2000に更新しましたが、DP1.4に対応するディスプレイは、現状ではまだ少ないのです。
多くのディスプレイは、DP1.2の入力端子となっており、我が家のメインディスプレイである、EIZO のColorEdge CS2740もDP1.2となっています。
DP1.2でも、4K10bit 60Hz表示に必要な帯域である15.68Gbpsは満たしています。
参考までに、下の表にそれぞれの入力端子の規格の帯域を記載してみました。
| 帯域幅 / 伝送速度 | HDR |
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DisplayPort1.4 | 30.4 Gbps / 25.92 Gbps (8.1 Gbps × 4レーン) | 対応 |
DisplayPort1.2 | 21.6 / 17.28 Gbps (5.4 Gbps × 4レーン) | 非対応 |
HDMI2.1 | 48 Gbps / 42.6 Gbps(12Gbps x 4レーン) | 対応 |
HDMI2.0a/b | 18 Gbps / 14.4 Gbps | 2.0a対応 2.0bはHLG対応 |
HDMI1.4 | 10.2 Gbps / 8.16 Gbps | 非対応 |
HDMI1.2 | 4.95 Gbps / 3.96 Gbps | 非対応 |
DP / HDMIの伝送速度とHDR対応
DisplayPortもHDMIも、バージョンで帯域が異なります。実は、DP1.2ではHDRには対応していません。HDRに対応するには、DP1.4またはHDMI2.0以上が必要となっています。
4K HDR 10bit 60HzのRGBロスレスの場合、帯域は20Gbps必要とされていて、これを伝送できるのは、DP1.4またはHDMI2.1です。どちらもまだ普及はこれから、といったところです。
現在、多くの4K HDR対応ディスプレイは、実はHDMI2.0のディスプレイがほとんどです。
ここでお気づきと思いますが、HDMI2.0は、RGBロスレスでは帯域幅が不足しているのです。
そこで、これらHDMI2.0対応ディスプレイは、RGB各色4:4:4の割合で伝送するのではなく、YUVという色差信号を使用して、間引いています。
YUV方式では、色をRGBに分けるのではなく、Y(輝度信号:上の写真の2枚目のモノクロ)とCb(Pb), Cr(Pr)(2種類の色差信号:上の写真の3枚目と4枚目)の信号を組み合わせることで、色表げ右舷を行っています。
YUV方式でも、それぞれのY,Cb,Cr信号の比率を4:4:4とすることで、最高品質を得られますが、それらのうちCb,Crの色差信号の割合を減らすことで、トータルでの伝送レートを減らすことが出来ます。
例えば、4:2:2や4:2:0という比率を使うことで、伝送レートを少なくすることが出来ます。このうち、4:2:0は、実質的には4:1:1(詳細はWikipediaのYUVのページで)となります。
HDMI2.0による4K HDR 10bit 60Hzの信号は、このYUV方式による4:2:2または4:2:0(4:1:1)で情報量を間引いて、実質的に伝送レートを下げているのです。
コンピュータの世界では、昔からRGBによる色伝送が一般的でしたが、一般家庭用の古くはビデオデッキ、DVDなどのメディアは、YUV方式による信号の間引きである「クロマ・サブサンプリング」が用いられているのです。
というわけで、現状、多くのディスプレイでは、DP1.4による4K HDR 10bit 60Hz RGB(長い!)には対応せず、HDMI2.0接続によるYUV方式のHDRが用いられているのですね。
最近では、ミラーレス一眼の一部の動画では、RAW動画やHLG(Hibrid Log Gamma)方式のHDR動画が撮れる機種も出てきており、モニタ側にもそれらに対応するものが求められているのですが、どうもHDRという言葉だけが先行している気がしてなりません。
もちろん、これらをフルスペックで求めると、モニタも相当な業務用のハイエンドになってしまいますから、ある程度妥協が必要なのですが、もともとRGBの世界だったPCにYUVも入ってきている現状、使い手も混乱してしまいますね。
これからは動画系の知識も広げないとですね。
そんなこんなで、DP1.4をHDMI2.0に変換するケーブルが必要だったわけですが、果たしてうまくHDRに対応できるか、そもそもまだ対応動画コンテンツも少ないですし、Amazonプライムビデオは、PCでは4K HDRに非対応なんですよね。