4本のNIKKOR 35mmを比較する写真を撮ったついでのスナップ撮影。今回はAI AF Nikkor 35mm f/2D。
Nikonは一眼レフがAF時代となった80年代以降、Ai AF Nikkor 35mm F2Sを1989年に発売し、それを同じ光学系のままDタイプ化(距離エンコーダ内蔵)したAI AF Nikkor 35mm f/2Dを1995年に発売して以降、2010年にAF-S NIKKOR 35mm f/1.4Gを発売するまでの15年間、AFレンズはずっとこのDタイプ1本だけでした。もっともその時代にもまだMFのAI Nikkor 35mm f/2Sとf/1.4Sをラインアップしていたというのもありますが。
というわけで、長きにわたりAFレンズとしてはこの1本だけで頑張ってきたレンズ、Yamaroが一眼レフのNikon F90Xsを買ってから初めて自分で買ったNikkorレンズでもあり、思い入れのある1本です。このレンズとともに写真を続けてきたので。
見た目はプラスチッキーで質感は必ずしも高くなく、使い込むほど表面はテカり、AFカプラーを使うボディ内AFモータ駆動のレンズゆえ、AF時もフォーカスリングは回転するし、MFレンズ時はフォーカスリングはスカスカ(AF時に回転するのでMFレンズのようなネットリ感を出すとAF駆動に支障が出る)と、今となっては古さを感じます。
が、このレンズの後継としてAF-SやNIKKOR Zを買った後に改めて使ってみると、なかなか写りは悪くないです。オートニッコールほど球面収差が出るわけでもなく、かといって周辺まできっちり解像するわけでもないのですが、この時代のレンズらしい性能と写りは、今見ても悪くないんですよ。
なによりコンパクトで軽量なのがこのレンズの持ち味。フィルム時代ならこれで十分すぎる性能、今時の4500万画素のデジタルでもそつなくこなせます。D300時代のカメラより、今使っているD850やZ8で撮ったほうがよく写るんですよね。イメージセンサの光学フィルタも進化しているということかな?
撮影はNikon Z8にFTZ II経由で行っています。AFは使えない以外は、CPUレンズなのでコマンドダイヤルで絞り操作も可能ですし、フォーカスエイドも使用可能です。

f5.6だと、本当に画面の四隅が僅かに像が流れるものの、他はほぼ問題なく解像し、収差の影響も見られないです。このレンズはまだフィルム時代の発売なので、四隅が僅かに解像しないのは、当時プリントで四隅が切られてしまうことを考えると、全く問題とならなかったです。
そつなく写るので、ともすると面白みにかけるレンズですが、それが返ってレンズの個性に頼らないで、ちゃんとフレーミングしようよ、被写体とその前後の位置関係考えよう、となるわけです。じゃ、自分がそれが出来ているかと問われると、多分あまり出来ていない(笑) いいんです、趣味なんで楽しければ。

上の写真はf4です。こういう近距離風景のスナップなら、f4に絞る程度で十分写ります。D300だとシャキッと写らなかったのが、D810以降のカメラでは割とよく写るんです。同じレンズでも、デジタルだと世代で描写が変わるのは、イメージセンサも光学系の一部となっているからなのかなと。

絞り開放だと、このレンズはフォーカス距離によってはご覧のように背景がやや硬めのボケになります。フィルム時代は開放より絞って使っていましたね。
今時のレンズのように、ピント面がシャキッとは解像していないけど、これはこれで好き。

f5.6で。このレンズはこういう撮り方が一番合っているな。ちょっと絞って撮る、昔ながらの撮影スタイル。
光が丘清掃工場の煙突はどうしても撮りたくなります。

f5.6で。このくらいの絞りで撮るのが、このレンズの持ち味が出て良いですね。落ち着いたトーンで暗部もしっかり粘ります。
中古でもそこそこ数のあるレンズです。値段も安いので、スナップに1本いかがでしょう?