土田酒造のお取り寄せの酒シリーズが続きます。今回は、杜氏が飲みたい辛口酒の第3弾だそうです。
ひとえに辛口の酒、と言っても、辛いからこうだ! といえないのが日本酒の面白いところ。日本酒の辛口とは、いわゆる日本酒度でプラス側に表記されているお酒です。この日本酒度は、水との比重で計測します。甘口のお酒は、水より比重が重いので、マイナス○○という表示となり、逆に辛口は糖分が少ないため水より比重が軽くなります。
辛口のお酒は、よく端麗辛口という表現も聞きますが、辛いから淡麗というわけでもないのです。
なぜこう書くかというと、この誉国光の上州クラシック、決して辛いだけの日本酒ではなかったからです。
土田酒造らしく、生酛造り、そして精米歩合90%とほとんど削らず作られたお酒です。酒米を使わず、飯米だそうです。
辛口と書いてありますが、日本酒度については表記なし、わかっているのは、アルコール度数15%で無加水の原酒、酵母は近年のお酒でよく使われる協会701号です。
上立ち香は微かです。常温でいただくと、んん? 確かに辛いけど、米の旨味がぐっと膨らみ、後味に甘みも感じます。そしてスッと余韻が引いていきます。辛口と身構えて飲むと、ガツンとくるアタックではなく、穏やかさのほうがありますね。
生酛らしい酸味は程々です。
辛口のお酒、アルコールっぽさがいつまでも残ってしまうお酒も多い中、この上州クラシックは、しっかりと甘みも伝えてきつつ、すっと引いていくので、後味も良いです。確かにこれは何でもない晩酌にピッタリのお酒です。
冷酒でも燗でも、温度帯を問わずオススメだそうです。なかなか懐が深い。辛口系は苦手な妻も、これはいけるようです。
辛口の概念が変わりました。これはいつまでも飲んでいられる、そんな感じのお酒ですね。