Nikon COOLPIX P7000
Nikon COOLPIX P7000 + NIKKOR 6.0-42.6mm f/2.8-5.6 ED VR
2011年7月作成
●やっぱり弄り甲斐のあるコンデジが欲しい |
フジのFinePix F200EXRを購入はしたものの、何か物足りない、画質に不満はないけど、なんだろう、希薄な撮影感は…。 とF200EXRの素晴らしいダイナミックレンジに満足しつつも、何かが引っかかったまま2年ほど使用しました。 F200EXRのページの最後に、長くは使わない気がする…と書いた予感は的中しました。 シャッター押すだけのF200EXRは、出てくる絵はよいものの、何かが物足りない。 そんな中のCOOLPIX P7000の発売でした。P6000は、広角28mmからのレンズで購入を検討したものの、画質はイマイチで却下、しかしながらP6000の使い勝手の良さから、もっと画質を向上させたデジカメを望んでいました。 P7000は、ようやく納得のいく画質を出してくれました。でもすぐには買わず、値落ちするのをじっくり待って、ちょうど中古で出物があったので、購入に釘つけました。 そんなわけで、自分の中ではCOOLPIX 5400以来の本格コンデジであり、実質的にCOOLPIX 5400の後継機と考えています。 1000万画素と今となってはやや控えめの画素数、1/1.7型CCDは、一節にはローパスフィルタレス、またはローパスフィルタの効きを最小限に抑え、解像感を重視した設計で、従来の高画素コンパクトデジカメの弊害を全く感じさせない、素晴らしい出来に仕上がっています。 28〜200mmという、この手の高画質なコンデジでは異例の高倍率ズームレンズにかかわらず、画質の弊害も殆ど見られず、広角から望遠側までシャープな描写性能です。 ニコンのSシリーズを除くコンパクトカメラの常で、若干AFが合わないケースがあるものの、バッテリの持ちもよく、露出やオートホワイトバランスもかなり安定していて、ニコンらしさを随所に感じさせる作りです。 欠点は、P6000よりだいぶ大きくなってしまったことですが、それでもこのサイズのカメラでこれだけ撮れれば十分といえる性能ですね。 フルではないものの、ハイビジョン(1280x720)動画に対応しているのも時代を感じさせます。 購入時のブログはこちら。 |
●性能向上したAWB、的確な露出 |
FinePix F200EXRで不満だったのは、オートホワイトバランスの精度の悪さ。とにかく青い! ファームウェアアップデートでマシにはなったものの、基本青い。 JPG撮って出しでは使えない程でした。これさえ悪くなければ、今でも所有していたと思います。 P7000は、とにかくAWBは補正の必要性は殆ど無いくらい、自分の感性に合っています。露出も、不安定な露出を広いダイナミックレンジで無理やりカバーしていた感があるF200EXRと比較すると、一眼レフのD300に似た傾向でとても安定しています。液晶のプレビュー画面より、実際撮れる絵が少し明るめに出る傾向があり、マイナス補正することが多いです。 露出補正も、専用のダイヤルがあるため、極めて使いやすいですね。これはCOOLPIX 5400でもなかった美点です。 簡易ながらRAW撮影可能なのも良いですし、同社の一眼レフと同様のピクチャーコントロール、アクティブDライティングによるダイナミックレンジ拡張など、同社の一眼レフユーザーなら違和感なく入れます。 シャッタースピードも1/2000や1/4000秒まで対応するので十分なのですが、NDフィルタを内蔵しているのも、かゆいところに手が届いていますね。 若干動作にモッサリ感はあるものの、総じていじり甲斐がある、使っていて楽しいカメラだと思います。 作例はブログから御覧ください。 |
デビュー時各方面で言われましたね、Canon PowerShot G11/12に似ていると。 自分もそう思っていましたが、実際手にとってみると、ダイヤルの配置は全く異なります。 個人的に、左側に露出補正ダイヤルがあるG11/12と比べて、右側にあるP7000のほうが使いやすいです。 ファンクションダイヤルは、ユーザーカスタマイズ(U1,U2,U3)が3種類選べるのもよいですね。 普段はAモードでJPG撮り、U1はRAW撮影に、U2は動体撮影、U3はWeb用に低画素撮影、と使い分けています。 パッと設定できてよいですね。 |
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フラッシュはポップアップ式。従って格納すれば発光禁止。 使いたい時だけ出せばよく、誤発光も防げて便利です。 フィルム時代のコンパクトはこういう形式が多かっただけに、嬉しい機能です。 発光部はかなりコンパクトです。 i-TTL調光にも対応しています。 外部調光だったCOOLPIX5400に比べると格段の進化。 F200EXRの調光精度もかなり良かったですが、P7000も勝るとも劣らない安定感があります。 |
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もちろん外部スピードライトも取り付け可能。 COOLPIX5400にSB-28を付けて遊んだように、P7000にも現行のSB-900などが取り付け可能。 スタンダードi-TTL調光が可能です。 ちなみにSB-900の液晶画面では、焦点距離表示はZOOM AUTOとなり、一眼レフのようには表示されません。 ただ、照射角のパワーズームはきちんとズームに合わせて連動しています。 外部スピードライトと組み合わせれば、バウンス撮影などストボワークの幅が広がります。 作例はこちら。 さすがにSB-900は大きすぎますね。SB-400がベストバランスでしょう。 |
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ISO感度やホワイトバランスなどは、クイックメニューダイヤルから設定可能。 ISO感度なら、ダイヤルを合わせて中央のボタンを押すとメニューが現れます。 若干レスポンスが悪いのが残念。 ISO感度設定ではオート感度時の低速限界設定(設定よりシャッタースピードが下がらないよう感度を調整)が可能。 これはニコンの一眼レフと同じものです。 液晶画面は92万画素の液晶で高精細で見やすいです。 |
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ヤフオクで安く入手した純正レザーケースCS-NH37。 社外レザーケースもあって最初はそれを検討したのですが、ヤフオクを覗くと純正も安く出ているのです。 なんでかなーとよく見てみると、売っている方はP7000アンティークキットを購入して、ケースを売るようです。 なぜかというと、外付けファインダのNH-VF28を単品で買うよりアンティークキットを買ったほうが安いらしい。 何ともおかしな状況ですが、お互いの利害が一致してよいですね。 自分は今のところズームレンズ搭載、かつファインダも付いている本機にあえて外付けファインダは必要ないです。 |
●総括 |
発売1年もたたず、2万円台突入という恐ろしくコストパフォーマンスの高いカメラです。COOLPIX5400が5万円切って安いなと感じだあの時代が懐かしい…。 P6000が現役だった頃より安いのでは。 筐体が大きく、もっさり動作以外は、自分の中では相当評価が高いカメラです。買ってよかった…そう思わせます。。 |
オートフォーカス ★★★☆☆ |
顔認識、マニュアルエリア選択、オートモード、無限遠モード、MFモードと、上級コンデジにふさわしい内容。 AFが今時のコンデジより(F200EXRと比べても)若干遅く、ちょっと暗い場所では迷い気味。ちょっと残念。 もう少し頑張って欲しいとは思うものの、一昔前のCOOLPIXに比べたら、比較にならないほど向上しています。 MFモードは中心の画像を拡大表示可能ですが、ピントの山は分かりづらいです。 |
露出 ★★★★★ |
非常に安定しています。同社の一眼レフに通じる安定性のよさです。 補正なしでは若干明るめに出るため、自分の中では-1/3辺りが標準と考えています。 スピードライトも、安定していたF200EXRをさらに上回る精度の良さです。 |
バッテリ ★★★★★ |
一眼レフのD3100と同じバッテリを採用するだけあり、普通のコンデジより大きいです。 その分電圧も高く、かなり長持ちします。 予備として1本持っていれば、まず普通の撮影には困らないです。この点は薄型バッテリのF200EXRとは比較になりません。 |
ホワイトバランス ★★★★☆ |
青かったF200EXRと比べて、本当に安定しています。おかしな色合いに転ぶことはほとんどなくなりました。 撮って出しでも十分です。 さらにニコン一眼レフと同様、チャートで微調整も可能です。コンパクトデジカメの枠を超えています。 |
レンズ ★★★★☆ |
このカメラが出たときは、何故上級コンデジに高倍率ズーム!?と思いました。 しかし実際撮ってみると、VRはよく効き、レンズはコンデジとは思えないほどシャープネスが高く、周辺光量低下や高倍率化による弊害もな高倍率かの弊害は殆ど感じません。1000万画素を十分使い切る解像感です。 |
携帯性 ★★☆☆☆ |
コンパクトデジカメと言いがたい大きさ。マイクロフォーサーズに近い感覚。 先代のP6000が、GPS内臓ながらより薄く小型だっただけに、画質と操作性優先とは言え、もう一回りコンパクトに仕上げてくれるとなお良かったです。 |
スピードライト ★★★★☆ |
F200EXRも優秀でしたが、本機の内蔵スピードライトもi-TTLによる安定した発光です。 いかにもフラッシュ炊きました、的な絵にはならないのが美点。 さらに、SB-900などの単体スピードライトも装着可能で、ストロボワークの幅が広がります。 |
画質総合 ★★★★☆ |
ダイナミックレンジはF200EXRにかなわないものの、アクティブDライティングで見た目には自然な階調になっています。 なおかつ高感度耐性は、画素数を落としたEXR SNモードのF200EXRと同等かそれ以上。優秀な部類でしょう。 カスタムモード、多彩なメニュー、独立ダイヤル、ファンクションキーなど、とにかく使いご無しのあるカメラです。 自分の思ったとおりに絵作りが可能で、レンズもよく、AFの遅さともっさりメニューを考慮しても、使っていて楽しいカメラです。 FinePix F200EXRとのダイナミックレンジ比較テストはこちら。 FinePix F200EXRとの高感度撮影比較テストはこちら。 P7000の動画撮影はこちら。 |
COOLPIX 5400以来の、きちんとしたコンデジだけあり、末永く使っていきたいと思わせる作りです。
後継機がP8000?だとしたら、もう1周りコンパクトに、AFとメニューのさらなる高速化を望みます。GPSも復活で。
ちょっとした撮影なら、D300を持ち出すまでもない、そう思わせるカメラですね。