carrozzeria DEH-970

carrozzeria DEH-970 


2012年4月作成

●大幅値下げの上級志向デッキ
2012年1月、突如として発表されたDEH-970。それまでのDEH-P940から2万円近く安く、さらに前のP930の半額以下という驚異的価格。
それでいながら、ネットワークモード、LR独立のEQやタイムアライメントといった上級機種のツボを抑えつつ、iPod対応のUSB入力2系統、SDカードスロット、Bluetoothを備えるなど、大幅に機能を向上させた意欲作です。

もちろん、値段が値段だけに、銅メッキシャシではないなど、従来機より安く抑えている部分もありますが、極力音質に影響の少ないものをコストダウンしつつ、この価格に仕上げたことはスバラシイの一言につきます。
まさにパイオニアの戦略機、意欲作ですね。
近年、アンプ内蔵のカーナビが一般化し、市販のカーオーディオ市場は縮小傾向にある中、少しでも手頃に良い音に触れてもらいたいという、パイオニアの良心を感じるデッキです。
一方、上位機であるP01との価格差が大きく、個人的には本機は7シリーズとして、あるいはP940と同価格で良いので、もう少し全体の質感を高めて欲しかった、という気持ちもあります。

P099導入から6年、CDチェンジャーとの組合せもとうに時代遅れですし、価格も手頃なので、入れ替えることにしました。
古いとはいえ、倍以上の価格のP099からの入れ替えで、機能面はともかく、音質はどこまで向上するか?

まずは車に装着する前に観察してみました。


長年、カロッツェリアの上位9シリーズは、本体左右にダイヤルを配したデザインでしたが、本機は1ダイヤルに。
その代わり、ダイヤル(正式にはロータリーコマンダー)の脇にはレバーが配されていて、同社の下位機のようです。

従来のP940やP930と比べると、外観の安っぽさは否めません。
7シリーズや5シリーズのようです。
音質には影響しないので、まっさきにコストダウンの対象になったのでしょうね。

フロントパネルには、測定用マイク兼AUX用の端子があります。
フロントパネルはP099のような電動式ではありませんが、コストダウンの一環でしょう。
個人的には電動である必要はないと思っているので。どうせCDはそう使わなくなるでしょう。
写真の通り、パネルは取り外しも可能です。
本来は盗難防止のためですが、今時この値段のデッキを盗むことがあるのか…
それより、取り付け時にパネルに傷をつける危険性が無いので便利です。
外したパネルを入れるケースも付属しています。

なお、SDカードスロットは、パネルを外さないとアクセスできません。
本体を裏返したところ。
写真中央右の赤丸が、DSP切り替えスイッチで、STDモードとNW(ネットワーク)モードの切替。
デジタルクロスオーバーを使用する際は、NWモードに切り替えます。
STDでは、通常通り、フロントとリア出力となります。
もちろん自分はNWで使うので、取り付け前で切り替えておきました。

下の赤丸は、RCA入力の感度切替です。
L(Low)は、通常のライン入力として機能します。
H(High)は、スピーカー出力からの入力を想定しています。
そのためのスピーカー用バラ線&RCAプラグのケーブルも付属しています。
近年、純正オーディオを外せない車も多く、純正オーディオのスピーカー出力を入力できるよう配慮されています。
この配慮が素晴らしいですね。
リアパネルの様子。
これまでと違うのは、パイオニア独自のIP-BUS端子がなくなり、オーソドックスなRCAピン端子になったこと。
もはやCDチェンジャーやMDデッキをつなぐことは想定されず、iPodもUSB接続なので、IP-BUS自体不要です。
右側はプリアウトで、STDモードではフロント・リア・サブウーファー出力、NWモードではLOW・MID・HIGHとなります。
自分はわかりやすいようにサインペンでH・M・Lと書いておきました。
左側はAUX入力端子、アンテナ入力、USB入力が2系統です。
ヒューズは10Aの平型ミニです。

ヒートシンクの塗装が粗い感じですが、これもコストダウンなんでしょうね。

後ろに写るカセットデッキもパイオニアだったりw
付属のケーブル類。
本体コネクタに接続するケーブル類は、スピーカーケーブルも電源ケーブルも細く、ここもコストダウンです。
それでも測定用マイクは付き、純正オーディオのSP出力を繋げられるケーブルも付属するなど、
必要なものはちゃんと揃っています。
   リモコンの比較。
左がP099、右が970ですが、一見して分かる通り、P099に比べて970のリモコンは簡素化。
テンキーもなく、入力切替もダイレクトに切り替えができなくなりました。
最もリモコンは使ったことが無いので、自分にとってはどうでもいいのですが…
P099のリモコンも袋をかぶったままだったりします。


●デッキを取り付ける
もともとあるDEH-P099と入れ替えなので、取り付け自体は簡単…なはずでしたが、デッキの裏のクリアランスギリギリで配線してあった結果、パワーアンプへのラインケーブルが微妙に届かない…。
そう、P099は本体のプリアウトは、一度本体からRCAメスの配線がのびているのに対し、を介しているのに対し、970では本体側にRCA端子が付いています。このため、ギリギリに配線したラインケーブルが届かない事態に。
結局ラインケーブルは引き直しです。
P099と同様、NWモードで外部アンプを使うので、スピーカー配線は使いません。
CL/CM系アコードの場合、ナビ無しでノーマルオーディオであれば、エアコンパネル下の物入れが2DIN分のスペースを確保できます。
ただし、もう生産完了の車なので、ホンダアクセスの2DINパネルが入手できるかは…。販売店に確認してみて下さい。
6年使ったDEH-P099を取り外し。特に不具合もなく、CD-RWもちゃんと読めます。
ヤフオクで嫁いで行きました。

何度もやっていると、デッキの取り外しも手馴れたものです。
保護テープを張っているとはいえ、内装の傷も増えていきますが(笑
せっかくなので、2台のリアパネルの比較。
右がDEH-970、左上がDEH-P099です。
前述のとおり、プリアウトが970は本体に端子があるのに対し、P099はRCAメスのケーブルが伸びています。
970のほうが、ヒューズなども本体装着で、配線もすっきりしています。
P099はまだ銅メッキシャシーでは無いので、質感は970とそう変わらないですね。
前述のとおりアンプからのラインケーブルがギリギリの長さしか出してなかったりします。
微妙にデッキに届かないのでありました(泣
で、結局ラインケーブル引き直しです。
久々にリアシート引剥返しましたよ。
せっかく内装を引剥返したので、ラインケーブルも交換してみることに。
エーモンの細いケーブルは撤去し、ジャンクケーブル箱に死蔵してあったモンスターケーブルを使用。
ちゃんとカーオーディオ用で、4チャンネル分を1本で伝送できます。
ただ、このケーブル2mしかないのです。
なので新品ですがパッケージが古いのでジャンクとなっていたようです。
途中で中継コネクタを使って、手持ちの余っていたJVCのケーブルを付け足しています。
実はこの中継が、後々悪さをすることに…
  carrozzeria PRS-A700と接続。
今回、DEH-970導入にあたり、古いパワーアンプ(GM-X404)から交換して、PRS-A700導入。
旧製品ですが、デッドストックの新品を入手。
比べてはかわいそうですが、さすが新しい上に上のモデルだけあり、音の密度と解像度が別物でした。
同じスピーカーとは思えないくらい、活き活きと鳴ります。
今回、DEH-970の内蔵アンプは最初から使わず、OFFにしてあります。
そう、P099は内蔵アンプのオフは出来ませんでしたので、多少は省エネになっているでしょう。
時間があれば、内蔵アンプとの比較もしてみたかったのですが。
  DEH-970の特徴として、USB入力を2系統も持ち、USBメモリやiPodを接続が可能なところ。
時代はメモリですから、もはやCDすらほとんど使わない状況ですね。
CL系アコードの場合、純正ナビと携帯をつなぐためのオプションコードがセンタコンソールを通ります。
そのための蓋があり、今回はそれを利用して、写真のようにUSBケーブルを通しました。
これでUSBメモリもiPodも、人目のつかない場所に設置できます。
  携帯用の蓋も購入。
こんな感じで違和感なくケーブルが通せます。
USBメモリは32GBを取り付け。これで、iTunesに取り込んだ普段聞きの曲はほぼ入ります。
  取付完了。
本気のイルミネーションは、RGB各色細かい設定が可能なので、車のイルミに合わせることが可能。
CL7アコードユーロRはアンバー色?オレンジ?ですが、DEH-970のGoldの設定が合っているかな?
写真ではGoldに設定しています。
 
  iPod touch(第4世代)とBluetoothで接続中の様子。
ディスプレイにPhenom2と表示されているのは、うちのメインパソコンの名前で、そのままiPod名になっているから。
Bluetooth接続はかなり便利で、一度設定すれば、エンジンをかけると自動で再生が始まり、エンジンを切ると停止。
iPod側で操作の必要はなく、次エンジンをかけると、ちゃんと途中から再生できます。
ただ、Bluetoothの設定をしたまま、専用ケーブルでiPodと接続すると、Bluetoothの再生が優先されてしまいます。
突然音が途切れるのでびっくりしましたが、iPod側で機器を選択すれば、有線接続で再生されます。
毎回設定する必要があり、ちょっとメンドウ。
専用ケーブルでつなぐ際は、iPod側のBluetoothを切ったほうが良いですね。
 

それではインプレを。現状、オートTAをベースに調整していますが、まだまだ調整しきれていません。

外装・デザイン

★★★☆☆
値下げ分が外装に現れていますね。明らかに従来のP9xxシリーズよりは安っぽく感じます。
ただ、画面が見づらいとか、ボタン類が安っぽいという印象はなく、どこを削るかという点で、音をとって外装を削った点は評価できます。
操作性

★★☆☆☆
残念ながらP099より劣ります。これは1ダイヤルとレバーの組み合わせのため、例えばNWモードの調整も、1項目調整して戻って、また調整して戻っての繰り返し。明らかにP099より劣ります。
リモコンも簡易なものとなり、ほぼ出番がなさそうです。このデッキ唯一の不満です。
入力系統

★★★★★
このデッキ最大の特徴、USB2系統とBluetooth、AUX前後2系統と豊富な入力で、とにかく便利です。
USBが2系統あることで、1つは固定してUSBメモリ、もう1つはiPodといった使い方も可能。
新しい世代のデッキだけあります。
ちなみに、CDを再生するより、USBメモリやiPodで再生したほうが、返って情報量が多く感じられます。このデッキはCDはおまけで、USB接続がメインと考えたほうがいいかもしれません。
ディスプレイ

★★★★☆
有機ELのP099には劣りますが、意外と見やすく解像度もそこそこあるディスプレイ。
バックライトの色も自在に変えられるので、いろいろな車の内装やイルミに合わせられて便利。
機能(TA/EQなど)

★★★★☆
このクラスで左右独立EQ搭載。TAはNWモードでも、測定マイクによるオートTAが可能。
ただし、オートTAの性能は…自分で調整したほうが良いかと思います。
サウンド(プリ)

★★★★☆
内蔵アンプ未使用につき、プリアウトの評価になります。
P099と比較して、特に高域の分解能が良く、空間もそこそこ広がりがあります。
この音が実売2万円台のデッキから出てくることに驚きます。
ただし、音の厚みや迫力は、P099のほうがリードしていて、ここは素直に値段の差のように思います。
全体的には、この値段にしては相当頑張っていると思います。が、P9xxユーザーが積極的に買い替える程ではないことは書いておきます。そりゃそうですよね。値段が違うんですから。
配線

★★☆☆☆
低価格化のため、全体的に細く、必要最低限の物しかついていません。
それでも配線は費用対効果の面から削ったと思われます。
総合評価

★★★★☆
この値段でほんとうによくやってくれました!と言えるデッキに仕上がっています。
特に機能面で優れているのと、豊富な入力は、初心者にもわかりやすい良さと言えますし、それでいながら上級機譲りのTA・EQ・ネットワークモードを搭載していて、コストパフォーマンスは抜群です。
ただ、P01との価格差が広がってしまったことも確かで、970とP01の間の機種も欲しいですね。


気がついたことは、また加筆したいと思います。



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