Kyocera T PROOF
Kyocera T PROOF Carl Zeiss T* Tessar 35mm f3.5
2002年作成 2007年2月加筆
購入のきっかけ・特徴
ニコンF90Xを手に入れて、急速にカメラにのめりこんでいった結果、いつでもどこでもきれいな写真を撮りたいと思うようになる。が、F90Xはかなり大きいので、これを常時携帯するのはしんどいし、なおかつスマートではない。
そんなわけで、コンパクトで高画質なカメラが欲しくなってきた。今までコンパクトカメラは、フジのカルディアミニとオリンパスIZM220で、いずれもキタムラのジャンクコーナーからサルベージしたもの。ストロボが故障しているオリンパスはあまり使わず、もっぱらフジを使ってきたのだが、こちらは28mmレンズで、35mm常用派の自分にはチョッと高角過ぎるのと、やはり安物なので画質はよくない。せっかく絵はいいのに、画質が悪くて作品には…と言う事が多々あったので
高画質なコンパクトカメラと言っても、コンタックスT3とかミノルタTC-1みたいな物は高くて手が出せない。いわゆるフツーのコンパクトで単焦点のもの…ネットで情報収集した限り、選択肢は
例によって消去法でいくと、まずフジは友人が既に持っていること。そして28mmは…ってことに。リコーも30mmは限りなく28mmに近いし、既にあまり見かけない。オリンパスはデザインがなじめない、ってことで、京セラになりました。それもそうだし、一番の理由はCarl
Zeissだってことですか。ニコンユーザーにとっても、あの現実離れした色のりと美しいボケ味は憧れですね。2人の友人がコンタックスユーザーですが、写真を見るたびにそう思いますよ。
レンズはCarl Zeiss Tessar T* 35mm f3.5で、一眼レフ用ズームレンズ並みの明るさですが、コンパクトカメラとしては標準。写真の通り、上から覗いてみる事が出来るアングルファインダー(N.Aスコープ)がついていて、あまり見易くはないけど、結構明るくてスナップにはもってこいです。
スイッチ類はシンプルで、左側のストロボボタンは、スライド式切り替えスイッチの方が使いやすいとは思いますが、ボタン自体は押しやすく、誤動作防止につながります。ストロボOFFモードにすれば、シャッター切ってもモードが引き継がれますが、無限遠モードではその都度設定など、その辺は誤動作防止と機能性の両面が考えられてるようです。電源を切ればモードはオートストロボに復帰します。
測光方式は逆光補正つき、2分割SPD測光で、リバーサルは使った事がないので厳密な性能はわかりません。ネガ常用なので。
レンズは沈胴で、電源を切るとすっと奥へ引っ込んで、半透明カバーがレンズを守ります。
濡らした事はないけど、生活防水がついているので安心です。電池ケースや裏蓋にはしっかりゴゴムでパッキンしてあります。フィルムを装填して裏蓋を閉める時はちょっと力がいります。普通の雨ぐらいなら十分耐えられる防水性能(「機器を正規の取り付け状態にして、その上方300〜500mmの高さから、鉛直から両側180度までの全範囲にわたって、じょうろ口を用いて散水する。散水量は、毎分10±0.5リットル、水圧は50〜150kPa、試験時間は、機器の外郭表面積1平方メートルあたり1分間で最低5分以上とする」:説明書より抜粋)を持っていますね。
インプレッション
さて、右上の写真の通り、アングルファインダーを装備しているのがポイント。いいですよ! さて全体の印象ですが、さすがに定価41000円のだけあり、外装はプラスティックですが、シルバーのボディなのか、それほど安っぽさはないですが、まあ価格なりってところでしょうか。仮にこれがアルミ外装でCONTAXなんてロゴが入ってしまったら、たちまち倍くらいの値段になりそう。あえて京セラブランドで出しているところが、かえってマニア心をくすぐりますね。
シャッターレスポンスはコンパクトカメラとしては並。シャッターボタンのストロークは、半押しと本押しの間が短く、たまに半押しのつもりがシャッターを切ってしまうことがあります。ファインダーも、この手のコンパクトとしては見やすいほうですね。ストロボの使用感は前述のとおりですが、光量は35mmの画角に必要十分。ISO400のフィルムと組み合わせれば確実。
コンパクトカメラの命、搭載レンズの性能ですが、周辺光量低下が見られるものの、このレンズの場合、色のりがいいこともあり、それが返っていい方向へ行っている気がします。厳密な撮影をしたいなら一眼レフですから、スナップにはこの欠点は指して問題でないでしょう。僕は欠点とは思ってないけど。色のりのよさは特筆物で、ややアンダーなのかもしれないけど、それはそれで。解像度はさすがにニッコールのようにカリカリの解像度とまで行かないけど、そこそこって感じでしょうか。
お買い得だと思います。このカメラ。デジカメ時代に突入した今、もうこのクラスの単焦点コンパクトは出てこないでしょう。このT PROOFも先ごろ生産中止になってしまって、駆け込みセーフで新品を購入しました。ちなみに新品でカメラを買ったのはこれが初めて。安いので、手に入いるうちは手に入れておいたほうがいいのでは?
作例
しばらくコンパクトデジカメが常用となって、すっかり出番がなくなっていたT PROOFですが、久々にフィルムを詰め込んで街角スナップ。
新宿のとあるお店のショーウィンドウ。ガラス越しなので、フィルム時代のコンパクトカメラの一般的な赤外線ステレオ測距AFだと、ガラスにピンが合ってしまう所ですが、フォーカスロックをしてうまいこと撮影できました。やっぱりコンパクトデジカメと比べるとボケがちゃんと出ますし、Carl
Zeissならではの色乗りのよさとボケ味を楽しむことができます。
これがン十万もするカメラではなく、安いコンパクトカメラで得られるのですから、フィルムカメラって面白いんですよね.。コンデジでは得がたいものです。