Panasonic LUMIX GX7 MarkIII (DG-GX7MK3)

DG-GX7MK3(左)とDMC-GX7MK2 

2022年7月作成

●GX7シリーズが終了すると聞いて、慌てて買ったMarkIII
2017年にTwitterのフォロワーさんからい安く譲ってもらったLIMIX GX7MK2は、初めてのPanasonicでしたが、操作性がNikonと似ていて、かつ小さなボディにも関わらず高機能でとても気に入り、割とテンポよく買い替えているサブカメラの中では比較的長い3年半にわたって使い続けることになりました。
すでに、後継機のGX7MK3が発売されていましたが、GX7MK2に特に不安はなかったので、買い換えずにいました。後継機のMarkIVが出たら買い替えかな、そんなつもりでいました。

ところが、どうやら後継機は発売されず、このままGX7シリーズは終売してしまうという流れになってきたのが2021年後半、そして2022年3月にはHPに販売終了の表記が。
これはいかんなぁ、マイクロフォーサーズはこの形状とサイズが魅力で買っていたので、EVFが出っ張っている一眼レフスタイルは求めていないのですよ。
ということで、市場在庫が無くならないうちに買い替えることにしました。デジタルカメラは最新機種を買う、というのが今までの流れでしたが、後継機が出ないから型落ちを買う、というのもなんだか悲しいですね。それだけデジタルカメラも市場が熟成したということなのでしょうけど。

さて、GX7MK2とMK3は、一見して大きく変わるところはありません。4K30p動画も撮れますし、EVFも搭載していますし、これがMK3があまり売れなかった最大要因かもしれません


▼LUMIX GX7MK3の(Yamaro的)見どころ
 ・GX7MK2から引き継いだ基本動画性能の高さ
 ・GX7初代で好評だったチルト式EVFが復活
 ・画質の評価が高い2030万画素センサに進化
 ・Bluetoothに対応

こうしてあげると、少ないんですよ…GX7MK2がなまじ良かったため、2年後に発売されたMK3の変化が少なすぎたのです。モデルチェンジが早すぎたのかのかな。

GX7 MarkIII (DG-GX7MK3) GX7 MarkII (DMG-GX7MK2)
発売年 2018年 2016年
イメージセンサ画素数 2030万画素(4/3型Live MOSセンサ)  1600万画素(4/3型Live MOSセンサ) 
ローパスフィルタ 非搭載 非搭載 
画像処理エンジン ヴィーナスエンジン ヴィーナスエンジン
基本感度 ISO200-25600 ISO200-25600
拡張感度 ISO100-25600 ISO100-25600
連写速度 9コマ/秒(メカ・電子/AF-S)
6コマ/秒(AF-C)
9コマ/秒(メカ・電子/AF-S)
6コマ/秒(AF-C)
40コマ/秒(電子SH)
測光方式 マルチ測光/中央重点測光/スポット測光 マルチ測光/中央重点測光/スポット測光
AF測距点 全画素(手動49点) 全画素(手動49点)
AF方式 コントラスト(空間認識AF) コントラスト(空間認識AF)
ボディ内蔵手ブレ補正 4段(Dual I.S.) 4段(Dual I.S.)
液晶モニタ 3型/124万ドット 3.2型/104万ドット
シャッター速度 60-1/4000秒(メカ)
1-1/16000秒(電子)
シンクロ:1/200秒
60-1/4000秒(メカ)
1-1/16000秒(電子)
シンクロ:1/160秒
動画 2160(4K)/30p・1080/60p 2160(4K)/30p・1080/60p
動画ハイライト表示 対応 対応
動画電子手振れ補正 対応 対応
記録媒体 SDXC(UHS-I UHS Speed class 3) SDXC(UHS-I UHS Speed class 3)
撮影可能コマ数 モニター時:260枚
ファインダー時:250枚
モニター時:290枚
ファインダー時:270枚
質量(本体のみ) 407g 383g

▼外観チェック

EVFがGX7初代と同じチルト式となったのが最大のトピック!
MK2で固定式となったのを残念に思う声が多かったためか、ユーザーの声が反映された形でしょうか。
ただし、見え方はGX7MK2と同様、光学系の性能が良くないな、と感じさせます。
ピントの山は見えません。
なので、あくまでも構図確認のためのEVFで、多くを求めてはいけません。。
MK3(左)とMK2、一見大きくは変わりませんが、電源スイッチの形状が異なります。
AF切り替えスイッチが追加されたり、露出補正ダイヤルも追加されています。
細かい変化点、USB/HDMI端子カバーが、プラのヒンジ式から格納式に。
いつか外れてしまいそうなヒンジ式から進化したのは良いですが、開けづらいのが難点。
そして2018年だとギリギリUSBはType CではなくmicroUSBでした。
今となっては少々古いけど、USB給電可能なのがサスガです。
液晶モニタはチルト式で、ここは大きく変わりませんが、124万ドットに進化しています。
その他大きく変わるところはありません。
俯瞰してわかる、EVFのがチルト式になったこと、モードダイヤルの同軸上に露出補正ダイヤル追加。
そして電源スイッチが、独立式から動画ボタンの同軸上に移動したこと。
使い勝手は両者とも大きく変わるところはないです。
 
 
GX7MK3のいらない子、露出補正ダイヤルです。
なんで金かけてまで追加したんでしょう?
露出補正はコマンドダイヤルで設定可能、個人的には全く不要で、実際使っていません。
露出補正をコマンドダイヤルに割り当てると、このダイヤルはただの飾りになります。
なんでつけたんだろうなぁ…
 

作例はいつものようにブログからどうぞ。

●オートフォーカス
空間認識技術(DFDテクノロジー)とやらで、像面位相差AFでなくてもAFが速いというのがPanasonicのウリで、これはフルサイズでも継承されていますね。
動きの小さいものについては、このAFは何ら問題ありません。
が、相手が動き物の場合、時々スッポ抜けます…。まあこのカメラで、超望遠レンズで戦闘機を撮るわけでもないので、問題ないかなと言う感じです。
個のカメラに何を求めるかで、この空間認識AFの評価に差が出るかもしれません。とりあえず、MK2と比べてもMK3はある程度の進化を感じます。

●画質
ここは明らかにMK2からMK3になって進化したところです。1600万画素から2030万画素になったからではないです。もっと根本的な部分です。
これまで、OLYMPUS PEN E-P5もPanasonic LUMIX GX7MK2も、同じ1600万画素でしたが、周波数の高い細部の描写が、モザイクっぽくシャギーが出ていました。
これは画素数うに余裕が無いわけではなく(より画素の低いAPS-CセンサのD300ではそんなことはなかった)、画像処理に問題があったか、M4/3センサに問題があったか、とにかくこれがM4/3の実力と思っていました。
ところが、2030万画素センサが主流になってからのM4/3は一皮むけました。あの細かい部分のシャギーが一切なくなり、ローパスフィルタレスらしい繊細な描写になりました。大きな進化です。
センササイズの限界を感じていましたが、まだ伸びシロがあるんですね。
またDレンジも良くなりました。ハイライトの神経質さがなくなり、粘るようになってきました。RAW現像すると、これまでのマイクロフォーサーズ機よりハイライトの破綻が減っている気がします。

●フォトスタイル
シネライクV、シネライクD、LモノクロームDといったフォトスタイルが新たに追加されました。
個人的にお気に入りなのがシネライクVです。ビデオ動画に最適化された最適化された画質なのでしょうけど、スチルでも好みの絵が出ます。これがシネライクDとなると、カラーグレーディング向けの浅い絵になるので、撮って出しならシネライクVですね。
LモノクロームDは好みではなく、従来からあるLモノクロームのほうが個人的に好き。とにかく、フォトスタイルの選択肢が増えて、撮って出しでも満足できる絵が出せるのは良いですね。

●高感度
イメージセンサが新しくなって、でも画素数も少し増えて、ノイズ耐性は極僅かに向上したにとどまる印象。ここはM4/3の欠点でもありますが、高感度になるほど細部の破綻が大きくなるのは致し方なく、ここは次世代センサに期待したいところ。
RAW現像は、引き続きSLIKEYPIX Developer 8 SEは、Panasonicのカメラ専用のものが引き続き使えます。これに関しては、下手なカメラメーカー自社製現像ソフトよりは使い勝手がよく、設定できる項目も多いです。
ただ、このソフトを持ってしても、高感度の解像感はあまり引き出せないですね。他に良いソフトがないか、センサの限界か…

●シャッター
MK2から変化ありません。メカシャッター1/4000秒まで、それ以上1/16000秒までは電子先幕シャッターとなります。メカと電子は自動で切り替わります。
メカシャッターは小気味よく、電子シャッターになっても、極普通の被写体を撮る限り、コンニャク現象はあまり目立たないように感じます。

●連写
連写は正直弱いです。4Kフォトも撮れますが、通常連写はAF-Cで秒6コマ、さほど速くなないです。今ならスマホの方が速かったりしますし。
基本単写、時々連写、という撮影スタイルが合っています。連写メインならもっと他に良いカメラがありますし。

●手振れ補正
これもMK2から進化はしていないようです。他の機種はDual I.S.2になっていますが、GX7MK3がDual I.Sのままなのは、恐らくボディが小さく、手ブレ補正機構が大きく取れないためでしょうね。
OM SYSTEM(旧OLYMPUS)ほど明確に手振れ補正が効くわけではないけれど、動画では電子手振れ補正が使え、効きが自然なのが良い点でしょうか。OLYMPUSはとにかく効きすぎて画面が貼り付く感じだったけど、今の機種はどうなのかな?

●動画
こちらもMK2から大きな進化はないものの、AFの迷いが少なくなった気はします。
2018年モデルですから、4K30p止まりですが、60pはなくても十分画質は良いです。ライトに撮って出し撮影するなら、今でも何ら不満は出ないでしょう。
カラーグレーディングだのRAW動画だのLogだのこだわるなら、GH5SやGH6を使えばよいですから。

●手持ちのレンズ雑感
2022年7月時点で、以下のレンズやアダプタを所持しています。これ以上増えることはないかな、と思っていますが、LEICA DG SUMMILUX 9mm / F1.7 ASPH.が安くて評判も良いので、ちょっと迷っています。そんなに広角使うのか?
というわけで、カメラが変わるとレンズの評価も変わったりします。以下雑感です。

▼OLYMPUS(OM SYSTEM)
・BCL-0980(9mm F8 Fisheye)
カバンに忍ばせておけるので、たまに使っています。案外よく写ります。とくに、GX7MK3の2030万画素センサになってから、このレンズは割とよく映るということがわかって、再評価しています。

OLYMPUSのレンズは評価が高いレンズが多いのはわかるのですが、どうも描写が肌に合わず、これ以外はすべて手放してしまいました。


▼Panasonic
・LUMIX G VARIO 12-32mm / F3.5-5.6 ASPH. / MEGA O.I.S.
キットレンズです。気に入らなければすぐ売ろうと思ったら、なかなかどうして、こんな小さな薄いパンケーキズームながら、しっかりと解像します。スナップに何ら不足ないです。
OLYMPUSの14-42mmが使っていて楽しくなく、すぐに売ってしまったのと対象的に、こちらは割と気に入ってしまったので、そのままバッグに入れて常に持ち出すレンズになっています。薄いですからね。

・LEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7 ASPH.
一番気に入っているレンズで、ほぼこの1本で撮っています。35mm判換算30mmという、好きな35mmでもない、28mmに届かない、実に半端な画角ながら、LEICAだからなのか(いわゆるパナライカですが)、LEICAらしい繊細な描写をします。
OLYMPUSの17mm F1.8がやや線の太い描写だとしたら、このレンズはひたすら繊細。そして絞り開放でも解像力は緩くなく、絞っても被写界深度だけが変わっていく印象です。
絞り開放からf2.8までで使うのが良いですね。繊細な描写と2030万画素センサの繊細な描き方がよく合っています。

・LUMIX G VARIO 14-140mm/F3.5-5.6 ASPH./POWER O.I.S. H-FS14140
GX7MK2から引き続き使っています。こちらの描写は極普通。流石に高倍率ズームの限界は感じます。動画撮影などでは重宝します。

▼SAMYANG
・7.5mm F3.5 FISH-EYE
GX7MK3のフォーカスピーキングの性能がもう一歩なので、MFではいまいちピントの山が見づらいですが、魚眼なのでパンフォーカス的に使うのが良いですね。
一つ失敗したのが、このレンズ、シルバーだと安っぽい塗装のため、使い込むうちに見窄らしい外観になってしまうこと。シルバーは安くなっていたので買いましたが、黒がおすすめです。

▼K&F Concept
・Nikon(G)-M4/3
めったに使いません。正直、あえてFマウントをつけて使う場面は、思いつきの遊びですから。
望遠で遊びたいときに、稀に持ち出す程度ですね。


●良いポイント
これまで挙げてきたのをまとめると…
・2030万画素センサは、画素数以上に繊細な描写がよく出るようになって、従来あった細部のシャギー感がなくなった。
・電子手ブレ補正対応の4K動画や、多彩な動画撮影機能はMK2時代から変わらず
・とにかく機能多彩で、この値段でよくここまで詰め込めたと思う→なのに高く売れず、値付けの難しい機種だったことは否めない
・Lモノクロームだけでなく、シネライクVの質感が素晴らしい
・本格的なRAW現像ソフト(SILKPIX Developer SE)
・ボディ内5軸手ブレ補正とレンズ側の同時補正Dual I.S搭載→ただしGX7MK2から全く進化していないのは残念

●残念なポイント
これまで挙げてきたのをまとめると…
・無駄な存在の露出補正ダイヤル
・せっかくBluetooth搭載なのに、カメラの電源が切れるとスマホ側でいちいちソフトを立ち上げていないと再接続されない(何のためにBluetoothになったか意味不明)
・スマホアプリが従来より接続しにくくなった、これではBlutoothのメリットがまったくない!
・あいかわらず外部マイク入力端子なし

●総評
GX7MK3はMK2から大きな進化はないものの、イメージセンサを一新して2030万画素化したことで、細部の繊細さがよく出るようになるなど、M4/3として一皮むけた感があります。
一方、それ以外は前作GX7MK2から大きな変化がなく、買い替え需要を掘り起こせなかったことが、GX7シリーズを終わらせてしまった良いインの1つと思います。
機能的にも、新たに追加されたBluetoothが、NikonのSnapBridgeと違って使い勝手が悪く、一度カメラの電源を切ると、スマホとの再接続はスマホアプリを立ち上げないとつながらないなど、電源を入れ直せばじどうせ再接続されるNikonより使い勝手が下だったのががっかりなポイントでした。ここは改善してほしいですね。
ただチルトEVFが復活したり、地味な改良はしっかりされていて、惜しむらくは、もし次のモデルがあったならば、もっと使い勝手の良いカメラになっていたことは想像に難くないのですが、問題はPanasonicが個のカメラの値付けと立ち位置をしっかり定義できなかったため、消費者からは高いと思われ、かと言ってこれ以上安くしたら利益は出ない、なんとも難しいポジションのカメラでした。

まるで入れ替わりかのように、2021年6月にはOLYMPUS(OM SYSTEM)が、かつて使っていたPEN E-P5の後継機であるE-P7を何年かぶりに発売しましたが、EVFは非搭載なんですよね…。悪くはないカメラなのですが。
ということで、Panasonicが後継機を復活させない限り、暫くはGX7MK3を暫く使っていこうと思います。




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