Nikon D800
D800 + MB-D12 + Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZF.2
2012年6月作成(一部作成中につき、随時加筆)
●予約殺到、入手困難の中… |
D300発表時に同時発表となった、ニコン初のフルサイズ機D3。 発表当時、D3の高感度耐性のすごさもさることながら、その画質に驚いたものです。 D300は、DXフォーマット機としては優れていましたが、D3の画像を見たときは、フィルムをスキャンしたものに近い、何とも言えぬ立体感と迫力を感じたのを覚えています。 もちろんD一桁機種は、薄給の自分に買えるはずもなく、D300を購入しました。 しかし、いつかはフルサイズ、FXフォーマット機が欲しいと、DXフォーマットのファインダの小ささと画角に惑いながら、D300でさんざん撮影しました。 そのD300購入から1年半後には、フルサイズ機で価格を抑えた、まさにD3ジュニアともいえるD700が発売。あの時D300を我慢していれば、間違いなくD700を購入したであろうと思います。 そしてD300購入から数年がたち、D4とD800が発表されたのが2012年2月。 既に前年からスペックや価格などの噂が出ていましたが、D4は買えないにしろ、D800はD700の後継として狙っていました。ところがD3ジュニアの位置づけだったD700と違い、D800は3630万画素で連写が遅い、というのを知ったときは結構がっかりでした。 3630万画素も必要ないし、D4と同じセンサを搭載した、D4ジュニアを期待していたのですが… そんなわけで、D800購入熱はあまりなく、さらに2011年のタイの大洪水被害でニコンやカメラ関連企業が被災、部品供給が遅れるなど、不透明な状況。 それでも2012年にD4・D800が発表され、D800のサンプル画像が出回るようになると、少し考えが変わってきました。 D800は、3630万画素という今までにない高画素の数字だけが独り歩きしていて、そこに注目が集まっていましたが、いざサンプル画像を見てみると、これが素晴らしいのです。D3の画像を初めて見たときの感動が蘇りました。 画素数が高いからノイズが多い、画質が悪い、ダイナミックレンジが低いというネガディブ要素が良い意味で裏切られたのです。 もちろん高感度耐性は、最強と言われたD3Sや、最新のD4にはかなわないものの、D700の3倍もの高画素ながら、同等のISO感度設定が可能で、さらにノイズの出方もD700より穏やかで処理しやすいものになっているなど、画像処理の進化を感じた次第。 連写速度は遅いですが、よく考えると3630万画素ものデータを高速連写したら、メモリカードがいくつあっても足りません。また、DXクロップモードで、バッテリグリップMB-D12と単3Ni-MH電池8本で秒6コマでの撮影は可能、今となっては速くはないですが、遅くてイライラするほどでもなく、連写撮影はD300に任せればよいと考えるように。 そうなると、D800購入熱は上がりますが、既に予約が相当数入り、納期が遅れている状況。しかしながら、発売1ヶ月するかしないかの2012年4月、とあるカメラのキタムラに ふらっと出向いたところ、なんと1台在庫があるというではないか! 即決しました。 D300より分厚いボディですが、重量はさほど差を感じません。 なで肩ボディも、写真ではかっこ悪いと思っていましたが、実物はそれほど違和感がありません。二次元で見るのと三次元で見るのとでは印象が異なります。写真写りの悪いカメラ(笑)なんでしょうね。 。 購入時のブログはこちら。 |
箱から出すと、D800が初めてとなるUSB3.0対応ケーブルと充電器が。 充電器は、コードかプラグ直付けが選べて便利。 USB3.0は、本体側取り付けが何だかとても挿しづらくて… ボディはグリップを付けない限りは、FXにしては軽量な部類と思います。 |
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D800+MB-D12の組み合わせで重量級カメラに。 D800購入当初、予備バッテリのEN-EL15が品薄で手に入らず、急遽単3を8本を使えるMB-D12入手。 なお、D800/D800E同梱のEN-EL15は、一部リコールが出ています。 当方の同梱バッテリもリコールに該当し、無償交換となりました。 |
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D300から5年、ライブビューは進化し、コントラストAFも速くなりました。 D300では位相差AFとコントラストAFを切替えられましたが、D800ではコントラストAFのみとなりました。 コントラストAFはかなり速くなりましたが、それでもマイクロフォーサーズ陣営には追いつけませんね。 センサのサイズも違いますし、レンズも元々静止画前提の設計ですから。 キヤノンのように、動画AFにも対応できるレンズもそのうち出るのでしょうか。 D800はLVボタンもあって、D300のようにダイヤル切り替えしなくても簡単に切り替えられます。 動画もフルHD撮影可能に。 外部ステレオマイクにも対応します |
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D300と大きく違うのは、ボディのAF/MF切り替え。 フィルム機F4以来伝統の、レバーによるS(シングル)・C(コンティニュアンス)・M(マニュアル)切替から、 AF/MFというシンプルな切替に、ボタンとコマンドダイヤルの組合せで、S/C切替やモード切替可能となりました。 従来のレバーは、結構指などが当たってCになっていることがあったので、そういう誤操作がなくなりますね。 D300は切替がこのレバーと背面にあるレバーの2つで操作し煩雑だったものが、シンプルになりました。 ただ、D300のようにとっさに切替えられないですね。慣れの問題? |
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D300よりファインダのプリズムが大きいためか、上面液晶は小さくなっています。 最も、上面液晶は、背面液晶に表示可能なので、この部分の重要性は低くなっているのかな。 |
D300と比較してみました。メカのスペック的には、D300も当時のDXフォーマット上級機だけあり、D800と遜色はありません。
が、D800はアイピースシャッターを内蔵など、D300では省かれていたものも搭載していて、さすがにボディは上級であることを伺わせます。
D800 | D300 | |
発売年 | 2012年 | 2007年 |
フォーマット | ニコンFXフォーマット(35.9x24.0mm CMOS) | ニコンDXフォーマット(23.6x15.8mm CMOS) |
ファインダ | 視野率約100% 倍率0.7倍 | 視野率約100% 倍率0.94倍 |
AF測距点 | 51点(中央15点クロスセンサ、11点はf/8対応) アドバンストマルチCAM3500FX(−2~+19EV) |
51点(中央15点クロスセンサ) マルチCAM3500DX(−1~+19EV) |
連写速度 | 約4コマ/秒 (MB-D12使用時:DXクロップ最速約6コマ/秒) | 約6コマ/秒 (MB-D10使用時:最速約8コマ/秒) |
測光 | 91kピクセルRGB | 3D-RGB1005分割 |
ミラーアップ撮影 | 可 | 可 |
シャッター速度 | 1/8000~30秒(X:1/250) | 1/8000~30秒(X:1/250) |
アイピースシャッター | 内臓 | 非内臓(アイピースカバー) |
視度調整 | -3~+1 m-1 | -2~+1 m-1 |
対応レンズ | Gタイプ:対応 Dタイプ:対応 AF-S/AF-I:対応 VRレンズ:対応 Aiレンズ:対応(開放f値登録でマルチパターン測光可) Auto Nikkor:非対応(Ai改造にて対応) |
Gタイプ:対応 Dタイプ:対応 AF-S/AF-I:対応 VRレンズ:対応 Aiレンズ:対応(開放f値登録でマルチパターン測光可) Auto Nikkor:非対応(Ai改造にて対応) |
コマンドダイヤル | 2ダイヤル | 2ダイヤル |
インターバル撮影 | 対応 | 対応 |
動画撮影 | フルHD動画対応(微速度撮影可) | 非対応 |
オートブラケティング | 対応 | 対応 |
多重露出 | 対応 | 対応 |
HDR | 対応 | 非対応 |
スピードライト (フラッシュ) |
内蔵(i-TTL BL調光対応) オートFP発光対応 外部SBにてi-TTL BL調光に対応 |
内蔵(i-TTL BL調光対応) オートFP発光対応 外部SBにてi-TTL BL調光に対応 |
USB | USB3.0 | USB2.0 |
記録媒体 | CF(TYPE Iのみ)+SD(SDXC) | CF(TYPE II) |
防塵・防水対策 | 対応 | 対応 |
スペックに現れない部分の比較をしてみました。ここからは個人の感想です。
D800 | D300 | |
ボディの質感 | D300とほぼ同じかと思います。 | 5年使ってテカリは出てきているものの、それまで使っていたプラボディのF90Xよりはマシです。 プラむき出しだったF4やF801シリーズ、F90シリーズは、やはり年数が経つと… |
ファインダの見え方 | FXフォーマットだけあり、D300とは格段に違うピントの山の見え具合。 ただし、液晶を挟んでいるためか、ここでもF90Xなどフォルム機には追いつけていません。 EVFが進化している今、今一度光学ファインダを見なおして欲しい。 |
当時DXフォーマットとしては良い部類だったものの、やっぱりMFは厳しいファインダ。 Carl Zeiss Planar T+ 1.4/50は、このカメラではさっぱりピントの山がわかりません。 |
シャッター音 | D300より静音。元々連写に強くないためか、D300ほどメカメカしい音はしません。 | 秒8コマ撮影可能なだけあり、小気味良い音。個人的にはD700やD800より好きで、いかにも撮っていますよというメカ音。 |
ファインダ像消失時間 | D300と遜色ないと思いますが、D3やD4には負けます。 あちらは爆速で、値段の差を感じます。 |
中級機としては短く良好。 |
測光精度 | 顔認識可能なほど細かい分割測光。 やはりD300と同様、デフォルトでは明るめに出る傾向あり、同様にカスタムセッティングで-1/6の設定に。 ダイナミックレンジが広く、白飛び耐性も向上したため、スポット測光の出番は今のところないです。 傾向がつかみやすいのはニコン機らしく相変わらず。 |
普段はマルチパターンで問題なし。+露出より-露出のほうが出番が多い。カスタムで標準より-1/6の設定としています。 極端な明暗、逆光ではスポット測光を使ったほうが良い。 |
スピードライト (フラッシュ) |
D300と同様の精度の良さ。 視野率100%ファインダとしつつ、スピードライトを内蔵させたのは評価したいです。あったほうが、外部スピードライトのマスターとしても使えて便利ですから。 |
内蔵スピードライトは非常に精度が高く、ちょっとした撮影に便利。 |
AF | 3Dトラッキングは5年の進化を感じさせ、迷うことが少なくなりました(でも完璧ではない)。 速さや精度については、D4と同等の物を積んでいて、D300と比べても食いつきは良くなっています。 |
3Dトラッキング初搭載機だけあって、それだけは迷いがちだが、動き物の撮影は不満なく行える。 51点AFは当時としても先進的でした。 |
バッテリの持ち | EN-EL15単体でも900枚以上撮影可能。 ただ、ライブビューやGPSを使うと、D300より減りが早く感じることも。 特に動画撮影時は、当たり前だけど減りが早い。 |
持ちはかなり良いです。 バッテリ単体でON/OFFを繰り返しながらでも数百枚は撮影可能。MB-D10をつけてバッテリ2個体制では、ほとんどの撮影で困らない。 |
●D800の気になる進化とD300からの変化点 |
1.アクティブDライティング カメラ自体のダイナミックレンジが飛躍的に向上したことで、従来よりも効果がわかりやすくなっています。 D300では、このアクティブDライティングでは白飛び・黒つぶれの完全解消にはならず、大きな効果が得られないこともありましたが、D800ではかなり効果がわかりやすくなりました。 2.ピクチャーコントロール スタンダードで若干濃いめに出るのは、D300の頃から変わらないですね。 以前は機種ごとに色の傾向が異なると言われたニコンですが、D300以降ピクチャーコントロールが導入されて、大幅に色の傾向が違うということはなくなっています。。 3.51点フォーカス+3Dトラッキング なんと位相差AFでも、91kピクセル分割測光を使った顔認識が可能。実際AFのエリアをオートにすると、ちゃんと人の顔でAFが合います。 また、11点がf8対応のセンサと言うだけあり、暗所にも強くなっています。結婚式のようにAF補助光を使えない場面でも、少々暗くてもちゃんとAFが合うのが嬉しい。 3Dトラッキングは、やや速い動きのものも追従できるように。ただ、やっぱり外す時は外します。これは背景の色も関係するため難しいですね。 4.イメージセンサークリーニング D300では、動作時にキュンと鳴っているのが聞こえましたが、D800ではほぼ無音です。 5.ヴィネットコントロール D300では搭載されなかった(D3は内部処理に余裕があったからか、後日ファームウェアアップで対応)、周辺減光を抑えるヴィネットコントロールに対応。 ニコン純正レンズであれば、レンズの特性と絞りに合わせて減光を抑えることが可能となりました。(作例アップ予定) |
●ここが良かった! |
1.画質 やっぱり画質。低感度で、しっぱりピントがあった時の画像はほれぼれします。 しかし、ずぼら撮影では、カメラマンのミスまで克明に記録してしまいます。写真撮影の基礎(ブレない、ピントをきちんと合わせる)を改めて思い知らされま す。 2.スピードライト内蔵 視野率100%ファインダを装備しつつ、内蔵スピードライトがあるのは、非常に便利ですし、よく収めたと思う。 内蔵スピードライトをトリガとして、手持ちのSB-900のリモート発光が可能。 3.AF AFはD4譲りのアドバンストマルチ3500、レスポンス、精度とも申し分なく、位相差AFでも91k分割RGB測光を生かした顔認識が可能なのがすごい。 さらにf8対応センサを搭載し、テレコン使用時も精度が向上。 4.フルHD動画 ・フルHD動画撮影、微速度撮影が可能。動画は撮影の楽しみ方が増えました。 5.ダブルカードスロット CF/SDダブルスロット。もはやこのクラスでは当たり前ですね。 6.電子水準器 液晶画面でも、ファインダでも確認可能な電子水準器。 7.オートホワイトバランス AWBの精度がD300と比較してかなり良くなった。 D7000から搭載された、電球色を残したAUTO2はD800でも搭載されていて、暖色系が好きな自分はAUTO2で撮影しています。 8.ダイナミックレンジ ダイナミックレンジが広くなり、白とび耐性が改善され、D300より飛び方が穏やかになった。白つぶれしていると思っても、RAWではかなり諧調が残っている。 あのFujifilm S5 Proより広くなっているとされ、時代の進化を感じます。 とにかく光のコントロールがしやすくなりました。 9.感度自動制御 ・レンズの焦点距離に合わせて、自動で最低シャッター速度を設定する感度自動制御。 これでレンズを付け替えても、一々設定する必要がなくなりました。 10.カメラ内編集 HDRやミニチュア効果など、カメラ内での編集加工機能が増えた。 |
●要改善点 |
1.ファインダ ピントの山の見え方は、DX機よりは良いとはいえ、フィルム時代の機種より劣ります。 液晶を挟んでいるから仕方ないですが、α900のような素晴らしいファインダのカメラがあったわけで、あれくらいは目指してほしいです。 2.コントラストAF ライブビュー・動画撮影時のコントラストAFは、D300時代からはかなり速くはなっているものの、まだ改善の余地あり。 3.付加機能 D800が噂レベルだった頃に上がっていた、画素合成による高感度耐性アップ機能のようなものも欲しい。 せっかくの高画素を生かしたモードを。 |
●Q&A |
Q1:D800/D800Eは、ニコン推奨のレンズでないと、その高画素性能を発揮できない? A:これは間違いだと思います。確かに推奨レンズ、私の手持ちではAF-S NIKKOR70-200mm f/2.8G ED VRIIで撮影すると、本当に解像感が素晴らしいですが、そうでないレンズが全てダメかというとそうでもありません。 古いTAMRONの90mmマクロは、まったく問題なくD800でも素晴らしい解像感は出ますし、AF Nikkor 35mm f/2Dも、やや線が太いものの、そこそこ解像感は出ます。 もちろん解像感が出ない、シャキッとしないレンズもありますが、こればかりは組み合わせてみないとわかりませんし、人によって感じ方も違えば、鑑賞方法も違うと思います。 レンズの能力を100%引き出してくれると考えればよいでしょう。 ナノクリレンズ推奨なのは、ニコンだって商売ですからね…。 Q2:ブレが今までより目立って手持ち撮影は厳しい? A:ブレ量は画素数に関係なく同じ。ただ目立つか目立たないかの違いです。よく言われるように、D800のDXクロップ時はD7000に近い画素数なので、D800がダメならD7000も同じこと。 D7000が特別ブレが気になるカメラという話は聞かないので、手持ちが無理というわけではないです。 もちろん、三脚があればベストなのは言うまでもありません。 Q3:高感度耐性は大したことがない? A:D3SやD4、EOS 5D MarkIIIと比べれば…です。 スペック上は、対応感度はISO6400まで、拡張でISO25600相当までと、古いD700と同じですが、EXPEED3の画像処理能力の向上もあって、ノイズの出方は穏やかになっています。 特に拡張感度のISO12800や25600でも、色が転んでどうしようもない、ということはなく、出力サイズによっては実用になります。 画素数を落とすなど、鑑賞サイズではかなりノイズは目立たなくなります。この画素数を考えると、悪くないと思いますし、D700よりは良くなっています。 Q4:連写速度が遅くてかったるくない? A:確かに連写は遅いです。ですが、JPGでも1枚10MBを超え、ロスレス圧縮RAW14bitで50MB、これを秒8コマも撮ったら恐ろしいことになりますね。1秒400MB。秒4コマでも200MBです。 ただ、JPG撮影のDXクロップでは、MB-D12との組み合わせで最速秒6コマ。動きものの撮影では結構撮れます。フィルム時代から考えたら遅いとはいえないですね。 シャッターレスポンス自体はかなり良いので、下手な鉄砲数打ちゃ…という撮り方より、一撃必中みたいな撮り方が合っているかもしれません。 |
●アクセサリ (作成中) |
●MB-D12 縦位置撮影、高速連写、大量撮影には欠かせないのが、マルチパワーバッテリーパックMB-D12。 と言っても、D800ではFXモードでは連写スピードは変わらず、DXモードでボディ単体5コマ/秒から6コマ/秒になる程度で、バッテリ二重化による大量撮影用と考えたほうが良いでしょう。 もちろん縦位置撮影はしやすいです。 D300用のMB-D10のように、ボディとグリップ側でシャッターのストロークが違う、ということもなくなりました。 |