Tokina AT-X PRO NEW 28-70mm f2.8

特徴

1988年に発売されたAT-X270AFの3代目にあたる大口径標準ズーム。初代はこの手のレンズの先駆け的存在で、ちょうどニコンからF4が発売された年でもあり、ニコンユーザーが特にこのレンズを愛用していたように思う。うちの親父もF4との組み合わせで使ってる。ニコン純正のAF-S Nikkor 28-70mm f2.8Dが発売されたのは実に11年遅れの99年からで、それまでニコンユーザーは純正では古い35-70mm f2.8しかなく、多くのプロアマがこのTokinaの28-70mmを使っていた
このレンズは、初代から光学系はそのままに外観を換えて、ニコンマウントの場合はDタイプ対応(距離エンコーダー内臓)、AF時フォーカスリングが動かないAF-MF切替機構(ただし本体側の切り替えも必要)を装備し、外観も高級感ある仕上げになってる。ニコンもキヤノンも、純正は20万円オーバーで誰でも手が出せるレンズではない。レンズメーカーのこのクラスのレンズは性能的にも良好で、ハイアマチュアには十分な性能を持つレンズだと思う。


使用感

このレンズはハードオフのジャンクコーナーで購入。ハードオフのジャンクレンズは、大抵レンズメーカー製の安物か、かなり古いものしかなく、さらに言うと古くてもニコン純正はほとんど見たことがなく、大口径レンズは今回見つけたAT-X PROが初めて。ジャンクの理由は「内部に埃あり」とのこと。実際見てみると、中玉にやや大きめの埃が1個。しかしこれは写りに影響するほどのものではなく、外観も使用感はなくきれい、レンズ前玉・後玉も新品のごとくきれいで、ほとんど使われていなかったものと思われる。8千円だったので、即購入。これまで使ってきたSIGMAの標準ズーム28-70mm f2.8-4は売却しました。

F90Xに装着したところ
装着感・バランスは悪くない
AF時フォーカスリングがフリーになる機構搭載
ただし使い勝手はいまひとつ

使い込んで大分テカってきた(汗)F90Xに装着してみると、本体よりレンズのほうが質感がいいです。重量バランスは、縦位置グリップを装着しているF90Xでまあまあといったところです。より重いF4〜F6クラスとの組み合わせでしっくり来るでしょう。今までのSIGMAより「ずいぶん大きく重い(772g)レンズです。機動性の面ではマイナスです。それでもf値固定で明るいズームなので、ファインダーを覗いていてもよさがわかります。

この代からフォーカスリングをAF側に引っ張ると、フォーカスリングが動かないフリー機構が付いています。AF時にフォーカスリングが動かないため、使い勝手は良好です。ただし、同様の機構を持つTAMRON SPAF 90mm MACROが、本体側の切り替えなしにレンズ側のみでAF-MF切り替えが出来るのに対し、このレンズは本体側も切り替えが必要です。さらにAFからMFに切り替えるときも、どこからでも手前に引けば切り替わるのではなく、現在のフォーカス位置にフォーカスリングを回さないとMF側に入らない、といった制約があり、不便です。
このあたりはTAMRONに一歩譲ります。

また、光学系は80年代の設計で非常に古く、最短撮影距離が70cmと長めなのもマイナス。今時は40〜50cmが当たり前です。またTokinaのレンズキャップは薄いのはいいとして、外しにくく使いづらいです。でもきちんと植毛された花形バヨネットが付くなど、まじめに作ってあるのはいいですね。


作例

碓氷峠のめがね橋を上ったところにあったトンネルから。古いトンネルらしくコンクリだけでなく、石垣のようなものが張り巡らされています。今は廃線になりましたが、昔は鉄道が通っていました。めがね橋は明治25年建造、廃線になる昭和38年まで使用されているので、このトンネルも1世紀以上前のものになります。

ニコンF90Xs 1/3s f2.8 62mm付近 コダック400Ultra Color

絞り開放での撮影。暗いせいもあって周辺光量落ちはわかりませんが、ボケ味は良好ですね。このとき三脚はなく、壁に身を寄せてカメラをがっちり固定して撮影しましたが、1/3秒はきついですね。絵的にはもう1,2段少し絞ったほうがよかったですね。

そのほかの撮影でも描写に問題はなく(もちろん埃の影響なし)、十分常用に耐えうるレンズです。最も軽くてコンパクトで良好な描写の単焦点も好きなので、相変わらずズームレンズは結婚式とか、あまりレンズを持ち歩けない状況下での使用がメインになりますけど。



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